この記事は以下の人に向けて書いています。
- 自分の会社がブラック企業かもしれないと疑っている人
- いまの職場が世間からみてブラックなのかどうか気になる人
- 転職・就職を考えていて、ブラック企業を避けたい人
はじめに
「うちの会社ってもしかしてブラック企業なのでは?」。友人や家族から指摘されたりして気がついたことはありませんか。
今は例え本人が満足や我慢をしていても、実は金銭や時間、技術などを搾取をされていたり、心身に深刻なダメージが蓄積されることもあり得ます。何より、そのような企業が存在していることは健全な社会生活上、望ましくありません。
この記事ではブラック企業にありがちな特徴をあげつつ、そうした企業に入ってしまった際にどうすれば良いのかを一緒に考えていきます。
1.かんたんチェック!ブラック企業診断テスト
「ブラック企業にありがちなこと」をチェック項目にしてみました。あくまで体験者などの難しく考えず、気軽に診断をしてみましょう。
①勤務条件編
②人間関係編
③職場環境編
<判定結果>
〇がゼロ個 |
文句なしのホワイト企業 |
〇が3個~4個 |
ちょっと怪しい?項目によっては危険かも |
〇が5個~6個 |
社員が「どこの会社もこれが普通」と言いがちなグレーゾーン領域 |
〇が7個~9個 |
かなり黒い。知らず知らずストレスが溜まっている可能性も |
〇が10個~14個 |
まごうことなきブラック企業。なんらかの対策を検討しよう |
〇が15個以上 |
命や健康の危険。すぐ脱出を! |
なお、これらの項目はすべて実体験をもとに作成されています。
2.自分の会社がブラック企業だった!とるべき行動4パターン
ここまでの診断で、自分の勤務先がブラック傾向が強いと感じた人もいるでしょう。そこで考えるのが、この先の行動です。残留か? 離脱か? どちらもメリットやデメリットがあります。よく考えて進退を決めましょう。
①そのまま働く
「うちの会社はブラックだな」と感じても、自分の中で退職するほどのメリットが見出せないこともあるでしょう。
「人間関係はともかく仕事は面白い」といった場合や、家庭や経済的な面ですぐに転職するのが難しい場合、身につけたい技術や知識を吸収してからにしたい……などといったケースが考えられます。
このようなときは、いったん冷静に自分の立場を考え直してみるのも手かもしれません。「このプロジェクト終了までは残留する」など、期限を決めるのもありでしょう。
ただし、その前に下記の項目についてもういちど検討してみてください。
- その仕事・技術・知識は本当にそこでしか得られないものでしょうか?
- もっと条件の良い企業や環境で実現できる可能性はありませんか?
- 実は企業から搾取されているのではありませんか?
また、精神面では「大丈夫」と思っていても、身体には不調をきたしたりすることもあります。最近の
食欲や睡眠時間に極端な変化がないか、娯楽や趣味が楽しめなくなったりしていないか、家族とも相談するなどして振り返ってみて下さい。
特にいじめやセクハラなどは人権問題です。「自分が我慢すればいいこと」と考えないようにしましょう。
②転職する
状況が整うならば、転職も視野に入れましょう。あなたが活躍できる場所は決して一ヶ所とは限りません。
ただし、エネルギーも使うことなので、
精神面や体力面で余裕があるうちに動く方が良いでしょう。トラブルに対処できる余力が必要になることもあります。心身ともに疲弊してからではなかなか動きにくいこともありますので、退職して休息期間を設け、リフレッシュしてから仕事を探す方法もあります。
また、すんなり退職できずに、脅されたり、引き留められたりする可能性もあります。そういったときは、下記の記事も参考にしてみて下さい。
このほか、ブラック企業かどうかを確かめるさらに詳しい記事はこちらです。
③通報する
会社の体制そのものに問題があるときは、労働基準監督署や労組などへ通報するという方法があります。
- 労働基準監督署
都道府県別に窓口が異なりますが、利用時間は平日午前8時30分〜17時15分です。
