集団訴訟の費用は?相場やメリットを解説。0円で参加できるケースも

2018年07月02日 16:58:39基礎知識

この記事は主に以下の人に向けています。

  • 企業・団体とのトラブルで泣き寝入りをしている人

  • これから訴訟を起こそうと考えているが、弁護士費用を払えるか不安を感じている人

  • 友人、家族など、身の回りで複数の知り合いが同じ被害を受けている人

はじめに

突然ですが、あなたはいままでに何らかのトラブルに巻き込まれた経験はありませんか?

  • 投資の話を持ち掛けられ、お金をだまし取られた

  • 利用したサービスで大きな損害を受けた

  • 情報漏えいにより、登録していた自分の個人情報が流出してしまった

  • 働いていた会社から給与が支払われなかった


などなど……。

受けた被害を取り戻そうと訴訟を考えたとき、負担になるのは高額な弁護士費用です。

被害額より弁護士費用のほうが高くなってしまう、費用を負担できるだけの余裕がない、そもそも弁護士が依頼を受けてくれない、といった理由で、仕方なく泣き寝入りを選ぶ人も多いのではないでしょうか。

しかし、たとえば同じ相手から同じ手口で被害を受けた人が複数いる場合、被害者どうしで協力しあって訴訟を起こす、集団訴訟という方法をとることができます。

そして集団訴訟の大きな特徴のひとつが、「訴訟費用を参加者全員で分担できる」というもの。ひとりで訴訟を起こすよりも、訴訟費用が低くなるケースが多いのです。

この記事では、

  • 集団訴訟の相場はどのくらいなのか?

  • 集団訴訟の費用は、どのように分担されるのか? どのタイミングで支払うのか?

  • 集団訴訟の場合、お金はいつ、どのくらい戻ってくるのか?

  • 費用以外の集団訴訟のメリット・デメリットは?

  • 集団訴訟を起こすにはどうすればいいのか?

といった話題について、過去の事例も紹介しながら解説をしていきたいと思います。

<目次>

1.「費用はタダ」というケースも!集団訴訟の実例と相場観



実際に起きた集団訴訟には、どんなものがあるのでしょうか?
また、その訴訟に参加する費用はどのくらいだったのでしょうか?
過去に起きた事例をもとに、いくつか紹介したいと思います。

①コインチェック仮想通貨不正流出事件(2018年)

ビットコインなどの仮想通貨の取引所を運営していたコインチェック株式会社が、利用者から預っていた仮想通貨「NEM(ネム)」およそ580億円分を外部の人間に盗まれた事件です。複数の被害者団体が結成され、2018年2月末ごろまでに計144人が提訴に踏み切りました。

支援している主な団体と、集団訴訟への参加費用(着手金)は次の通りとなっています。

②東芝不正会計事件(2015年)
大手電機メーカーの東芝が、2009年からの7年間で累計2248億円にもおよぶ利益の水増しをしていたことが明らかとなった事件です。これにより被害を受けた株主を中心に集団訴訟が起こされています。

東芝事件株主弁護団によると、訴訟の参加費用は4万円+1株あたり5円(税別)となっています。(※2018年6月現在は募集締め切り)

③ベネッセ個人情報漏えい事件(2014年)

株式会社ベネッセコーポレーションの保管していた大量の顧客情報が外部に流出した事件です。10000人以上の被害者が集まって集団訴訟を起こし、2018年6月現在も法廷での審理が続いています。

被害者の会によると、訴訟の参加費用は無料となっています。
(※2018年6月現在は募集締め切り)

集団訴訟の規模や性質、被害額によって参加費用は変わりますが、今回紹介した事例では、0~10万円の範囲となっています。

なぜ訴訟費用が無料になるケースがあるのでしょうか?
こうした集団訴訟の費用はどのように計算されるのでしょう?

