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【特集 ”名ばかり事業主”の私たち #3】長時間・過密労働の美容師なのに…

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投稿日時 2019年04月24日 13時51分
更新日時 2019年04月24日 13時51分
東京・神奈川で美容室10店舗以上を展開し、「地域最安値」「お手頃価格」を掲げ、現在も次々と新規出店を行っている美容室E社(仮名)。所属する美容師は店長も含めてほぼ全員が業務委託契約の「個人事業主」といいます。

働く時間は、12時間のシフト交代制で決められ、客の予約方法や一人当たりにかける時間も制限され、シャンプーやパーマ液などの消耗品は自己負担。さらに突然の契約打ち切り、会社からの損害賠償請求まで。E社のシステムの中で苦しむ「個人事業主」の美容師たちの相談に乗ってきた「美容師・理容師ユニオン」の栗原耕平さんに、現状をお聞きしました。(写真 / 構成 牧野佐千子)


(写真は、「名ばかり個人事業主」の美容師たちの相談に乗っている栗原さん)


ーE社の中で美容師さんたちはどんな働き方をしていたのでしょうか?

まず働く時間については、そのサロン内にいる美容師で12時間交代のシフトが決められています。基本「早番(9:00-21:00)」、「中番(10:00-22:00)」、「遅番(11:00-23:00)」の3つで、毎日12時間労働が当たり前という状態。休憩は取れず、忙しいときはトイレや食事にもいけない場合もあるそうです。また、遅刻をすると罰金を払う制度もあります。

また、お客さんにかける時間をどんどん短くしてと言われるなど、一人のお客さんにかける時間も予約システムも会社側に決められていました。それで時間内に間に合わず、次の予約のお客さんを待たせてしまうこともあり、嫌な思いをさせてしまうのがつらい、丁寧に対応したいと言っていましたね。実際にお客さんの声を聞くのは美容師さんですから。

ー業務委託契約なので「労働者」ではない、という理屈で考えると、労働基準法は通用しないのですね。

労働基準法では、
・ 原則として1日8時間以上の労働の禁止(8時間超の労働をには、労働組合もしくは労働者代表と使用者の間で「36協約」の締結が必要)
・1日8時間を超える労働や22時から朝5時までの労働に対しては通常の1.25倍の賃金の支払い義務
・1日8時間以上の労働の際には1時間以上の休憩を取らせること

などが定められています

また、E社の美容師さんたちは、「労働者ではないから」という理由で、労災や年金、健康保険などの社会保険の加入もありません。

おっしゃる通り、「業務委託契約のため労働者ではない。だから労働基準法も当てはまらない」という理屈で、平気で労基法違反のような状態がまかり通っています。私は、労働者かどうかは契約上ではなく、実態として判断すべきだと思っています。

一般的には、労働者かどうかという「労働者性」は、依頼された仕事の諾否を決めることができるか、指揮監督を受けずに仕事ができるか、勤務場所や時間を自由に選べるか、などを基準に判断されます。

ーそんな美容師さんに対して、E社は損害賠償請求をしてきたと聞きました。

少し前にE社の美容師さんが10人くらい一緒に相談にいらして、そのうちの4人が会社側から損害賠償請求をされていました。ある人は、一方的に契約解除をされて、その後会社側から「契約期間中なのに働いてないから」として60万円以上の損害賠償請求。また、毎日長時間の過密労働をさせられたことから精神疾患にかかり就業困難になった人に対しては、契約解除後、「契約期間中なのに働いていないから」と100万円以上の損害賠償請求。本当にひどいです。

会社側は、この美容師さんたちが契約解除前に働いていた2か月分の報酬を「損害賠償権があるから」として、支払っていませんでした。ユニオンでこの支払いを請求し、交渉を行ったことで、会社側は損害賠償を取り下げ、未払い分の報酬も支払いました。

ー同じように美容師さんを業務委託契約で働かせているところは、業界では多いのでしょうか?

業務委託契約で働くのはここ数年、美容師の間に広がってきています。その多くがE社のように「名ばかり業務委託」となっている可能性があります。実質的には「労働者」であるにもかかわらず、業務委託契約とすることで労働基準法上の使用者への負担を回避しようとしているのです。

経営者にとっては、社会保険料の負担や人件費の固定化といったリスクを負わずに、一定の売り上げを確保できるからです。アシスタントの教育コストも回避して、ほかのサロンで経験を積んだ人を雇う。このままでは業界単位で考えると、どんどん質が低下してしまいます。

ー業界の「意識改革」のようなものが必要かもしれません。

もともとが低賃金、長時間労働の業界なので、E社の件では「前の職場よりはマシだった」と言っていた人もいました。ユニオンはまだ立ち上げたばかりなので、まずは業界の実態を把握するという段階ですが、今後、美容師さんたちが働きやすくなるよう、最低賃金の共通基準づくりや、「適正業務委託書」の作成などに取り組んでいきたいと考えています。

ーありがとうございました。



【特集】”名ばかり事業主” の私たち
enjinでは、実態は「労働者」であるのに業務提携を結んだ「個人事業主」として扱われ、
労働時間や最低賃金などを取り決めた労働基準法、
厚生年金や健康保険などを取り決めた社会保険法、
育児休業について規定した育児休業法など、
労働者を保護するための法律が適用されない
「名ばかり事業主」のさまざまなケースを取り上げ、問題提起を行っていきます。

#名ばかり事業主 #enjin #集団訴訟

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東京・神奈川で美容室10店舗以上を展開し、「地域最安値」を掲げ、次々と新規出店を行っている美容室E社(仮名)。所属する美容師は店長も含めてほぼ全員が業務委託契約の「個人事業主」といいます


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