「送り付け商法」の手口と対処法!不明な荷物が届いた時の心構え3つ

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投稿日時 2018年10月10日 18時35分
更新日時 2018年10月10日 18時35分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 両親や家族が身に覚えのない商品を買っており心配な人

  • 身に覚えのない商品を送り付けられ、困っている人

  • お金を支払ってしまい、なんとか返金してほしいと思っている人

はじめに

買った覚えのない商品が急に送られてきて、高額の代金を請求される……。
そんな「送り付け商法」と呼ばれる詐欺被害が増えています。

国民生活センターによると、被害者は主に高齢者。

たとえ注文をした覚えがなくても、業者から高圧的に言われたり、法的な手段に出るとちらつかされるなどして、代金を支払わされてしまうというケースがみられるようです。

そんな「送り付け商法」は、初期の対応が非常に重要。対策を知っているか知っていないか、すばやく対応できるかどうかで、返金される可能性が大きく変わってきます。

この記事では、送り付け商法の手口や、その対処法を詳しくまとめていきます。

どうやったら送り付け商法を回避できるのか?
その方法を知っていきましょう。


1.詐欺を防ぐには?覚えのない商品が届いたときの心構え3つ



もし身に覚えのない荷物が届いたとき、大切なのは、

①受け取らない
②払わない
③使わない

という、3つの心構え。
それぞれの理由や、具体的な対処法について、順番に詳しく解説していきましょう。

①受け取らない

もし宅急便で身に覚えのない荷物が届いた場合、受け取りを拒否しましょう。

ポイントとなるのは「売買契約」です。

このように商品が一方的に送られてきた場合、まだ「売買契約」は成立していません。

商品の売り買いを成立させるには、買う側の承諾が必要不可欠。一方的に商品を送られてきただけでは商品を買ったことにはならず、当然ながらお金を支払う義務も発生しないのです。

そのため、料金の代引きや受取サインを求められた場合は、受け取りそのものを拒否しましょう。

後日業者側から「なぜ受け取らなかったのか」などと言われるかもしれませんが、気にしなくても大丈夫です。

もし注文をしたかどうか自信がない場合、宅配物をいったん預かってもらう「受取保留」を利用しましょう。受領証にサインをせず、受取保留をする旨伝えればOKです。一度サインをしてしまうと保留はできなくなりますので注意してください。

注文した覚えがないことがはっきりわかる場合は、同様の手順で「受取拒否」をすることで、送り主に返送することもできます。

また、送り主の連絡先や電話番号、住所などは可能な限りメモしておきましょう。国税庁のウェブサイトにて、その業者が実在するものなのかどうか、調べる事ができます。

②払わない

「受け取らない」と同時に「お金を払わない」ということも重要です。

これは代引き料金に限らず、業者側から「お金を払え」と請求された場合でも同じことです。

「注文したのだから買ってください」と強引に売りつけようとする場合だけでなく、「解約するなら手数料が必要」「一部だけでも払ってほしい」などと言われるパターンもありますが、すべて支払わなくて大丈夫です。

お金を支払ってしまうと、商品を購入するという意思を見せてしまったことになります。 あとから契約を取り消す手段はいくつかありますが、悪質業者が相手の場合、仮に売買契約を取り消せたとしても、返金せずに逃げられてしまう可能性があります。

また、業者側の住所や電話番号が架空のものだった場合など、請求そのものが難しいというパターンもあるでしょう。

先ほども書いたとおり、送られた商品を買うという意思がないのであれば、支払い義務も存在しません。

怪しい荷物が届いても、「絶対にお金を払わない」ということを意識するようにしましょう。


③使わない

代引きではない場合や、本などが一般郵便で送られてきた場合など、もし怪しげな商品をうっかり受け取ってしまった時はどうすれば良いのでしょうか?

