| この記事は以下の人に向けて書いています。
- サービス残業で困っており、すぐにでも相談したい人
- 残業代請求に動いており、詳しいことを専門家に聞きたい人
- 相談先の費用感や内容について知りたい人
はじめに
サービス残業をどうにかしたい!
そう決意したとき、必要となってくるのは専門家の知識。取るべき方法についてアドバイスをもらったり、時には自分にかわって会社との交渉をしてくれたりと、専門家の力を頼ることで、ひとりで行動を起こすよりも安全・確実に目的を達成することができます。
この記事では、「まずは相談したい」「すぐにでも専門家にアドバイスして欲しい」「弁護士に頼むときなどにいくら費用がかかるのか知りたい」などといった様々な目的ごとに、相談窓口についてまとめました。
自分の目的に合った相談先を見つけてみてください。
1.とりあえず相談したい!無料アドバイスのもらえる相談窓口
まずは、「何からすれば良いか分からない」「とにかく話を聞いて欲しい」という人のための窓口を紹介していきます。
どの窓口も、通話料をのぞき、無料でアドバイスをもらうことができます。
以下、それぞれの窓口の特徴についてくわしく紹介していきます。
- 特徴
厚生労働から正式に認可を受けている社会保険労務士会への相談窓口となります。サービス残業だけではなく、上司からのパワハラや、給料の未払いなど、会社とのトラブルに関する相談全般が可能です。
電話すると最寄の社会保険労務士会につながり、電話での相談や、対面相談の予約ができます。
また、場合によっては会社と労働者が円満解決をするために、話し合いの場を設ける「あっせん」手続きを申し込むことも可能。
「あっせん」は、労働者と会社との間に法の専門化が仲介役として入ってくれるというものです。うまく活用できれば、ひとりよりもスムーズに交渉を進めることができるでしょう。
- 費用
相談料:無料
あっせん費:1,080円~10,800円
- 受付時間
最寄の社会保険労務士会につながる為、各都道府県により異なる。
詳しくはこちら。
- 特徴
平日の夜間や土日など、年末年始を除く幅広い時間帯で相談が出来るのが「労働条件相談ほっとライン」です。厚生労働省より民間企業に委託されて行われている事業になります。
過重労働や給料の未払い、サービス残業など、労働基準法に関する会社とのトラブルについて、専門知識を持つ担当者が電話にて相談に乗ってくれます。
夜や土日も相談を受け付けているため、普段仕事で時間がないという方でも相談しやすいのが特徴です。
- 費用
相談料:無料
(電話はフリーダイヤルとなるため、電話料金も掛かりません)
- 受付時間
平 日:午後5時~午後10時
土・日:午前9時~午後9時
- 特徴
解雇や異動、給料の引き下げ、採用に関するトラブル、社内いじめ、パワハラ、セクハラなど、会社や労働者とのトラブルについての幅広い情報提供を行ってくれます。事前に予約はいらず、電話での相談や面談相談が可能です。
トラブルの内容によっては、労働局長より、当事者間の話し合いで問題を解決するための助言や指導を受ける事ができます。
また、解決がしない場合も、専門家を仲介役にして問題解決を目指す「あっせん制度」を利用することができます。ただ、「あっせん」に関しては裁判とは違い、会社に手続きを強制する権限などはないため、訴訟となった場合は別途弁護士に依頼する必要がある点に注意しましょう。
- 費用
相談料:無料
あっせん費用:無料
- 受付時間
全国各都道府県によって異なる。
詳しくはこちら。
2.くわしく相談したい!残業代請求をする場合の相談窓口
次に「ある程度自分で準備を進めているが、専門家のくわしいアドバイスが欲しい」という場合の窓口を紹介していきます。
名称 |
連絡先 |
法テラス |
0570-078374 |
弁護士事務所 |
各事務所によって異なる |
社労士事務所 |
各事務所によって異なる |
- 特徴
正式名称は「日本司法支援センター」と言い、国が立ち上げている機関になります。
労働問題だけでなく、法に関するトラブル全般の相談に乗ってくれ、相談内容にあわせた法律や、適した機関の紹介などを行ってくれます。
また、経済的に余裕がない人の為の、弁護士費用の立替なども受け付けています。
- 費用
専門オペレーターによる法や窓口案内:無料
法律相談:法テラスが定める条件に当てはまる場合は無料
それ以外は各弁護士・社労士によって異なる。
- 受付時間
平 日:午前9時~午後21時
土・日:午前9時~午後17時
また
メールでのお問い合わせも受け付けています。
②弁護士事務所
- 特徴
残業代を請求しようと思っている場合は、弁護士事務所に相談してみるとよいでしょう。
