弁護士費用を安く抑えるには?訴訟を検討したとき利用したい制度10選

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投稿日時 2019年04月26日 18時54分
更新日時 2019年09月18日 11時54分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 訴訟を考えているが、なるべく安く済ませたいと思っている人

  • 訴訟以外に安く済ませる方法を知りたい人

  • カテゴリー別に弁護士費用を知りたい人

はじめに

トラブルにあって法的解決を求めたいとき、費用がネックになって被害を回復できず、泣き寝入りするしかないケースが発生します。

「弁護士費用をできるだけ安くしたい」、「経済的な理由で弁護士に依頼できない」といった方は、弁護士費用を抑える方法について確認しておきましょう。

例えば、法テラスの制度の利用条件を満たすことで、弁護士への支払いを後払いにして一時的な負担を抑えたりできます。また、訴訟以外の方法を選んで紛争を解決する手段もあります。

今回は、弁護士費用を安く抑えられる制度と、訴訟以外の解決策について詳しく解説します。

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1.収入により立て替え制度を利用できる法テラス、利用のポイント4つ



経済的な理由で安い依頼方法を考えている方は、まず法テラスに相談しましょう。

法テラスは、費用立替制度無料法律相談があり、犯罪被害者支援や司法過疎対策などさまざまな業務を行う法的トラブル解決の総合案内所です。

法テラスの利用方法や利用条件について、詳しくみていきましょう。

①これだけは押さえておきたい、訴訟のためのポイント5つ

訴訟を検討する際には、さまざまな情報を集めなければなりません。まず準備しておきたいポイントを5つご紹介します。

  • 相手方がどこの誰だかわかっていること

    どこの誰を相手に訴訟を起こすのかを明確にしましょう。

    ただ、ネット詐欺などでは、相手方の名前や住所、会社名などがわからないケースがあります。できるだけ多くの情報を集めてから相談しましょう。


  • 自分でそろえられる証拠があること

    実際に、被害を受けたことを示す証拠を用意しましょう。

    詐欺の場合は、支払い明細や商品、メールや電話などのやり取りの記録などを揃えてください。ネット詐欺の場合、該当の商品ページが消される可能性があるため、URLとスクリーンショットを取得しましょう。


  • なるべく早い段階の相談をすること

    犯罪には時効が存在します。時効を過ぎると、起訴や損害賠償請求ができなくなるほか、時間が経つほど証拠を集めにくくなってきたり、トラブルが拡大してしまう恐れがあります。

    トラブルが起きたら、できるだけ早い段階で相談しましょう。


  • 勝てる見込みがあること

    法テラスは、 「和解・調停・示談成立等による紛争解決の見込みがあること、自己破産の免責見込みがあること」を民事法律扶助の適用条件にしています。

    訴訟を起こしても勝てる見込みがない場合は、法テラス以外の解決方法を探した方がいいでしょう。

    勝訴した場合、弁護士費用の全額または一部を相手側の負担とできる可能性がありますが、敗訴した場合は全額自分持ちとなります。


  • 私怨の報復や宣伝などではないこと

    このほか、法テラスでは「私怨の報復や売名行為、権利の乱用を目的」として訴訟を起こすことができないと決められています。敗訴になっても、結果的に売名できたことで利益を得られるケースがあります。このような理由での訴訟は、一般的に認められていません。

②法テラスの利用方法

法テラスを利用する場合、まずは法律相談から始めます。利用手順は次のとおりです。

  • 無料法律相談

    まずは、相談の内容を伝え、無料法律相談の対象になり得るか確認されます。その後、収入や家族構成、家賃または住宅ローン、保有資産を伝えます。

    無料法律相談の対象となるか、資産条件を満たしていることが確認できれば、相談の予約ができます。


  • 審査

    法律相談後、弁護士に依頼することになった場合は、法律相談前に伝えた経済状況をさらに詳しく審査されます。


  • 援助開始決定

    審査に通過して援助開始が決定した場合は、弁護士の依頼にかかる着手金や実費などの費用を立て替えてもらえます。


  • 事件終了

    事件の結果を踏まえ、審査したうえで弁護士への報酬金額が決定します。

    上記のように、無料法律相談や費用の一時立て替え制度の利用には審査が必要です。資産の条件については、次の項目で解説します。

③法テラスの利用条件

無料法律相談や費用の一時立て替えは、民事法律扶助制度によるものです。

民事法律扶助の制度を利用するためには、月収と保有資産が一定以下でなければなりません。また、他にも条件あるので、詳しくみていきましょう。

  • 月収の基準額

    夫婦間での紛争でない場合は、配偶者の収入も含めます。月収の基準を表にまとめました。

    単身者 18万2000円以下
    (20万200円以下)
    2人家族 25万1000円以下
    (27万6,100円以下)
    3人家族 27万2000円以下
    (29万9,200円以下)
    4人家族 29万9000円以下
    (32万8,900円以下)
    ※()内の金額は、大都市の場合です。
    参照:法テラス『民事法律扶助制度』