答えはシンプル。
受け取った商品を使わなければ良いのです。

特定商取引法という法律では、勝手に送りつけられてきた商品は、送られてきてから14日間のうちに商品を使用したり開封しなかった場合、返還義務がなくなるとさだめられています。

また、業者側に引き取りに来るよう請求することも可能です。請求を行った場合、保管の期限は7日間に短縮されます。

逆に、届いたものを開封したり使用したりしてしまうと、商品の購入意思があるとみなされ、支払い義務が発生してしまうことも。

そのため、不審な商品を受け取った時は、商品を開けたり使用したりせず、最低でも14日間は手をつけないようにしましょう。14日を過ぎれば返還義務はなくなりますから、商品を自由に処分してもかまいません。「返品しない場合は購入したものとします」といった内容が書かれていることもありますが、相手に連絡の糸口を与えるだけです。無視してかまいません。

ただ、海産物などの生物の場合は、中身が傷むこともあります。
生物などの商品を受け取ってしまった場合は、相手に引き取ってもらうよう請求するのもよいでしょう。

④補足:認知症高齢者には成年後見制度の利用を

送り付け商法の被害ケースとしてよく見られるのが高齢者への被害。
中でも、認知症の高齢者への被害が増えています。

こうした認知症高齢者へのトラブル防止として、成年後見制度が設けられています。

こちらは、認知症などにより正確な判断が難しい人のための保護制度。
本人の代わりに、成年後見人となった人が、財産の管理や、施設の入退手続きを行う事が認められています。

また、たとえ本人が手続きを行ったとしても、成年後見人が認めていない場合は後日契約を取り消す事も可能です。

成年後見人制度は家庭裁判所を通じて申請が可能です。
高齢の両親がいて不安な方などは、本人や弁護士、司法書士などと相談のうえ利用を検討してもよいかもしれません。


2.こんな言葉に注意!詐欺業者にありがちな脅し文句とその対策



文章 対策法
①「注文を受けた。キャンセルは不可」 注文していない場合、そもそもが嘘であるため支払いは不要。また電話での販売は書面契約が必要で、これがない場合は違法となります。
②「返品する場合は手数料をいただきます」 売買契約そのものがないため、手数料を支払う必要はありません。
③「分割払いの一部だけでも支払ってください」 一度支払いをしてしまうと売買の意思が認められてしまいますので、決して支払わないようにしましょう。
④「支払いがないと訴訟します」 このような「脅し」は違法です。信じないのはもちろん、場合によっては警察への相談も視野に入れましょう。
⑤「クーリング・オフはできません」 クーリング・オフの妨害行為は違法となります。また、そもそもお金を支払っていない場合はクーリング・オフをする必要もありません。

①「注文を受けた。キャンセルはできない」

  • 概要

    送り付け商法のなかには「確かに注文を受けた。そちらが忘れているだけ」と言う形で支払いを迫るケースがあります。
    中には高齢者相手に凄み、威圧して怯えさせるなどの悪質な事例も。

  • 対策

    こういった脅しや嘘をつく行為は違法となります。

    また、特定商取引法という法律では、電話で勧誘販売の際には、必ず契約書の交付する必要があるとされています。この交付義務に反した場合は、行政処分などや刑事罰に問われる場合もあります。

    契約書が存在しない一方的な商品の送り付けは、承諾しないかぎり支払い義務はもとより存在しません。

    あまりにしつこく脅しがある場合は、警察にも相談しましょう。

②「返品する場合は手数料をいただきます」

  • 概要

    「商品を返品するなら手数料を払う必要がある」と言って、消費者から違約金や返品手数料を支払わせるケースが存在します。

  • 対策

    売買契約が成立していない場合、商品返品の際の手数料を支払う必要はありません。また法律では商品の返送に関しても、業者側が引き取らなければならないことになっています。

    クーリング・オフをする場合でも、返送費は相手側の負担となります。
    そのため、こちらに支払い義務はありません。

    14日間以上経っている場合は、そのまま商品を処分してしまっても大丈夫です。

③「分割払いの一部だけでも支払ってください」

  • 概要

    「全体の一部だけを支払ってもらえれば、他の部分に関してはキャンセルする」
    「三度の契約のうち、二回目まではキャンセルが出来る」
    と言う形で、消費者に一部の支払いを求めるケースがあります。