法律のプロである弁護士に依頼することで、未払い残業代の算出方法、サービス残業の証拠集めなど、残業代請求に向けた具体的なアドバイスや指示を受けられるだけでなく、会社との直接交渉や訴訟を任せることもできます。
弁護士に依頼する際、最も大事なのが弁護士選びです。
弁護士にもそれぞれ専門とする領域があるため、基本的には「労働問題に強い」とうたっている事務所に相談するのが無難。ウェブサイトを確認するだけでなく、実際に連絡してみるなどして、自分に合った弁護士か、費用はいくらするのか、労働訴訟の実績があるか、アクセスは利便性があるかといった部分を吟味するようにしましょう。
- 費用(労働審判事件の場合)
実費:20,000円
着手金:108,000円
別途、報酬金が発生します。3000万円までは、入金額の10%(税別)が目安です。
(引用元:法テラス埼玉「弁護士費用・司法書士費用の目安」)
- 受付時間
各事務所によって異なる
③社労士事務所
- 特徴
弁護士のほかに、社労士(社会保険労務士)に「あっせん」を依頼するという選択肢もあります。
自分の代わりにあっせんの申し立てを行ってくれたり、あっせん後に会社との交渉にあたってもらうことができます。弁護士に依頼するよりも費用が比較的安くなり、また短期間で決着がつく傾向にある点が特徴となります。
ただし注意点として、こうしたあっせんの代理を行ってくれるのは、「特定社労士」(特定社会保険労務士)とよばれる資格を持つ人だけです。一般的な社労士は行うことができません。
また、「あっせん」による交渉は裁判と違い法的な拘束力や強制力はないほか、会社側が「あっせん」への出席を拒否した場合は訴訟を起こす必要がでてきます。
その際には弁護士費用がかかってくるので、会社がきちんと支払いに応じるかどうかを事前によく見極めることが大切です。
- 費用 ※あくまで参考となります。
着手金:1~3万円前後
報酬金:取り戻した金額の10%前後
- 受付時間
各事務所によって異なる。
3.会社の体制を変えたい!通報・交渉のための相談窓口
残業代の請求が目的ではなく、会社の体制を変えたい、通報したい場合はどこに訴えればよいのでしょうか?
この項目では、下記の3つの窓口を紹介します。
名称 |
連絡先 |
①労働基準監督署 |
各都道府県によって異なる |
②労働相談ホットライン |
0120-378-060 |
③社内の労働組合やコンプライアンス窓口など |
会社によって異なる |
- 特徴
労働基準監督署は会社が労働基準法を守っているか、労働条件に関する監督や管理を行っている機関となります。事業主が悪質な違法行為を行っている場合は、捜査や逮捕などの強制捜査を行う権限も持っています。
サービス残業の証拠などを集め、直接労働基準監督署へと訴える事で、労働環境の改善が見込めます。
どのような証拠を集めればよいかに関しては、下記記事を参考にしてみてください。
サービス残業の告発方法は?3種の証拠と気になるポイントを解説
- 受付時間
平日:8時30分~午後17時15分
- 特徴
全国労働組合総連合が設けている労働に関する悩み相談窓口になります。
こちらの番号に電話をすると、最寄地域の労働相談センターにつながり、労働組合による適切な解決法、法的手続きのアドバイスなどを得ることが出来ます。
- 受付時間
各都道府県によって異なる。
また、別途メールでの相談も受け付けています。
③社内の労働組合やコンプライアンス窓口など
特徴
会社に労働組合や専門の相談窓口がある場合はそちらに訴えるのもよいかもしれません。
個人での交渉と異なり、労働組合では団体の主張として、個人では通らなかったような主張や意見を会社側に通す力があります。
「労働協約」と言う形で、労働者と会社側で新たな取り決めをすることも出来ます。
これは就業規則よりも優先されるため、労働者にとってより働きやすい環境を作るきっかけにもなってくれる可能性があります。
受付時間
所属労働組合によって異なる。
4.まとめ
- サービス残業・残業代の未払いに苦しんでいる場合は、公的機関の窓口にまず相談して方法を聞くのがよい
- 未払い残業代の請求を検討している場合は、社労士による「あっせん」や、弁護士に依頼して訴訟を起こすことなどが有効
- 会社を変えたいなら「労働基準監督署」への告発。また社内外の労働組合に相談するという方法もある
おわりに
サービス残業や過重労働で苦しんでいる場合は、時間的にも体力的にも余裕がなく、悩みを抱え込んでしまいがち。
しかし、専門家に相談する事で、現状を解決・改善する事が出来ます。
ひとりで悩まず、まずは相談してみてください。