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適格消費者団体はなにができる?利用できる2つの制度とその申請方法

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投稿日時 2019年01月09日 10時46分
更新日時 2019年09月03日 16時46分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 悪質な業者と契約してしまった人

  • 詐欺的な業者の行為を通報したいと思っている人

  • 適格消費者団体がなにをするところなのか知りたい人

はじめに

適格消費者団体とは、悪質な事業者による被害から消費者を守るために設立された団体のこと。消費者の通報をもとに、悪質な勧誘をやめるよう勧告したり、悪質な契約を取り消すよう求めることができます。

「いつでも解約できると言われたが、さまざまな条件があって解約ができそうにない」

「無料と大々的に広告を打ちながら、実際は有料だった」

そんな被害を受けていた場合、この団体に連絡をすることで、契約金の返還などが行われる可能性もあります。

ここでは適格消費者団体の詳細と、利用の仕方についてご紹介します。

泣き寝入りをする前にまずは動いてみてください。

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1.適格消費者団体とはどんな団体?その概要と業務内容



①適格消費者団体とは?

適格消費者団体は、消費者の利益を守るための団体である消費者団体の中でも、内閣総理大臣から特別の認可を受けた団体のことで、2019年1月現在、北海道から九州まで全国に19団体設置されています。

その趣旨は、悪質な勧誘や不利益を被るような契約から不特定多数の消費者を守ること。トラブルの解決だけでなく、その被害が広がることを防ぐために、一般の消費者団体よりも強い権限を持っていることが特徴となります。

②適格消費者団体にできること

適格消費者団体は「消費者団体訴訟制度」という制度を利用し、消費者の代わりに事業者へ訴訟を起こす権限をもっています。

一般的な民事訴訟は、被害を受けた本人が相手を訴えるのが原則。しかし、消費者が事業者に対して被害を受けた場合、

  • 消費者より事業者のほうが圧倒的に交渉力がある
  • 少額の被害回復の場合だと訴訟にかかる費用や労力に見合わない

といった関係から、消費者が不利な立場になる場合が大半です。

さらに、個別のトラブルを解決しても業者はターゲットを変えて同様の悪質行為を繰り返し行うため、根本的な解決にはつながりません。

悪質業者による被害拡大を防ぐため、個人よりも交渉力のある公的機関が代わりに訴訟を起こすことが必要なのです。

この制度で具体的に行えることは、事業者の法律違反の行為を辞めさせる差止請求と、違法な契約による被害を回復させる被害回復の2つ。それぞれどんなものか、詳しくみていきましょう。

  • 法律違反の行為を辞めさせること(差止請求)

    差止請求は、悪質な誇大広告や契約といった消費者が不利益を被るような行為をしている事業者に対し、その行為をやめるよう請求する行為です。

    消費者の情報を元に、まずは事業者に対して改善の申し入れを行い、拒否された場合には訴訟を行います。

    たとえば、ある英会話教室では、就職活動中の大学生に実際のレッスン内容よりも誇大な情報を伝えて勧誘したほか、契約を断った学生を部屋から出さないといった行為もしていました。

    団体は消費者からの申し出を受けて差止請求を実施。消費者と事業者との和解を成立させ、さらに今後和解内容に反して再び悪質な勧誘行為をした際には、消費者へ支払金を返還することを事業者に約束させました。

    参考:消費者庁 消費者団体訴訟制度 差止請求事例集 p23『 英会話教室の受講契約における不当勧誘行為』


  • 違法な契約による被害を回復すること(被害回復)

  • 被害回復とは、違法な契約によって受けた金銭被害を請求し、被害者に返金する制度のことです。

    これは適格消費者団体の中でもさらに特別な認可を受けた「特定適格消費者団体」だけしか行なえません。

    被害回復までの手続きは、まず団体が被害者に代わって集団訴訟を起こし、その後被害者に被害金額を分配されるという2つのステップで進みます。

    通常の訴訟と違って裁判に勝てるかどうかある程度見通しが立ってから参加するので、訴訟にかかる費用や労力などを大きく抑えられるのがメリットです。

    ただし被害回復で請求できるのは金銭の被害のみ。「契約通りの授業が受けられていたら試験に合格していた」というような逸失利益や、精神的な苦痛に対する慰謝料などは含まれません。

