残業時間の上限は月45時間!残業を規制する「36協定」の仕組みを解説

2018年10月29日 19:05:00労働問題

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 残業が多く、法律に違反しているのではないかと考えている人

  • 36協定という言葉を聞いたことがあり、詳しい内容を知りたい人

  • 会社に長時間残業をやめさせるにはどうすればいいか知りたい人

はじめに

過労死や自殺のニュースが、あとを絶ちません。自殺まではいかない場合でも、長すぎる残業は働く人の心や体に確実に悪影響をおよぼします。

本来、会社が従業員に残業をさせるには36協定と呼ばれる協定を結ぶ必要があり、さらに残業時間にも上限が定められています。長期間の残業はそもそも違法なのです。

この記事では、残業時間に関するきまりと、残業時間の上限について解説していきます。

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1.残業時間を決める36協定……そのルールと残業時間の上限



残業時間の上限は、36協定(サブロク協定)という協定で決められています。

その具体的な仕組みや残業時間の上限、例外ケースなどについて解説していきましょう。

①36協定の仕組みと残業時間の上限

36協定は、法定時間外労働や法定休日労働について定めたルールであり、これを労働者(正確には、労働者の代表または労働組合)と事前に締結し、労働基準監督署に届け出をしなければなりません。またその内容は、労働者に公表・通知する必要があります。

具体的に必要となる内容は下記の通りです。

(1)時間外労働をさせる必要のある具体的な事由
(2)時間外労働をさせる必要のある業務の種類
(3)時間外労働をさせる必要のある労働者の数
(4)1 日について延長することができる時間
(5)1 日を超える一定の期間について延長することができる時間
(6)有効期間
(引用元:厚生労働省 時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引

また、36協定は事業所ごとに結ばなければなりません。たとえば本社で36協定を結んでいたとしても、支社で協定を結ばずに残業をさせていた場合は違法となります。


また、36協定で定める残業時間には、下記の通り上限が決まっています。

期間 一般の労働者 対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制の対象者
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1箇月 45時間 42時間
2箇月 81時間 75時間
3箇月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間
(引用元:厚生労働省 時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引

②残業時間の例外ケース

36協定には残業させてよい時間の上限が決まっていますが、その例外となるケースもあります。

  • 36協定の適用外となる職種の場合

    以下の4種の職業は、36協定の対象になりません。

    ① 工作物の建設等の事業
    ② 自動車の運転の業務
    ③ 新技術、新商品等の研究開発の業務
    ④ その他厚生労働省労働基準局長が指定するもの(造船事業における船舶の改造又は修繕に関する業務、郵政事業の年末・年始における業務等)

    ただし、上記④については、1 年間の限度時間は適用されます。
    (引用元:厚生労働省 時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引

  • 特別条項による時間の延長

    36協定には、「特別条項」とよばれる、いわば例外となるケースを設定することができます。ここで決めた事情がある場合は、上限時間を超えて従業員を残業させることができることになります。

    具体的には以下のような例があります。

    ・大規模なリコールが起きて対応に追われている
    ・決算間近で繁忙
    ・大型受注の納期間近

    ただし、この特別条項が使用できるのは、年6回(6ヶ月)まで。

    特別条項はあくまで臨時措置なので、毎回のように適用される場合は、会社の業務体制自体に問題があるとみなされるためです。

    いっぽうで、2018年10月現在、特別条項での上限延長には、限界が定められていません。つまり、労働者側と会社側で合意があれば、何時間でも残業時間を延ばすことができてしまいます。

    このことが異常な長時間残業につながっているという面があるのです。

    ただ、その状況も将来的には改善されるかもしれません。


③2019年の労働基準法改正により残業時間に規制がつく


上記の問題のため、2019年4月1日から施行される労働基準法改正により、36協定にも制限がつくことになりました。なお、中小企業は1年遅れの2020年(平成32)年4月1日からの開始となります。


これにより、従来の36協定で定められていた

  • 時間外労働の上限は原則として月45時間&年360時間。(一部の除外業務を除く)
  • 1年単位の変形労働時間制の場合は、原則として月42 時間&年320 時間。

という上限を超える場合、罰則がつくようになります。

さらに、36協定の特別条項を結んだ場合でも、以下の規制がおこなわれるとしています。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
を超えることはできません。
(月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。)
また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。
(引用元:厚生労働省 働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~

このように、法的にしっかりとした規制が設けられるようになるので、違反した場合は罰則が科せられることになります。


2.上限を超えていたらどうすればいいの? 具体的なアクション3つ



では36協定の上限を大幅に超えた労働をしていた場合、どうすればいいのでしょうか。

具体的な方法3つを紹介します。

①人事部や労働組合、社内のコンプライアンス窓口に相談する


もし可能であれば、社内での窓口を通じて改善を依頼してみましょう。

ある程度の規模の会社では、労働環境を守るためのこうした仕組みが整っている場合もあります。まずは簡単に相談してみてもよいかもしれません。

②労働基準監督署に通報する

労働基準監督署は、労働問題全般の相談受付だけでなく、法律に違反した会社への改善指導や悪質な事業者の逮捕も行っています。

先ほどもご紹介した通り、2018年10月時点では残業時間の法律的規制がないため、労働基準監督署に通報しても、指導にとどまります。

しかし、2019年4月1日以降(中小企業の場合は2020年4月1日以降)は規制対象になるので、法的根拠をもって逮捕などの対応をしてもらえるようになります。


労働基準監督署への通報は、こちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。


③退職する

長時間残業が常態化している会社は、そもそも業務の効率化ができていません。思い切って退職してもいいかもしれません。

しかし、退職をしようとしても引き留められることがあります。

そのような人のために、最近では退職代行サービスが登場しています。

退職代行サービスとは、労働者の代わりに、会社への退職連絡をしてくれるサービスのこと。

「退職したいけど言い出せない」
「もう会社に行きたくない」

そのような人向けのサービスとして、人気を集めています。


3.まとめ

  • 36協定による1ヶ月の残業時間上限は45時間。ただし、特別条項を設けることで、年6回だけ上限の以上の残業が可能になる。

  • 2018年10月時点では、残業時間の上限を定めた法律がないため、規制できていない。しかし、2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)からの労働基準法改正により、原則として月45時間&年360時間の規制が設けられる

  • 長時間労働を強いられた場合の対処法としては、①会社の窓口に相談する②労働基準監督署に通報する③退職するといった方法がある。

おわりに

残業時間には上限があり、2019年には罰則規定も設けられます。

あまりに長い残業を強いられているのなら、心身を壊す前に、解決に向けた一歩を踏み出してみてください。

また未払いの残業代がある場合は退職後に請求することも可能です。

もしサービス残業が常態化している場合は、そちらも検討しましょう。


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