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法テラスとはどんなところ?利用できる制度と申請手順のポイント3つ

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投稿日時 2018年12月26日 19時24分
更新日時 2019年09月05日 12時24分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 法テラスを利用したいが、方法がわからない人

  • 無料相談を申し込むための手順を知りたい人

  • 法テラス利用のメリット・デメリットがあれば知りたい人

はじめに

「法テラス」(日本司法支援センター)とは、法律相談を身近にする場として国が設立した支援施設です。

「法律トラブルを相談したいが、どうしたらよいかわからない」
「経済的な理由で弁護士などへの相談が難しい」

そんな人のため、情報提供や訴訟費用の援助サービスなどを提供しています。

しかし、このようなサービスが誰でも無料で利用できるわけではない……ということはあまり知られていません。

実際にはどのようなサービスがあり、利用方法や費用はどうなっているのでしょうか。この記事で詳しく解説していきます。

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1.法テラスは何ができる?提供している6つの業務



「弁護士や司法書士を探したいけれど、どうやって探せばいいのかわからない」「法律相談をしたいけれど、経済的に苦しい」といった問題を抱えているとき、心強い相談先になるのが法テラスです。

なんのために設立されたのか、まずはその概要や支援内容をみていきましょう。

①法テラスの概要

法テラスは正式名称を「日本司法支援センター」といい、国民の身近な法律トラブルの相談窓口として、法務省が2006年に設立した公的機関です。各都道府県に1ヶ所または複数の窓口があり、全国どこでも利用することができます。

主な業務は、相談に応じた弁護士や司法書士の紹介。そのほか、場合によっては消費者団体など専門的な関係機関を紹介することもあります。

また経済的な理由で弁護士を依頼するのが難しい人にも法律の支援をすることが理念にあるため、一定の条件を満たす人へ費用面での支援も行っています。

②法テラスの主な業務

法テラスの主な業務は下記の6つです。

  • 法制度や専門団体の紹介

  • 経済的理由による相談費用の扶助

  • 法律サービスが身近にない地域の窓口

  • 被害者の支援や苦痛の回復・軽減

  • 刑事事件の被告人への弁護士指名

  • 公共団体からの委託業務

それぞれ説明していきましょう。

  • 法制度や専門団体の紹介

    「情報提供業務」といい、利用者から受けた相談をもとに、必要な法制度や消費者センター、弁護士会や司法書士会、地方公共団体などの相談窓口を紹介するものです。
    法テラスの地方事務所のほか、電話やメールでの連絡も受け付けています。窓口への連絡方法については、次の2章で説明します。


  • 経済的理由による相談費用の扶助

    「民事法律扶助業務」といいます。経済的理由で法律相談が難しい人のための制度で、無料または費用を立て替える形で対応します。日本国民または日本国内に住所があり、合法的に在住する外国人が対象で、法人や組合は対象になりません。

    無料になるには収入面などの審査があり、条件を満たす必要があります。こちらも2章で詳しく説明します。


  • 法律サービスが身近にない地域の窓口

    「司法過疎対策業務」といい、法律家が少なかったり、法律サービスへのアクセスが難しかったりするなどの「司法の過疎化」が起こっている場所に地域事務所を設置し、弁護士が常駐するようにしています。法律家の不在により、トラブルの解決が困難にならないようにしていくことが目的です。


  • 被害者の支援や苦痛の回復・軽減

    「犯罪被害者支援業務」といいます。犯罪の被害者になってしまった場合、様々な苦痛が伴うことがあります。これを軽減・支援するための団体や機関と提携し、必要な相談窓口を紹介したり、法律相談のための弁護士を紹介したりします。
    犯罪被害者のための支援ダイヤルは下記のとおりです。

    0570-079714(なくことないよ) または 03-6745-5601(IP電話対応)
    受付時間:月~金:午前9時~午後9時、土:午前9時~午後5時



  • 刑事事件の被告人への弁護士指名

    「国選弁護等関連業務」といいます。刑事事件で身柄を拘束されている被疑者・被告人が自身で弁護士を依頼できない場合に、法テラスが裁判所などの求めに応じて、当番弁護士を選任できる制度です。民事訴訟(離婚や債務処理など)にはこの制度を適用できません


  • 公共団体からの委託業務

    「受託業務」といいます。国や地方公共団体、非営利法人などからの委託業務です。日本弁護士連合会(日弁連)などの団体からの業務を請け負っています。


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2.利用・依頼の方法と費用について3つのポイント


この章では、法テラスを実際に利用する際の準備や手順について紹介をしていきます。

あわせて、弁護士に相談するお金がない際に利用できる「民事法律扶助」についても解説していきますので、弁護士に相談するお金がないという方も目を通してみてください。


①事前準備と4つの相談窓口

  • 依頼の際に準備したいこと

    法テラスを介した弁護士との法律相談は、1回あたり30分程度、1つの問題につき3回まで、と上限が決められているため、要点をあらかじめ整理しておかないと時間切れになってしまう可能性があります。