  • 対策

    一度商品を支払ってしまった場合、支払ったぶんについては売買が成立してしまいます。
    仮に後日クーリング・オフをした場合でも、払ったお金を取り戻すのは困難。

    悪質業者は電話番号や住所を頻繁に変えるため、一度連絡がとれなくなると、業者の特定が難しくなるからです。

    業者側の連絡には対応せず、支払いも行わないようにしましょう。

  • ④「支払いがないと訴訟します」

    • 概要

      商品購入を断ると「弁護士協会」を名乗る所から「法的に訴える」と言う連絡が入るケースが存在します。

    • 対策

      弁護士や付随する団体が、こうした悪質業者の代理人となる事はまずありません。

      おそらくは弁護士を詐称しているケースが多く、それ自体が法律違反。場合によっては刑事事件として問われる事もあります。 少しでもおかしいと感じた時は、警察などに相談しましょう。

      また、こういったケースは高齢者が狙われる可能性が非常に高いです。
      そのため、普段日頃から家族や周囲の方が目を向けてあげるようにする事が大切といえるでしょう。

    ⑤「クーリング・オフはできません」

    • 概要

      「クーリング・オフは受け付けていない、認められない」

      という形で、いざクーリング・オフを申し出たとしても妨害行為をしてくるケースです。

    • 対策

      クーリング・オフの妨害行為は違法となり、こうした事実が認められた場合、クーリング・オフ適用期間が過ぎていたとしてもクーリング・オフが可能になります。

      相手の電話内容などを録音しておき、国民生活センターや弁護士などの専門家に相談しましょう。


    3.しつこい請求に困ったら……トラブル相談窓口3つ



    「請求がしつこい」
    「どう対処したらいいのか分からない」

    そんな時は、自分ひとりで解決しようとせず、専門家に相談する事が大切です。 以下にまとめてあるのは、そうした詐欺にあった時に相談に乗ってくれる施設となります。

    被害にあった時は、抱え込まず、相談するようにしましょう。

    ①消費者ホットライン(国民生活センター)

    概要:消費生活センターなどの相談窓口の存在や連絡先を知らない人の為、橋渡しをしてくれるのが「消費者ホットライン」です。
    どこに相談したらいいか分からない、と言う場合はしかるべき施設を案内してくれます。

    相談受付時間:原則として在住地域の相談窓口が案内されるため、相談できる曜日、時間帯は相談窓口によって異なる。
    相談方法:三桁の電話番号「188」に電話。その後、ガイダンスの指示に従う。

    ②警察相談窓口

    概要:犯罪や事故には至っていないものの、悪質トラブルで悩んでいる際、相談に乗ってくれる警察相談専用窓口。

    相談受付時間:
    平日 午前8:30~午後5:15(各都道府県警察本部で異なる)
    土日・祝日及び時間外は、24時間受付体制の一部の県警を除き、当直または音声案内で対応
    ※通話料は利用者負担
    相談方法:警察相談専用電話「#9110」にかける。

    ③法テラス

    概要:法に関するトラブルを抱えてしまった時の解決方法や相談先を案内してくれる窓口です。
    弁護士・司法書士の紹介や、役立つ法制度の案内、消費者団体などについてサポートしてくれます。

    相談受付時間:平日9時~21時 土曜9時~17時
    相談方法:「0570-078374(PHS可)」へかける。


    4.まとめ

    • 不審な商品が届いたら「受け取らない」「払わない」「使わない」を心がける

    • 被害者の多くは高齢者。周囲や家族のサポートを

    • 判断に困ったら、弁護士や国民生活センターなどの専門家に相談

    おわりに

    詐欺行為は年々その種類が増加し、手口も複雑で見抜く事が難しくなってきます。
    そのため、事前に知識を持っているか持っていなかということが重要となります。

    この記事では「送り付け商法」に関して解説してきました。
    万一、同様の事例に出会った時は、焦らず冷静に判断し、行動しましょう。

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