書き手:enjin編集部
関連キーワード:情報商材,詐欺,弁護士
この記事でわかること
- 情報商材業者から実際に返金された事例
- いざというときの情報商材詐欺に関する相談先
- 情報商材業者に返金を求める時の手順・方法
はじめに
「誰にでも、簡単に、インターネットを使って今すぐ儲ける方法」として根強い
「情報商材」。
その被害件数が、5年前と比べて実に10倍にもなっていることをご存知ですか?
消費者庁が2019年6月に発表した
消費者白書によると、情報商材に関するトラブル相談件数は8787件。2013年の843件と比べて大幅に増加しています。
「高いお金を支払ったのに、まったく稼げなかった…!」そんな悪質情報商材に対して、お金を返してほしいと思うのは当然のこと。
情報商材にだまされた場合であっても、返金してもらうことは可能です。
この記事では
国民生活センターの情報を元に、
実際に返金された事例を紹介。
あわせて
「返金の可能性をあげる具体的な方法」をまとめていきます。
紹介する方法を実行するだけで、返金の可能性はグッと高まるはず。ぜひ、参考にしてみてください。
集団訴訟プラットフォームのenjinで被害を取り戻そう
証拠や費用をみんなでシェア。
無料登録する
1.情報商材の返金事例は?国民生活センターの事例3つ
国民生活センターでは、悪質な情報商材の業者にだまされたケースをいくつか紹介しています。中には返金された事例もあるので、見ていきましょう。
- 概要
被害者は販売業者からメールで情報商材を紹介され、15万円で購入。その後、同じ業者から「年収500万円以上稼げる」とした別の契約を勧められ、相手方銀行発行のクレジットカードの分割払い35万円で購入した。
しかし、「簡単にできる」とうたった広告と、その実態(ブログのアフェリエイト記事作成)が異なっており、「内容を知っていれば契約はしなかった」としてキャンセルを申し出たが断られた。
被害者はすでに支払った18万円分を返金し、残金の請求を取り下げるよう、国民生活センターを通じて販売者に求めた。
- 結果
販売会社が契約金13万円、相手方銀行が2回目の契約について払込金3万円を返金する形で解決となった。
- ポイントの解説
この被害者は、国民生活センターを通じたADR(裁判外紛争解決手続き)という制度を利用して、業者との紛争解決にあたったものです。
ポイントとなったのは、広告に「1日30分で安定収入」「シンプルで初心者でもできる」とだけあり、具体的な内容が示されていなかった点。
実際は長い文章を書く必要があり、被害者は文章の作成を苦手としていたこともあって、「誰でも簡単」といえるものではありませんでした。
そのことを国民生活センターが指摘した結果、相手方も一部その事情を認め、返金に応じる形となりました。
- 概要
被害者は、ウェブサイトでFX取引に関する情報商材を販売する企業からのメールマガジンで、同社の取締役が「勝率100%」などとする「FX常勝バイブル」を知り、サイトを通じて特定のFX取引業者のオンライン口座を開設。
その後、FX取引で約185万円の損失を被り、損害賠償を請求した。このほか、FX取引業者から企業へは、消費者の口座開設までの資料請求や資料請求後の口座開設までの期間に応じて金銭の支払いがあった。
- 結果
被害者による約185万円の損害賠償請求のうち、およそ半額が認められた。
- ポイントの解説
裁判で、FX取引について「勝率100%」と断定的判断を提供した業者側に過失があり、また口座開設までの企業と取引業者の金銭の支払いが違法とされた例です。
一方で、投資において「絶対にリスクがない」ことは通常あり得ないにも関わらず、そういったうたい文句を信じて契約をした被害者側にも過失があるとされ、過失分として5割を差し引かれる形となりました。
- 概要
被害者が副業を探しており、SNSを通じて知り合った相手側から「やれば儲かる」とされる案件を紹介され、86万円のコースを申し込むことを決めた。