    事前に下記3点についてまとめておくようにしましょう。

    ・相談したいこと(トラブルによってどうなってしまい、この先どうしたいのか)
    ・経緯を時系列でまとめたメモ(いつ、どのようなことが起きたか)
    ・関係する書類など証拠となり得るもの

    証拠については、少しでも関係がありそうなものを全て持っていく方が確実です。どのようなものが証拠として有用なのかは一般的に判断がつきにくいものもあるため、選定を弁護士に任せた方が安心です。

    相談者が高齢または身体が不自由であり、遠隔地に在住する場合は、出張相談ができる場合もあります。また、当事者の認知機能が十分でないときも特定援助対象者法律相談援助制度という支援があり、出張を求めることができます。利用する場合は、本人以外に状況を説明できる支援者が同席するようにしてください。

  • どこから相談する?窓口4つ

    相談する際は、電話、メール、対面相談、弁護士からの持ち込みの4つの方法のいずれかを利用しましょう。
    電話窓口
    0570-078374(おなやみなし) または 03-6745-5600(IP電話対応)

    受付時間:月~金:午前9時~午後9時、土:午前9時~午後5時

  • 電話相談は、あくまでもオペレーターが相談内容に応じた法制度や手続きなどのアドバイスを紹介するに留まります。弁護士などと個別の相談を行うものではないので注意しましょう。この相談は通話料や通信費のみでできます。

    メール窓口
    ここからメール受付フォームに記入しましょう。24時間相談を受け付けていますが、土日祝日や年末年始は回答が遅くなる場合があります。

    対面で弁護士または司法書士に個別の相談をするここから自分の身近なセンターを探してみるといいでしょう。事前予約が必要ですので、利用するセンターに問い合わせしてみてください。メールでの予約はできません。

    登録弁護士からの持ち込み(法テラス制度利用):法テラスに登録している弁護士が依頼を受ける際、法テラスの料金制度を利用して受任できます。

    自分に合った相談先がわからないときは、相談窓口検索も利用してみましょう。

  • 弁護士会に依頼するのとはどう違うの?

  • 日本弁護士連合会(日弁連)も全国にネットワークを持ち、法律相談を受け付けています。ネットや電話で予約ができることは法テラスと同様ですが、費用は各弁護士会によって異なり、無料の場所もありますが、おおむね30分5000円程度を目安としています。

    また、日弁連では中小企業向けの相談窓口なども設けており、個人以外に法人も利用できます。

 

②無料相談や費用の立替えを利用する際のポイント

前の章でも紹介したとおり、法テラスを通じて「民事法律扶助」という制度を利用することにより、費用がない人でも弁護士のサポートを得ることができます。

実際に行えることは、無料での法律相談と弁護士費用の立て替えの2つ。

しかし、この制度を利用するためには一定の条件を満たさなければなりません。

  • 民事法律扶助を受けるための条件

    具体的には下記の3つです。

    1. 収入が一定額以下であること(下記の表を参照)
    2. 勝訴の見込みがないとは言えないこと
    3. 報復などを目的とせず、民事法律扶助の趣旨に適すること

    無料の法律相談のみであれば、1と3の条件を満たせば受けられます。

    弁護士費用の立て替えを利用するには、上記3つの条件を全て満たす必要があります

    1については、収入(給与などの手取り額)、および資産(不動産や株など)の額が一定以下であることが条件になります。

    基準は家族構成や住所によってかわってきますので、後程くわしく説明します。

    2の「勝訴の見込みがないとは言えない」とは、つまり「勝てそうな案件なら引き受けられる」ということなので、100%相談者に責任があるケースなど、明らかに相談者が不利になりそうな案件は、受任を見合わせられることが多いでしょう。

    また3については、解決を目的とせず、相手への報復や自分の宣伝のために訴訟を起こすといった場合は許可されません。


  • 制度を利用するための収入基準一覧

    では、具体的にどの程度の収入・資産であれば、費用の援助を受けられるのでしょうか。 法テラス公式ウェブサイトの資料をもとに、下記のとおりまとめました。


    人数 手取り月収額の基準 家賃または住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額
    1人 18万2000円以下
    (20万200円以下)
    4万1000円以下
    (5万3000円以下)
    2人 25万1000円以下
    (27万6100円以下)
    5万3000円以下
    (6万8000円以下)
    3人 27万2000円以下
    (29万9200円以下)
    6万6000円以下
    (8万5000円以下)
    4人 29万9000円以下
    (32万8900円以下)
    7万1000円以下
    (9万2000円以下)

