様々なハラスメント25種を状況別に全解説!対策&予防もあわせて紹介

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投稿日時 2019年01月21日 11時54分
更新日時 2019年01月21日 15時40分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 職場でのハラスメント対策を知りたい新社会人

  • 部下に対してどう接するべきか知りたい管理職の人

  • どんなハラスメントがあるのか、興味がある人

はじめに

パワハラやセクハラ、モラハラ。

ハラスメントにはいろいろな種類があり、「それも当てはまるんだ」と驚くケースもあります。

今回は職場や家族間・友人間など、状況別に25種類のハラスメントをご紹介しています。

被害者になったときの対策や加害者にならないための予防策も紹介しているので、万が一当事者となったときに慌てず行動を取るための手立てにしてください。


1.状況別:ハラスメント全25種!その正式名と特徴を全解説



この章では、状況別に分けた各ハラスメントの特徴をご紹介します。

①職場で起きることの多いハラスメント

名前 特徴
セクハラ セクシャル・ハラスメント。性別に関する嫌がらせ行為。
パワハラ パワー・ハラスメント。上司・部下の力関係を利用した嫌がらせ行為。
アルハラ アルコール・ハラスメント。宴会などで飲酒を強要する嫌がらせ行為。
マタハラ マタニティ・ハラスメント。産休をとった社員への嫌がらせ行為
ケアハラ ケアハラスメント。両親の介護で休みなどを取る社員への嫌がらせ行為
ジタハラ 時短ハラスメント。残業を減らさせるための社員に対する嫌がらせ行為。
オワハラ 就活終われハラスメント。内定者の就職活動を妨害する嫌がらせ行為。
リスハラ リストラ・ハラスメント。リストラ対象者への嫌がらせ行為。
スモハラ スモーク・ハラスメント。喫煙による嫌がらせ行為。
エアハラ エアコン・ハラスメント。エアコンの温度設定による嫌がらせ行為。
ソーハラ ソーシャル・ハラスメント。SNSを通じた嫌がらせ行為。
レリハラ レリジャス・ハラスメント。特定の宗教を理由にした嫌がらせ行為。

  • セクハラ

    セクハラは、職場で起きた性的な嫌がらせを言います。昇進や昇給をチラつかせて関係を迫るといった対価型と、性的な言動で職場の雰囲気を悪くする環境型の2種類に分けられるのが特徴です。

    似たようなものとして、「男のくせに」「女なのに」と性別に対する偏見からおこるジェンハラ(ジェンダー・ハラスメント)、LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティの人たちに対するソジハラ(SOGIハラスメント)、「こんな文章は女には書けない」などと文章に関して嫌がらせを行うテクハラ(テクスチュアル・ハラスメント)などがあります。

    職場でのセクハラに対処する方法については、下記を参考にしてください。


  • パワハラ

    パワハラは、上司と部下の力関係を利用して、行き過ぎた暴言・暴行を働いたり、プライベートの過剰な管理を行うことをさします。

    最近では「そこまで頑張らなくていい」と過度に言い続けたり、残業を禁止するといった行為で、やる気のある部下にストレスを与える新型パワハラと呼ばれるものや、現代のテクノロジーに詳しい人がそうでない人に「こんなこともわからないのか」と言って苦痛を与えるテクハラ(テクノロジー・ハラスメント)といったものもあります。

    パワハラの詳しい定義や、パワハラと指導の違いについては下記を参照してください。


  • アルハラ

    上下関係を利用して酒を無理矢理飲ませたり、意図的に酔い潰させるなど飲酒にまつわるハラスメントです。

    類似のハラスメントとして、職場に持ってきたお菓子を食べるように強要するスイハラ(スイーツ・ハラスメント)、食べ方のこだわりを押し付けたり、好き嫌いに関係なく食べさせようとするグルハラ(グルメ・ハラスメント)、カラオケで歌いたくないと訴えている人に強制的に歌わせるカラハラ(カラオケ・ハラスメント)などがあります。

    これらのハラスメントは、行為をしている人がストレスを与えていると気づいていない場合が多いのも特徴。いずれにしても、本人の意向を無視したり配慮に欠けているとハラスメントとなります。

  • マタハラ

    妊娠や出産をした女性に対し解雇や降格など不当な扱いをするなどの行為です。

    「こんな忙しいタイミングに妊娠するなんて……」「代わりの人を採用するからもういいよ」などと言って精神的苦痛を与えたり、妊娠していると知りながら重労働をさせるといった身体的苦痛を与えるなども該当します。

    ほかに育児休暇などを希望した男性社員に対して嫌がらせをするパタハラ(パタニティ・ハラスメント)や、「子供のためにすぐ早退するなら辞めればいいのに」など育児中の人をいじめるイクハラ(育児ハラスメント)などがあります。

