この記事は以下の人に向けて書いています。
- バイナリーオプション業者に入金したが、返金されない人
- 利用したバイナリーオプション業者が詐欺である疑いが強まり、相談先を探している
- バイナリーオプション詐欺の返金事例が知りたい人
はじめに
相場の値動きを予測して取引をする
「バイナリーオプション」。
少額でも投資することができるとして人気があることから、SNSやインターネット広告を利用して「なにもしなくても月〇万円稼げる」などとノウハウや自動化ツールを高額で販売したりする詐欺行為が横行しています。これらの多くは金融庁への無登録の海外事業者や架空の事業者などによるものです。
大金を投じたのに効果も利益もなかった場合、
返金するにはどうしたらいいのでしょうか。
この記事では、返金の手続きや相談について解説していくほか、経産省などが公開している返金に成功した事例を紹介します。
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1.返金はまずここに相談を!成功事例3つも紹介
「騙されたかも」と気が付いたら、
一刻も早く返金に向けて動きましょう。
業者に不審な点を問い合わせても返信がないまま連絡が途絶えてしまう、「弁護士と相談している」「返金までは時間がかかる」と言われたまま数ヶ月放置……となって問題が発覚するケースもよく見られます。
それでは、返金のための手順と方法を紹介していきましょう。
①証拠を集めておこう
被害者からよく聞かれるのは
「連絡が途絶えた」という嘆きです。
業者が証拠を消してしまう前に、なるべく早く動き始めるようにしましょう。
できれば揃えておきたい資料は以下の通りです。
- 業者の連絡先
URL、LINEやSNSなどのアカウント、連絡に使った住所や電話番号などがあるといいでしょう。
- 業者との連絡の記録
メールやチャットの記録をスクリーンショットで保存しておきましょう。
チャットは、相手がアカウントを削除してしまうと会話が復元できないことがあります。消される前に記録を取りましょう。
- 最初に投資を決めたり、入会したりするきっかけとなった広告
ネット広告は画像を保存するほか、サイトに掲載された状態のスクリーンショットも撮っておきましょう。
「必ず儲かる」「配当〇万円が確実に入る」などの文言があれば、それもわかるようにしておきましょう。不確定な事実を断定していたり、虚偽の内容であったりすれば、誇大広告の一環として訴訟の際にも必要になってきます。
- 支払いをした記録
クレジットカードや銀行のATMなど、支払い明細や通帳の記録があれば手元に残しておきましょう。被害額の証明になります。
②振り込め詐欺救済法を使う
「振り込め詐欺救済法」は、詐欺事件に使われた相手方の銀行口座を凍結し、残高を被害者に分配できる制度です。名前で誤解しがちですが、振り込め詐欺だけに適用されるわけではなく、
投資詐欺でも利用できます。
金融機関の振り込みを利用して支払ってしまった場合はこちらの手段を検討しましょう。
本人確認書類や振り込みが確認できる明細を準備し、
振込先の金融機関へ連絡します。
このとき、同時に
警察への被害届が必要になりますので、警察へも忘れずに行くようにしてください。
被害届の出し方はこちらで解説しています。
振り込め詐欺救済法について、詳しくはこちらの記事を参照下さい。
③クレジットカード会社に連絡
クレジットカードで購入した商品に問題があった場合、支払った業者がすでに金融庁から警告を受けていた場合などは、クレジットカード会社が自主的に支払いを止めているケースもあり、そうした場合は返金の可能性が高まります(後述の事例を参照)。
1回払いの場合は、
「チャージバック制度」を利用しましょう。
カード会社に連絡をし、①で揃えた証拠を元に請求内容に異議があることを申立てます。
これによりカード会社側から事業者へ確認が入りますが、事業者側が認めない場合もあります。最終的にカード会社が返金の可否を判断します。
このほか、
「支払い停止抗弁」という手続きもあります。購入金額が4万円以上(リボルビング払いの場合は3万8千円以上)の分割払いが対象なので、翌月1回払いでは制度を利用できません。
こちらの書類に必要事項を記入し、カード会社に送付しましょう。
詳細はこちらの記事を参照下さい。
④返金された事例はクレカ払い
クレジットカード支払いの場合は、
返金の事例があります。
経済産業省や消費生活センターなど公的機関が発表している例を見てみましょう。
- 事例1
SNSの投稿を見てバイナリーオプションを知り、業者を通じて口座を開設。クレジットカードA・B2枚を使って合計40万円をバイナリーオプションに投資しましたが、口座からの出金が不能に。
調査の結果、業者は金融庁が警告する無登録業者であることが判明。返金を求めて消費生活センターに相談し、カード会社A・B2社に支払い停止の抗弁へ。
2社とも決済代行業者へ連絡するよう要求。決済代行業者は金融庁の警告を把握しており、自発的に業者への資金支払いを止めていたことが判明。支払いは全額取消になりました。
(参照:2014年10月7日・経済産業省『クレジットカード取引に関する被害の実態とクレジットカード会社・決済代行業者等の対応について 』)
- 事例2
SNSでバイナリーオプション取引を知り、業者を見つけて口座を開設。クレジットカード決済で10万円を支払って外貨取引を何度か繰り返したものの、損失が出てしまったため解約をしようとしたところ、業者からメールの返信が途切れてしまいました。
サイトは日本語だったものの、事業者は海外にあり、無登録。資金はクレジットカード会社を通じて返済されました。
(参照:2015年2月15日・名古屋市消費生活センター『バイナリーオプション取引』)
- 事例3
「簡単に登録できる。誰でも儲かる」という広告にひかれてバイナリーオプション取引を開始。レートの動きが不自然なため、ネットで調べたら金融庁が警告している無登録業者であることがわかりました。