次の章で解説していきます。

2.なぜ安くなる? 集団訴訟費用が抑えられる理由



個人で訴訟を起こす場合、被害の状況や金額にもよりますが、最低でもおよそ20万円から30万円の費用がかかります。

一方で、集団訴訟の場合はこれまで紹介した通り、10万円以下、場合によっては無料で参加可能なこともあります。

このような金額の違いがでる理由は、大きく分けて3つあります。

①訴訟にかかる費用を、参加者全員で分割できるため。

②請求金額の大きくなる集団訴訟の場合、弁護士の報酬金も高くなるため。

③弁護士が費用を自己負担で運営している場合があるため。

それぞれの項目について、詳しく説明していきます。

①訴訟にかかる費用を参加者全員で分担できるため。

弁護士に依頼して訴訟を起こすためには、依頼するタイミングで着手金と呼ばれるお金を事前に支払わなければなりません。集団訴訟への参加費用も、正確にはこの着手金にあたります。この費用を払わなければ、弁護士に訴訟を依頼することができません。

加えて、弁護士への相談費用、内容証明と呼ばれる相手側への通告書類の作成費用、実際に裁判所に提出する訴状を作るための費用、交通費や印紙代、通信費などの実費も、費用として必要になってきます。(弁護士によっては、これらの金額を着手金に含めたり、事件終了後に請求する場合もあります)

しかし、集団で訴訟を起こした場合、これらの費用を参加者全員で分担することができることになります。そのため、ひとりあたりの負担を軽く抑えることができるのです。

同じ被害を受けた場合、個人で訴訟をした場合と、集団で訴訟をした場合、実際にどれだけ費用に違いがでるのでしょうか? おおまかに試算してみましょう。

<モデルケース>

Aさんはとある通販サイトで10万円の商品を購入し、指定された口座に代金を振り込んだが、商品が届かなかった。問い合わせや返金依頼にも返答がなく、電話も通じない。ネットで調べたところ、同様の被害にあっている人たちが多数見つかったため、詐欺の被害にあったとして訴訟を考えている。

※費用の試算は「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」を参考としています。下記は概算であり、実際の費用については各弁護士事務所の定める基準によって異なります。

個人の場合 同様の被害者100人の場合
事前の法律相談(1時間) 10,000 10,000,000
内容証明の作成
(弁護士名の表示あり)
30,000 3,000,000
着手金 (註1)150,000 (註2)590,000
印刷代 1,000 50,000
その他実費 10,000 50,000
合計 201,000 1,720,000
一人あたりの負担額 201,000 46,900

(単位/円 税別)


(註1)基準では訴訟で得られる利益の8%とされていますが、一般的に最低着手金を10万~20万円で設定している事務所が大半です。
(註2)被害額を100,000円×100人として計算。

もちろん、これらの計算はあくまで概算にすぎません。
実際には、かかる費用を人数で均等に分けるのではなく、被害額によって負担額を変えるケースなどもあります。しかし多くの場合、集団で訴訟を起こすことにより、ひとりあたりの費用負担は軽減されます。

②請求金額の大きくなる集団訴訟の場合、弁護士の報酬金も高くなるため。

報酬金 とは、訴訟が終わり、損害賠償が支払われた場合、主として「賠償額の〇〇%」 という形で弁護士に渡す成功報酬のことです。

被害者を集めて起こす集団訴訟の場合、請求する賠償額が大きいため、弁護士へ支払う報酬金も大きくなるため、着手金を低く抑えるケースもあるのです。

③弁護士が費用を自己負担で運営している場合があるため。

情報漏えいや健康被害など、被害者が非常に多い事件の場合、同じような被害を受けているのに、お金のない人だけが訴訟に参加できないのは不平等と言えます。そうした観点から、弁護士団が参加費用を自費で負担することもあります。その場合は参加者が着手金を支払う必要はありません。

ちなみに、集団訴訟費用の立て替えや分割払いはできないのでしょうか?

たとえば、国が訴訟費用のない人を対象に設置している施設である法テラス(日本司法支援センター)では、弁護士費用を法テラスに立て替えてもらい、分割で支払いができる、「代理援助」という制度が設けられています。

しかし、代理援助を利用する場合、原則として法テラスから受託されている弁護士と契約することが条件となるため、すでに弁護団がいる集団訴訟では、この制度を利用することは難しいようです。

まずは参加する予定の弁護団に相談してみましょう。

3.いくら取り戻せる?集団訴訟で戻ってくる金額とそのタイミング



前章では、集団訴訟の場合、個人で訴訟するよりも費用が安くなることを説明しました。しかし、こうした集団訴訟に参加した場合、お金はどのくらい戻ってくるのでしょうか?