  • ケアハラ

    介護にまつわる嫌がらせです。家族の介護が理由で遅刻や欠勤をする人に対し、「戦力にならない」と言って不当な処分を下したり精神的に追い詰めたりする行為があたります。

  • ジタハラ

    業務時間の短縮を強要し、働いている人に過度なプレッシャーをかけるなどのハラスメントです。

    主に「働き方改革」による影響ですが、業務が終わらないことを見越して先にタイムカードを切らせたり、仕事を家に持ち帰らせたりしている企業も残念ながらあります。

    残業隠しやサービス残業がすでに発生している場合は、下記を参考にしてください。


  • オワハラ

    企業が就活生に対して、内定を出すことを条件に就職活動を終わらせるように強制する嫌がらせです。他社の面接が受けにくいように日程をわざと調節したり、内定辞退を申し出たときに怒るといった言動もあてはまります。

  • リスハラ

    リストラ対象者を自主退職に追い詰めるために、企業側がする嫌がらせを言います。自主退職にすれば退職金を削減できるなど、企業にとって都合がいいためです。

    特に主に退職勧奨を断った人に行われることが多く、不当な配置転換や能力に見合わない業務を押し付けるなどが該当します。多くの場合は退職強要であり、大きな問題となっています。

  • スモハラ

    会社の上下関係を背景に、非喫煙者である部下や後輩に喫煙を強制する行為です。タバコを吸わないのに無理矢理喫煙所に呼び出して副流煙にさらしたり、タバコの煙が苦手な人と喫煙席で打ち合わせをするなども該当します。

  • エアハラ

    暑い日でも、節電を理由に使用を禁止するなどの行為です。一方で具合が悪くなるほどの過度な設定にしたり、同じ空間で働く人たちの意見を求めず勝手に温度調節するのもあたります。

  • ソーハラ

    SNSにまつわるハラスメントで、職場の上下関係を背景に「承認」を強要し、いざ繋がると自分の投稿に「いいね!」や「お気に入り」ボタンを要求するといった行為です。言う通りにしないと実際の人間関係が崩れるというプレッシャーをかけ、相手にストレスを与えることからハラスメントとなります。

  • レリハラ

    特定の宗教を信仰をしている、あるいは信仰していないことに対する嫌がらせです。日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカでは職場におけるハラスメントとして問題視されています。外国人労働者の受け入れの拡大から、今後取り上げられることがあるかもしれません。

②家族間・友人間で起きるハラスメント

名前 特徴
モラハラ モラル・ハラスメント。相手を精神的に傷つける嫌がらせ行為
マリハラ マリッジ・ハラスメント。未婚の人へ結婚を強要する嫌がらせ行為。
シルハラ シルバー・ハラスメント。高齢者、特に被介護者への嫌がらせ行為。
エイハラ エイジ・ハラスメント。年齢を理由にした嫌がらせ行為。
レイハラ レイシャル・ハラスメント。人種を理由にした嫌がらせ行為。
ゼクハラ ゼクシィ・ハラスメント。交際相手に結婚を迫る嫌がらせ行為。
パーハラ パーソナル・ハラスメント。性格・気質を理由にした嫌がらせ行為。

  • モラハラ

    独立行政法人労働政策研究・研修機構では、「言葉や態度によって、巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力」とされるハラスメント行為です。

    いわゆる「いじめ」に近く、受けた人に「自分が悪い」と思わせるよう仕向けることが特徴のひとつ。職場・友人関係・家族関係などで広く見られるとされています。

    家庭関係でいえば、夫が妻に家事を強要して細かく文句をつけたり、あるいは逆に、妻が家事を手伝った夫に対して「こんなこともできないの?」と責める家事ハラ(家事ハラスメント)などもモラハラの一種と言えるでしょう。

  • マリハラ

    結婚にまつわるハラスメントで、恋人がいない人に対して紹介の提案をしたり、逆にいる人に対して「結婚しないの?」とプレッシャーを与えるなどの行為です。

    類似例として、「独り身は自由でいいね」と単身者(シングル)を皮肉るような言動をするシンハラ(シングル・ハラスメント)、妊活や不妊治療を行っている人に対して「赤ちゃんまだなの?」と催促するニンハラ(妊活ハラスメント)、子どもがいない人に「どうして子どもを作らないの?」「子どもがいない人にわかるわけがない」などと言うコナハラ(子なしハラスメント)があります。

  • シルハラ

    シルバー世代(60歳以上)から作られた言葉ですが、介護高齢者に対する嫌がらせを指します。介護士が「どうしてそんなこともできないんですか?」と罵ったり、暴力をふるったりする行為などです。

