この記事は以下の人に向けて書いています。
- 出会い系サイトを使っていて、詐欺サイトではないかと疑っている人
- 出会い系サイトを使って知り合った相手に勧められ、高額品を購入した人
- 周囲の人が出会い系サイトを使って詐欺にあった人
はじめに
異性との出会いを求めて登録する出会い系サイトや婚活アプリ。
しかし、サイトに登録して相手とやり取りをしても、なかなか会えなかったり、会っても高額な商品を買わされたりする場合があります。
「もしかして、これって騙されてる……?」
そんな不安を抱いたら、どうすればいいのでしょうか。
この記事では、出会い系サイトを使って行われる詐欺の手口と、返金してもらう方法を解説していきます。
1.出会い系サイトに潜む危険!詐欺の手口5つ
出会い系サイトを使った詐欺では、大きく分けて、
①ウェブサイトのやりとりだけで騙すパターン、②実際に会ってから騙すパターンの2つがあります。
それぞれのパターンについて紹介します。
①実際には顔を合わせず、ウェブサイトでのやりとりだけで騙すパターン
出会い系サイトでは、サイトのメッセージ機能でコミュニケーションをとり、気に入った相手と実際に会えるような仕組みとなっていますが、はじめから会う気がなく、お金を支払わせるためだけに登録している人もいます。
こうしたウェブ上のやり取りで行われる詐欺、2パターンをご紹介します。
- サクラサイトによる詐欺
サクラサイトとは、ユーザーとのメッセージのやりとりを、サイト運営業者側の雇った人間(サクラ)が行うサイトのことです。
メッセージのやりとりに必要な有料ポイントを大量に使わせ、ユーザーからお金を取ることが目的なので、実際に異性と出会えることはありません。
女性側から会うことを前提とした連絡が頻繁に来るにも関わらず、実際に会おうとするとはぐらかされてしまう……そんなことがよく起こる場合は、気をつけたほうがよいかもしれません。
そのほかの見分けるポイントとして、利用料金が非常に高額、サイト内の広告がすべて男性向けである、一般の女性誌にサイトの広告を出していない……といったものがあります。
怪しいと思ったら、サイト名でGoogle検索を行い、評判を調べてみるとよいでしょう。場合によっては、過去に訴訟を起こされている所もあります。
もうひとつ、サクラと似た登録者に、キャッシュバッカーというものがあります。
キャッシュバッカーとは、メッセージのやりとりでもらえるポイントを目的として、出会い系サイトに登録している女性のことです。
出会い系サイトの中には、男性からのメールを受信した女性登録者に対し、特定のポイントを渡すものがあります。
このポイントは現金や景品と交換できるため、ただメッセージのやりとりを長引かせるだけのユーザーが登録していることがあります。こうしたユーザーのことをキャッシュバッカーと呼びます。
出会い系サイトは、サイトを使ってくれる女性を増やすためにこうしたサービスを設けているのですが、キャッシュバッカーは出会いではなく換金を目的としているため、男性ユーザーと実際に会うことはありません。
また、キャッシュバッカーより多くのキャッシュバックをゲットするために、短文のメールを何度も送ってきます。さらに、メールの返信がとても早かったり、「その日は予定があって」などと会う約束を何度も拒否してきたりしてくることも特徴です。
こうしたキャッシュバッカーは、法律的には違法行為とはいいづらいので、対策としては「おかしい」と思ったらブロックするなどの方法をとるしかありません。
出会い系サイトのなかには、「キャッシュバックのみを目的とするサイト登録は禁止」などと規約に記載していることもあります。いま使っているサイトにそのような記載があれば、多少は信頼できるかもしれません。
また、そういったキャッシュバッカーを運営に通報し、様子を見るというのもひとつの方法でしょう。
- 他のサイトに登録させられる
出会い系サイトでやりとりを続けていると、「最近このサイトとの接続が悪くて」、「ポイント使っちゃうのがもったいないし、別のサイトに行きませんか」などといって、他のウェブサイトへの登録を誘導してくることがあります。
その誘導先のサイトに登録すると高額な登録料を請求されたり、お金を払うように恐喝されたりする場合があります。
また、facebook、Twitter、婚活アプリなどで知り合ってLINEのIDを交換した後に、「LINEの調子が悪いから、こっちでやりとりをしよう」と言われて詐欺サイトに誘導されるケースも。
LINEのIDを交換すると、相手との信頼関係がある程度築けたような気がしますが、あなたの警戒心のハードルを下げるためにLINEのID交換をしている場合もあるのです。
LINEの交換後に怪しいサイトや商品をすすめられた場合は、詐欺目的のアカウントであることを強く疑ったほうがよいでしょう。
②実際に会ってから騙すパターン
メッセージのやりとりを繰り返し、とうとう実際に会えることになった!
