この記事は以下の人に向けて書いています。
- いじめによって職場に行くのがつらい人
- いじめられているが相談相手が職場にいなくて悩んでいる人
- いじめにあっている職場仲間を助けたい人
はじめに
学校でのいじめが社会問題となっていますが、職場でのいじめも深刻です。相手が下手に知識を身につけた大人である分、陰湿で厄介なものであると言えるでしょう。
いじめに対する最も効果的な対処法はひとつ。
職場をやめることです。
学校などと違い、職場は自分で選ぶことができます。つらい境遇をにいつまでも耐える必要はありません。
いっぽうで、収入や手続きの問題からためらってしまう人もいるかと思います。
そこでこの記事では、退職の心がまえや手続きの方法などについて、ご紹介していきます。
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1.いじめに耐え続けている人へ……それはあなたの責任ではありません
①退職は負けではない
職場でいじめにあったら、退職を強くおすすめします。
「いじめで辞めるなんて逃げているみたい」と思う人もいるかもしれませんが、陰湿ないじめによってあまりにも心に傷を追ってしまうと、適応障害やうつなどの疾患につながるおそれもあります。
退職し、一時的に収入が途絶えたとしても、心身さえ健康であれば次の職場で活躍できる可能性は残されています。失業手当などの補助を受けながら仕事を探すこともできるでしょう。
しかし、心身にダメージが出て退職せざるを得なかった場合、まずその回復のために大きな時間をとられてしまいます。
退職は逃げではありません。自分を守るために必要な選択肢なのです。
また、いじめに耐えながら働き続けても、残念ながら状況が改善されるケースは稀です。
職場でいじめをする側の人間も、それぞれの考えを持っています。マイルールに絶対の自信を持っているからこそ、そぐわない人をいじめるのです。
仮に上司がいじめをする人に注意をしたとしても、いじめをする人はきっと「仕事でミスをするから」「態度が悪いから」とあれやこれやと理由を付けて自分を正当化するでしょう。解決をするどころか逆恨みを買ってしまうこともあります。
「いつかわかってくれる」と期待して自分を擦り減らすよりも、離れてしまったほうが安全です。
②いじめが起きるのは会社の責任
「いじめを受けているのは自分がミスをしたから」「仕事ができないからいじめられるんだ」と思う人もいるかもしれません。ですが、ミスや仕事の不出来でいじめられる理由はまったくありません。
そもそも民法では、
「職場環境配慮義務」と呼ばれるものを会社が果たすよう定められています。つまり、わざと会社に不利益をもたらしたり、明らかに勤務態度が悪いといったことがなければ、
会社はミスをした人を周りがきちんとフォローする環境を作る必要があるのです。
いじめを行う人の中には、職場で上司よりも発言権を持つ人や周りの人が強く言えないようなボスのような人がいます。その人のわがままが通り、ミスをした社員を守ることもできないという状況は、本来であれば異常なのです。
社員の管理もままならないのに、給与や待遇の面が良くなるでしょうか。得られるのは、マイルールを振りかざす先輩の顔色を伺う技術だけです。
いじめが起きた時点で、その職場に居続けるメリットはまったくありません。
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2.スムーズに会社を辞めるには?円満退職のための3ステップ
職場側の問題で、辞めたくても辞められない……という場合もあるかもしれません。
そのためこの章では、実際に辞める際のポイントや、辞めるための手順について解説していきます。
①辞めてから仕事を探すか、仕事中に探すかを決める
まずは、退職してから新しい仕事を探すか、現在の仕事を続けながら探すかを決めておきましょう。
退職してから職探しをする場合は、まず
失業給付金(失業手当)を受給する申請が必要になります。
あなたの現住所を管轄している職業安定所(ハローワーク)に、以下の書類を提出しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類
- 身元確認書類
- 写真
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳
「雇用保険被保険者離職票」は、退職後に会社から届けられるもので、従業員の申請があった場合、会社は必ず交付しなければなりません。
もし交付されない場合は、その旨ハローワークに問い合わせましょう。
失業給付金(失業手当)の額は、離職時の年齢やもらっていた給与額によって異なりますが、
手取り賃金(残業代や各種手当を含む)の50~80%が目安となります。
また失業給付金(失業手当)が実際に受け取られる時期も、
会社都合の退職であれば申請から7日後、自己都合での退職であればおよそ6か月後となります。
