マルチ勧誘の断り方って?いざというときの返品・返金方法4つを解説

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投稿日時 2018年08月10日 19時32分
更新日時 2018年08月10日 19時32分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • マルチ商法勧誘を受けていて、断りたい人

  • マルチ商法の契約をしてしまい、返品・返金をしたい人

  • 友人・家族にマルチ商法に手を出している人がいる人

はじめに

疎遠になっていた友人から突然連絡がきて、会ってみたらマルチ商法の勧誘だった……。

そんな経験、ありませんか?

なかには勧誘を断りたくてもうまく断れず、そのまま契約してしまったという人もいるかもしれません。

そんなときはいったいどうしたらいいのでしょうか?

この記事では、マルチ商法の断り方や、返金してもらう方法などについて解説します。

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1.マルチ商法ってなにが悪いの?その仕組みとリスク



ところで、そもそもマルチ商法はなにが問題なのでしょうか。

なんとなく悪いイメージを持たれているその原因やリスクについて、まずはあらためて説明してみましょう。

マルチ商法とは、正式には「連鎖販売取引」と呼ばれるビジネスの形態で、「商品を買ったお客さんを、会社が販売員として勧誘する」という部分に特徴があります。

ある健康食品があったとしましょう。

一般的な商品は、メーカーから直接買ったり、薬局やスーパーなどの小売店で購入することができます。

しかし、マルチ商法の商品は、メーカーが認定した販売員からしか購入できません。購入した人が自ら販売員となり、さらにまた別の人を勧誘する……という流れを次々と繰り返すことで、商品が多くの人に流通する仕組みとなっています。

またマルチ商法の販売員は、商品を販売して得られる利益のほか、販売員を勧誘して増やすことで、会社からキャッシュバックを得ることができます

自分が勧誘した販売員の数や売上はポイントとして記録され、その成績に応じてキャッシュバックが発生する仕組み。ポイントに応じて自身のランク(役職)が上がると、キャッシュバック率も高くなってゆきます。(イメージ画像参考)



商品の売上にくわえて、ボーナスまでもらえる……。

一見すばらしいビジネスモデルに見えますが、ではなぜ問題視されているのでしょうか? マルチ商法のリスク・危険性について紹介していきます。

①強引な勧誘で人間関係が破壊されてしまう

マルチ商法で実際にお金を儲けるには、個人の力で多くの人に商品を販売し、さらに勧誘して会員を増やさなければなりません。

そのため、大きな収入を得たいと思うほど、強引に販売・勧誘をすすめてしまいがちです。多くのマルチ商法会員が、昔の友人・知人を勧誘することが多いのはそのためです。

しかし、勧誘される側からすれば、「あいつはこれまでの人間関係を利用して、金儲けの道具にしようとしている」と映るでしょう。こうした噂がひろまれば、「あいつは自分のカモを探して勧誘しているだけだ」と、親しくしてくれる人も減っていきます。

その結果、友人・恋人、ひいては家族など、あらゆる人間関係が破壊されてしまうことになります。残されたコミュニティは同じマルチ商法の会員たちのみ。こうしたマルチ商法「夢を叶える」「お金持ちになる」といったポジティブな目標を仲間内で共有しあうことが多く、ますますのめり込んでいくようになってしまいます。

②そもそも、儲からない

マルチ商法は、商品を購入する権利を得るための代金として、高額な入会金や権利料を最初に設定していることがほとんど。また入会料が無料でも、事前に高額な教材を購入させられるといったケースもあります。

こうした初期投資を回収するには、ある程度の勧誘・販売実績が必要となりますが、実際には勧誘に成功することはほとんどないのが実情です。

よくマルチ商法やネズミ講を否定する理屈として、「1人のマルチ会員が必ず新規会員を2人獲得していった場合、1ヶ月以内に日本人すべてがそのマルチ商法の会員になってしまう」というものがあります。

もちろん、実際にそんなことはありません。勧誘されて会員になる人数よりも、断る人数の方が圧倒的に多いからです。

簡単に計算してみましょう。

あるマルチ商法が、以下のような形で広がっていくと仮定します。

  • 勧誘されたひとは、次の日に新たに2人勧誘に成功する
  • 勧誘されたひとは、新しい勧誘者を得るまでに100人の知人に声をかけている
  • 一度声をかけた人には声をかけることができない