    5人家族以上では、1人増えるごとに基準額が3万円(3万3000円)上がります。また、医療費や教育費などの出費がある場合には、基準額が変わることがあります。

    住宅ローンや家賃の負担がある場合は、次の金額を上限として加算されます。

    単身者 4万1000円
    2人家族 5万3000円
    3人家族 6万6000円
    4人家族以上 7万1000円
    参照:法テラス『民事法律扶助制度』


  • 保有資産の基準額

    現金や預貯金の他、訴訟において争う対象となる物件と自宅を除く不動産、有価証券などの金額や価値を合算し、次の基準額以下である必要があります。

    単身者 180万円以下
    2人家族 250万円以下
    3人家族 270万円以下
    4人家族以上 300万円以下
    参照:法テラス『民事法律扶助制度』

    こちらも、医療費や教育費などの出費がある場合は、基準額が上がります。

④費用の返済について

民事法律扶助の制度では、費用を一時的に立て替えるだけであり、費用が無料になるわけではありません。

立て替えられた費用は、事件解決後に返済する義務があります。また、返済が滞った場合は、住宅ローンなどと同じく督促や法的措置があるため注意が必要です。

毎月、少しずつ返済していくことになりますが、生活状況などの理由で返済が難しい場合には、法テラスに相談しましょう。毎月の返済額の減額や返済の猶予、免除などを受けられる可能性があります。

法テラスについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。



2.訴訟だけじゃない!弁護士費用をかけずにできる紛争解決手段8つ



トラブル解決の手段は、訴訟だけではありません。弁護士費用をかけたくない場合は、弁護士を使わない方法を検討しましょう。

詐欺や消費者被害、労働問題などトラブル別に解決手段をご紹介します。

①詐欺や消費者被害の場合

詐欺にあった場合や商品、サービスの購入や利用に関する被害の場合は、次の機関や窓口に相談しましょう。

  • 国民生活センターADR

    国民生活センターの業務の一つに、ADR(裁判外紛争解決手続)があります。

    裁判所を通すことをなく、消費者と事業者の間で起こる紛争のうち、解決することが全国的に重要と判断された事案の和解の仲介や仲裁をします。

    法律や商品などの取引に関する専門知識を持つ人物で構成された国民生活センター紛争委員会に相談できるため、紛争解決が期待できます。

    電話番号:03-5475-1979
    受付時間:月曜~金曜日10:00~12:00、13:00~16:00
    休業日:土日祝、年末年始


  • 金融機関

    振り込め詐欺の被害にあった場合は、金融機関に連絡しましょう。

    振り込め詐欺救済法の適用により、犯罪に利用された口座に入っている金額を被害者の数と被害額に応じて分けて返金される可能性があります。

    振込先の金融機関に連絡後、申請書と本人確認書類、振り込み明細書などの証拠を持参しましょう。詳しい手続きの方法は金融機関に問い合わせてください。

    振り込め詐欺救済法については、こちらの記事で詳しく解説しています。


  • 警察

    振り込め詐欺にあったときは、まず金融機関に連絡が必要です。その後、警察に通報しましょう。

    連絡先には、「110」「#9110」があります。

    緊急の場合は「110」、犯罪かどうかわからないが不安な場合など「相談」は「#9110」に電話をかけましょう。「110」は緊急性が高い事件や事故の通報先となるため、緊急性が低いときの利用は控えましょう。

    電話番号:#9110
    受付時間:月曜~金曜日8:30~17:15
    休業日:土日祝(一部の県警を除き、当直対応または音声案内)

    振り込め詐欺救済法を利用するには、被害届を出す必要がある場合があります。

    被害届の出し方は下記の記事を参照下さい。


  • 少額訴訟手続き

    60万円以下の損害賠償請求の場合に限り、少額訴訟手続きを利用できます。

    1回の審理で判決が下るため、短期での解決に繋がるほか、途中で和解を選ぶことも可能です。

    少額訴訟の理由や根拠となる証拠などを伝え、裁判所が双方の言い分を踏まえて争点を整理します。1回の審理で終わることができなかった際には、裁判所に異議を申し立てることで通常の訴訟手続きへと移行できます。

