訪問販売の悪質な詐欺事例5つ!合わせて知りたい、対処法と相談窓口

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投稿日時 2019年05月07日 17時57分
更新日時 2019年09月18日 11時57分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 訪問販売が来て困っている人

  • 訪問販売で商品やサービスの購入を検討しているが、不安が残る人

  • 訪問販売による詐欺の最近の手口を知りたい人

はじめに

セールスマンが家庭を訪問して商品やサービスを売る「訪問販売」。訪問販売自体は、違法なものではありませんが、強引な押し売りや詐欺の被害などトラブルが頻発しています。

高齢者をねらった訪問販売詐欺も多く、離れて暮らす両親の元にきた訪問販売が詐欺ではないかと心配している人もいるかもしれません。

この記事では最新の訪問販売詐欺の事例と、対処法や相談先を紹介します。「自分には関係ない」と思わずに、事前に訪問販売の詐欺の動向を知ることで、実際に訪問販売が訪ねた時に適切な対応を取ることができるでしょう。

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1.手口は多様化!最新の訪問販売詐欺の事例5つ



ここでは主な訪問販売詐欺の手口を紹介していきます。

特に高齢の家族がいる場合はひとりで対応せず、他の家族や警察に相談するようにルールを決めておくなどの防犯対策があるといいでしょう。

訪問販売詐欺の種類 手口
①貴金属の買い取り 「不用品を買い取る」と称して訪問し、貴金属を強引に買い取る
②リフォーム工事 「リフォームが必要」と迫り、不要不急の高額の工事の契約をさせる
③点検商法 無料点検を装って、高額な商品などを購入させる
④公的機関の職員を装う 公的機関の職員を装い、耐震工事の契約を結ばせたり、消化器などを購入させたりする
⑤SNS利用 SNSを使って接触し、商品やサービスを契約させる

①不用品の買取のはずが、大切な貴金属を買い取られてしまった!

2017年に、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談件数は3千件近くに登るのが「貴金属の買取」の訪問販売です。被害者は高齢者が多く、被害者の7割が60歳以上であることが特徴の一つです。

  • 手口

    「不用品の買取キャンペーンをしている。不用品があれば買い取る」「いらない古着や宝石、携帯電話機などないか」など事前に電話をして訪問したり、直接訪問してきたりします。

    古着や食器などを出しても、それらには目もくれず、「壊れた宝飾品はないか」と言ったり、身につけている貴金属を見せるように促したりして、貴金属を強引に買い取ってしまいます。

    中には、売却を迷っていると、千円札を置いて勝手に持ち去ってしまったり、「ない」と伝えたところ、大声で怒鳴って威嚇する事例も報告されています。

②屋根や外壁などの補修工事などを勧めるリフォーム工事

訪問販売の詐欺で、被害のあとが立たないのが、屋根や壁、塗装や内装などの「リフォーム工事」です。

2018年だけでも、国民生活センターに約6700件の相談が寄せられています。

数百万円にも及ぶ高額な修理費用を支払った事例もあり、消費者庁なども注意喚起をしています。

  • 手口

    「近所で工事をしている」などと言って偶然を装って訪問し、屋根瓦などの補修工事を1万円前後の安い値段で行うと勧誘してきます。

    しかし、本来の目的は高額な工事です。屋根をとったという写真を見せて、「このまま放置していたら大変な事になる」と屋根全体の修繕を持ちかけ、数百万円の工事料金を請求するケースもあります。

③無料点検で、高額な契約を結ばせたり、商品を購入させる「点検商法」

販売が目的であることを明らかにせず、「無料で点検する」と言って、不当に高額な金額で契約させることを「点検商法」と言います。

点検商法には、家の外壁や内装、シロアリ駆除や消化器、ガス、水道などに関することが挙げられます。

  • 手口

    水道局の職員を名乗って点検し、「水質が悪い」と言って、高額な浄水器の購入を迫ります。他にも、ガス会社を装いガス管工事を契約させることもあります。「アンケートをお願いしたい」と、訪問し個人情報を聞き出すこともあります。

④公的機関の職員を装って、商品を購入させたり、お金を騙し取ったりする

消防署や市役所の職員など、公的な機関の職員を装い安心させ、高額な値段で販売することもあります。

  • 手口

    公的な機関の職員を名乗って、「耐震工事に必要」「火災報知器の設置は義務」などと言い、高額な工事を契約させたり、消化器などを販売させたりすることもあります。

    作業服や制服を着ている場合もあり、注意が必要です。

    「販売」ではありませんが、同じように金融庁など公的機関の職員を名乗って訪問し、「キャッシュカードや通帳を騙し取ろうとする「キャッシュカード詐取」もあります。

    他にも、役所の職員を名乗り、「固定資産税の徴収に来た」などと言ってお金を騙し取る事例もあります。公的な機関の職員が訪問し、お金を支払わせることなどはないということを頭に入れておくといいでしょう。