以下の場合、会員数、声をかけられた人数、そして断られた人数はどのように増えるのか見ていきましょう。

日数 会員数 断られた数 声をかけた人数
0 1 0 0
1 3 198 200
2 7 594 600
3 15 1386 1400
4 31 2970 3000
5 63 6138 6200
6 127 12474 12600
7 255 25146 25400

見ての通り、会員数よりも声をかけた人数のほうが圧倒的な早さで増えていくことがわかりますね。このモデルの場合、7日目以降に入会した人は、これまでに断られた25146人以外の人に声をかけなければなりません。

会員を獲得しようと努力しても、そこには限界があるのです。

③商品に不備がある、違法な商品を扱っている

詳しくは後述しますが、オンラインカジノなどの法的にグレーな商品であったり、すぐに壊れてしまうような粗悪品だったりと、そもそも法的に問題のある商品を販売しているケースもあります。

こうした商品の販売を手がけてしまった場合、儲からないどころか逮捕されてしまうリスクさえあります。

また会員を増やそうと焦るあまりに強引な勧誘をしてしまい、トラブルになるということもあるかもしれません。

違法な、いわゆる「マルチまがい」の商品や、違法な勧誘については、次の章で解説をしていきます。


2.健康食品だけじゃない!マルチ商法で売買される商品4つ



「マルチ商法」と聞くと、健康食品や水などの日用雑貨を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし近年では、別のビジネスであるように見せかけつつ、実際にはマルチ商法を行うという手口もあらわれてきています。

「勧誘の切り口がマルチ商法に思えるけど、日用品じゃないから大丈夫なのかな……」と思わせることがその目的。名称も「マルチ」という呼び名を使わないため、よけいに紛らわしくなっています。さらに、扱っている商品自体が法的にグレーというケースも……。

そこで、この章では一見するとマルチ商法で販売されているとは思えない商品をいくつか紹介していきます。

  • オンラインカジノ
    「あなたが勧誘した人がオンラインカジノで遊ぶことで、キャッシュバックが発生する」「今後、日本でのカジノ解禁に合わせて、いまオンラインカジノに登録しておけば必ず儲かるよ」

    などといって勧誘されます。

    「アフィリエイト」という呼称で勧誘してくる場合などがありますが、商品を紹介して広告料を受け取るアフィリエイトとはまったくの別物です。

    そもそも、オンラインカジノは2018年6月時点では法的にグレーとされており、カジノに勧誘することでも逮捕されるリスクがあります。

    「運営が海外企業で、サーバーも海外にあるから合法だ」とよく言われますが、2016年3月には、イギリス企業が運営しているオンラインカジノを日本でプレイしていた人が賭博罪で逮捕されるなど、実際に逮捕者が出た場合もあります。 

  • HYIP
    「HYIP」とは「高配当・高利回り高益投資プログラム」の略語です。仮想通貨などの高利回りが期待できるビジネスに投資して資金を増やすとして、セミナーやパーティを利用して勧誘が行われることが多いとされています。

    しかし、ほとんどのHYIPは、投資プログラムと言いながら「投資家が新たな投資家を紹介することで、紹介報酬を受けることができる」という、マルチ商法と同じ仕組みで成り立っています。

    それどころか、資金だけを集めて持ち逃げするという投資詐欺に発展するケースもありますので、こうしたマルチまがいの投資プログラムには手を出さないほうが賢明です。

  • 旅行やスポーツジムを格安で利用できる会員権
    会員権を販売する(新規会員を獲得する)ことでキャッシュバックがもらえるという仕組みのマルチ商法です。

    高額な入会金や月額料金の支払いがあるため、利益を得ようとするなら多くの会員を勧誘しなければなりません。「格安で利用できる」という言葉で勧誘されることが多いのですが、月額料金や初期費用をあわせると、普通に旅行やスポーツジムに行くほうが安くつくパターンがほとんどです。

  • ビジネススクール
    「稼げる方法を教えるビジネススクールがある」などと勧誘されます。新規会員を獲得すれば、紹介料としてキャッシュバックが得られるという方法です。

    こちらも旅行やスポーツジムと同じく、入会金や月謝が必要となり、これらを上回るキャッシュバックを得ることは難しい形になっています。

    2018年2月には、マルチ商法のリスクをきちんとを告げず、さらに入会金を用意できない学生に学生ローンを利用するように誘導したり、未成年者に保護者の署名を偽造させたとして、勧誘していた会社が摘発されるなど問題になりました。


このように、マルチ商法以外のビジネスを装ったさまざまなビジネスが横行しています。「マルチ商法とは違う」といいつつ、扱っている商品や販売形態がそもそも違法であることもあり、より悪質性が高いといえるでしょう。こうしたマルチ商法の勧誘を断るには、どうすればよいのでしょうか?