消費者金融に虚偽の理由を申し立ててお金を借り、業者に39万円を支払ったのちに書面による契約をした。
しかし、翌日に代理人を通じて契約解除を申し出ても応じられなかったため、消費生活センターに相談した。
ただし、相手側は被害者が消費生活センターに申し出た内容に虚偽があるとして請求を認めなかった。
- 結果
相手側が条件付きで譲歩し和解は成立したものの、解決金30万円は期限内に支払われないままになった。
- ポイントの解説
和解には応じられたので紛争自体は解決しましたが、相手は結局返金をすることがなく、被害の回復という観点からは未解決に終わった事例です。
国民生活センターは義務履行の勧告も行いましたが、こちらも応じられていません。
ADRはあくまで裁判外のやりとりであり、その結果は法的な強制力を持つわけではないため、このような形に終わることも数多くあります。
これらの事例のように情報商材の返金では、交渉の末に返金してもらえるケースがある一方、購入者側にも過失があるとして請求額が減額されたり、そもそも相手が支払いに応じないといったケースもあるのが現状。
しかし、返金の可能性はゼロではありません。粘り強く交渉することによって返金の可能性を少しでも高めていくことが大切です。
2.返金の交渉前に、問題点を整理しよう
先ほどご紹介した事例のように、返金を勝ち取るためには、購入した情報商材の問題点を確認しておく必要があります。
闇雲に
「儲からないから」と業者にクレームを入れるだけでなく、問題点がどこにあるかを把握し、交渉することが大切です。
以下、法律で禁じられている項目を紹介していきます。当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
①誇大広告
「必ず儲かる」
「誰でもできる」
「確実にお金が入る」
などの表現は、
「誇大広告」です。
実際にそのような
効果が確約できないもの、
明確な根拠がないものに対し、「絶対」というような断定的な表現を使うことは
「景品表示法」違反となります。
こういった表現は、情報商材の宣伝ページやパンフレットによく記載されているので、確認してみましょう。
誇大広告については、「
誇大広告にだまされた!問題点・対処方法・通報先の3つがわかる解説」で解説しています。
②二重価格
「通常価格10万円のところを今だけ1万円」などと表記していた場合は、
二重価格表示に該当する可能性があります。
この場合、実際に通常10万円で販売していた実績がなければ、
「不当表示」に当たります。
「いまだけ」「限定一ヶ月」などといっておきながら、ずっと割引を繰り返していることがないか、時間をおいて確認してみたり、TwitterなどのSNSで購入者の情報をチェックしてみましょう。
③事業者の氏名、名称、住所、電話番号が明記されていない
インターネットで情報商材を販売する場合、事業者は主に以下のような情報を掲載するよう
特定商取引法で定められています。
・事業者の氏名、住所、電話番号
・申し込みの有効期限
・事業者のメールアドレス(電子メールを利用して広告等を送る場合)
・販売価格
・送料
・代金支払い期間
・商品を渡す時期
・契約の申し込み撤回や契約の解除に関する内容
詳しくは、「
特定商取引法ガイド 通信販売」をご確認ください。
これらの情報がウェブサイトや広告などに明記されていない場合は、
「特定商取引法違反」にあたり、また、
架空の内容を記載していれば違法になります。
④「効果が出ないのはちゃんとやっていないから」というウソ
「必ず稼げる」などとうたっている以上、利益や効果がでなければ詐欺になります。
そのうえで、「効果がなければ返品できる」と表記しているのに、
返品に応じなかった場合、虚偽の内容を表示していることになり、違法です。
⑤注意:情報商材は基本クーリング・オフを適用できない
インターネット上で販売・購入した情報商材は、契約を一定期間内であれば一方的に解除できる
「クーリング・オフ」制度を使うことができません。
