集団訴訟ってなに?普通の訴訟との違いは?4つの特徴と事例を紹介

2018年07月26日 11:33:59基礎知識

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • テレビや新聞で集団訴訟という言葉を聞いたことがある人

  • 集団訴訟の特徴などについて調べている人

  • 自分や周りの人が大規模な事件の被害者になっている人

はじめに

集団訴訟という言葉を聞いたことはありますか?

みんなのクレジットの集団訴訟や、仮想通貨での集団訴訟など、ニュースなどでもたびたび話題になりますが、実際にどんなものなのか、通常の訴訟と何が違うのかを知っている方は少ないと思います。

そこでこの記事では、集団訴訟とはなにか?というテーマで

  • 普通の訴訟との違い
  • 過去にどんな集団訴訟があったのかの事例
  • 集団訴訟を実際にやるための方法

といったことについて解説していきたいと思います。


1.なぜ集団訴訟をするの?複数人で集まることの意義



「集団訴訟」とは、ふたり以上の被害者が協力して、一緒に訴訟を起こすことをいいます。

もちろん、集まれば誰でもいいというわけではなく、同じ相手から、同じ被害を受けた人で集まるのが条件となっています。

しかしなぜ、多くの被害者が集まって訴訟を起こす必要があるのでしょうか?
その理由としては、大きく4つがあげられます。

①ひとりあたりの費用負担を減らすため

訴訟をする際にハードルとなるのが弁護士費用。請求する金額によっては、弁護士費用だけで赤字になってしまうこともあります。

しかし、多くの被害者が集まることによって、支払う弁護士費用を全員で分担し、結果としてひとりあたりの負担額をへらすことができるのです。

そのため、やむを得ず訴訟をあきらめざるを得ないケースでも、集団訴訟であれば訴訟に参加できる可能性があるのです

②証拠を共有できるという利点があるため

通常の訴訟では、訴訟の証拠となるのは訴えた本人、あるいは訴えた相手が提出した資料だけです。しかし集団訴訟の場合は、他の参加者の集めた証拠も自分のものとして使ってよいとする原則があります。これを証拠共通の原則といいます。

たとえば、あなたが高額商品の押し売りにあった場合を考えてみましょう。

仮に、あなたが押し売りの証拠として商品の購入契約書しか持っていなかったとします。
ひとりで訴訟をする場合は、この契約書のみを根拠に訴訟をすすめるしかありません。

しかし、あなたがもし集団訴訟に参加していて、ほかの被害者も録音データを持っていた場合、たとえあなた自身が録音をしていなかったとしても、その音声データを根拠に「自分も同じ状況だった」と示すことができるのです。

このような原則があるため、集団訴訟を起こすことによって訴訟を有利に進められる可能性があります。

③集団で訴訟をすることに社会的な意義があるため

複数の人が集まって訴訟を起こすことで、個別で訴訟を起こすよりも被害の深刻さをより強く訴えることができ、マスメディアにも社会問題として取り上げられやすくなります

世論を動かすことによって、再発防止策の策定や法整備などの動きにもつなげていくことができるようになるのです。

特に薬害問題や医療ミスといった医療問題では、集団訴訟によって根本的な原因の究明や再発防止、さらに医療制度の改善へとつなげていくという場合が多くあります。

④裁判所の負担を減らすため

同じ事件で何人も被害者が生まれ、その被害者ひとりひとりが個別に訴訟を起こした場合、裁判所は似た内容の訴訟を何度も扱わなければなりません。被害にあった人が多く、深刻な事件であるほど、訴訟の数は増えることになります。

同じ被害をひとつにまとめる集団訴訟は、裁判所の負担を減らす目的もあるのです。

これまでに集団訴訟を行う理由について、大まかに4点を紹介してきました。
しかし一方で、集団訴訟には被害者にとってデメリットとなりうる側面もいくつかあります。

そのうちでもっとも大きなものは、解決するまで時間がかかるということでしょう。

これまでお話してきた通り、集団訴訟は社会的にも注目されやすいものです。訴えられた側からすると、会社のイメージを守るために徹底的に戦う姿勢を見せることもあります。

また、集団訴訟となると被害者側の弁護士も大量の証拠を扱わなければいけません。さらに被害者どうしの意見調整に多くの時間を割く必要性もでてきます。

こうした理由から、集団訴訟の期間は長くなる傾向にあります。内容にもよりますが、通常の訴訟では数ヶ月~1年ほどで終わるところを、3年から5年以上となる場合がほとんどです。

ひとつ例をあげてみましょう。

2011年4月の福島第一原発事故によって、自分の家に住むことができずに千葉県に避難した43名が、国と東京電力に損害賠償を求めて2013年3月に集団訴訟を起こしました。

4年半後の2017年9月に判決が出ましたが、国の責任を認めなかったことを不服として原告団が控訴。2018年7月現在も訴訟が続いています。

そのほかにも、裁判が長引くほど費用も増加するといった問題もあります。詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。




2.アレルギー問題、情報漏えい……実際に起きた集団訴訟の事例3つ



それでは、集団訴訟の実際の事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
過去に起きたもので大きな問題となったものをいくつかご紹介していきます。

①茶のしずく事件

茶のしずく事件は2005年~2010年にかけて販売された商品による事件で、2018年7月現在でもなお、数多くの集団訴訟が続いている事件です。事件当時はマスメディアでも頻繁に取り上げられたので、記憶に残っている人もいるかもしれません。

この事件は、洗顔石けん「茶のしずく石鹸」に含まれている小麦由来の成分が原因となり、湿疹やかぶれが起き、さらには、もともとアレルギーを持っていない人が小麦アレルギーを発症したというものです。