……そんな場合も、まだ安心はできません。顔を合わせてから騙そうとしてくる場合もあるからです。
実際に相手と会ってから行われる詐欺には、大きくわけて3種類のパターンがあります。
- デート商法・結婚詐欺
デート商法とは、仲良くなった異性から、アクセサリーや服、時計、芸術品、不動産などの高価なものを買わされる詐欺のことです。
販売している相手とグルになってあなたに商品を買わせていることが多く、実際には安価な商品を高額で買わされることも。
さらに、ほとんどの場合は購入したあとに相手と連絡がとれなくなってしまいます。
「なにかおかしい」と思ったら、すぐにクーリングオフをしましょう。デート商法のクーリングオフは契約書を交付されてから8日間です。
その間に、クーリングオフで契約を破棄することなどを書いた内容証明郵便を配達証明をつけて相手に送りましょう。
内容証明郵便とは、いつだれがどんな内容の文面を送ったのか、郵便局が公的に証明してくれる郵便です。配達証明はいつ相手に届けたのかを証明するもので、このふたつでクーリングオフの意思表示をしましょう。
このデート商法と似た手口の詐欺が、結婚詐欺です。
結婚詐欺とは、あなたとの結婚をほのめかし、お金を騙し取る詐欺のことです。
よくある流れとしては、出会ってから積極的にアプローチされ、結婚を意識しはじめたころで突然相手が冷たくなるというパターン。
不安に思って相手を追求すると「お金に困っているのでいまは結婚できない」と話され、つい「お金なら貸す」と言って貸してしまうのです。
結婚詐欺もデート商法と同様、お金を引き出された後に突然連絡が取れなくなります。
結婚詐欺の詳しい手口については、この記事でまとめているので参考にしてみてください。
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この人、結婚詐欺師かも?相手を見極める6つの質問で詐欺を撃退!
- マルチ商法、ネットワークビジネス、宗教などへの勧誘
出会いを探していることを装い、自分が行っているビジネスや宗教グループへの契約・入信させることを目的とした詐欺です。
流れとしては、まずカフェなどで相手から将来の夢などを聞き「そのためにはお金が必要だ」「信仰することで新たな未来が開ける」などとして、勧誘を行うことが一般的です。
また一対一ではなく、勧誘に慣れた担当者が出てくることによって、断りづらい空気を出してくることもあります。
こうした勧誘を目的にしている人は、
・プロフィール欄に「恋愛目的ではない」と書かれている。
・職業が「自由業」になっている。
・何かの格言をやけに強調してくる。
・「向上心」「夢」などの話が多い。
・頻繁に何かのパーティへ誘ってくる。
などの特徴があります。
これらの特徴がいくつかあてはまったら、少し注意したほうがいいかもしれません。
もし実際にそうした勧誘を受けた場合は、一刻も早くその場を離れるようにしましょう。間違ってもセールストークに耳を貸してはいけません。
- 恐喝・窃盗
これまでは出会い系サイトで起きる詐欺行為を紹介してきましたが、場合によっては恐喝や窃盗にといったより直接的な被害に巻き込まれることもあります。
例えば、出会い系サイトで知り会った女性とデートをしているとき、突然、交際者や配偶者を名乗る男が現れ「既婚者・未成年に手を出すなんて」という切り口で恐喝してくることがあります。これを美人局といいます。
もしも相手が本当に既婚者や未成年であっても、デート中のあなたがその事実を知らなければ罪には問われません。
恐喝されてもすぐ警察に行けば特に問題はないのですが、「既婚者」「未成年」など、あなたに非があるような口ぶりで責めることで通報しにくいと感じさせ、泣き寝入りを狙ってきます。