    ここ数ヶ月では、改元に便乗したキャッシュカード詐取もあります。

    「元号が変わるので、通帳などの変更が必要」「改元に伴い、キャッシュカードを変更する必要がある」と告げ、警察官や銀行員を名乗る人物が訪問し、通帳やキャッシュカードなどを渡すように言います。

⑤SNSを使って接触する

訪問販売は、「セールスマンが家に商品を売りに来る」だけではありません。
勧誘目的であることを告げずに、営業所や喫茶店などへ来るように要請した場合は「アポイントメントセールス」での勧誘にあたり、「訪問販売」に該当します。街で声をかけ、店舗などに誘導する「キャッチセールス」も該当します。



2.悪質な訪問販売を見破る! 訪問販売の違法行為9つ



「訪問販売」自体は違法なことではありません。では、そもそもどんな行為が違法行為になるのでしょうか。

訪問販売における違法行為を知ることは、悪質な訪問販売を見破ることにも繋がります。違法となる9つの行為を紹介します。

①事業者の名前や目的、商品やサービスの種類などを明らかにしない

訪問販売を行う際は、勧誘に先立って①「会社名」(個人事業主の場合は戸籍の氏名)を明らかにしなければなりません。加えて、②「勧誘が目的であること」、③「勧める商品やサービスの種類」も明示するする必要があります。

つまり、本来は商品の販売などが目的であるにも関わらず、「無料点検」と偽ることは、特定商取引法に違反した行為です。

②断っても何度もやってくる

法律では、一度消費者が断ったら、その契約について続けて勧誘したり、再訪することが禁止されています。

「帰ってください」「いりません」とはっきり伝えてもしつこく勧誘してきた場合は、悪質な業者である可能性が高いと判断しましょう。

③必要以上の商品を購入させる

判断能力が低下している高齢者に、不必要な商品を購入させる被害が増えたことなどが問題となり、2017年に特定商取引法が改正されました。

それに伴い、消費者が通常必要とされる量を著しく超えた「過量販売」の場合、契約を結んだ後、1年間は契約申し込みの撤回または、契約の解除ができるようになりまし。禁止となる過量販売の行為は以下の3種類です。

・一回の契約で過量になるもの
・過去の契約を蓄積すると過量になるもの
・勧誘時にすでに過量となっている場合

④契約書を作成しない

事業者は、契約の申し込み時、または契約時に申込書や契約書を交付することが義務付けられています。書面には以下の10点が書かれているか確認をして、不備があれば消費者センターなどに相談しましょう。

・事業者の名前、住所、電話番号、法人代表者名
・契約の申し込み、締結の担当者名
・商品名および商品の商標または製造者名
・商品や権利、サービス(役務)の代金や費用
・商品や権利、サービスの支払い時期と支払い方法
・商品の数量
・商品の型式や種類、
・契約の申し込み日または、契約日
・商品の引き渡し時期、権利の移転時期、サービスの提供時期
・クーリング・オフ(契約の解除)に関する事項

⑤恐怖を感じさせて無理やり契約を迫る

大声で怒鳴って契約を迫ったり、「ここまできた手数料を支払え」などと消費者に不安や恐怖を感じさせて、契約を迫ることも違法行為です。

このような状態で、申し込みや契約がなされても、解約することができます。

⑥長い時間、居座る

2018年、3時間に及ぶ勧誘のすえ、契約を結ばざるを得なかったとして、消費者庁が家庭教師の派遣業者に指示処分を下しました。(参照:産経新聞・2018年2月16日『家庭教師の勧誘、3時間以上繰り返す アルファコーポレーションに是正処分 消費者庁』

また、訪問販売で長時間居座り続けると、「不退去罪」に問われる可能性もあります。

住民が「帰ってほしい」と伝えたのにも関わらず帰らなかった場合が該当します。

⑦嘘をついて商品やサービスを購入・契約させる

商品やサービスについての説明や価格について嘘をついた場合は「不実告知」となり、違法行為になります。

⑧都合の悪いことを伝えない

< 商品やサービスのデメリットなど、購入の判断となりうる重要な事項を、わざと教えないことは「事実不告知」にあたり、禁止されています。

⑨クーリング・オフを妨げる

訪問販売においては、契約書面を受け取った日から、その日を含めて8日以内であれば、契約の解除(クーリング・オフ)ができます。

クーリング・オフは、消耗品などをのぞき、理由に関係なく行うことができますが、業者側が「この商品はクーリングオフ 対象外」などと言うことは、クーリング・オフ妨害に当たります。

