英会話スクール解約方法は2種類!交渉がこじれたときの対処法も紹介

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投稿日時 2019年06月17日 13時34分
更新日時 2019年09月03日 16時00分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 英会話スクールの解約をするための法的な手段が知りたい

  • 返金には応じられないと業者に言われて納得できない人

  • 返金に結びつく相談先を教えてほしい人

はじめに

英会話スクールの解約に関わるトラブルはさまざま。

「辞めたいことを申し出たが断られた」「解約はできるが返金はできないと言われた……」など、消費者が納得がいかないものになっていることがあげられます。

英会話スクールの解約は、クーリング・オフ中途解約という制度でを使えば可能で、さらにレッスン料の返還も明確に決められています。

この記事では各手続きの詳細、その後のトラブルの対応策について解説しています。冷静に対処する術を身につけ、業者の理不尽な行為に屈しないようにしていきましょう。

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1.返金手段は2種類!制度利用に必要な手続き



英会話スクールの解約方法は、クーリング・オフ中途解約の2種類です。

どちらも法的に決められていることなので、条件にさえ当てはまっていれば業者が断ることはできません。

それぞれの方法について、以下に詳しく紹介していきます。

①クーリング・オフ

クーリング・オフとは消費者が一度交わした契約を、一定期間内であれば業者の意思に関係なく無効にできる制度です。

  • 適用される条件

    英会話スクールの場合、すべての契約に当てはまるわけではなく、契約期間2ヶ月・契約金額5万円をそれぞれ超えるものです。

    この条件に該当するとき、英会話スクールの契約は「特定商取引法」という法律が定める「特定継続的役務提供」に相当するため、クーリング・オフが可能となります。

    なお適用期限は、契約書を受け取った日から8日間です。受け取った日の翌日からではなく、当日を含むことに注意しましょう。(例:9月1日の受領なら期限は9月8日)


  • 手続きの仕方

    クーリング・オフの手続きは書面で行います。

    「契約解除通知書」という標題
    契約年月日
    契約コース名
    契約金額
    返金期限
    日付
    差出人の住所氏名
    受取人の住所氏名

    これらを記した通知書を相手業者に送りましょう。なお、送るときは必ず内容証明郵便を使ってください。

    ※内容証明郵便
    送った日付や差出人、受取人を公的に証明してくれる郵便のこと。業者の「通知書は届いていない」という言い逃れを防ぎ、訴訟になった場合の証拠にもなる。

    文書作成には次のようなルールがある。

    【縦書きの場合】
    1行20字以内、1枚26行以内
    【横書きの場合】
    1行20字以内、1枚26行以内
    or1行13字以内、1枚40行以内
    or1行26字以内、1枚20行以内
    (出展:日本郵便の定める規定

    以上に従って書いた文書を、業者に送る分・自分の手元に残す分・郵便局が保管する分の計3通を用意し、郵便局に持参する。内容証明の加算料金は、19年6月時点で430円(2枚目以降は260円増)。

    英会話スクールの申込みの際、クレジットカードで支払った場合はカード会社にもクーリング・オフの通知書を送ります。業者がカード会社に連絡しなかったため請求書が来てしまった、ということもあるからです。

    クーリング・オフや内容証明のポイントは、下記でも紹介しているので確認してください。

②中途解約

中途解約は、クーリング・オフの8日間が過ぎてしまっても使える契約解除の方法です。

契約期間2ヶ月・契約金額5万円をそれぞれ超える契約で、契約期間中であれば適用されます。相手業者に、上記でご紹介した内容証明郵便で通知書を送りましょう。

  • 解約手数料について

    中途解約はクーリング・オフと異なり、業者から解約手数料を求められることが大半です。ただし上限が特定商取引法で決められています。

    授業が始まる前 1万5000円
    授業が何回か受けたあと これまでの授業料+5万円もしくは契約残額の20%のどちらか低い金額


2.交渉がこじれたときは?慌てず取りたい2つの行動



クーリング・オフや中途解約の通知書を送っても、悪質な業者の場合は無視をしたり、「損害賠償を請求する」などと言ったりすることもあります。

これらの行為はクーリング・オフや解約の「妨害」とされていますが、個人で対応するのは至難の業。しかるべき専門機関や弁護士に頼るのがいいでしょう。

この章では、相談前に準備しておきたいことをご紹介します。

①業者の対応に不備があったか

まずは業者の対応に下記のようなことがあったかを整理しましょう。

・「必ずできるようになる」など、断定的な表現で勧誘された
・意に沿わないローンを無理矢理組まされた
・契約書を発行してもらっていない
・事前の説明と規約の内容が異なる
・クーリング・オフや中途解約を妨害された

もし当てはまる場合は「その行為が何月何日にあったのか」「そのとき業者は具体的になんと言っていたか」など、第三者にも状況がわかるように客観的な文章でまとめておいてください。

②証拠を揃える

証拠が多ければ、それだけ返金の可能性も高くなります。

下記のものがあったら手元に保管をしておきましょう。

・業者とのやり取りがわかるメール
・講師の発言を録音したデータ
・契約書、利用規約、パンフレット
・金額や割引条件などが書かれた広告
・ウェブサイトに表示されている返金制度などをスクリーンショット


3.いざ相談へ!頼りになる専門機関3つと弁護士の依頼方法



状況の整理と証拠の収集をしたら、速やかに第三者の専門機関に相談をしましょう。

ここでは3つの相談先と弁護士への依頼方法をご紹介します。費用を抑えながら裁判で返金を求める方法も解説しているので、訴訟費用の準備が難しいときの参考にしてください。

