この記事は以下の人に向けて書いています。
- 最近話題の「フェイク広告」ってなんだろう? と思っている人
- フェイク広告の具体的な事例を知りたい人
- フェイク広告に騙されたらどうするかを知りたい人>
はじめに
「芸能人が使っている」、「スマホをタップするだけで月収50万円」といった広告に疑いの目を向けたことはありませんか。
インターネットには、様々な広告が展開されていますが、中には事実とは異なる言葉や画像、映像などを使用した
フェイク広告もあります。
広告の素材以外に内容も嘘であることがあるため、そこでうたわれている通りの効果や成果が出る確率は低いと言えるでしょう。
このようなフェイク広告に騙されないためにも、特徴や問題点を確認しておき、適切に対策することが大切です。もしものときはどうすればいいか知りたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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1.見かけているかも? 「フェイク」を使った3つの広告
フェイク広告は、芸能人などの画像や映像を使って勝手に嘘の広告を作り上げ、商品やサービスを購入したくなるように仕向ける手口です。
実際に使用しているとされる人のインタビューのほか、芸能人が絶賛していたりする画像や映像を使用する傾向があります。
また、事実とは異なる情報を発信する
フェイクニュースサイトで人目を引きやすいデマを流し、注目させた上で広告を見せるなどの手口が近年目立つようになりました。
具体的なこれらの問題点を見ていきましょう。
①芸能人の画像を無断使用
広告の表示には手段を問わないのがフェイク広告ともいえるでしょう。
よくみられるのは、
無許可で芸能人の画像や映像を使用したもの。
実際には全く関係ない人を、あたかもイメージキャラクターのように扱い、商品を売りつけるのです。
テレビ番組の一部のシーンを加工し、まるでその商品を使っているかのように見せる手口です。「○○すごい!」というテロップの一部に商品名を入れたり、人が持っている物を商品の画像に差し替えたりします。
また、芸能人のSNSの画像を加工し、その商品を持って宣伝しているように見せるフェイク広告もあります。その他、雑誌の一部ページを加工し、「○○(雑誌名)でも紹介されました!」などと記載することもフェイク広告の特徴です。
②偽アプリで広告を表示
さらに最近の傾向として、
スマートフォンに広告をしつこく表示させるアプリが海外で問題となっています。
セキュリティ大手のトレンドマイクロの2019年1月の報告によると、ユーザーが求めていない全画面広告を表示させるアドウェアがアプリに偽装されて、世界中のGoogle Playで約900万回ダウンロードされていたことがわかりました。
アプリのタスクを消去しても、バックグラウンドで動作を続けており、定期的に広告を表示したり、端末ロックを解除すると広告を出す仕組みになっているものでした。
現在は公開停止になっていますが、これまでにアプリの挙動には何件もの苦情があったとされているため、新しいアプリをダウンロードする際はこれらのレビューを参照するのもいいでしょう。
②フェイクニュースサイトを作り、広告で稼ぐ
ついクリックしたくなる煽り気味のタイトルで
嘘(フェイク)の内容を「ニュース」として流し、ユーザーからのアクセスを集める手口も横行しています。
デマ記事には広告を掲載しているため、訪れた人がクリックすれば収入に。1記事だけで数百万円以上もの広告費を稼ぐ業者も出現していると言われます。
また、海外のとある地域では、多くの住民がフェイクニュースを作成しており、多額の利益を得ているともいわれています。フェイクニュースのデマによって、結果的に人が亡くなる事件もあるなど、事態は深刻化しています。
日本では総務省が有識者会議を発足し、デマ拡散抑止へ本格的な対策に乗り出しました。2019年2月の時点では「憲法における表現の自由には配慮する」としながらも、検討を進めていく姿勢です。
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2.フェイク広告に潜む主な問題点、押さえておくべき3つ
ここではフェイク広告の法律的な問題点を確認しておきましょう。
- 他人の著作物を勝手に使うこと
- 他人の写真を無断で使うこと
- うその広告をすること
この3つが主なポイントです。それぞれどのような点が違法となるのでしょうか。詳しく紹介します。
①他人の著作物を勝手に使用している
フェイク広告で、テレビ番組の映像や自分で撮影したものではない写真などを撮影者や権利者に無断で使用している場合、
「著作権侵害」となります。
著作権法では「著作物を引用することは可能」と定められていますが、出典を明記する必要があり、また正当な目的でなければ引用できないとも定められているのです。
さらに、著作物を作成者に無断で改変することは
「著作者人格権」の中の「同一性の保持」を侵害していることにもなります。
②他人の肖像権を侵害している
肖像権とは、自分の顔や容姿などを許可なく撮影・加工・公開などをされない権利です。フェイク広告上で芸能人の写真を無断で改変し、許可を得ずに公開することは
「肖像権の侵害」にあたります。
③うその内容を広告することは不当表示になる
うその内容を広告することは、
景品表示法という法律の中の
「不当表示」に該当します。
例えば、「○○(芸能人名)も使っている!」などと広告しているのに、本人が実際には使っていない場合は不当表示となります。
また、フェイク広告に使用されるインタビュー映像には、肖像権の侵害を避けるために、個人を特定できないようにモザイクがかかっていることがありますが、インタビューの内容が嘘であれば、肖像権侵害にならなくても不当表示には該当します。