クーリング・オフ に関しては、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。


3.悪質な訪問販売の対処法7つと相談窓口3つ



しつこい勧誘に困ってしまったり、実際に悪質な訪問販売の契約を結んでしまった場合はどうすればよいでしょう。悪質な訪問販売の対処法7つと、相談窓口3つを紹介します。

①トラブルにあわないためにできること

話を聞くためにドアを開けてしまったら、長時間居座り続けられたという事例もあります。まずは、以下の3つで悪質な訪問販売を撃退しましょう。

・要件を聞くまでドアを開けない
・「訪問販売お断り」のステッカーなどを玄関先に貼る
・「居留守」を使う

②もし、対応してしまったら…

うっかり、ドアを開けしまい、話を聞かざる得ない事態におちいってしまっても、冷静に以下の対応を取ることを考えましょう。

  • 会社名と名前を聞く

    社名や名前を名乗らない訪問販売は違法行為です。

    また、水道局など公的な機関の職員は、制服を着用し、名札をつけていています。しかし、偽装しているケースもありますので、少しでも不審に感じる点があれば、こちらから該当部署などに電話することをおすすめします。


  • きっぱりと断る

    明確に断る意志を伝えたにも関わらず、商品を売ることは「再勧誘の禁止」にあたり、違法行為です。

    断る意志を明確に示したことは、契約解除の際には重要になります。

    加えて、「帰ってください」と言っても帰らなかった場合も違法行為に当たります。


  • すぐに契約しない

    安価な価格でもその場ではすぐに契約しないようにしましょう。工事などは複数の会社で見積りしてもらうことで、悪質な業者かどうか見抜くことができます。


  • 録音する

    証拠として残るように、スマートフォンやICレコーダーなどを使って会話を録音することも一つの手です。最近では録音機能付きインターフォンも販売されていますので、活用してもいいかもしれません。


  • 警察を呼ぶ

    何度断っても帰ってくれないなどの場合は、「警察を呼ぶ」と伝えてください。実際に呼ばなくても、この言葉であきらめる業者もいます。

    悪質な業者でも、ケンカ口調で対応するなどするとトラブルを誘発しかねないので、あくまでも、毅然とした態度で対応しましょう。

こちらの記事も参考にしてみてください。

③契約してしまったら…相談すべき窓口3つ

強引な勧誘に断れず契約してしまったり、購入したものの後から返品をしたいと思ったりしけれど、悪質な業者で取り合ってもらえない場合もあるかもしれません。

「一度は契約を交わしたのだから」と泣き寝入りせず、専門機関などへの相談をしましょう。

  • 公益社団法人日本訪問販売協会(JDSA)

    保問販売を行っている企業などが加盟する団体。

    協会が運営する「訪問販売ホットライン」は、訪問販売などに関する相談をうけつけています。相談には、消費者生活アドバイザーの資格を持つ相談員が答えてくれます。

    電話番号 0120-513-506
    時間 10時~12時 13時~16時30分
    (年末年始、祝祭日を除く)
    料金 無料

    トラブルが相談室で解決できない場合には、JDSAのADR(裁判外紛争処理機構)に諮ることもできます。ADRは、裁判によらない公平な解決を目的としています。


  • 消費者ホットライン「188番」

    電話番号「188番」(いやや)は全国どこからでもつながり、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口にかかります。消費生活に関わる様々な相談や苦情を受け付けていて、専門の相談員が無料で相談にのってくれます。

    トラブルの相手である事業者との交渉の手伝いや、弁護士や福祉関連など、適切な窓口の紹介などをしてくれます。

    電話番号 188
    時間 センターによって異なる。
    なお、平日は消費生活センター、土日祝日は国民生活センターにつながる。
    (年末年始をのぞく)
    料金 無料


  • 弁護士に相談

    上記での解決が難しく、被害額が高額だった場合や、悪徳商法だった場合は弁護士に依頼し、解決することも検討しましょう。

    その場合、訪問販売のトラブルを解決したことがある弁護士に依頼するといいでしょう。

    一定の収入基準を下回る場合は、法律のトラブルを解決するために利用できる公的なサービス「法テラス」の利用も可能です。


4.まとめ

  • 訪問販売は「家に来る」だけではない

  • 会社名などを名乗る義務など、訪問販売には様々なルールがある

  • 冷静な対応を取り、不要な場合は「いりません」とはっきり伝える

おわりに

訪問販売は、最近では、SNSを使って巧妙に誘い出し、売り込む手口が増加しています。

中には、セールスマンに「申し訳ない」と思い、意に反して高額なサービスを契約したり、商品を購入したりしまうこともあるかもしれません。

しかし、悪質な業者は、違法な行為によって契約を取り付けていることもあります。

契約や商品に関して不審に思うことなどがあれば、専門家に相談することも検討しましょう。


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