    しかし一方で、逆に介護高齢者が介護士に対して暴力・暴言を振るったり、性的な嫌がらせする行為も問題となっています。

  • エイハラ

    年齢や世代を理由に、相手に不快感を与える言動です。高齢者に対し「年寄りにわかるわけがない」と言ったり、若い人に対して「これだからゆとり世代は…」と言うなどが該当します。

  • レイハラ

    特定の人種や国籍だけを理由に暴力を振るったり、不愉快にさせる言葉を投げかけたりする行為を言います。外国人に対して「国に帰れ!」と暴言を吐いたり、ハーフの人に「日本人じゃないのに日本語読めるの?」と小馬鹿にするような言葉などです。

  • ゼクハラ

    女性が交際している男性に結婚を迫り、プレッシャーをかけてくるハラスメントです。もともとは結婚情報誌『ゼクシィ』を男性に見せつけることから名前が付きましたが、現在は強引に親に会わせたり結婚しないなら別れると言うなどの行為もあたります。

  • パーハラ

    身体的特徴を取り上げて馬鹿にしたり、趣味に対して「気持ち悪い」と言うなどの嫌がらせです。

    類似例としては、話すことが苦手な人に「大人しいよね」と言うコミュハラ(コミュニケーション・ハラスメント)や、「B型は自分のことしか考えていないから苦手」と血液型で人を決めつけるブラハラ(ブラッドタイプ・ハラスメント)など。

    また、その場の雰囲気にそぐわない、いわゆる「空気が読めない」発言で不快な思いをすることをエアハラ(エアー・ハラスメント)と呼ぶこともありますが、言われた側からすればこれはパーハラにあたるとも言えるでしょう。

③特定の場所・状況で起きるハラスメント

名前 特徴
アカハラ アカデミック・ハラスメント。大学などでおこる嫌がらせ行為。
スクハラ スクール・ハラスメント。大学以外の学校でおこる嫌がらせ行為。
タクハラ タクシー・ハラスメント。タクシー車内での嫌がらせ行為。
ドクハラ ドクター・ハラスメント。医師による嫌がらせ行為。
スメハラ スメル・ハラスメント。特定のにおいによる嫌がらせ行為。
セカハラ セカンド・ハラスメント。ハラスメント被害者への嫌がらせ行為。

  • アカハラ

    大学教授が学生や他の教授に対し、自分の立場を利用して行う嫌がらせです。他の教授の研究を妨害したり、正当な理由なく生徒の進学を認めなかったりする行為があたります。

    より広い意味として使われる言葉としてキャンハラ(キャンパス・ハラスメント)があり、アカハラ以外に大学内で起きたセクハラやパワハラなどを含みます。

  • スクハラ

    学校教師が生徒に対して行う性的な嫌がらせです。恋人の有無を聞いたり異性との交際を禁止したりするものから、教育と称して身体を触るなど悪質なものまでさまざまなケースがあります。

  • タクハラ

    タクシードライバーが乗客に対して不快な気持ちにさせるハラスメントを言います。近距離の目的地を告げたら舌打ちをされた、わざと遠回りで連れていかれた、といったものから、連絡先を聞かれる、自宅住所をナビに登録されるといったセクハラ・ストーカー行為も該当します。

  • ドクハラ

    医師や看護師が、暴言や態度で精神的なストレスを患者に与える行為です。「私が信用できないなら他をあたればいい」「急いで手術しないと手遅れになるかも」などの発言が該当します。

    逆に医師に対して「絶対に治るんですよね? そうじゃなかったら訴えますよ?」など理不尽な要求などをするペイハラ(ペイシェント・ハラスメント)もあります。

  • スメハラ

    周囲を不快にさせる臭いを発する嫌がらせです。口臭や体臭など以外にも、本人が好きでつけている香水や使っている柔軟剤が相手にとって嫌な臭いだった場合は、ハラスメントに該当します。

  • セカハラ

    ハラスメント被害を打ち明けた人に対して「どうして嫌だって言わなかったの?」「あなたの被害妄想だと思うよ」などと、さらに傷つけるような言動を指します。被害実態が見えにくいケースで、無意識にやってしまいがちなハラスメントです。

    なにかとハラスメントを主張する「ハラハラ(ハラスメント・ハラスメント)」という言葉もありますが、本当に苦痛を強いられた側からすれば、この用語もまたセカハラの一種と言えるでしょう。