消費者センターが本人に、カード会社と決済代行業者へ「無登録業者であれば契約をしなかった」と書面で連絡するよう助言。全額取消処理をされたということです。
(参照:2014年12月17日・愛知県兼任生活部県民生活課『消費者トラブル情報』)
詐欺で取られた資金を返金するには、こちらの記事も参考にしてみてください。
2.ひとりで解決するのは難しそう…そんなとき相談できる場所はこの3つ
「返金手段はわかったけれど、ひとりで手続きをするのは大変そう。家族や友人知人に相談するのは避けたいし……」という不安を持つ人は少なくないでしょう。
たとえ信頼できる人であっても、詐欺業者との紛争を解決するのは、一般的に困難です。さらに、金銭問題は被害者と相談を受けた人の間で
感情面でのトラブルも起こりがちです。
そのような場合は、速やかに問題解決の専門家がいる公的機関で相談をしましょう。早期であればそれだけ紛糾を避けられます。
①国民生活センター(全国の消費生活センター)
消費サービスでトラブルがあった場合は、まず
ここに相談をしてみましょう。
消費生活センターは全国の自治体に設置してあります。
電話番号:消費者ホットライン・局番なしの「188」(いやや)
受付時間:自治体ごとに異なります
平日に繋がらない場合は、
平日バックアップ相談
電話番号:03-3446-1623
受付時間:10~12時、13~16時
こちらの記事も参照してみて下さい。
②金融サービス利用者相談室(金融庁)
金融サービスに関する一般的な質問や相談を受け付けています。
ただし、トラブルに関しての具体的な解決やあっせんに直接動くわけではなく、関連する機関などを紹介するにとどまります。
受付時間:平日10~17時
電話番号:0570-016-811
IP電話:03-5251-6811
ウェブサイトでの受付:
こちら
詳しくは
金融庁のウェブサイトを参照ください。
③適格消費者団体に相談してみる
適格消費者団体は、消費生活や法律の専門家(弁護士など)が所属し、事業者に対して消
費者が受けた不当な勧誘や契約などをやめるよう求める(差止請求)ことができる団体です。
・事実でない内容の勧誘
・不当な契約
・実際よりも優れた内容に見せかけた表示
などをやめるよう求め、被害の回復を業者に求めることが可能です。
ただし、個別案件の救済や問題点への回答は行っていないことがあります。その場合は、国民生活センターへの相談などに切り替えましょう。
団体は各地域にあるため、
こちらを参照してください。
適格消費者団体については、こちらの記事で詳しく説明をしています。
④返金をうたう詐欺業者に注意!
被害相談サイトや被害者の会などを装い、「詐欺で取られたお金を取り戻します」と称して、
手数料や個人情報などを騙し取る手口があります。
ネットや口コミで見つけた
素性のわからない業者に自分からアクセスをしたり、相談したり、個人情報を公開したりしないよう心掛けましょう。
また、詐欺業者がすでに被害者の個人情報を入手している場合は、それを利用して
別の業者から連絡がきたり、ダイレクトメールが届いたりする可能性も。
見知らぬ業者からの連絡は全て無視し、公的機関や弁護士を頼りましょう。
3.法的手段の強い味方!弁護士に相談する方法3つ
ここまでの相談で上手く解決しなかった場合は、弁護士に相談をしてみましょう。
訴訟の前段階の業者相手の返金交渉や被害届の提出などでも、法的手段に基づいて解決策を一緒に考えてくれる存在です。
最初の相談は時間が決められていることもあるため、1章で集めた証拠のほか、被害の状況や経緯を簡単にまとめたものを準備してから相談を申し込むと効率がよくなるでしょう。
相手が日本国内の業者で住所などが判明していれば、返金について民事訴訟を起こすことができます。
①弁護士はどこで探すの?
弁護士を探すには、
日本弁護士連合会(日弁連)のサイトから探してみましょう。相談は一度で解決しないこともあるため、身近で通いやすい場所にある弁護士事務所の方がなにかと便利です。
これについては、全国にある
地域の弁護士会が、法律相談会を行っている場合がありますので、そちらで探してみるのもいいでしょう。
一般的には弁護士への依頼は無料ではなく、相談の段階から費用が掛かる場合がありますので注意をしましょう。
費用の目安がどのくらいかわからない場合は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
②被害にあってお金がない場合はどうする?
「資産が少なかったのに詐欺にあってしまい、手持ちがない」という場合は、
法テラス
で、費用の立て替え相談が可能です。
法テラスの利用方法については、こちらで解説しています。
③自分のほかに被害者はいるの?集団訴訟の探し方
同じ業者が組織的に行っている詐欺であれば、
自分以外にも被害者がいるかもしれません。
そのような場合は、すでに消費者被害の弁護団などから
集団訴訟が立ち上がっている可能性もあり、一から自分で訴訟を起こすより、そちらに参加をしてもいいでしょう。
ひとりでは揃わなかった証拠や相手方の連絡先などが判明していたり、弁護士が事情を把握済であったりするのは心強いはず。
また、訴訟費用を頭割りできたりするので、ひとりでの訴訟よりも費用が安く済むこともあるため、「被害額が少ないから訴訟は赤字。泣き寝入りするしか……」というケースを防げます。
4.まとめ
- 詐欺の疑いが判明したら、連絡がつかなくなる前に証拠集めを。
- 国民生活センター(消費者センター)など公的機関への相談が安心。
- 法的な解決を試みるなら弁護士に相談を。集団訴訟を探してみるのもいいでしょう
おわりに
SNSなどを通じ、事実上不可能な「確実な儲けを約束する」詐欺が後を絶ちません。
被害にあっても返金できる手段は残されているかもしれませんので、ぜひ、早めに専門家や公的機関への相談を進めてください。
なお、バイナリーオプションについては下記の記事も参照ください。
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