この記事は以下の人に向けて書いています。
- 情報商材詐欺にあったので集団訴訟を起こしたい人
- 集団訴訟のメリット・デメリットを知りたい人
- 集団訴訟以外の解決方法をあわせて知りたい人
はじめに
集団訴訟は、同じ加害者から被害を受けた人と一緒に訴訟を起こす方法。
「セミナーに参加したときに高額商材を買わされた」
「成功確実と言われたSNSの広告を見て購入してしまった」
そんなときはほかにも被害にあっている人がいる可能性が高く、集団訴訟が被害回復のための有効な手段となるでしょう。
この記事では集団訴訟のメリット・デメリット、手続きの方法をご紹介します。着実に解決を目指す参考としてください。
1.集団訴訟を起こす!その前に知っておきたいメリットとデメリット
情報商材詐欺に対して訴訟を起こす前に、集団訴訟のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
メリット |
・費用の負担を減らせる
・証拠が集まりやすい
・相手にプレッシャーを与えられる |
デメリット |
・時間がかかる
・運営が難しい |
以下、それぞれご紹介します。
①集団訴訟のメリット
- 費用の負担を減らせる
集団訴訟では、個人で訴訟を起こしたときと比べてひとりあたりの費用の負担を減らせるのが一般的となっています。
個人の場合、弁護士に依頼して裁判を起こすとなれば事前に着手金を支払わなければなりません。
加えて賠償金が戻ってきてから支払う報酬金、書類や訴状などの作成費用、裁判所までの交通費なども必要になってきます。
これらから、訴訟は最低でも20万円前後かかるのが相場です。場合によっては情報商材の購入金額を上回ることもあるでしょう。
しかし集団訴訟なら参加者全員で訴訟費用を分担でき、支払の負担を減らせる可能性があります。
基本的な弁護士費用の種類や相場については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
- 証拠が集まりやすい
情報商材を使った詐欺は、購入後に詐欺だと気がつくことが多く、証拠がほとんど残っていないこともしばしば。
仮にメールのやり取りなどが残っていたとしても、それだけでは情報が足りなかったり、証拠としては不十分であることもあります。
集団訴訟は同じ性質の訴訟をひとつにまとめる制度のため、ひとりの被害者の証拠を全員で共有することが可能。
被害者の人数分だけ証拠が集まり、裁判を有利に進められる可能性が高くなります。
- 相手にプレッシャーを与えられる
詐欺業者に大きなプレッシャーを与えられるのも集団訴訟のメリット。
被害者が集まって大きな団体となることで、こちらの要望にすんなりと応じてもらえる可能性が高まります。
また弁護士が被害者の情報を集約して相手と交渉してくれるので、個々人の精神的な負担も軽くできます。
②集団訴訟のデメリット
- 時間がかかる
集団訴訟の大きなデメリットは、解決までに時間を要すること。
人数が増えれば被害者の意見を調整したり、証拠を整理するための時間が必要になってきます。
個人での訴訟だと数ヶ月から1年で終わる内容でも、集団訴訟だと3年から5年以上かかることが大半です。
- 運営が難しい
裁判が長引くことで被害者の間にズレが生じることもあります。
同じ相手から同じ被害を受けた人と言っても、ひとりひとりの事情は細かく見れば違うもの。意見の調整中に反発が出たり、訴訟の継続に消極的になる人が現れることもゼロではありません。
③集団訴訟と報道
集団訴訟にはメリットとデメリットがそれぞれありますが、中には両面を兼ね備える要素もあります。
それが
メディアによる報道です。
世間からの注目が集まることで、詐欺業者がさらにプレッシャーを感じて素直に応じてくれることもあるでしょう。しかし中には、ブランドイメージを守るために徹底的に戦う姿勢を見せてくる業者もいます。
また報道を通してまだ参加できていない被害者に情報を届けられる反面、身内や知人に知れ渡る恐れもあります。
報道にはメリットとデメリットの両面があることに留意しておきましょう。
いかがでしたか。
ご紹介したように、集団訴訟にはさまざまなメリット・デメリットがあり、自分のケースと照らし合わせて利用するかどうか判断することが大切です。
そのほか、集団訴訟のメリット・デメリットや費用感などについては以下の記事で解説しています。参考にしてください。
2.集団訴訟をするには?比較的簡単な方法
集団訴訟を起こしたいときは、すでに被害者仲間が集まっているコミュニティに参加したり、自分で被害者仲間を集めたりして、
団結する必要があります。
この章では、実際に集団訴訟を起こすときの方法をご紹介します。
①すでにある団体に参加する
まず1つ目の方法としては、すでに集団訴訟のために設置された
被害者の会や、弁護士が共同で被害者の援助をしている
被害対策弁護団に参加することが挙げられます。
- 被害者の会の場合
「会社名 被害者の会」「セミナー主催者の名前 被害者の会」などのワードで検索し、自分の被害状況と合うものがないか探してみましょう。