また、美容クリニックなど医療機関の広告で不当表示をした場合は、医療法にも抵触します。このような広告では、施術前後のいわゆる「ビフォーアフター写真」が公開されていることがありますが、実際の効果として事実を示すものではなく、写真を加工して見せるだけの誇大広告も問題となります。
誇大広告の問題点や対策については、こちらの記事をご覧ください。
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3.フェイク広告に騙されたらどうする?対策はこの4つ
フェイク広告に騙されて商品を購入してしまった場合、悪徳業者からは返金が期待できないと思い、泣き寝入りする人もいます。
しかし、適切に対処していけば、最終的に返金される可能性があります。フェイク広告に騙されて商品を購入したり、サービスを利用したりした場合は、次のような手段を取ってみましょう。
①業者を調べ、証拠をそろえる
フェイク広告を打っている業者と商品のメーカーは別会社の場合があります。
良心的なメーカーであれば、フェイク広告によって騙されて商品を購入したことを伝えれば、返金に応じてもらえるかもしれません。しかし、フェイク広告を打っている業者とメーカーが同じ業者で、返金に応じない場合には、法的措置も検討しましょう。
また、
公的機関などへの通報や相談にも業者の実態の把握と証拠があれば、より具体的な内容になるでしょう。
次のような情報を集めましょう。
- 広告に掲載されている商品やサービスを提供する企業の名称や所在地
- フェイク広告を配信している企業の名称や所在地
- フェイク広告が掲載されているサイトの名称やURL
- 騙されたフェイク広告を含む該当ページのスクリーンショットなど
- 購入した商品やサービス及び支払いを証明できる明細書など
- 広告のどの部分が実態と異なったか
②広告内容や被害を通報する
フェイク広告は、消費者が商品やサービスの購入の被害にあっていなくても、先に説明した通りの違法行為に当たる面があります。
そのため、金銭的な被害にあっていなくても、「おかしいな」と思ったフェイク広告は通報できる理由があります。
広告の通報は
消費者庁や
日本広告審査機構(JARO)、被害にあったときは
国民生活センターに通報してください。
- 消費者庁
消費者庁の景品表示法違反被疑情報提供フォーム
では、嘘の内容や誇大広告などをしている業者の会社名や名称、住所、電話番号、ウェブサイトの他、報告者の氏名や連絡の可否、住所、連絡先などを入力します。また、表示及び広告などの画像やスクリーンショットを添付できるようになっています。
- 日本広告審査機構(JARO)
広告会社や出版社、広告主などの企業で構成されている機関で、通報後は業務委員会や審査委員会などが問題解決に動くほか、業者への警告なども行っています。
JAROオンラインご意見箱
にて、広告主名や商品、サービス名、意見、広告を閲覧した時間帯、自分の情報などを記載し、広告の映像ファイルなどを添付しましょう。
- 国民生活センター(地域の消費生活センター)
フェイク広告で消費被害にあった場合は、国民生活センターに相談しましょう。
被害にあった後はどのように行動すればいいのか、支払った金額は返ってくるのかなど、様々な相談が可能です。
自治体の消費生活センターに行って通報する方法と、電話で通報する方法があります。
平日に電話の混雑などで消費者ホットラインに繋がらない場合は、消費者ホットライン平日バックアップ相談に連絡してください。
各地域の国民生活センターの連絡先や住所は
こちらをご覧ください。
また、消費者ホットラインと消費者ホットライン平日バックアップ相談の連絡先や営業時間は次のとおりです。
消費者ホットライン |
電話番号 |
188(「いやや」局番なし) |
休業日 |
地域によって異なり、土日祝は繋がらない場合があります。 |
消費者ホットライン平日バックアップ相談 |
電話番号 |
03-3446-1623 |
営業時間 |
10~12時、13~16時(土日祝、年末年始除く) |
③弁護士に相談する
フェイク広告に騙されて商品やサービスを購入した場合は、弁護士に相談することもひとつの方法です。専門家の法的なアドバイスやサポートにより、解決を目指すことができます。
弁護士を探す際には、
日本弁護士連合会(日弁連)
のサイトから探すのが便利です。
弁護士により、相談は無料ではない場合があり、実際に着手することになれば
費用がかかりますので、この点はよく考えておきましょう。
また、フェイク広告は様々な不法行為に相当するため、これで金銭的な損害を負ったとして、業者に
損害賠償を請求できます。ただし、フェイク広告によって商品やサービスを購入したという因果関係の証明が必要です。
損害賠償について詳しくは、こちらの記事を参考にしてみてください。
④他に騙された人がいないか探してみる
1人で訴訟を起こすことを不安に感じたり、金銭的な事情で弁護士に依頼できなかったりして、損害賠償請求を諦める場合もあるでしょう。
自分の他にも騙された被害者がいれば、弁護士費用など訴訟に関わる金銭的な負担のほか、集めきれなかった証拠も持ち寄ることができる可能性が高まります。そういった仲間で集団訴訟を起こし、解決を探る道もあります。
4.まとめ
- 著名人が使用された広告はフェイク広告の可能性があるため要注意
- フェイク広告の他にも、うその情報を掲載したフェイクニュースサイトが広告を掲載し、荒稼ぎしている場合もある
- フェイク広告を見つけたら、消費者庁やJAROに通報し、被害にあった場合は国民生活センターや弁護士に相談する
おわりに
フェイク広告は、信頼できるサイトにも表示されることがあるため、広告の内容に注目する必要があります。
「芸能人●●が使っている」というのは確かに広告のひとつの見せ方ですが、現実離れした内容や、芸能人が使っていること自体に盲目的に飛びつくことには、今後警戒が必要になってくるかもしれません。
フェイク広告を見つけたら、消費者庁やJAROに通報し、もし被害にあったら国民生活センターや弁護士に相談してください。