クーリング・オフは、突然の訪問など不意打ちやだまし討ち、脅迫などで冷静な判断を欠いて
意に沿わない購入や契約をしてしまった場合に適用されるもの。
これに対して通信販売は、「冷静な判断ができる状況で、
自ら吟味してサイトにアクセスし、購入したもの」とみなされ、
「意思に反して契約した」とはいえません。
なお、訪問販売や電話勧誘販売、内職商法などで購入した情報商材だった場合は、クーリング・オフの適用が可能です。
詳細は以下の記事で解説しています。
情報商材はクーリングオフできる?返金までの手順と詐欺のポイント5つ
これらのポイントを押さえて、業者との交渉を行いましょう。
3.業者との交渉が難航したら…利用しておきたい連絡先5選
販売業者に返金交渉しても、すんなりと応じてもらえないこともあります。
そんな時はあらゆるルートから返金交渉することが大切です。
どのような機関に相談や報告をすれば良いか、見てみましょう。
①クレジットカード会社へ連絡する
クレジットカードで情報商材を購入していた場合は、すぐにクレジットカード会社に連絡しましょう。
直接業者に支払うのではなくカード会社を通していたのであれば、カード会社に対応してもらうことで、返金してもらえる可能性があります。
その場合、以下の2つのどちらかが適用できないか確認してください。
- 支払い停止の抗弁手続き
「支払停止の抗弁」は、販売業者が商品やサービスを提供しない、それらのものに何らかの欠陥や問題がある等の場合、支払い停止を求めることができる仕組み。
カード会社に申請し、認められれば、ローンの支払いを拒否することができます。
ただし、次の条件を満たしている必要があるので注意が必要です。
2ヶ月以上続く3回以上の分割払い |
支払総額が4万円以上(リボ払いの場合は3万8,000円以上) |
商品と広告文の内容が異なっている、商品が送られてこないなどの問題が起きている |
事業者としてではなく一消費者として購入している |
申請する場合は、日本クレジットカード協会が提供している「支払停止等の抗弁に関する手続きについて(ご案内)」を利用してください。
また、申請ができるかどうか不安な場合は、日本クレジットカード協会の消費者相談専用電話に連絡してみましょう。
電話番号 |
03-5645-3361 |
受付時間 |
平日10時~12時 13時~17時
※土日祝・年末年始を除く |
- チャージバック制度
カード会社にカード決済そのものを取り消してもらう制度です。
チャージバックをしたい理由と該当する取引をカード会社に連絡・申請し、カード会社が問題点を認めた場合、適用してもらうことが可能。
ただし、チャージバックは国の制度として設けられている支払い停止の抗弁とは異なり、カード会社が独自に設けている制度です。
そのため、利用できるかどうかは、カード会社へ直接確認してみてください。
②消費者ホットライン(国民生活センター/消費生活センター)に相談
消費者ホットラインは、消費者問題全般のトラブル相談に対応してくれる相談窓口です。
国の公的機関である「国民生活センター」が運営しており、各都道府県に設けられている「消費生活センター」が相談を受け付けています。
消費者ホットライン「188」(いやや)に連絡し、近くの消費生活センターを紹介してもらい、電話で相談してみてください。
なお、直接各地の消費生活センターに相談することも可能。
もしも188等に電話がつながらない場合は、国民生活センターの「平日バックアップ相談」も利用してみてください。
また、国民生活センターでは、
裁判外紛争解決手続(ADR)という、裁判以外の方法で販売業者との消費トラブルを解決する手段も提供しています。
ADRは、各地の消費生活センター等で消費者が相談し、その場で解決できない場合に、同センター内の紛争解決委員会に利用手続を申請できる制度です。
ただし、国民生活センターのADRは、全員利用できるものではなく、「重大な消費者問題だ」とセンター側が判断した場合に限り使うことができるので注意が必要。
また、