次の章では、マルチ商法への勧誘の決まりと断り方について解説します。


3.マルチ勧誘を断るために知っておきたい勧誘のきまり



「強引な勧誘で断りづらい」というイメージのあるマルチ商法ですが、実はその勧誘方法には法律でいろいろな制限が定められています。

たとえば、「一度断られたら勧誘してはいけない」というもの。

このきまりを破り、あなたが何度断ってもしつこく迫ってくるような勧誘方法は、そもそも違法なのです。こうした知識を知っておくことは勧誘を断るうえでも役にたちますし、また断りきれず契約してしまった際でも、契約解除をもとめる強い根拠となります。

この章では、勧誘を断る際に役立つこれらのきまりを解説していきます。

①名前や立場を提示しなければいけない

勧誘をするときには「私はこういう会社に勤めているA山A子です」ということをあらかじめあなたに言わなくてはなりません。

もし会社名や名前を伏せて勧誘してきた場合、それ自体が違法です。

②マルチ商法の勧誘だと伝えたうえで勧誘しなければならない

勧誘するために呼び出すときは、あらかじめ「これはマルチ商法の勧誘です」と伝えておかなくてはなりません。 

そうした事前の説明がない場合は違法行為となります。「それってマルチ商法ですか? 説明なしに勧誘するのは違法ですよね?」といえば相手への牽制になるかもしれません。

また業者によっては「これはマルチではない」と否定するかもしれませんが、そうした場合、前の章で説明したオンライカジノや仮想通貨など、より違法性・詐欺性の高いビジネスである可能性があります。いずれにせよ注意が必要でしょう。

③故意に不都合な事実を伝えなかったり、事実を嘘だと言ってはいけない

商品購入のときに、購入するかどうかを判断するために重要なことをあえて伝えていなかったり(事実不告知)、「クーリングオフはできない」などといった嘘を伝えてはいけない(不実告知)ことになっています。

例えば、先物取引のマルチ商法に勧誘されたとしましょう。

先物取引に使う口座を開設するときには、資産状況や株式投資の経験などの様々な条件をクリアしなければなりません。

つまり、口座を開設する条件は、先物取引の商品を購入するために知らなくてはいけない重要な事項であり、この条件を教えられていなければ「事実不告知」となるのです。

④誇大表現を使ってはいけない

実際にはありえない効果をうたったり、不確実なことを断定した表現をして勧誘をしてはいけません。
相手が説明する時に「絶対に儲かる」「これを飲めば病気が治る」「誰でも簡単に成功できる」という言葉がでたら要注意です。

⑤勧誘するときに長時間拘束する、複数人で囲むなど、迷惑な行為をしてはいけない

断りづらい状況にしたり、威圧的な状況にするなど、相手に迷惑をかける勧誘をしてはいけません。

マルチ商法の勧誘によくありがちなパターンとして、「すごい先輩にあわせたい」などと言って複数人で説得する形がありますが、そもそもこの方法自体が違法にあたります。

こうした状況下で仮に契約したとしても、そもそもが無効となりますので、後に説明するクーリング・オフや契約解除などの方法をとるようにしましょう。

⑥一度断られたら勧誘してはいけない

先ほどもお伝えした通り、勧誘をはっきりと断わられた場合、再度勧誘することはできません。

「話だけでも聞いてほしい」「話を聞かなかったら絶対後悔する」などの言葉をかけられることがありますが、これらはすべて違法です。相手がしつこく食い下がってくるようなら、その旨を相手に伝えるとよいでしょう。

⑦必ず概要書・契約書を渡さないといけない。

契約に合意したら、概要書・契約書の2枚を必ず渡す必要があります。書面に書かないといけない内容については後述しますが、渡していなければ、違法です。

口頭だけで勧誘し、いきなり商品の購入代金や入会金を請求してくる場合はあきらかな違法行為です。支払う必要はありませんし、それでもしつこく勧誘してくるようであれば、場合によっては警察に助けを求めることなども視野にいれましょう。