退職理由によって受け取る時期が大きくことなるため、可能であれば会社都合の退職という形にするようにしましょう。
こうして、受け取る予定の失業給付金(失業手当)および貯蓄と、月々の生活費とを照らし合わせれば、就職活動に時間を費やせるのかがわかるでしょう。
一方、在職中に探す際には、退職予定日に注意が必要です。
法律では、「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定められています。
しかし、月給制の場合は退職を申し出た日によって退職日が変わるほか、社内規定で退職を通知する期限が定められていたり、引き継ぎ業務などで時間をとられてしまったりと、
きっかり二週間で退職するのは実質的に難しい状況となっています。
最低でも、実際に退職するには職場に伝えてから一ヶ月はかかると思っておきましょう。新しい職場の面接の際にも在職中であることを伝え、余裕をもって出社日を設定することが大切です。
辞めてから探す、辞める前に探す、いずれの手段をとる場合にも事前の準備は欠かせません。
より具体的な方法については、下記の記事も参考にしてみてください。
②退職願ではなく退職届を出す
これから新しい職場を探す人も、次の職場が決まった人も、いずれは職場に辞める意思を知らせなければなりません。
その際によく使われるのが、
退職願と
退職届。よく似た言葉ですが、辞める意思がすでに固まっている場合、
必ず「退職届」を提出するようにしてください。
退職願は
「退職させてほしい」とあくまで会社にお願いをするもの。会社側が納得しなければ話し合う必要がありますし、出した本人が取り下げることも可能です。
いっぽうで、退職届は
「退職します」と会社に宣言するもの。取り下げることもできませんし、会社はこれを拒否することもできません。
すでに退職の意思が固い場合、引き止めのやりとりは単に退職が遅れる原因にしかなりません。不毛なやりとりを避けるためにも、最初から退職届を提出するほうがベターです。
また提出先は一般的に直属の上司となりますが、その上司がいじめの張本人であったり、いじめに加担している場合には提出しづらいかもしれません。
もし受け取ってもらえなかった場合は、人事部長などの責任者に送受信の記録が残るメールを送ったり、あるいは郵便局の内容証明郵便というサービスを利用するようにしましょう。
内容証明郵便は、「誰が誰宛にどんな内容のものを出したか」を公的に証明してくれるサービスで、この方法で送付された文書も法的な証拠となります。
いずれにせよ、
「退職の意志を会社に伝えた」という確実な証拠を残すことが重要です。
場合によっては、その上司の報告を受けて会社自体があなたを引き留めようとする可能性もあります。その際には労働に関するNPO法人や法律事務所に相談したり、労働基準監督署に会社を指導してもらうといった選択肢もあります。
詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。
③辞めるときは円満に
「立つ鳥跡を濁さず」と言うことわざがあるように、退職を通知して実際に退職するまでは、可能な限り穏便にすませるほうがよいでしょう。
「もう辞めるからいじめてきた人たちに仕返ししたい」という気持ちもあると思います。ですが、退職届を出してすぐに辞められるわけではありません。
仮に転職先が同業種だった場合、あまりに険悪な形で会社を辞めるとそれが次の職場に噂として伝わり、悪影響を及ぼすおそれもあります。
退職届を出した際に、当然ながら退職の理由を聞かれることもあります。ここでも決して「いじめられたから辞めます」とは言わず、「やりたいことが他にできたので」と前向きな理由を伝えましょう。
どうしても前向きな気持ちになれないのであれば、家の都合などを伝えるのも一つの手。家の事情であれば、会社側は何も言えないからです。
上司に明確に退職の意思を伝えたら、引き継ぎなどの業務について話し合います。その中で、職場仲間に退職する旨を伝える機会もあるでしょう。
自分をいじめてきた人、いじめの現場を知りながら見て見ぬふりをしてきた人に対してもにこやかに辞める意思を伝えてあげてください。悔しい気持ちもあると思いますが、あなたのほうがずっと賢く立派な選択をしたのです。ありがとうございました、と感謝の言葉をしっかりと述べ、大人の対応をしましょう。
3.退職する以外の方法は?職場のトラブル解決法
①どうしても我慢ができない場合は、訴訟も検討しよう
すでにいじめが原因で健康を損なってしまった。どうしても会社に一矢報いたい……。
そんな場合は、これまで紹介してきたリスクを理解したうえで、
退職後に訴訟を起こすこともできます。
その際に役立つのが、いじめの記録。録画や録音、メールなどの保存は重要な証拠となります。ま他同時に、いじめが原因でどのような健康被害が起きたのか、診断書や医者かかった日付、費用を記録しておくようにしましょう。