2.もしハラスメントの被害にあったら…3つの対策と相談先



ハラスメントの被害を受けた際、「自分さえ黙っていれば」と我慢するのは危険です。

悪意を持ったハラスメント加害者は「我慢しそうな相手」を選ぶもの。貯めこめばハラスメント行為はよりエスカレートし、あなたの心身はより傷つく結果になります。

被害にあった場合はどうすればよいのか、対策と相談先についてみていきましょう。

①もし被害にあったら…解決のための3ステップ

  • 不快であることを告げる

    まずは相手に不快であることを伝えましょう。

    相手が気づいていなかった場合は、その言葉で同じことをしないようにしてくれるはずです。

    また、もしそれでも相手が同様の行為を繰り返してきた場合も「一度拒否したのにも関わらず相手は続けた」という事実を作ることもできます。

    ポイントは言うタイミングを見失わなず、きちんと伝えること。笑ってごまかす、冗談めかして伝えるといった態度だと、相手によっては「大丈夫なんだな」「このくらいは良いんだな」という印象をもたせてしまうからです。

    上司や先輩相手だと勇気がいることかもしれませんが、思い切って伝えるようにしてみてください。

  • 距離をとれそうな場合は距離をとる

    可能なら「相手に近づかない」というのもひとつの回避手段です。

    職場や家族、学校など限られた空間だと難しいときもありますが、その際はできる限り親しい人と離れないようにし、自分ひとりの状況を作らないように心がけてください。

    それでも一対一になってしまったときに備えて、相手の発言などを録音できる機器を忍ばせておくと、万が一被害があった場合の証拠づくりとしても役立ちます。

  • 悪質な場合は法的手段も検討しよう

    「不快であること伝えたら、相手が逆ギレしてきた……」
    「どうにも解決の道筋が見えない」

    このような場合は訴訟を検討するのもいいでしょう。

    ただし相手を訴えるためには、行為がより悪質だと客観的に判断できるような事実が必要です。

    例:「セクハラ行為を拒否したら退職させられた」「不快な言葉を言い続けられてストレスで入院した」など

    まずはいまいる職場や学校の窓口に相談し、その過程で証拠を集めるところからはじめてみましょう。

③迷ったら電話しよう!悩んだ際の相談先窓口

「相談しても解決しない」
「他の人にバレてしまうのが嫌だ…」


そんな際に、役立つ、相談窓口を紹介します。



3.ハラスメントしてるかも?と思ったときに気を付けたいこと



加害者にならないための方法を紹介していきます。「多すぎてもうどうしたらいいのかわからん!」という読者のニーズにこたえてください。

①ハラスメントとはどんな行為?

ハラスメントはいろいろな場面での嫌がらせで、相手を不快にさせる・相手の尊厳を傷つける・相手に不利益を与えるなどの行為です。

自分の意思に関係なく行われた言葉や行動も当てはまり、「そんなつもりはなかった」としても相手が嫌だと思えばハラスメントに該当します。

  • セクハラやパワハラは国も問題視

    ハラスメントの中でもセクハラやパワハラは訴訟案件が多く国も問題視していて、厚生労働省の雇用環境・均等局では2018年9月25日に「パワーハラスメント及びセクシュアルハラスメントの防止対策等について」の資料も作られています。

  • そのほかのハラスメントも行為が過ぎれば民事訴訟

    もちろんセクハラやパワハラ以外でも、過度な暴言や暴力によって健康に危害を加えた場合は相手に訴えられる可能性があります。

②ハラスメントにならないための心構え

  • 人付き合いにマニュアルはない

    人によって価値観はバラバラです。

    「前回こうだったから今回も大丈夫」
    「あの人は許してくれたからこの人もいいかな」

    人付き合いの経験によって作られたマニュアルこそ、ハラスメントの元なのだと忘れないでください。

  • 考えを押しつけるのではなく、聞く姿勢を持つ

    ハラスメントの多くの原因は、相手に対して尊重する気持ちがないためです。

    自分の考えを押しつけて相手をコントロールしようとするのではなく、相手がどういった考えを持っているのか聞く姿勢を持ちましょう。

  • 適切な距離感を探そう

    人によって話が合う、合わないはあります。

    ですのでもし合わない人がいても、無理に仲良くなる必要はないでしょう。

    もちろん離れすぎてもコミュニケーションが取れなくなってしまうので、適切な距離感が大事。

    どの程度までだったら気まずくならずに話せるか、焦らず探してみてください。


4.まとめ

  • ハラスメントの当事者になっても慌てないように、まずは知識を身につけることが重要。

  • 被害を受けたらまずは拒否の意思を。自分で抱え込まないで、信頼できる人に相談する。

  • 加害者とならなように、相手を尊重して適切な距離感を保つようにしよう。

おわりに

増え続けるさまざまな「ハラスメント」。人の数だけ様々な感じ方がある以上、だれしもが被害者、加害者になる可能性があります。

道徳の授業のような言い方になってしまいますが、大切なのは、人に対する思いやり。

思いやりのない人には近づかず、できる限り他人には思いやりをもって接する……。

口で言うほど簡単なことでもありませんが、できる範囲ででも、少しずつ意識するようにしてみましょう。


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