いかがでしたでしょうか。

場合によっては、会社から指示されているこうした決まりを無視している会員や、そもそもこうした決まりを知らない会員もいるかもしれません。

そんな場合は、「本社に違法な勧誘をされたと連絡する」ということで、勧誘をやめてくれる可能性が高まります。


4.マルチ商法で購入した商品の返品・返金方法4選



このように、マルチ商法には、様々なリスクがあります。

勧誘を断れずにマルチ商法に入会し、「辞めたい」と思った場合、退会手続きや商品の返品・返金手続きをとろうとするでしょう。

マルチ商法の場合、退会手続きと返品・返金を一度にできる制度があります。

この章では、商品を返品し返金してもらうためのステップについてご紹介します。

①クーリング・オフ制度を利用する。

マルチ商法の場合、会員(業者)から契約書を受け取った日から20日以内であれば、書面でクーリング・オフをすることができます。書面を出したときがクーリング・オフ期間内であれば、期間を過ぎて相手にクーリングオフの通知書面が届いたとしても、クーリング・オフをすることは可能です。

クーリング・オフをするときは、口約束だと「解約するといった、聞いていない」というトラブルになってしまう可能性があるので、書面で相手に通知しましょう。

書面を送るときは、「内容証明郵便」と「配達証明」を利用します。内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文章を誰に送ったのか、公的に証明できるというものです。

配達証明もつけることで、いつ相手が受け取ったのかも証明することができるので、必ず2つセットで使いましょう。

また、クーリング・オフ期間を過ぎていても、クーリング・オフができることがあります。

  • 事実ではないことを言われたり、脅迫されて契約を結んでいた場合
    例えば、クーリング・オフをしようとしたのに「この契約はクーリング・オフはできません」と言われた、脅迫されて契約してしまった、などの事情でクーリング・オフをしなかった場合、新たに書面を交付してもらい、クーリング・オフをすることが可能です。

    そのときは、書面をもらった日から新たなクーリング・オフ期間(20日)が発生します。ただしクーリング・オフができなかった事情を証明する証拠を用意する必要があります。法的な手続きになってきますので、心あたりがある場合はまず弁護士や消費者センターに相談してみたほうがよいでしょう。

  • 概要書面・契約書面に明らかな不備があった場合
    マルチ商法を行うときには、契約の前に「概要書面」をあなたに渡し、契約後、「契約書面」を作成して渡すという2段階のステップがあります。

    契約書面に、概要書面の記載事項が書かれていても、概要書面の代わりにすることはできません。必ず、概要書面・契約書面の2つを渡す必要があるのです。

    それぞれの書面には、必ず書く必要がある内容があり、ひとつでも不備があったら、クーリング・オフ期間そのものがはじまっていないことになります。

    正しい内容の書面を発行してもらい、その書類が手元に来たときから新たなクーリング・オフ期間(20日)が始まります。

    また、概要書面、契約書面に必ず書かなければならない情報を以下に説明します。 これらがひとつでもかけていると、正式な書面とは認められません。その場合も、正式な書類が発行された日を基準にクーリング・オフを主張できます。

    <概要書面>
    ・統括者の氏名、住所、電話番号、法人のときは代表者の氏名
    ・連鎖販売業を行う者が統括者でないときは、今回勧誘をを行った者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人なら代表者の氏名
    ・商品の種類や性能、品質の情報
    ・商品名
    ・商品の販売価格、引き渡し時期・方法、そのほか販売条件
    ・特定利益について(紹介料や販売マージン、ボーナス)
    ・特定負担の内容(入会金、商品購入費などの金銭的な負担)
    ・契約の解除の条件(クーリングオフについて)
    ・割賦販売法に基づく抗弁権の接続について(クレジットカード払いをしていた商品について何かの問題が発生したときに、支払いを停止、またはクレジット契約を解除できる内容)
    ・法第34条に規定する禁止行為について(事実を伝えない、嘘を伝える、威迫して困惑させる、などはしない)

    <契約書面(契約書)>
    ・商品の種類、性能、品質について
    ・商品の再販売、受託販売、販売のあっせんの条件
    ・特定負担について
    ・連鎖販売契約の解除について関する事項(クーリングオフ、赤字での記載が必須)
    ・統括者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人のときは代表者の氏名
    ・連鎖販売業を行う者が統括者でない場合には、マルチを行う者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人なら代表者の氏名
    ・契約年月日
    ・商標、商号そのほか特定の表示にについて
    ・特定利益に関する事項
    ・特定負担以外の義務についての定めがあるときには、その内容
    ・割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
    ・法第34条に規定する禁止行為に関する事項

