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「内容証明」とはどんなもの?使われる理由2つと送付後の流れを解説

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投稿日時 2019年01月15日 17時55分
更新日時 2019年01月15日 17時55分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 内容証明郵便について概要を知りたい人

  • どういったケースで使うと効果的なのか気になる人

  • 内容証明を出した後の流れを知りたい人

はじめに

内容証明(内容証明郵便)」とは、送ったものの「内容・時期・送付元と送付先」について、日本郵便が証明してくれる特別な郵送方法のこと。

この方法で送られた郵便の内容は法的に信頼できるものとして扱われるため、主に訴訟などの証拠として使われます。

この記事では、そんな内容証明の使われるシーンや送付後の流れなどについて紹介していきましょう。


1.なぜ証明する必要があるの?内容証明の役割と具体的な使用シーン



「内容証明郵便」を使って公的な第三者に内容を保証してもらうことで、少なくともそこに書かれた内容については、相手との「言った」「言わない」をなくすことができます。

こうした特徴が訴訟の際に役立つと冒頭でもお伝えしましたが、では具体的にどんな役割があるのでしょうか? まずは内容証明郵便の訴訟での役割と、具体的に使用されるケースについて解説していきましょう。

①内容証明の2つの役割と使用シーン

内容証明(内容証明郵便)は、いつ、誰が、どのような内容を、どこに送ったのかを日本郵便が証明してくれる郵便のことです。

それでは、一体どのようなときに使用するのでしょうか?2つのケースをご紹介します。

  • 自分の意思を伝えた事実を証明する場合

    たとえば、商品の購入契約を一定期間であれば解除できるクーリング・オフ制度を利用するためには、相手に「契約を解除したい」という意思を伝える必要があります。

    その際に利用されるのが内容証明郵便です。「契約解除の意思を伝えた」と法的に保障されるため、「聞いていないので契約を解除しなかった」といった言い逃れを防ぐことができるのです。

    仮に相手が頑なに契約解除を認めず、訴訟になったとしても、内容証明を証拠として提出すれば、クーリング・オフ期間内に契約解除をしていることが認められます。

    クーリング・オフに限らず、さまざまな未払い金の請求や、契約の取り消し請求などについても、内容証明を利用することで、「言った、言わない」という問題をクリアにできるのです。

  • 被害事実を主張して証拠としたい場合

    また、内容証明に記載された内容が、訴訟の際の証拠として扱われる場合もあります。

    たとえば、「こうした被害に対し、100万円の慰謝料を要求する」という内容証明を送った場合を考えてみましょう。

    この際、相手が被害内容そのものについて否定せず、「80万円に減額してほしい」とだけ返答してきた場合、これは被害の事実があった証拠のひとつとして扱われるのです

    もちろん、ほかにも被害内容を裏付ける証拠を用意する必要はあるものの、「相手が事実を認めた」ということを証明するという場合にも内容証明は重要な役割を果たします。

    そのため、反対に自分が事実に反する内容証明を受け取った場合は、自分も内容証明で反論する必要があることに注意してください。

上記2つのそれぞれのケースについて、具体的にはどんな例があるのか、下記の表にまとめました。

目的 具体的な例
自分の意思を伝えたと証明したい場合 ・契約の取り消し
・金銭などの請求
・時効の中断
・債権の放棄  など
被害事実を主張して証拠としたい場合 ・騒音などのトラブル
・パワハラ・セクハラ
・配偶者の不貞行為
・借用書がない借金の督促  など

そのほか、一般的には訴訟に使われるイメージが強いため、相手へプレッシャーをかけるという目的でも使われることがあります。

②内容証明郵便の送り方と料金

内容証明郵便は、封書でのみ送ることができます。はがきで内容証明を送ることはできないので注意しましょう。

また、作成する際は、相手への送付用以外にも、「謄本」と呼ばれる差出人と郵便局が保管する書類2部を作る必要があり、計3部用意することになります。

書く内容は

・文書の表題
・宛先と差出人の名前、住所
・通知したい内容(日時や場所、金銭が関わる場合は詳細な金額)
・金銭が絡む場合、振込先の銀行口座
・期限について

などが一般的です。状況に応じて記載しましょう。

ただし、謄本には特別な表記ルールがあり、下記の文字数を守って書く必要があります。それに合っていないものは認めてもらえないので、あらかじめ確認しておきましょう。

縦書きの場合 1行20字以内、1枚26行以内
横書きの場合 1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内、1枚40行以内
1行26字以内、1枚20行以内
出典:日本郵便の定める規定

また、kgなどの単位や特殊な文字をそれぞれ何文字として扱うかなど、細かいルールがありますので、規定のページをまず確認するようにしてください。

料金は「基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金430円」です。

内容証明は、すべての郵便局が対応しているわけではないので、地域の本局を尋ねたり、問い合わせをしてみるといいでしょう。

もしも、「郵便局の窓口時間に出しに行くことができない……」という場合は、電子内容証明サービスが便利です。インターネットを使って内容証明郵便を差し出すことができ、24時間受け付けています。