弁護士の費用には着手金報酬金のふたつがあります。このうちの報酬金は、賠償額の〇〇%という形で支払われます。

つまり、仮に請求額すべてが戻ってきたとしても、実際に手元に残るのは報酬金を差し引いた額ということになります。

先ほどと同じモデルケースを使って、実際に戻ってくる金額を試算してみましょう。

<モデルケース>

Aさんはとある通販サイトで10万円の商品を購入し、指定された口座に代金を振り込んだが、商品が届かなかった。問い合わせや返金依頼にも返答がなく、電話も通じない。ネットで調べたところ、同様の被害にあっている人たちが多数見つかったため、詐欺の被害にあったとして訴訟を考えている。

※費用の試算は「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」を参考としています。下記は概算であり、実際の費用については各弁護士事務所の定める基準によって異なります。
個人の場合 同様の被害者100人の場合
相手への請求額 100,000 10,000,000
判定で決まった賠償額 50,000 5,000,000
報酬額 8,000 680,000
返還額 42,000 4,320,000
一人あたりの返還額 42,000 43,200

(単位/円 税別)

ただ、手元に戻ってくるお金については、いくつか注意が必要です。

まず、請求した金額がすべて戻ってくるケースはまれです。戻ってくるのは請求額の一部であることが多く、さらに相手に支払い能力がない場合などは、賠償命令が出てもお金が戻ってこないこともあります。すでに弁護士に支払った着手金は返金されないため、結局のところ赤字となってしまうのです。

もうひとつ注意しなければならないのが、お金の戻ってくるタイミングです。多くの参加者がいる集団訴訟は、個人の訴訟とくらべて訴訟期間が長くなる傾向にあります。判決が出るまで数年かかることも珍しくないため、粘り強く待つことが必要です。また被害者の会などの運営にも関わる必要が出てくるかもしれません。

いっぽうで、集団訴訟には費用が安くなる以外のメリットもあります。
多くの人が集まるため証拠が集まりやすい、規模が大きくなることで、個人よりも相手側にプレッシャーを与えられる、といった点などです。

4.実際に集団訴訟を起こすには?



これらのメリット・デメリットを踏まえ、実際に集団訴訟を起こすにはどうすればよいでしょうか?

①弁護士事務所に相談する

まずは弁護士事務所に事情を相談し、集団訴訟が可能かどうかを相談してみるとよいでしょう。相談料金はかかりますが、専門的な知識を持つ弁護士からのアドバイスがもらえるため、確実な方法と言えます。

相談するにあたっては、過去に同様の集団訴訟を取り扱ったことのある事務所に相談するほうがいいでしょう。詐欺などの消費者被害については、法テラスなどに相談してみるのもいいかもしれません。

②SNSや個人ページなどで賛同者を募る

個人でのウェブサイトを開設したり、TwitterやFacebookなどのSNSなどを通じて、同様の被害を受けた人を集めるというのもひとつの方法です。全国的に被害の大きい事件に巻き込まれていた場合や、注目度の高い事件の場合、比較的賛同者が集まりやすい傾向にあります。

③集団訴訟プラットフォームenjinを利用する

enjinは集団訴訟を取り扱うプラットフォームです。このサイトに登録することで集団訴訟のプロジェクトを立ち上げることができ、被害者を集めることができます。被害者が一定数を超えると弁護士からの立候補があり、集団訴訟を起こすことができます。

もっと詳しい集団訴訟の起こし方については、下記の記事を参考にしてみてください。


5.まとめ


  • 過去の事例からみた集団訴訟の相場はおよそ2‐10万円。無料の場合も

  • 個人訴訟の費用はおよそ20‐30万円。集団訴訟にかかる費用は、個人で訴訟を起こすよりも低いことが大半。

  • ただし、個人での訴訟の場合より、お金が戻ってくるタイミングは遅い。しかし、証拠が集まりやすい、相手にプレッシャーを与えられる、などのメリットもある。

  • 集団訴訟を起こす方法としては、弁護士事務所に相談する、SNSなどで仲間を募る、集団訴訟プラットフォームenjinを利用する、などの手段がある。

おわりに

この記事では集団訴訟の費用感や方法などを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
少額とはいえ、あなたがうけた被害は取り戻すべきものであることに違いはありません。
弁護士費用が高いと泣き寝入りをする前に、検討してみてはいかがでしょうか。

この記事が、詐欺などの被害で悩んでいる方にとって少しでも手助けとなれば幸いです!
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