- 全労連労働相談ホットライン
全国労働組合総連合(全労連)が手がける、労働や雇用、賃金などに関する悩み相談窓口です。
電話:0120-378-060
メールでも相談できます
- 社内の相談窓口
企業によってはコンプライアンスやハラスメントの対策窓口、労働組合、産業医が、労働、メンタルヘルスに関する通報を受け付けていることもあります。自分の職場にそのような制度があるかどうかを調べてみましょう。社内の部署異動や転勤で解決できることもあります。
社外の労組(ユニオン)に相談する手もありますが、費用がかかるなどの場合があります。
いずれの場合も、具体的な証拠があると相談がしやすくなり、解決も早くなります。
どのような証拠を集めれば良いかは下記を参照して下さい。
3.未払い賃金は取り戻せる?退職後にあなたができること
①未払い残業代の請求
残業代が支払われていないときは、正当な要求として本来貰えるべき残業代を請求しましょう。ただし、時効は2年ですので注意が必要です(延長されるケースもあります)。
- 自分の雇用条件
- 自分が勤務した日時や時間帯のわかる証拠
- 会社から残業を命令されたことがわかるもの
などを集めておきましょう。
詳しい請求手順は下記の記事で解説しています。
②セクハラ・パワハラ訴訟
同様に、セクハラやパワハラについても、訴訟をして慰謝料を請求することが可能です。
- 証拠を集める
音声やメモで記録を取りましょう。音声はICレコーダーのほか携帯電話の録音機能で、メモは「言われた日時・場所・発言者」を明記した上で、その内容をそのまま記録して下さい。発言内容に対し、どんな部分をハラスメント(嫌がらせ)と感じたかも必要です。録音があっても、別にメモは残しておきましょう。
このほか、メールやチャット履歴のスクリーンショットなども証拠になる場合があります。残せるものは残しておきましょう。
いずれの場合も、バックアップやコピーを忘れずに。
- 弁護士に相談する
証拠があれば、弁護士に相談をしてみるのもいいでしょう。訴訟の前に内容証明を使った文書による企業や加害者への警告などの方法も考えられます。
弁護士への相談、また実際に訴訟に入る場合には費用がかかります。訴訟が費用に見合うかは相談者次第ですが、金銭的な負担を軽減したい場合には、法テラスを利用することができます。
法テラス
日本弁護士連合会(日弁連)
③相談窓口
- 会社を通報したいとき
前章で紹介している労働基準監督署へ通報しましょう。
- 会社を訴えたいとき
・個別労働紛争のあっせん
中央労働委員会による労務問題の解決を手助けする窓口です。
専門員が調査や調停を担当し、解決を図ります。
それぞれの都道府県の窓口に問い合わせてみましょう。
・かいけつサポート
裁判外紛争を解決する民間事業者(法務大臣認証)のサービスです。
- 話を聞いてほしいとき
・総合労働相談コーナー
厚生労働省の職場トラブル相談窓口です。全国の労基署内など380ヶ所に設置しています。
・みんなの人権110番
法務省の相談窓口で、セクハラやパワハラ、いじめ、差別などの人権問題を相談することができます。
電話:0570-003-110
受付時間:午前8時30分〜午後17時15分(平日のみ)
インターネットによる相談はこちら
法務局や地方法務局の窓口でも直接相談ができます。
4.まとめ
- 残留するならば、まず自分を大切に
- いざとなったらすっぱり辞める決断も
- 辞める段階で、未払い賃金やパワハラなどの問題を解決する手もあり
おわりに
昔とは異なり、会社は終身雇用の時代ではなくなりました。
労働者も会社を選べる立場。合わないと感じる場所に長居をせず、ステップアップする人も増えています。
また、金銭や技術の搾取、セクハラやパワハラは立派な人権問題。我慢することなく声をあげれば、自分以外にも救われる人がいるかもしれません。
仕事は毎日の暮らしの大半の時間を占める人も多いでしょう。その時間を、なるべく有意義に過ごせるようになればいいですね。