特徴として、美人局を目的としている人は、すぐにあなたと会いたがったり、会う場所を細かく指定してきたりすることが多いです。
こうした恐喝だけでなく、デート中、目を離したすきにお金や金品を盗まれることもあるので、自分の荷物は必ず手元に置いておくようにしましょう。
またいざというときのために、録音・録画をしておくのもひとつの手段でしょう。
2.「これって詐欺?」と思ったら……相談できる窓口とその方法
出会い系サイトでやりとりしているだけ、実際に会ってデートしてみただけでは、騙されているのか、それとも本当に出会いを求めている相手なのかをすぐに判断するのは難しい面もあります。
また、「もしかして、騙されてる?」と疑っても、出会い系サイトを使っていることに引け目を感じ、親しい周囲の人に相談することが難しい場合もあるかもしれません。
そんなときに相談できる窓口と、そのステップを紹介します。
①関係している資料などを準備しておく。
相談の前に、まず気になるサイトについて説明するための資料を集めておきましょう。
- サイトに登録したきっかけや登録した年月日
- やりとりしている相手の名前やプロフィール
- 相手とのやり取りの画面(スクリーンショットした画面やページそのものを印刷する)
- これまでの経緯や流れについて書いた紙
- サクラサイトを疑っている場合は出会い系サイトの運営会社の住所
- デート商法や結婚詐欺を疑っている場合は、買わされた商品がわかるレシートや渡した金額がわかる資料
これら以外でも、関係していそうな資料はすべて用意します。
また、口頭で説明するときのために、経緯や時系列をあらかじめ紙に書いて整理しておくといいでしょう。
②消費生活センターや警察署に相談する。
用意した資料を持って、消費生活センターや警察署に相談しに行きましょう。この2カ所は無料で相談に応じてくれます。
これらの機関は専門的な知識も持っており、さらに被害者の相談から、詐欺会社のデータも集まっています。
それらをもとに、あなたの相談を聞いて「これは詐欺だ」と判断したり、問題解決のための助言や各種情報の提供をしてくれたりします。
消費生活センターに相談する場合は電話番号「188」(消費者ホットライン)に、警察署への相談は、生活安全課が対応してくれます。電話相談のときは、#9110に連絡してみましょう。
③明確に犯罪被害にあったとわかったら、警察で被害届を提出する
相談した結果、確実に詐欺などの犯罪被害にあった・あっているとわかったら、警察に行って被害届を出してみましょう。
各警察署には「被害届」が用意されており、自分で書くときもあれば、警察官が書くときもあります。
例えば、恐喝や脅迫の被害にあったときは、警察官が被害状況などをあなたから聞き取って被害届に記入した後、その内容に間違いがなければ、名前や住所を記入して合意するという形になります。
また詐欺の場合、相手が「騙すつもりはなかった」と言い逃れできないよう、お金を渡す理由が嘘だった、というような明確な証拠がないと、被害届を受理してもらえません。
「犯人の明確な素性」「被害額が高額」「被害の詳細」「明確な証拠」などが必要になるので、被害届を出す前に、一度警察署に連絡して、何が必要なのか確認しておいたほうがいいでしょう。
被害届の書式は、どんな犯罪にあったかによって変わってきますが、少なくとも下記の情報は必須となります。
- あなたの住所、氏名、年齢、職業
- 被害にあった日時、場所
- どのような犯罪でどのような被害にあったのか
- 被害にあった金額(品名や時価、特徴なども)
- 犯人の住所や氏名、人相・服装などの特徴(通常、相手の素性が不明でも可)
- そのほか、証拠となりそうな情報
これらの項目をあらかじめ準備してから警察署に行きましょう。
