この記事は以下の人に向けて書いています。
- 水素水の何が問題なのかを知りたい人
- 水素水は詐欺かどうかを知りたい人
- 家族が水素水を勧められて困っている人
はじめに
近年、
水素水の消費トラブルが多発しています。
「水素水」自体に科学的または公的に明確な定義がないため、効果・効能についても正しく証明できることがないまま、誇大広告と詐欺的な手法を用いて売られ続けているのが現状。悪徳業者がはびこっている結果を招いています。
そこで今回の記事では、水素水とその販売方法の問題点を洗い出し、被害に合わないためにどうすればいいのかについて解説していきます。
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1.なにが問題?水素水の詐欺問題にまつわる2つのポイント
水素水の販売で問題になっているのは次の2つ。
- 水素水の効能は科学的に証明されていない
- 販売方法に問題がある
それぞれについて詳しく解説していきます。
①水素水の効能は法的にも科学的にも認められていない
健康食品などの効果が保証されていることを示すものに、
特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品といったものがあります。
これは消費者庁がメーカーなどの申請を受けて認可するもので、認定されるためには食品が持つ効能・効果について科学的な論拠を示す必要があります。
しかし、
2016年12月時点で、水素水についてこれらの認可が認められた例はひとつもありません。
また、水素の濃度や水の製法については、各社が独自に決めたものを販売しているのが現状。
つまり、
そもそもどのようなものを指して「水素水」とするのか、具体的な効能はどんなものなのか、という定義さえあいまいなまま、効能だけが誇張されてひとり歩きしている状態なのです。
これをうけ、国民生活センターは事業者や行政に対し、効能の表示の改善や指導を求めています。
水素水の効果を医学的に証明しようという試みは実際に行われているものの、いまだに水素水が人体に影響があるのかどうか、具体的にどのような効果・効用があるのか、確たる証明もなされていません。
②問題のある販売方法をとっている
水素水を売るプロセスにおいても、消費者の自宅を訪れて押し売り行為をする
訪問販売や、新規会員を勧誘して会員に購入をさせる
マルチ商法といった、いわゆる「悪徳商法」につながりやすい手法で行われている点も問題視されています。
国民生活センターが2016年3月に発表した水素水に関する調査結果では、全国消費生活情報ネットワーク・システムに寄せられた水素水に関する相談内容(2010~15年)のうち、販売購入形態については、
半数以上が「マルチ商法」または「訪問販売」だったことがわかっています。
この2つについての問題点をみてみましょう。
- マルチ商法
商品の販売員が、商品を買わせた相手を販売員として勧誘。誘われた人がさらに他の人を勧誘する……といった方式で、連鎖的に販売組織を拡大する販売形態のことを指します。
一定のルールを守っている限り、ただちに違法というわけではありませんが、友人知人関係や家族を巻き込んで勧誘したり、自分の売り上げを増やそうとするあまり、強引な手法によって売りつけようとしたりと、様々な問題が起きやすい販売形態と言えます。
マルチ商法については、こちらの記事もご参照ください。
-
訪問販売
自宅などに販売員が押しかけ、強制的に商品やサービスを販売したり、契約させたりしていくものになります。強引に高額な契約を結ばせようとすることも多く、注意が必要です。
訪問販売については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
そのほか、
実際には水素が入っていないにも関わらず水素水と称して販売しているケースや、
過大な広告を行うケースなどもあわせて問題となっています。
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2.水素水の悪徳商法から家族を守るために…今すぐできること3選
このように
「水素水」の効能、販売方法には問題があるケースが多いため、
ただの水であると割り切って購入するか、あるいはまったく買わないか、いずれかの対応を心がけるようにしましょう。
ただ一方で、水素水の被害にあうのは高齢者が大半。
国民生活センターの2016年12月の調査では、水素水の購入者のうち約6割が高齢者というデータがあります。
自分だけでなく、自分の家族も含めて守るためには、どのようなことに注意すればよいのでしょう。
主なポイントは下記の3つ。
- 家族どうしで不自然な買い物などがないか確認する
- 消費者庁が処分した業者の情報を共有しておく
- 成年後見制度を使う
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①家族どうしで不自然な買い物などがないか確認する
以下の項目を参考に、家族が不審な買い物をしていないか、チェックしてみましょう。
-
銀行の入出金の管理、通帳やカードの確認をする
通帳などを見て、入出金を確認してみましょう。直近で高額の数字や見慣れない振込先を見つけたら、詳細を確認し、どのような業者になんの目的で使用したのかを明らかにしてください。
また、家族が認知症などを患っている場合、不用意に使ってしまわないよう通帳やキャッシュカード、クレジットカード、印鑑を家族が保管しておくことも大切です。
-
不自然なローンが突然組まれていないか調べる
不自然なローンが組まれていないかも見ておきましょう。
水素水の悪徳業者はわざと高額ローンを組ませ、より多くの利益を得ようとするところもあります。ローンにすることで月々にかかる金額が一見少なく見えるため、発見が遅れてしまう危険性があります。
