チケット転売が6月から違法に!売る時・買う時に気を付けたいこと

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投稿日時 2019年03月14日 19時04分
更新日時 2019年09月18日 15時05分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • チケット不正転売禁止法の内容を詳しく知りたい人

  • やむを得ずチケットを譲渡する場合、違法になるのか気になる人

  • 自分が購入する側の場合、気を付けたいポイントを確認したい人

はじめに

昨今、チケットの転売に関する問題がニュースなどで取り上げられています。

国民生活センターは2019年2月、ラグビーワールドカップのチケットを海外サイトで購入したところ、高額請求されたうえに注文を取り消せなくなった……というトラブルが報告されています。

(参考:国民生活センター「ラグビーワールドカップ2019™日本大会のチケット購入トラブルに注意!」)

東京オリンピックに向けたチケットでも同様の事例が懸念されており、これらをうけ2019年6月14日から、チケットの転売を禁止するチケット不正転売禁止法が施行されることになりました。

しかしその場合、もし本当にイベント当日の都合があわないような場合はどうすればよいのでしょうか?

この記事では、チケット不正転売禁止法の詳しい内容や、チケットを売るとき、買うときに注意すべきことについて、詳しく解説していきます。

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1.違法となるのはどんなケース?3つのポイントから制度内容を解説



チケット不正転売禁止法は、正式には「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」といいます。

まずはその具体的な内容について、

①対象となるチケットの種類
②不正転売とみなされる基準
③例外とみなされるケース

の3つのポイントから、くわしく解説していきたいと思います。

①規制対象となるチケットとルール

転売禁止の対象となるチケットは、「興行入場券」と呼ばれるもの。これは、不特定多数の人に見せるイベントの会場へ入るためのチケットを指します。

具体的な例をあげると、たとえばコンサートの入場券やスポーツの座席チケットなどがこれにあたります。

チケット不正転売禁止法では、その中でもさらに下記の条件を満たした「特定興行入場券」と呼ばれるものが規制の対象となります。

・提示することで興行の会場に入場できるチケット(QRコードやICカードを含む)
不特定または多数の人に販売されている
・興行主などがチケットに有料譲渡を禁じる記載をしている
・興行の日時、場所、座席入場資格が指定されている
・チケット販売時に購入者や入場者の氏名と連絡先を入力させ、その内容をチケットに表示している

(参考:文化庁「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律の公布について」)

②不正転売とみなされる基準

では、こうしたチケットをどんな風に扱ってしまうと「不正転売」とみなされてしまうのでしょうか。

ポイントとなるのは、以下の3つの行為です。

  • 興行主の同意を得ないものであること

    イベントを主催している団体の許可を得ずに転売することを指します。


  • 定価よりも高い金額で販売すること

    定価よりも高い金額でチケットを販売した場合、「利益を得ようとした」とみなされ、不正転売に該当する可能性が高くなります。


  • 同じことを繰り返して行う意思があること

    同様に「繰り返して行う意思がある」ことも問題となります。

    たとえば、急な予定変更でどうしても当日参加できなくなった場合に、キャンセル料を支払うよりも、他人に定価でゆずりたいところ。このようにやむを得ない事情であれば、違法とはならない可能性が高いでしょう。

    ただそれを何度も繰り返している場合、転売によってなんらかの利益を転売によって得ているとみなされる可能性が高まります。

    また一回だけの販売であっても、定価以上の価格で転売した場合は、やはり違法とみなされることはあり得るでしょう。

    事実、チケット不正転売禁止法が施行される前の2019年1月時点でも、コンサートチケットを不正に入手して転売した疑いで、30歳の男性が逮捕されています。

③どんな場合であればOK?

チケット不正転売禁止法の内容を踏まえ、法律違反に該当しないチケット転売をご紹介します。

  • やむを得ない事情で興行に行けなくなった

    急用や急病など、やむを得ない事情で興行に行けなくなった場合、定価よりも低額で販売すれば、不正転売には該当しません。ただ、無意味に複数席のチケットを購入しており、複数枚のチケットを転売する場合には、不正転売とみなされる可能性があります。


  • 個人のグループ間でのみ出回るチケット

    不特定または多数の人に向けて販売されるチケットでなければ、チケット不正転売禁止法の規制対象になりません。例えば、小さなライブハウスで数人を対象とした興行を行い、チケットも知り合い限定で販売されるケースが挙げられます。


  • チケットにルールとなる文言の記載がない

    転売を禁止する旨がチケットに記載されていない場合は規制対象外となります。

    しかし、ウェブ抽選のチケットに対してアカウントを大量偽造して応募するなど、不正な手段でチケットを入手しようとした場合などは詐欺などの罪に問われる場合があります。


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2.違法と判断されることを防ぐには?安全にチケットを人に譲る方法