通常の小麦アレルギーでは、小麦を食べて激しい運動をすると症状が出ますが、この商品が原因で発症した人は、買い物など軽度の運動でも発症した例が報告されています。

また、「茶のしずく石鹸」で小麦アレルギーの発症例では、うどんやパンなどを食べた後に呼吸困難や意識不明になり、救急搬送されたり入院したりするケースもありました。

こうした被害者が集まり、2012年4月に全国28か所の裁判所で集団訴訟を起こしました。訴えた相手は販売元の悠香(福岡県大野城市)、商品を製造したフェニックス(奈良県御所市)、アレルギー発症の原因となった成分「グルパール19S」を製造した片山化学工業研究所(大阪府東淀川区)などです。

このうち神奈川県のケースでは、2012年4月から2013年11月までの間に、合計61名の被害者が提訴し、5年以上かけて被害者全員が和解しました。

また、日本各地で集団訴訟を起こした被害者の大半が和解に応じましたが、2018年7月現在、福岡、大阪などでまだ訴訟が続いています。

②薬害肝炎訴訟事件

薬害肝炎訴訟事件は、1964年と1972年に発売された薬剤による薬害事件で、訴訟の結果、2008年には被害者救済のために国が法律を成立させるに至った訴訟です。

問題となったのは、手術や出産の際に使われていた止血剤でした。この薬剤の中にC型肝炎ウイルスが混入していたため、多くの人がC型肝炎に感染しましてしまったのです。

2002年を皮切りに全国5か所で集団訴訟が起き、2008年1月15日に、原告団・弁護団と、国との間で基本合意書をかわしました。

この合意書には、国が責任を認めて謝罪すること、再発防止に努めること、肝炎治療の法制度を整えるなどの恒久的な対策に取り組むことなどが明記されました。

③ベネッセ個人情報漏えい事件

ベネッセ個人情報漏えい事件は、2014年6月の会員からの問い合わせにより、個人情報が流出していたことが判明した事件です。事実を確認し謝罪したベネッセ側の対応は、お詫びの品として500円の図書カードや電子マネーを被害者に渡しただけでした。

その結果、正式な被害の回復を求めて、2015年に1万人以上の被害者が集団訴訟を起こしました。

この事件では、ベネッセ個人情報漏洩事件被害者の会において、弁護士の着手金(弁護をするために事前にもらうお金)はとらないという方針が示されています。あくまで、被害の回復や再発防止の訴えかけなどを目的としているのです。

さらに、勝訴した場合のみ、費用や弁護士報酬を払うことになっており、負けたときは何も求めないとしています。

2018年6月には、被害者185人がベネッセなどに約1470万円の損害賠償を求めた訴訟の判決がありましたが、訴えは認められず、被害者側は控訴する方針です。そのほかにも、各地で同様の訴訟が続けられています。


3.集団訴訟をやるとしたらどうすればいいの?



それでは、もしもあなたが集団訴訟を起こすのであれば、どのような方法をとることができるのでしょうか。

大きく分けて3つの方法が考えられます。

①被害対策弁護団に相談する

被害対策弁護団とは、医療問題や労働問題といった特定の問題を専門に扱う弁護団のことです。自分の抱えている問題とあっている弁護団を探し、相談することで、同じような被害者と共に集団訴訟を立ち上げられる可能性があります。

被害対策弁護団の名前と特徴を、下記のとおりまとめました。


自分が直面しているトラブルを扱っている弁護団がこの中にあれば、まずは相談してみましょう。

②「消費者裁判手続特例法」を使用する

一般消費者が企業から金銭的な被害を受けた場合、被害者自身が自力で企業を相手に交渉したり、訴訟したりする必要がありました。しかし、一般消費者と企業との間には情報量や交渉力に大きな違いがあり、費用や時間もかかるため、被害者だけで被害を回復することはとても困難です。

そんな状況を変えるため、2016年10月1日に「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」「消費者裁判手続特例法」)という法律が施行されました。一般的には、日本版クラス・アクションとも呼ばれています。

「消費者裁判手続特例法」は、被害者の代わりに消費者団体が裁判を行い、被害者の金銭的な被害の回復を図るというものです。

一方で、この制度を使うためには、同じ理由で被害を受けた人が少なくとも数十人はいなければならないといった様々なきまりがあり、実際に訴訟になるまでにはいくつものハードルがあります。この制度だけに頼るのではなく、他の手段も並行して利用していくほうがベターかもしれません。

③自分で仲間を集める

誰かに頼らず、自分で仲間を集めてみよう!と思う人もいるかもしれません。

実際に、ウェブサイトで被害者の会を立ち上げたり、仲間を求める情報投稿をSNSでするという人たちもいます。

スマートフォンの発達により、多くの人が検索して情報を集めるようになり、またSNSで簡単に情報を発信できるようになったため、以前よりも同じ被害を受けた人どうしで繋がりやすい状況になっているといえるでしょう。

集団訴訟のやり方についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事もぜひ読んでみてください。


4.まとめ

・集団訴訟は、同じ相手から同じ被害を受けたふたり以上の被害者が起こす訴訟のこと。

・集団訴訟には、個人で訴訟を起こすよりも負担を抑えられる、世間の注目を集めることによって、制度の改正などにつなげるといった意義がある。

・一方で、証拠が多くてまとめるのに手間がかかる、訴えられた側が徹底抗戦してくるといった理由で裁判が長引いくという側面もある。

・集団訴訟を起こすときは①被害対策弁護団に相談する②消費者裁判手続特例法を使用する③ウェブサイトを活用し自分で仲間を集めるなどの方法がある。

おわりに

集団訴訟と普通の訴訟の違いについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。もしもあなたが、何かのトラブルに巻き込まれたときは、ぜひ、集団訴訟を選択肢のひとつに加えてくださいね。
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