ADRは裁判とは異なるため、相手の同意がなければ手続を始められないほか、調停手続きで示された解決案に強制力はありません。
国民生活センターの業務や利用方法については、「
国民生活センター完全利用マニュアル!できること&事前準備を全解説」で詳しく解説しています。
③警察に相談
警察には緊急時の通報「110」のほか、犯罪被害に関する相談を受け付ける番号「#9110」があります。こちらは専門の相談員が相談に乗り、アドバイスや関連する機間の紹介なども行っています。
また、
最寄りの警察署で詐欺の被害として相談する方法もあるので、最寄りの警察署を探してみてください。
このほか、インターネットを利用した犯罪の場合は、
サイバー犯罪専門の窓口もあります。
都道府県警察 |
相談用連絡先 |
#9110(相談時)
平日8時30分~17時15分(各都道府県警察本部で異なる) |
通報用連絡先 |
110(緊急時)
24時間 |
④弁護士・法テラスの利用
法的な解決を目指すには、法律家の力を借りて裁判を起こし、返金を求める方法もあります。
身近な弁護士を探すには、
日本弁護士連合会(日弁連)のサイトから、お住いの都道府県の弁護士会を見てみましょう。
ただし、本格的な依頼には相談料など費用がかかるため、被害額を上回る場合もあります。また、裁判に勝っても相手方の口座がわからない、相手に支払い能力がないなどの理由で、
必ずしも返金されるとは限りません。
資金的に不安がある場合は、
法テラスを利用することも考慮しましょう。
無料の法律相談や弁護士費用の立替えなども行っています。
法テラス・サポートダイヤル |
電話番号 |
0570-078374
(IP電話:03-6745-5600) |
受付時間 |
平日9時~21時、土曜日9時~17時 |
また、このように悪質な情報商材の販売業者は、多くの被害者から少人数をターゲットにせず、大掛かりな規模で声をかけ、人材を集めて金銭をだまし取ったりしていることがほとんど。
同じ業者に騙された被害者が自分以外にも多くいる場合は、集団訴訟を起こすことも検討しましょう。
たとえば、集団訴訟プラットフォームenjinでは、「スマホ錬金術・スマ練ビジネス」など実際に数多くの返金請求プロジェクトが立ち上がっています。
>>
返金請求プロジェクト一覧はこちら
⑤情報商材の販売モールそのほかの連絡・相談先
返金交渉は販売業者と消費者の間で行うよう利用規約に明記されていることがほとんどですが、悪質な業者はモール運営サイトに報告してもいいでしょう。
販売モールとは、複数のサイトが集まっているショッピングサイトのことで、一般的には楽天市場やAmason等が有名です。
販売モールによっては、消費者のかわりに販売者に連絡をとったり、返金をしてくれる可能性があります。
また、enjinでは「
情報商材詐欺に関する情報提供フォーム」を用意しています(400名以上が被害情報を提供)。
ご希望いただければ、弁護士・認定司法書士に相談することも可能。個人情報は厳守しておりますので、是非、ご活用ください。
4.まとめ
- 返金された事例はあるが、限定的。そもそも騙されない注意しておき、少しでも怪しいと思ったら証拠を集めるようにする
- 基本的にクーリング・オフは適用できないので注意が必要。また、返金交渉を行う場合、事前に、情報商材や販売業者の悪質性を整理しておく
- 返金方法としては、販売業者との交渉やクレジットカード会社への連絡、消費者ホットラインへの相談、弁護士に依頼・相談して交渉・訴訟を起こす等の方法がある
おわりに
今回は「悪質な情報商材業者から返金してもらう方法」をみてきました。
返金は手間や時間がかかり、専門家の力を借りる必要があったりと、100%全額戻ってくると言い切れないこともあり、簡単ではありません。
また、弁護士費用など返金のために新たな支払いが発生することもあるので注意しましょう。
【
詐欺・消費者被害のお役立ちコラム一覧を見る】
【
情報商材に関する返金請求プロジェクト一覧を見る】