ただし被害者の会を装った悪質な詐欺もあるので、参加する前に以下のポイントをチェックしてください。
運営に携わっている弁護士が実在の人(日弁連のサイトで検索できます) |
活動報告がきちんと記載されている |
高額な入会費や年会費を必要としない |
個人情報(住所や電話番号)をすぐに聞いてこない |
- 被害者対策弁護団の場合
クレジット・リース被害対策弁護団が、情報商材詐欺の対策弁護団を特設しています。
クレジットカードを利用している場合は、こちらから、自分の被害ケースについて問い合わせてみてください。
被害者の会や弁護団については、下記の記事で詳しく紹介しています。
②プロジェクトを立ち上げる
2つ目は、自らプロジェクトを立ち上げ、同じ被害を受けた仲間を集める方法です。
- SNSに専用ページを設置する
ブログの開設やFacebookページの作成、Twitter投稿などで情報を発信し被害者仲間を集めましょう。
セミナーが頻繁に行われていたり、SNSの広告を使って情報商材を売りつけるような詐欺の場合は、被害者の数も多いと考えられます。
積極的に情報発信・注意喚起を行えば、比較的早く被害者仲間を集めることができるはずです。
3.それ以外の方法はあるの?業者から返金してもらう方法3つ
集団訴訟はあくまで業者からお金を取り戻す方法のひとつ。
最後に、それ以外の制度について、メリット・デメリットとともにご紹介します。
①適格消費者団体へ通報する
適格消費者団体は、
消費者団体訴訟制度という制度を利用できる団体です。
悪質な誇大広告や契約内容で被害を受けた人の代わりに、詐欺業者に対して訴訟を起こすことができます。
適格消費者団体が行えるのは、以下のふたつです。
差止請求 |
法律違反の行為をやめさせる |
被害回復 |
金銭被害を請求して被害者に返金させる
※ただし適格消費者団体の中でも、特別な認可を受けた特定適格消費者団体しかできない |
- メリット・デメリット
適格消費者団体を利用するメリットとデメリットは次のとおりです。
メリット |
・公的機関が相手業者と交渉してくれる
・ひとりで訴訟したときよりも費用をおさえられる |
デメリット |
・自分からできるのは通報のみ(訴訟の依頼はできない)
・被害回復の対象となるのは金銭被害のみ(逸失利益や慰謝料は対象外)
・訴訟するのは返金される可能性が高いときのみ |
- 利用方法
最寄りの適格消費者団体、または特定適格消費者団体に電話かメールで通報してください。
下記では、申請時に注意したいポイントや手続きの流れを詳しく紹介しています。
②少額訴訟を起こす
弁護士を介さずに自分ひとりで準備ができる簡易的な訴訟手段です。
60万円以下の少ない金額を請求するときに利用できます。
- メリットとデメリット
メリット |
・費用をおさえることができる(印紙代と郵送代のみで合わせて5000~10000円程度)
・一ヶ月前後で終わらせられる
・相手から反対に訴えられることがない |
デメリット |
・相手が判決を拒否すると通常訴訟になる(最初から通常訴訟をするよりコストがかかる) |
- 利用方法
以下をそろえて、相手の住んでいる場所を管轄している簡易裁判所に提出してください。
訴状(正本・副本の二部)
※裁判所のウェブサイトからダウンロードできます |
証拠書類 |
登記事項証明書(訴える相手が法人の場合) |
下記も合わせて参考としてください。
③個人で民事訴訟を起こす
集団訴訟のデメリットとして挙げた「解決まで時間がかかる」「運営が難しい」などの要素は、
個人で起こす民事訴訟であれば解消できます。
ただし、費用分担や証拠共有などのメリットがなくなるため、ある程度お金があり、訴訟を起こせるだけの証拠が揃っている人でないと難しい方法なので注意してください。
なお、費用の問題については、
法テラスを利用してみるのもひとつの手です。
- 法テラスを利用する
法テラスは、国が設けた法律に関するトラブルを解決する総合案内所です。
ここでは、弁護士費用を立て替えてもらえる民事法律扶助制度や無料相談などが用意されています。
- メリットとデメリット
メリット |
・費用がすぐに用意できないときでも訴訟できる |
デメリット |
・制度を受けるための審査がある
・審査に一定の時間がかかる
・自分で弁護士を選べない |
- 利用方法
以下に連絡しましょう。
電話番号 |
0570-078374 |
受付時間 |
平日9時~21時 土曜9時~17時 |
以下の記事では、法テラスの利用条件などを詳しく解説しているのでチェックしてみてください。
4.まとめ
- 集団訴訟を起こすときは、メリットとデメリットを把握すること。
- 被害者仲間と団結する方法は4つ。自分でやりやすい方法を選ぼう。
- 場合によっては適格消費者団体や少額訴訟なども合わせて検討をする。
おわりに
情報商材を使った詐欺は、多人数をターゲットにしていることがほとんど。
すでに被害者の会や弁護団が立ち上がっている可能性もあるので、チェックは忘れないようにしましょう。
enjinのサイトも合わせて活用してください。