3.もしもお金を払ってしまっていたら? 返金してもらうための3ステップ
警察に被害届を出しても、すぐ捜査に動いてくれるわけではありません。
また警察はあくまで犯罪者を逮捕するだけであり、取られたお金が戻ってくるわけでもありません。
もしすでにお金を支払ってしまい、返金を希望する場合は、法律の専門家である弁護士に相談・依頼をする必要があります。
この章では、返金のために弁護士に相談・依頼する場合の流れについて紹介します。
①消費生活センターで対応可能な弁護士を紹介してもらう。
前の章でも紹介した消費生活センターに相談することで、あなたの被害内容に対応した弁護士を紹介してくれる場合があります。
消費生活センターは、出会い系詐欺や脅迫などの対応を得意としている弁護士の情報を知っているため、「どの弁護士に依頼すればいいのかわからない」という不安を抱くことなく、スムーズに依頼をすることが可能です。
また、お金に余裕がない場合は、
法テラスの規定も確認してみましょう。
通常、弁護士を依頼するときは、着手金や成功報酬など、様々な費用がかかります。しかし、法テラスであれば、収入等が一定額以下であること、勝訴の見込みがないとは言えないことなどの条件を満たすことにより、費用を立て替えてもらうことができます。
②弁護士に依頼して、相手と交渉してもらう。
弁護士に依頼することにより、あなたを騙した詐欺師やサクラサイト運営会社に返金や契約解除について交渉してもらうことができます。
もしも相手の住所がわからなくても、弁護士には戸籍や住民票などの情報を取得できる権限があるので、探してもらうことも可能です。
ただし、弁護士に依頼をする際には、事前に着手金と呼ばれる費用を支払う必要があります。
さらに返金後にも、弁護士が交渉するためにかかった日当や、報酬金(成功報酬)などを請求されるため、実際に手元に戻ってくるのはそれらの費用を差し引いた金額となることに注意しましょう。
特に、着手金は交渉に失敗した場合でも戻ってきません。
弁護士事務所の中には、着手金を無料としているところもありますので、気になる人はそういった事務所を探してみてもよいでしょう。
こうしたサクラサイトによる詐欺被害については、
サクラサイト被害全国連絡協議会などの弁護士団体が訴訟を起こしていることがあります。
③訴訟を起こす。
弁護士と詐欺師・詐欺業者のやりとりがうまくいかないときは訴訟を起こしましょう。
サクラサイトや結婚詐欺などの場合は、集団訴訟も選択肢に入れてもいいかもしれません。
集団訴訟とは、同じ相手から被害を受けた被害者ふたり以上が協力して訴訟を起こすもので、費用を分担したり、証拠を共有したりするというメリットがあります。
サクラサイトの場合、あなただけでなく、複数の被害者がいる可能性が高く、呼びかければ大きな集団となる場合もあります。
詳しくは、集団訴訟のやり方について紹介した記事を読んでみてください。
4.まとめ
- 出会い系サイトを使った詐欺では、大きくわけて、①実際に会わずに利用料などを騙し取る、②実際に会ってからお金を騙し取ったり高額な商品を買わせるという2種の詐欺がある。
- 疑問に思ったら、消費生活センターや警察署など、専門知識を持つ第三者に相談する。
- 詐欺だとわかったら、警察に被害届を出す。さらに弁護士に依頼して相手と交渉してもらう。
おわりに
出会い系サイトを利用した詐欺についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。出会い系サイトを利用するときは、女性誌へ広告を掲載しているような、大手のサイトに登録しましょう。
もしも詐欺被害にあってしまったら、すぐに警察・弁護士に相談しましょう。