違法な転売ではない!という場合であっても、やはりできるだけ安全に人にチケットを譲りたいもの。

そんなときに気を付けたいポイントについて解説していきます。

①買った本人以外は使えなくなる可能性も

本人確認が強化されており、個人間で他人に譲れないケースがあります。例えば、チケット販売のEMTGでは、顔写真登録が必須となっています。会場へ入場時に登録された顔写真と本人が一致しなければ入場できません。

転売の際にその旨を伝えていない場合、譲渡後にトラブルとなるでしょう。つまり、実質のところ、転売不可となります。このように、チケットの購入先によっては独自の転売対策をしているため、事前に確認しておくことが大切です。

②安全に譲渡したいときは公式サービスを利用しよう

安全かつ両者にとって得のある取引にするために、公式サービスを利用することが大切です。次のようなサービスがあります。

  • チケトレ

    チケトレは、音楽業界団体公認のチケット二次販売サイトです。チケットは、全て定価で出品できるため、やむを得ない事情で興行に行けなかった場合の損失を抑えられます。ただし、手数料がかかるため、興行に行けなくなった損失を完全に防げるわけではありません。また、チケット番号などを伝えて、コンビニで発行してもらうことも可能です。購入者はチケット代を運営事務局に支払い、講演日の4日後に譲渡側に入金される仕組みとなっています。


  • Cloak

    Cloakは、「チケットぴあ」の公式二次販売・譲渡サービスです。Cloakにチケットを保管することで、メールやLINEで他者にチケットを分配できます。金銭のやり取りは一切できないため、チケットを譲渡するだけに使えます。また、チケットを発券するときの所有者の名前がチケットに入るため、会場で本人確認があってもクリアできるでしょう。

③今後は主催者側が相談窓口を用意する可能性も?

チケット不正転売禁止法では、転売の禁止だけでなく、イベント主催者側にも、正確で適切な情報の提供や、購入者やその他の人からの相談受付などを求めています。

そのため上記サービス以外にも、主催者側が相談窓口が設置する可能性があります。

主催者側であれば、EMTGのような事前の顔写真登録が必要なケースであっても、対処をしてもらえる可能性はあります。もしもの時は窓口がないかチェックしてみましょう。

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3.チケットを購入したいときの注意点は?



逆に、誰かのチケットを買いたい! というときには、何に気を付ければよいのでしょうか。解説していきます。

①Twitter投稿などでの呼びかけは簡単には信用しない

よく見られがちな「〇〇チケット譲ります」という呼びかけ。しかし、こうした言葉に乗ってはいけません。こうした取引は、そもそもお金をだましとるのが目的である場合があるからです。

お金を振り込んだにも関わらず、肝心のチケットが送られてこない――こうした手口はチケット詐欺と呼ばれ、多くの被害者が出ています。

どんなに魅力的に思えても、SNSでの取引には手を出さないほうが安全。なかには信頼させるために身分証を見せてくる場合もありますが、それも偽造の可能性があります

絶対に被害にあわないようにする方法がないため、基本的にSNSでのチケット購入は避けるようにしましょう。

チケット詐欺についてはこちらの記事でも解説しています。



②どうしてもチケットが欲しいときは公式リセールで購入

どうしても、自分が抽選漏れしたチケットが欲しい場合は、先ほど紹介した公式のリセールサイトでの購入を検討しましょう

チケット不正転売禁止法では、公式サービス以外のリセールサイトも規制されます。さらに入場時の本人確認も厳しくなっており、公式サイト以外で購入したチケットは使えなくなっていくでしょう。

今後規制が進む中でなお残る非公式のリセールサイトは、詐欺を狙ったものであるおそれが大。サイトのトップページに「公認」などと書いてあっても信用せず、まずはイベントの開催ページからチケットリセールに関する説明がないかどうか確認するようにしてください。

③もしも詐欺被害にあってしまったら……

もし、チケット詐欺被害にあってしまったら、弁護士に相談しましょう。法的なアドバイスを得られ、訴訟の際には代理人として出廷してもらえます。

しかし、その際にかかる弁護士費用との兼ね合いで、泣き寝入りせざるをえない人がほとんどかもしれません。

ただ、チケット詐欺は常習性が高いため、自分以外にも、同じ相手に騙された被害者がいる可能性があります。

そうした被害者仲間と一緒に行動を起こすことで、ひとりあたりの弁護士費用が安くなり、訴訟を起こせるかもしれません。

一緒に行動を起こす仲間の集め方などは、以下の記事を参考にしてください。


4.まとめ

  • チケットを「定価以上で」「繰り返し」販売するとチケット不正転売禁止法違反となる。

  • チケット不正転売禁止法の施行を前に、チケットの本人確認が厳しくなっている。非公式の転売でチケットを手に入れても入場できない……というケースも

  • やむを得ずチケットを売買したい場合は、公式のリセールサービスを利用しよう。

おわりに

チケット不正転売禁止法が施行されれば、チケットを売りたい人も買いたい人もその方法が大きく制限されます。

規制対象となるチケットの条件を満たしているか確認したうえで、法律違反にならないように譲渡しましょう。

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