    また、審理に被告が出頭しておらず、原告の主張と争う内容の書面が提出されていない場合は、原告の言い分通りの判決となります。そのため、住所や名前などがわかっているが、連絡がつかないようなケースに有効です。

    こちらの記事も参照してみてください。

②労働問題

賃金未払いやセクハラ、パワハラなどの労働問題には、次のような解決策があります。


  • 紛争調整委員会によるあっせん

    紛争調整委員会は、労働問題の専門家で構成されます。トラブル解決を目的に、当事者間に労働問題の専門家が入り、双方の言い分を確認し、円滑な紛争解決を促します。

    都道府県労働局雇用環境・均等部(室)最寄りの総合労働相談コーナーに申請しましょう。あっせんでは解決しなかった場合は、法テラスなど専門機関が紹介されます。


  • 労働審判

    労働問題の速やかな解決を目的とした手続きです。

    まずは、労働審判員が3回以内の期日において審理し、解決を促します。

    それでも解決しない場合は、労働審判によってトラブルの解決案が提示されます。双方に異議がなければ解決となりますが、異議申し立てがあった場合は訴訟手続きに移行します。労働審判手続きは、最寄りの地方裁判所に申し立てましょう。


  • 民事調停手続き

    民事調停手続きは、裁判官または調停官1人に加え、国民から選出された2人以上の調停委員で構成される調停委員会が、トラブル解決に向けてあっせんする手続きです。

    主張が記載された書面や証拠の提示が必須ではないケースもあるため、弁護士などに相談せず1人で手続きできます。

    話し合いで解決できなかった場合は、裁判所が解決案を提示することがあります。民事調停手続きは、簡易裁判所に申し立ててください。

③交通事故

任意保険に加入し、弁護士特約をつけましょう。弁護士特約がついていることに気づかなかったり、そもそも特約の存在を知らなかったりするケースもあるため注意が必要です。

特約を利用すれば、弁護士費用が発生しないため、費用をかけずにトラブル解決できる可能性があります。限度額が定められていますが、300万円と高額に設定されているケースが多いため、一切の費用負担なく依頼できることがほとんどです。


3.意外な盲点?集団訴訟で訴訟費用が抑えられる理由3つ



弁護士費用が安くなる依頼方法に集団訴訟があります。集団訴訟と通常の訴訟の違いや費用について、詳しくみていきましょう。

①集団訴訟ってどういうものなの?

集団訴訟は、2人以上が集団で起こす訴訟のことです。
「集団」と言えば、大人数を思い浮かべる方もいますが、実は2人からでも「集団」です。

同じ相手から同じ被害を受けている人同士で証拠を共有したり、精神的な負担を減らしたりできます。

また、弁護士費用を分担できたり、複数回の訴訟の対応を避けられることで裁判所の負担を減らしたりもできるのです。

ただし人数が多くなると、トラブル解決まで時間がかかることもあるというデメリットはあります。また、被害額の差や勝訴のメリットが個々で異なるために、足並みがそろわなくなる可能性もあるでしょう。

集団訴訟については、こちらもご覧ください。

②集団訴訟で費用が抑えられるワケは?

集団訴訟では、訴訟に関わる費用を分担できるため、個々の費用負担を抑えられます。着手金や成功報酬、実費などさまざまな費用を分担できることで、弁護士に依頼しやすくなります。調査が長引きやすく、費用負担が膨らみがちな詐欺事件の紛争解決に向いている方法です。

集団訴訟の費用については、こちらもご覧ください。

③どういう訴訟が集団化に向いている?

集団訴訟に向いているのは、次の条件を満たしているケースです。

・同じ相手に同様の被害を受けている
・被害を受けた時期が大きくずれていない
・被害者の数が2人以上である

ここで問題となるのが同じ相手に同様の被害を受けている人物を探す方法です。

集団訴訟のやり方って?いますぐできる4つの方法を紹介」の記事を参考にしてください。

4.まとめ

  • 収入や保有資産の基準を満たしている場合は法テラスの民事法律扶助の制度を利用すできる

  • 被害の種類によっては、金融機関や警察、国民生活センターなどに相談することで解決を図れる

  • 集団訴訟を利用することで、弁護士費用の負担を大きく抑えることができる

おわりに

弁護士費用が安い依頼方法としては、集団訴訟が挙げられます。収入や保有資産の基準を満たしている場合は、法テラスに相談するといいでしょう。その他、トラブルの種類によっては、国民生活センターへの相談や労働審判手続きなど、さまざまな解決策があります。


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