この記事は以下の人に向けて書いています。
- 集団訴訟での弁護士・弁護団の役割を知りたい
- 集団訴訟を弁護士に依頼するにはどうすればよいのか知りたい
- 集団訴訟と個人訴訟の違いを知りたい
はじめに
詐欺などの被害を受けた人が多数いる場合、被害者どうしで協力して集団訴訟を起こすことができます。
その際も、個人で訴訟を起こす時と同じように、弁護士への依頼が必要。
では、集団訴訟の場合はどのように弁護士に依頼をすればよいのでしょうか?
この記事では、集団訴訟を起こす際の弁護士の探し方や手続きのほか、集団訴訟と個人での訴訟の違いについて解説していきます。
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1.まずは弁護団を探そう!集団訴訟を弁護士に依頼する方法3選
集団訴訟の弁護士を探すには、下記の3つの方法があります。
①各種弁護団に相談する
②被害者の会に参加する
③自分で被害者の会を立ち上げる
以下、それぞれについて詳しく解説をしていきます。
①各種弁護団に相談する
複数の被害者がいる集団訴訟の場合、弁護士が被害者を募って
「弁護団」を結成し、訴訟に動いてゆく形が一般的です。
中でも、
投資、労働問題(ブラック企業)、医療事故(美容・エステ含む)といったトラブルの多い分野では、
「被害対策弁護団」と呼ばれる団体があり、被害者からの相談を受け付けています。
代表的なものを下記にまとめましたので、もし自分の被害がこれらのいずれかに該当している場合は、まず相談をしてみましょう。
あなた以外の被害者ともすでに連絡がとれているような場合は、あらかじめ被害者どうしの状況をまとめた上で相談にのぞむとスムーズです。
また上記以外でも「会社名(サービス名・商品名) 弁護団」でインターネット検索すると、より自分の被害に特化した弁護団が見つかるかもしれません。
より詳しくは、この記事でも解説しています。
②被害者の会に参加する
「被害者の会」は、ある問題に関する被害者が集まって結成された団体です。
こうした団体がすでにある場合、あわせて弁護団が結成されていたり、訴訟が行われている場合があります。
「加害者名(会社名・サービス名・商品名) 被害者の会」などのキーワードで検索し、探してみましょう。
ただし一方で、偽物の「被害者の会」には注意してください。
被害者救済を装い、金銭や個人情報をだまし取ろうとするケースがあるからです。
怪しい被害者の会を見分けるためには、下記のような点に注目しましょう。
- かかわっている弁護士の名前が実在しない
※日弁連のサイトで弁護士検索ができます。対面であれば登録番号も尋ね、その場で検索してみましょう。
- 過去の活動報告や今後の予定が明記されていない
- 連絡先などの個人情報をやたらと求めてくる
- 高額な会費や解決を名目としたコンサルタント契約を求めてくる
- 身に覚えのないダイレクトメールで勧誘が来る
詐欺が発覚したり、大金を失ったと気付いた直後などは冷静さを欠いてしまうもの。
このようなときを狙い、被害者に親切心や同情心を見せてきたり、「同じ被害者です」などと装って近づいてくる手口もあります。
二次被害を防ぐためにも、探し出した情報に慌てて飛びつかず、よく吟味するようにしましょう。
③被害者の会を立ち上げる
もし弁護団や被害者の会を探しても見つからない場合は、自分で被害者の会を立ち上げてもよいでしょう。
自ら声をかけて被害者を集めて情報を整理し、弁護士に依頼をする形となります。
【番外編】弁護団の役割とは
弁護団とは、大規模な集団訴訟など、ひとりの弁護士では対応しきれない場合に、複数の弁護士が協力して訴訟にあたるものです。
特に、扱う問題が社会に広く訴えるべきものであるときは、訴えに同調する弁護士が協力者として加わることもあります。
事件の重要性や難易度により、
原告がひとりまたは少数でも弁護団が結成されることがあります。まずはひとりでも声を上げてみましょう。あなたが抱える問題は、社会全体が解決すべきことかもしれません。
弁護団には決まった形式があるわけではなく、あくまでも任意で協力しあう団体に過ぎないため、各弁護団によって弁護士や原告の人数、規模、運営ルール、費用なども違ってきます。
また、被害者が全国規模に散らばるケースでは、地域ごとにいくつもの弁護団が結成されることがあります。相談できる弁護士や被害者がいることになりますので、自分の近くで参加できそうなところを探して問い合わせてみるのもいいでしょう。
2.集団訴訟と個人訴訟はどう違う?手続きの比較とメリット・デメリット
これまで集団訴訟を弁護士に依頼する方法を紹介してきましたが、集団訴訟と個人訴訟で、手続きに違いはあるのでしょうか。
この章では、集団訴訟と個人での訴訟の違いについて解説をしていきます。
①集団訴訟・個人訴訟の手続きの違い
裁判をする場合、まず依頼を受けた弁護士が、原告となる被害者に被害状況(いつ・どこで・どのような被害があったか)をヒアリングして、
訴状と呼ばれる書類を作成するところから始まります。
集団訴訟の場合も手続きは変わりませんが、
弁護団に参加している被害者全員についてこの作業が発生することになります。
被害状況や証拠が個人での訴訟と比べて詳細になる利点はありますが、一方で、人数が増えるほど時間がかかるというデメリットもあります。
②集団訴訟のメリット・デメリット
- メリット
被害者の数が多ければ証拠の数も多くなり、相手の落ち度を立証する手段が増えることになります。また、ノウハウを持つ複数の弁護士が知恵を出し合うことで、専門性の高い訴訟に立ち向かうことができるようになります。
弁護士費用や証拠集めの調査費などを被害者どうしてで分担することである程度抑えることができます。
- デメリット
大規模化するほどの被害であれば、裁判にも時間がかかります。
何年にもおよぶ審理を経た結果、勝訴しないこともあるでしょう。同じ目的を持つはずの被害者同士の中で足並みがそろわなくなることもあり、場合によっては自分の主張を他の被害者と合わせる必要もでてきます。
詳しくはこちらの記事でも解説しています。
③費用について
裁判は誰もが起こすことができる平等な権利ですが、実際は資金面で断念せざるを得ないケースもあります。
しかし、前の章で説明したように、集団訴訟になれば弁護士費用を安く抑えることが可能になります。
ひとり当たりの着手金が少額になっても人数の規模でカバーできたり、損害賠償金が高額になったりする場合があり、その結果、勝訴したときに弁護士へ支払う成功報酬額も上がることがあるからです。
詳しくはこの記事でも解説しています。
3.まとめ
- 詐欺などの被害にあったら、まずは自分と同じ被害者がいるかどうかを探してみましょう
- もしもある程度の規模の人数が見込めそうなら、弁護団や被害者の会に参加してみる
- 集団訴訟になれば、費用や証拠の面でほかの被害者と協力することもできます
おわりに
詐欺や医療事故などは、多くの被害者がいるケースが多いでしょう。
集団訴訟を検討する場合は、まず二次被害に注意しつつ、慎重に情報収集につとめてください。
それと同時に、これまでの被害状況や証拠をまとめたりする作業にも着手していくと、弁護士や弁護団への相談もしやすくなります。