①専門機関への相談

  • 消費者ホットライン(国民生活センター)

    各自治体の消費生活センターを紹介するための電話番号です。自分の身近な相談窓口がわからないときに、まず利用しましょう。

    消費生活センターは、業者との間で起きた消費トラブルに対し、専門知識を持つ相談員が解決のためのアドバイスを行っています。

    電話番号:188(局番なし・いやや)
    受付時間:地域による

    回線が混み合っているなどでつながらない場合は、国民生活センターの平日バックアップ相談に連絡してみてください。

    電話番号:03-3446-1623
    受付時間:平日10時~12時 13時~16時


  • 経済産業省消費者相談室

    事業者の特定継続的役務提供に関する相談を受け付けている、経済産業省の窓口です。基本的にあっせんや仲介は行っていませんが、希望にあわせて対応が可能な近くの窓口を案内してくれることもあります。

    電話番号:03-3501-4657
    受付時間:平日10時~16時30分


  • 警察の相談専用窓口

    警察が設置した窓口です。生活中の防犯に関する悩み事などに対して、専門の相談員が対応してくれます。

    緊急性のある被害は「110番」通報ですが、「犯罪に巻き込まれたのかどうかわからない」「こういうときはどうしたらいいの?」といった、安全上の悩みを相談するものです。

    110番通報に相談をすると、緊急性のある通報を受け付けられなくなるので、相談の場合は「#9110」を利用しましょう

    電話番号:#9110
    受付時間:平日8時30分~17時15分(各都道府県警察本部で異なる)

②弁護士に相談

以上のような専門機関に依頼しても、場合によっては解決できないこともあります。その際は、弁護士に交渉するのもひとつです。

適切な弁護士に依頼するには、国が設置している法テラスを利用するといいでしょう。

電話番号:0570-078-374
受付時間:平日9時~21時、土曜9時~17時

下記では、法テラスの制度や申請の仕方について詳しく紹介しています。


自分で探す場合は、弁護士になりすました業者の被害にあわないためにも、日本弁護士連合会(日弁連)のサイト で検索するようにしてください。

③費用の準備が難しい場合

弁護士に依頼をするメリットは、業者と直接交渉をせずに済むので精神的な負担を減らせること。

また交渉がもつれ、仮に民事訴訟で損害賠償を求めることになった場合も、個人では難しい手続きを任せられます。

しかし弁護士の依頼には着手金や報酬金などがかかります。ケースによっては、自分が求めている返金額を上回ることもあるかもしれません。

最後に訴訟費用を抑えながら、返金を求める手段についてご紹介します。

  • 少額訴訟

    少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いに限り行える簡易的な訴訟手続きです。

    弁護士を通さずに起こせるため、必要な費用は5000~1万円程度(訴訟手続に必要な印紙代と裁判所が書類を送るための郵送代)と安く済むのがメリット。

    このほか、裁判があったその日に判決が下るので、短期間に処理を終了できるなどの利点もあります。

    ただ相手業者が判決に対して異議を申し立てた場合、通常の裁判で再び争う必要があり、結果的に出費がかさむ可能性もあるので注意が必要です。

    少額訴訟の具体的な手続きや流れは、下記で詳しく紹介しているのであわせて確認してください。


  • 特別適格消費者団体に依頼

    特別適格消費者団体は、消費者の代わりに業者へ訴訟を起こす権限を持っている適格消費者団体の中でも、返金を請求できる特別な認可を受けた団体です。

    個人よりも交渉力がある、訴訟費用が抑えられるなどがメリットとしてあります。

    ただ不特定多数の被害者の利益を守る、という目的で設置された団体なので、同じ業者から被害を受けた消費者が数十人いるなどの条件を満たさなければなりません。

    特別適格消費者団体を利用する手順や詳しい条件などは、下記を参照してください。


  • 集団訴訟

    同じ業者から類似の被害を受けた人と協力し、裁判を起こすのが集団訴訟で、2人から実行することができます。

    メリットは弁護士費用を仲間同士で分担できる場合がある、ほかの人が持っている証拠で、証拠内容を補えることができる点です。

    集団訴訟をする方法は、すでに立ち上がっている訴訟に参加するか、自分で仲間を集める方法かの2種類があります。以下にいくつか方法をまとめました。

    被害者の会などに参加する ・被害者の会をインターネットで検索
    ・被害対策弁護団に相談
    自分で仲間を集める ・ウェブページの作成
    ・SNS(TwitterやFacebookなど)を活用


    集団訴訟の詳細は、下記でも確認できます。


4.まとめ

  • 英会話スクールの解約は契約してから8日以内ならクーリング・オフ、それを過ぎても中途解約で可能。

  • 業者と交渉がうまくいかなかった場合は専門機関や弁護士に相談する。違法性を問えるような情報整理と証拠集めを。

  • 訴訟の費用を抑える方法はあるがデメリットもある。自分に見合った返金方法を吟味しよう。

おわりに

クーリング・オフや中途解約でこじれる業者の場合、大抵理不尽な言い訳をしてきます。

しかしそれに乗っては相手の思うつぼ。ついかっとなってしまえば、相手から名誉毀損などで訴えられてしまう可能性もあるからです。

無理をせず、すぐに第三者への相談に切り替えるようにしましょう。

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