-
家に見慣れない器具、領収書、請求書がないか確認する
家に見慣れない器具やボトルなどのパッケージが置いていないかどうか、不審な領収書、請求書があるかどうかを確かめてみてください。
領収書などを調べることで悪徳な商品を売りつけられているかどうか確かめる手がかりにもなります。
②成年後見制度を使う
このほか、判断能力が低下した成人が契約や財産、悪徳商法の被害にあうのを防ぐ
「成年後見制度」を使い、高齢の家族を保護するという方法があります。
この制度は、後見人となった家族や弁護士らが、対象となった成年本人に代わって生活上必要な契約を結んだり、成年本人が騙されて行われた契約を取り消すことができるというものです。
この制度を利用するためには、最寄りの家庭裁判所に申し込みをする必要があります。手続きには審査などもありますので、まずは近くの公証役場に聞いてみてください。
日本公証人連合会 公証役場一覧
③消費者庁が行政処分した業者を調べる
今までになんらかの行政処分を受けた業者であれば、
消費者庁のウェブサイトにあるリストに掲載されます。
もし家族が契約しようとしている企業がこちらのリストに記載されている場合、悪徳業者なので契約を止めるようにしてください。
ただし、これらのリストは当然ながらすべての悪徳業者をカバーしているわけではありません。リストに名前がないからと、安易に契約するのもまた危険です。
どのような契約内容であるのか、会社の所在地はどこなのか、
そもそも水素水をなんのために買うのか、買う必要があるのか……といったことを、これまで説明してきた内容を踏まえてよく確認してから、購入をするようにしてください。
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3.もしも騙されてしまったら?とるべき手段4つ
もしも実際に悪徳業者に騙されてしまったら、どうすればいいのか詳しく解説していきます。
①クーリング・オフ制度を使う
訪問販売やマルチ商法は、消費トラブルを解決するための法律である「特定商取引法」で規制されている、いわゆる「悪徳(悪質)商法」です。
これらの商法で結んでしまった不当な契約を解除するには「クーリング・オフ」制度をが適用することができます。
クーリング・オフは、消費者が騙されたり、十分な考慮時間を持たないうちに無理やり契約や購入をさせられたものを、消費者側から一方的に、理由を告げる必要なく解除できるものです。
ただし、適用するには期限が決められており、
契約や申し込みをした日を1日目として(翌日からではありません)、
訪問販売なら8日間以内、マルチ商法なら20日間以内と決められています。
もしもこの期間を過ぎていないのなら速やかに手続きを行い、契約をキャンセルしましょう。
具体的なクーリング・オフのやり方はこちらの記事で解説していますので参考にしてみてください。
②契約を取り消す
クーリング・オフとは別に契約を取り消すことが可能な場合があります。
例えば、
- 説明の中に嘘があって、それを信じて契約した場合
- 重要な事実が隠されていたせいで判断を誤り契約した場合
- 誇大広告があったせいで間違って契約してしまった場合
- 脅迫により契約させられた場合
これらの場合、民法上では、契約を取り消すことが可能となります。
自分のケースだと取り消せるのかどうかわからないという時は、弁護士や、次に紹介する地域の消費者センターなど専門家に相談してみるといいでしょう。
③国民生活センターに相談する
どうすればいいのかわからないという場合は、国民生活センターに相談してみてもよいでしょう。
国民生活センターのウェブサイト
には相談窓口のまとめや全国の消費者センターの一覧などが載っており、相談内容に合致した連絡先を調べることが可能です。
どこに相談すればいいのかわからないときはひとまず総合窓口の
消費者ホットラインに電話をかけてみてください。
市外局番なしで「188」(いやや)に電話をかけると、自宅の最寄りにある消費者センターに電話を繋いでもらえます。
消費者ホットライン
電話番号:188または03-3446-1623(平日のみ)
受付時間:
平日 :10時~12時 13時~16時
土日祝日:10時~16時
(※受付時間は各地域の窓口によって変わることがあります) |
国民生活センターについては、こちらの記事でも解説しています。
④業者を訴える
詐欺であることがはっきりしているのならその業者を訴えることも検討してみましょう。また、詐欺である場合、被害者はあなただけではないはずです。
このような場合、同じトラブルを抱える人たちで一緒に訴訟を起こす集団訴訟という手段を取るのも一つの手です。
集団訴訟は被害者同士で証拠や情報を共有できたり、相手へのプレッシャーになるなどのメリットもあります。
集団訴訟についてはこちらの記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
4.まとめ
- 水素水の効果は科学的、医学的には証明が確立されていない上、販売方法が問題となっていることが多い
- 悪徳商法に騙されていないか、家族ぐるみで確認することが大切
- もしも悪徳業者だった場合、契約を解除したり、業者を訴えたりするといった解決手段がある
おわりに
水素水は科学的、医学的にも効果が証明されていません。にも関わらず、さも体にいいかのように見せかけて広告をしたり、いわゆる悪徳商法とされるマルチ商法や訪問販売という売り方で消費者を騙す手口が横行しています。
特に被害が多い高齢者は、家族が日々の異変などに気付くことが被害を広げないための一歩になることもあります。法律や公的機関なども頼り、普段から気を付けるようにしてみてください。