そのほか、相手に内容証明を渡した日にちを表明できる配達証明、渡す相手を本人のみに限定できる本人限定取などのサービスをあわせて利用することもあります。

これらを利用することで、たとえば「届いていない」「家族が受け取り、捨ててしまった」といったケースの言い逃れを防げますので、併せて利用するようにしましょう。

③注意!内容証明を送る際に気を付けたいこと

内容証明の役割や送り方について紹介してきましたが、送るにあたっての注意点もあります。

まず内容証明は、あくまで内容を通知するもの。書いた内容を強制的に行う効果はありません。

たとえば、内容証明に「期限までに履行してもらえない場合は財産を差し押さえる」と書いたとしても、内容証明で通知したことを理由に差し押さえすることはできません。

逆に、相手に「これは脅迫だ」と主張されれば、脅迫罪恐喝罪になってしまうこともありえます。文面を書くときは高圧的な表現にならないよう注意が必要です。

このほかにも、当然のことではありますが、嘘の内容を書いてはいけません。

たとえば、お金を貸していないのに「貸した300万円を返金するように」などと書くと、詐欺罪に問われる可能性があります。さらに、相手と訴訟になった場合、「このような嘘の内容を送ってくる信用できない人だ」と主張され、自分自身の信用性を損なう証拠になってしまうことも考えられます。

また、送った内容証明の内容は撤回することができないので、必ず事実に基づいた正しい内容を記載しましょう。

実際に送付する際には、弁護士などの専門家に相談するほうがベターです。弁護士は依頼者の代理人として内容証明を送ることができるため、相手へより強いプレッシャーをかけることにもつながります。

内容証明を弁護士の名前で作成・送付してもらう場合には、3万~5万円ほどの費用がかかります。相手に請求する内容と費用を鑑みて、依頼を検討しましょう。


2.内容証明を出した後はどうなるの?



これまで、内容証明とはどのようなものなのか、また、内容証明を出す理由とは何なのかについてご紹介してきました。それでは、内容証明を出した後はどのような流れになるのでしょうか。

内容証明を送る際は訴訟を起こす前であることが多いため、訴訟を前提にしつつ内容証明を出した後の流れについて解説します。

①交渉

内容証明を送付後の相手のリアクションは

「返答」
「無視」


の2つです。

相手から連絡してくれば、そのまま解決に向けて交渉していくことになります。

交渉は、事実の確認からはじまり、こちらの要求と相手の回答をすり合わせていきます。

例えば、会社に未払い残業代の支払いを請求し、会社側が「その8割の金額なら支払う」と提示してきたとします。

この金額で納得すれば交渉が成立します。

交渉が成立すれば、どのような内容で決着したのかをまとめた合意書を作成します。ただし、金銭の支払いが絡む場合は、公正証書を作成した方がベターです。

公正証書とは、当事者が公証役場へ行き、合意した内容をもとに公証人に作ってもらう書面のことです。公証役場が公正証書の原本を保管し、当事者にはその写しが渡されます。

通常の合意書では、相手が金銭の支払いを渋ったときに催促することが困難ですが、公正証書の場合は裁判所を通さずに強制執行(差し押さえ)をすることが可能です。

こうした交渉が複雑になると予測できる場合は、あらかじめ弁護士に依頼した方がいいでしょう。法律の専門家が依頼人の主張を尊重して相手に要求してくれたり妥協点を見つけてくれたりします。

交渉が決裂したりそもそも内容証明を無視された場合は、次なる手段に移行します。

②訴訟

内容証明で通知した内容にもよりますが、内容証明がうまくいかなかった場合は訴訟に向けて動くことになります。

訴訟を行うときは、60万円以下のお金を請求する少額訴訟と、それ以上のお金などを請求する民事訴訟の2つの手段のどちらかを選択します。

ただし、訴えられないケースもあるので注意が必要です。

たとえば、

・内容証明を受け取った相手が逃亡し、連絡がとれなくなった
・内容証明を送付したが住所がデタラメで、相手に届かなかった
・転居先不明で内容証明が戻ってきてしまった

などのケースが考えられます。

いずれの場合も、相手の住所や連絡先が不確定で連絡が取れないというもの。こうした場合、自分ひとりだけで相手を探し出すことは非常に困難です。

しかし、同じ相手から被害を受けた人が、相手の住所や連絡先を持っている可能性があります。そのような場合は、被害者同士で集まり、情報を共有しましょう。SNSでの情報発信やインターネット掲示板への書き込みなどで被害者仲間を探すことができます。

被害者仲間が見つかって情報を集めることができれば、集団訴訟を検討しましょう。

③被害者が複数の場合は集団訴訟を検討する

同じ相手から同様の被害を受けた人が複数いた場合、集団訴訟を起こすことが可能です。集団訴訟の場合、訴訟にかかる費用を参加者全員で分散でき、ほかの人が持っている証拠を自分のケースにも当てはまる証拠として使うことができます。

たとえば、チケット詐欺の被害にあった場合、1つの被害はそこまで高額ではないケースがほとんどです。1人で加害者を訴えようとしても、コストが被害額を上回ってしまい、泣き寝入りせざるをえない可能性があります。

しかし、チケット詐欺は常習性の高い犯罪であり、加害者が何度も同様の手口で犯行を行っている可能性が非常に高く、被害者が複数いることが多いのです。そうした被害者たちと協力できれば、費用を分担できるため、コストが原因で訴訟をあきらめずにすみます。

集団訴訟のメリットや訴訟については、下記の記事を参考にしてください。


3.まとめ

  • 内容証明郵便は、いつ、だれが、どのような内容の文章を、誰宛に送ったのか、日本郵便が証明してくれるもの。形式は封書で、インターネットで送ることもできる。

  • 内容証明を送る理由は①通知することが重要となる②事実を裏付ける証拠になりうる③プレッシャーをかける の3つがある。

  • 内容証明を送った後、交渉決裂もしくは無視された場合は、訴訟を検討する。被害者が複数いる場合は集団訴訟も可能。

おわりに

内容証明郵便には、法的な強制力そのものはありませんが、出すことに意味があるのです。

何か、相手に確実に通知したいものや後々、証拠としてしようする可能性がある場合は、内容証明を利用しましょう。


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