    また、消費者団体訴訟制度はあくまで「不特定多数の被害者の利益を守る」という目的であるため、次のような条件も満たす必要があります。

    ・多数性(被害を受けた消費者が数十人以上いること)
    ・共通性(同じ手口で被害を受けていること)
    ・支配性(ひとりひとりの被害が事実かどうか明確に判断できること)


    以上3つの条件を満たし、かつ返金される可能性が高いときのみに限られるため、実際に訴訟・返金にまで至るケースは稀である点には注意してください。

    この被害回復が初めて適用された例が、東京医科大学による不正入試事件です。

    特定適格消費者団体である『特定非営利活動法人 消費者機構日本』が、当時の受験生3000名以上に代わり、東京医科大を相手に受験料返還義務の確認を求めて提訴に踏み切りました。


2.適格消費者団体に通報するための手順3つと通報後の流れ



適格消費者団体の利用方法は、被害の通報のみです。自分から団体に訴訟を求めることはできません。

この章では通報の方法や注意点について紹介していきます。

①通報できること

適格消費者団体に通報できるのは、「消費者契約法」「景品表示法」「特定商取引法」「食品表示法」に違反する行為に対してです。

具体的には、

  • 本当は有料であるのにホームページ上では無料と謳って購入を呼び込む勧誘行為
  • 「事業者に非がある場合でも、事業者は責任を負わない」など、禁止された条項のある契約
  • 実際は1クラス50人ながら少人数制と表示するような誤認表示

などが該当します。

②通報の手順


まずは最寄りの適格消費者団体、または特定適格消費者団体を探しましょう。

通報の方法には、電話、またはメールの2つがあります。

  • 電話

    各団体のホームページに記載されている窓口の番号に電話をかけ、被害状況を通報しましょう。受付の時間帯が団体によって異なるので注意してください。


  • メール

    こちらも各ホームページに記載。ただし設置されていない団体もあります。団体が用意しているフォーマットに入力して送る場合もあるので、詳細を確認するようにしましょう。


③通報の際に確認すべきこと

適格消費者団体に通報する際には、わかる範囲でかまいませんので、以下の情報を事前にまとめておくとスムーズです。

  • 事業者とどのような契約を結んだか
  • 不当と思われる行為や条項は何か
  • 契約時に、事業者は何と言っていたか
  • 不当であると申し出たとき、事業者はどのような対応をしたか

例:「通信販売で買った商品が破損していたが、契約内容に『いかなる場合でも返品・返金は受け付けない』と書かれており、連絡しても返金されなかった」

事例によっては迅速な解決のために、氏名や住所などが聞かれる場合もあります。

④通報後の流れ


  • 差止請求の場合

    差止請求では、適格消費者団体が消費者からの情報提供などからまず被害情報の調査を行います。その後団体が事業者に対して業務改善を申し入れ、交渉が成立しなかった場合には裁判所に提訴するという流れです。

    通報後は消費者が何かをする必要は特にありません。消費者庁のウェブサイトに結果の概要が公表されるので確認するようにしましょう。


  • 被害回復の場合

    被害回復は、まず「特定適格消費者団体」が事業者側に提訴します。

    裁判によって勝訴判決や和解となり、事業者側の責任が確定した場合は、団体が裁判所に返金手続きをする申し立てを行います。その後対象となる消費者へ、手続きをする旨を通知します。

    消費者は通知が届いたら速やかに特定適格消費者団体に連絡し、手続きに参加することを伝えてください。

    ただしこの通知を利用した架空請求詐欺なども存在するので、消費者庁のウェブサイトを見る、消費者ホットライン(188)に電話するなどして、本物の団体の通知かどうかを必ず確認するうようにしましょう。