②中途解約制度を利用する

クーリングオフの期間が過ぎてしまい、かつ妨害などの行為がなかった場合でも、中途解約制度を使うことで、商品の販売契約を解除することができます。

中途解約制度は、相手に解約の意思が伝わった時点で効力を発揮するため、相手に解約の意思を伝え、確実に手元に届けたと公的に証明できる内容証明郵便と配達証明を使いましょう。

商品販売契約を解除するためには条件があり、

  • 入会して1年経過していない
  • 引き渡されてから90日を経過していない商品である
  • 商品をほかのひとに転売していない
  • 商品を使用、消費していない(購入時に「試してみて」と言われて使った分は無効)
  • 自分で商品をなくしたりまたは壊したりしていない

これら5つすべてにあてはまっていなければなりません。

ただし、中途解約制度を使って商品を返品するときには解約料(違約金)がかかりますので注意が必要です。

解約料は、

  • 商品引き渡し前、商品を返還した場合
    →返品する商品価格の10%以内の金額
  • 商品を返還しない場合
    →商品の販売価格と同額

となっています。

また返品した商品を購入したときに特定利益(ボーナスなど)を得ていた場合は、商品の販売をした会社に返還する必要があります。

③消費者契約法による取消権を使う。

クーリングオフ期間が過ぎ、また中途解約の条件を満たしていない場合でも、不適切な勧誘で勘違い・困惑したまま契約したときは契約を取り消すことができます。特に決まった方法はありませんが、配達証明をつけた内容証明郵便を使って、相手に取消権を主張する方法がベターです。

取消権も中途解約制度と同様、相手に取り消しの意思が伝わった時点で効果を発揮します。

取消権は、消費者が誤認に気づいてから1年、契約してから5年経過すると時効になってしまうので、素早く行動を起こしましょう。

ただし、受け取った商品の返還、引取費用は消費者負担になります。

この不適切な勧誘には、

  • 会員が重要事項について事実と異なることを言った。
  • 将来の見通しが不透明なのに、断定的に言われた。
  • あなたにとって不利になることを、隠されていた。
  • 勧誘中、帰りたいといったのに、帰してもらえなかった。

など、様々なケースがあげられます。

しかし、その取消理由としてあげた内容に、あなたと事業者側とで意見の食い違いがあれば、あなたがそれを立証しなければなりません。そのため、契約書や証拠となりそうなものはすべて保管をしてください。

立証が難しければ、最寄りの消費生活センターや弁護士などに相談してみましょう。

④訴訟を起こす

クーリング・オフや中途解約制度が使われた場合、マルチ商法の運営会社は返金に応じる義務があります。しかし、中にはお金を騙し取る目的で勧誘していたケースもあり、返金をしてもらえないこともあります。

そのときは弁護士に相談してみましょう。弁護士とマルチ商法の運営会社との交渉がうまくいかなかった場合は、訴訟も選択肢のひとつです。

明らかに法律違反の勧誘や商品を販売している証拠を集め、マルチ商法の運営会社に損害賠償請求を行いましょう。

ただ、企業相手の場合は訴訟が長引くことが考えられるので、その分、弁護士費用が増えてしまうことがあります。

そんなときは集団訴訟を行いましょう。集団訴訟とは、同じ会社から被害を受けた被害者2人以上が協力して一緒に訴訟を起こす方法です。同じ相手から被害を受けた仲間を探し、協力して裁判を起こせば、弁護士費用などの負担が軽減されます。

集団訴訟の場合、証拠共有の原則により、ほかの被害者が持っている証拠も自身のケースでの証拠と扱われるので、あなたが証拠をあまり持っていなくても、みなが証拠を持ち寄れば、被害を立証しやすくなります。

詳しくは、下記の記事を参考にしてみてください。



5.まとめ

  • マルチ商法で扱う商品は、日用雑貨だけでなく、オンラインカジノや未公開株など多岐にわたる。

  • マルチ商法そのものは合法だが、マルチ商法の勧誘だと伝えずに呼び出すなどの勧誘方法で違法行為になっていることが多い

  • 返品・返金をしたいときは①クーリングオフ、②中途解約制度、③消費者契約法の取消権、④訴訟のどれかを行う。

おわりに

マルチ商法を勧誘されたときは、断固として断ることが大切です。それでも、契約してしまったときは、クーリングオフなどの制度を使って契約を解除しましょう。

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