    参考:法テラス公式ウェブサイト

    ※相談者および配偶者の手取り月収額(賞与含む)が上記の基準を満たしていることが必要です。離婚訴訟など配偶者が相手方となるときはこの限りではありません。また、同居家族の収入は合算されることがあります。また()内の数字は、東京・大阪など生活保護一級地の場合です。


    人数 資産合計額の基準
    1人 180万円以下
    2人 250万円以下
    3人 270万円以下
    4人以上 300万円以下

    ※相談者に不動産(自宅または係争物件以外)や有価証券などの資産がある場合、その時価と現金の預貯金の合計が上記の基準を満たしていることが必要です。ただ、無料法律相談の場合は現金および預貯金の合計額のみで判断されます。

    自分が民事法律扶助の条件に合致しているかどうかは、 法テラス内の専用ページから確認することも可能です。

  • 審査に必要な書類

    給与明細、課税証明、生活保護受給証明など、収入・資産を証明する資料のほか、相談する案件に合わせて別途下記の資料が必要となります。
    相談内容 必要なもの
    多重債務 債務一覧表
    離婚・遺産分割 戸籍謄本
    交通事故 交通事故証明書・診断書
    医療過誤 診断書

    参考:法テラス公式ウェブサイト



③注意!立て替えた弁護士費用は返済が必要

法テラスを通じて弁護士費用の立て替えを行った場合、返済が必要であり、事実上の借金になることは覚えておきましょう。

返済は契約を交わして2ヶ月後から始まります。原則は金融機関の口座引き落としで、契約書などに記載してあります。引き落とし手数料は相談者持ちになりますので、返済額に手数料を加えた金額以上が残高に入金されている必要があります。

勝訴した場合は、相手方から支払われた損害賠償や慰謝料などの資金から、着手金や報酬を差し引きします。

双方で取り決めた通りに返済が行われなかった場合は、「コンビニ支払い用紙送付」「電話」「手紙」「裁判所への支払い督促調停の申し立て」等の措置がとられますので、必ず返済が滞らないようにしてください。

ただし、新たに生活保護を受給することになったなどの場合は、支払い猶予や免除が認められることもあります。

3.法テラス依頼のメリット・デメリット



それでは、ここまで述べてきた法テラスのメリットとデメリットをまとめてみましょう。


①メリット

相談したくてもすぐにまとまった費用が用意できないときで、収入や資産の条件に合致すれば心強い味方になってくれます。また、身近に弁護士事務所など法律相談ができる場所がない地域では、頼れる公的サービスです。


②デメリット

  • 時間がかかる

    審査があり、受任手続きに時間がかかるため、早期解決が難しい場合があります。

    例えば債務整理を依頼する際、受任されるまでの間にも取り立て連絡が来てしまうものの、審査待ちで正式な受任契約をする前では「弁護士に依頼中」とも言いづらい……といったケースがあります。

    審査はおおむね2週間前後かかるといわれていますが、個人差があり早く受任されるケースもあるようです。


  • 審査がある

    資産が一定以上ある相談者は、無料での法律相談ができません。あくまでも経済的に依頼ができない人のための制度です。


  • 弁護士を自分で選べない

    法テラスは相談者が弁護士を選んだり、指名したりすることはできません。法テラス側から選任します。また、個別の弁護士紹介は受け付けていません。

    自分で弁護士を選びたい場合は、法テラスと契約している弁護士を探して相談し、民事法律扶助を申請する必要があります。

    県によっては契約弁護士・司法書士の名簿を法テラスの地域ページで公開していることもありますが、全都道府県が対応しているわけではありません。


③どんな場合に利用すべき?

これまで述べたメリット・デメリットを考えると、

  • 身近に頼れる法的サービスがない

  • ある程度なら時間がかかってもいい

  • 受任弁護士にこだわりはない

  • 収入条件に合致している

  • 報復などの目的ではなく、勝訴の見込みがある

といった相談者には法テラスの利用が適しているでしょう。

自身の条件とも照らし合わせて、利用を考えてみてください。

4.まとめ

  • 司法の支援が薄い地域にも拠点はあるので、身近な法テラスを探してみましょう。


  • 費用の立て替え制度はあっても、後に返済義務があるので注意。督促も来ます。


  • 自分にとってのメリット・デメリットを見極めましょう。法テラスが最適とは限らず、個人で探した方がいい場合もあります。


おわりに

法的支援から遠い人にも手を差し伸べられるように設立された法テラス。上手く利用できれば心強い味方になってくれるでしょう。

最後に、法テラスの弁護士を名乗ったり、法テラスあてに送金を求める架空請求詐欺も発生しており、法務省などが注意喚起をしています。

身に覚えのない金銭の要求や弁護士からの連絡があった場合は、すぐに金銭を支払わず、まず法テラスに確認をするようにしましょう。返金の督促で支払う場合は、法テラス以外の事務所などが支払先になることはありません。

SMSなどで連絡が来るときは、ワンクリック詐欺にも注意するようにしてください。




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