    なお、団体が被害を確認できていないと通知が届かない場合があります。通知がなくとも参加は可能なので、呼びかけている情報を見たらすぐに団体に連絡してください。

3.ほかにもある!悪質業者に返金してもらうための制度4選



「消費者団体訴訟制度」以外にも、消費者を守る制度がいくつかあります。

ここではそれぞれの制度の特徴と、「どのようなケースで使うべきなのか」を説明します。

①国民生活センター

国が設置する独立行政法人である国民生活センターの紛争解決委員会に依頼し、ADR(裁判外紛争解決手段)というサポートを利用する方法です。

ADRでは裁判を行わない形で解決に導く手段のため、費用や時間がかからないのがメリット。「訴訟を起こすと負担が大きい……でも泣き寝入りしたくない」というときには相談してみましょう。

また弁護士のほかに医療や建築など各分野に精通した委員によってADRは行われるので、専門的な相談にも向いています。

ただし国民生活センターによるADRが利用できるのは、「重要な消費者問題である」と判断される場合に限られます。そのほかの具体的な内容については、下記の記事も参考にしてください。



②振り込め詐欺救済法

銀行振込で代金を支払った場合は、振り込め詐欺救済法を使う手段もあります。

利用する際には、事業者の口座がある金融機関に凍結してほしいと連絡をします。また警察へ被害届の提出が必要です。

金融機関は連絡を受けると、口座の名義人(持ち主)が預金を自由に扱えなくする消滅手続きを開始します。その間事業者から何の連絡もない場合は返金手続きとなり、申請した消費者の口座にお金を振り込まれるという流れです。

ただし、また口座凍結から返金開始までには数ヶ月かかり、また必ずしも全額戻ってくるとは限りません。明らかな詐欺ではない場合は凍結がされないこともあります。

実際に制度を利用する方法については、下記も参照してください。



③個人での訴訟

特定適格消費者団体などに任せず、個人で訴訟するのもひとつの方法です。

事業者に支払ったお金を取り戻す以外に、場合によっては消費者団体訴訟制度では請求できなかった逸失利益慰謝料なども請求できるのが特徴。同様の被害を受けた消費者を募る期間がないため、団体による訴訟よりも比較的早く手続きが進められるのもメリットです。

訴訟するときは、事業者の住所地を管轄する簡易裁判所に訴状などの必要書類を提出します。訴状を受け取った裁判所が裁判の日を設定するので、それまでに証拠書類や証人の準備をしましょう。

個人での訴訟は、事業者の交渉力などを考えると弁護士に相談するのがセオリーです。ただしその場合は最低でも20万円以上はかかるので、被害額と比べながら慎重に選択する必要があります。

④集団訴訟

集団訴訟は、同じ事業者から被害を受けた人同士が協力して訴訟を起こすというものです。

裁判の費用を参加者で分担してひとりひとりの負担を減らせるので、費用に不安のある人に向いています。また参加者の証拠を共有できるので、自分の持っている証拠が少ないときでも裁判を有利に進められます。

ただ被害者の数だけひとつひとつの訴訟を裁判で検証するため、判決が出るまでに数年以上かかる場合が大半です。裁判の途中で和解が成立することも多いのですが、時間を要することは念頭に置いておきましょう。

集団訴訟については、下記でも詳しく紹介しています。



4.まとめ

  • 適格消費者団体(および特定適格消費者団体)は、不特定多数の消費者を悪質な業者から守るための団体。消費者に代わって事業者に悪質な行為をやめさせる「差止請求」や、被害者が失ったお金を代わりに請求する「被害回復」といったことを行う権限を持つ。

  • 利用方法は通報のみ。必ずしも対応してもらえるわけではないことに注意。消費者庁のウェブサイトや団体からの通知を見落とさないようにしよう。

  • 「消費者団体訴訟制度」以外にも、振り込め詐欺救済法を利用した返金制度など、さまざまな手段があるので検討してみよう。

おわりに

本来、消費者と事業者は対等な立場にあるべきです。

不当だと思われる事業者の行為はきちんと団体に報告し、泣き寝入りをしないようにしましょう。
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