もし、すでに退職または休職中であり、いじめの証拠が残っていない……という場合でも、いじめの記録を日記に書きつけておいたり、SNSなどで日々のいじめの内容をつぶやいていたりした場合、それも証拠として扱うことができます。
「いつ、誰に何をされて何を言われたのか」。こうしたことがわかる記録があれば、どんな内容でも証拠になりえます。
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②意外と味方はたくさんいる!相談できる場所をみつけよう
いじめられている職場で働き続けていると、心に余裕を持つことが難しくなってきます。
疑心暗鬼になり、誰かに相談したくてもできない……という人もいるかもしれません。特にまじめな人ほど、他人に弱音を吐くことが難しくなりがちです。
そんな場合には、社内だけでなく、社外にも目を向けましょう。家族、友人、恋人……あなたの力になってくれる人はたくさんいます。
「弱みを見せたくない」、「迷惑をかけたくない」という気持ちがあるのかもしれませんが、耐え続けて折れてしまえば、結局もっと多くの人に心配をかけることにもなります。ひとりで抱え込まず、できる範囲でもかまいませんので、他人を頼ってみてください。
それでもどうしても難しい場合は、各種の相談窓口や心療内科に相談してみましょう。見ず知らずの他人であれば心も軽いでしょうし、お金を支払って話を聞くのであれば引け目も少ないはずです。
また政府の窓口には、職場の問題解決のサポートなどを行ってくれるところもあります。
代表的なものを紹介しますので、相談をしてみてください。
- 働く人の「こころの耳電話相談」
厚生労働省が運営する、働く人のための相談窓口です。仕事に関する仕事の悩みや、長時間労働による健康障害について相談をすることが可能です。
電話番号:0120‐565‐455
受付時間:月・火 17:00~22:00/土・日10:00~16:00
費用:無料
- 総合労働相談コーナー
職場でのいじめだけでなく、パワハラやセクハラ、不当な配置転換などの労働問題についての相談を受け付ける窓口です。
問題解決に向けてのアドバイスだけでなく、会社とのトラブルを弁護士や社労士を介して解決する「あっせん」という制度を利用することもできます。
電話番号:地域により異なる
受付時間:地域により異なる
費用:相談料、あっせん費ともに無料
- 職場のトラブル相談ダイヤル
全国社会保険労務士会連合会が運営するサイトで、総合労働相談コーナーと同じく「あっせん」による会社との和解へと動いてくれます。
電話番号:0570‐07‐4864
受付時間:11:00~14;00
費用:無料(※通話料がかかります)
【番外編】もしも同僚がいじめにあっていたら
もし親しい同僚がいじめにあっていたら、なんとか助けたいと思うことでしょう。しかしいじめをしているのが先輩や同僚だと、いじめを直接止めるように言うのは勇気がいるものですよね。仮に言えたとしても、いじめがエスカレートしたり自分がターゲットになってしまう可能性もあります。
「なんとか助けたい、でも怖くてできない」。そんなときは、いじめを受けている同僚に優しく寄り添うようにしてください。お昼ご飯を一緒にする、就業後に食事やお茶をする。それだけでも随分、同僚の心は救われるはずです。
ただしこちら側からいじめについて質問をするのはNG。いじめられている人は、傍から見るよりもずっと心に余裕を持つことができていません。「何があったの?」と言われるだけでも、食い気味に聞かれているように感じてしまい、より話すのがつらくなります。いじめというのは、当事者でなければわからないつらい痛みがあるのです。
ですので食事やお茶に誘って他愛のない話をして、楽しい雰囲気を作ることを心がけます。相手が話してくれるまで待ち、向こうから話してくれたときに聞いてあげましょう。
同僚が自分からいじめにあっていることを告白したら、自分は味方であることを伝えてあげてください。退職を薦めたり、あるいは労働に関するNPO法人など第三者機関の存在を教えてあげるのもひとつの手。助かる方法はたくさんあることを見せてあげるだけでも、いじめにあっている同僚の気持ちは変わってくるかもしれません。
4.まとめ
- 職場でいじめにあったら、会社の怠慢なので辞める気持ちを持とう。
- 辞める意思ははっきりと伝え、退職するまではなるべく穏便に。
- それでも仕事をつづける場合は、相談できる人や窓口を探す。心身の健康を損なった場合は退職後に訴訟を起こすことも可能
おわりに
職場でいじめを受けている人の中には、いざ考えてみると「自分がされていることは、いじめなのかどうなのかわからない」という人もいるかもしれません。しかし周りの意見がどうあれ、あなたが辛いと感じているのなら解決に動くことが必要です。
何度も言うように、いじめが発生する職場というのは、そもそも働く環境としてよくありません。仕事は一日の中で大部分の時間を占めます。自分が前向きに働ける職場を少しでも早く探したほうが、結局は自分のためになるでしょう。
この記事があなたの役に立つと幸いです。