この記事は以下の人に向けて書いています。
- いままさに、詐欺の被害にあっている人
- 詐欺なのかどうか不安だが、どこに相談していいのかわからない人
- 知り合いがどうやら詐欺にあっているように見える人
はじめに
「もしかして、これ、詐欺かも……?」
そう思ってこのページにたどり着いたあなた。
詐欺にあったとき、大事なのは初動です。動き出しが早ければ早いほど、お金を取り戻せる可能性は高くなります。放置したり、疑いながらもお金を払い続けたりすれば、それだけ詐欺師に逃げる時間を与えることになり、
結果として、お金を取り戻せる可能性はどんどん低くなってゆきます。
少しでも「おかしいな?」と思ったら、まず相談からでも動き出すのが肝心。
この記事では、詐欺の相談窓口の一覧や、実際に詐欺の被害にあったときのフローチャート、二次被害にあわないための注意点を解説します。
1.怪しいと思ったらまずここへ! 事例別・相談窓口リスト6選
「もしかしたら、詐欺かもしれない」
少しでもそう疑ったら、
まずは専門機関に電話で相談してみましょう。
これらの機関には、常に最新の情報が集まっています。同時に詐欺を見分けるためのノウハウも集まっているため、ひとりで悩むよりも、詐欺かどうかの見極めを確実にすることができるでしょう。
また相談前には以下の情報を整理しておくと、話がスムーズに進みやすくなります。
- 相手の企業名、住所、代表者の名前、ウェブサイトのURLなど
- お金を振り込んだ口座番号、振り込んだ金額と日時
- 相手と契約し、お金を渡すまでに至った経緯
相談できる窓口を、用途別に下記のとおりまとめました。
①気軽に相談できる総合窓口
消費者ホットライン(局番なしの188)
警察相談専門窓口(#9110)
|
②事例別の専門窓口
金融サービス利用者相談(0570-016811)
情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509)
通販110番(03-5651-1122)
訪問販売ホットライン(0120-513-506)
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それぞれの相談先の特徴や受付時間を、以下詳しく解説していきましょう。
①気軽に相談したい人向け!総合的な窓口
「まだはっきりと詐欺とは言い切れない、詐欺なのかどうか見分けがつかない」
そんなときに気軽に相談できるのがこちらです。
状況を伝えることで、アドバイスがもらえたり、適切な窓口を紹介してもらうことができるでしょう。
・国民生活センター 消費者ホットライン
電話番号 |
188
または
03-3446-1623(平日のみ) |
受付時間 |
平日:10時~12時 13時~16時
土日祝:10時~16時
(各地の窓口受付時間による) |
消費者庁が運営する「国民生活センター」の相談窓口です。
商品の購入だけでなく、投資詐欺やフィッシング詐欺、ネットワークビジネスなど、さまざまな詐欺全般の事例について相談にのってもらえます。
時間帯によっては電話が混み合う可能性もあるため、その際は
こちらのページから最寄りの消費者センターに電話してみてもよいでしょう。
・警察相談専用窓口
電話番号 |
#9110 |
受付時間 |
平日:
午前8時30分~17時15分
(各警察本部で異なる) |
ここに電話することで、住んでいる都道府県に応じた警察の相談窓口につながります。一般的な110番とちがい、こちらの番号は「事件性があるかどうかの判断がつかない」「緊急性のある事件ではない」場合でもかけてOK。事情を相談すると、さらに専門の窓口につないでくれたりもします。
②事例別!より専門的な相談のできる窓口一覧
投資、通販、ネットワークビジネス……。特定のジャンルのトラブルに関しての相談に特化した相談窓口もあります。上記の総合窓口はいろいろな悩みをもった人が集中するため混み合いがちですが、下記の専門窓口であればいくらかつながりやすいかもしれません。
また、より専門的な見方から詐欺を判断してくれる場合もあります。
・金融サービス利用者相談室
電話番号 |
(被害の相談)
0570-016811
IP電話からかける場合:
03-5251-6811 |
(予防ガイド)
0570-016812
IP電話からかける場合:
03-5251-6812 |
受付時間 |
平日10時~17時
ウェブサイトからも受付可 |
保険や株式、為替取引などの投資に関するトラブルを専門に取り扱う、金融庁の相談窓口です。仮想通貨などの取引相談もすることが可能です。平日に自分から電話をかけることができない場合でも、ウェブサイトの入力フォームに記入しておくことで、相手から折り返しの電話を受けることができます。
・情報セキュリティ安心相談窓口
電話番号 |
03-5978-7509 |
受付時間 |
平日10時~12時 13時~17時
ウェブサイトからメール相談可 |
パソコンにアダルトサービスの請求画面が固定されてしまったり、見に覚えのない警告画面が表示されてしまった人などに向けたアドバイスを行っている窓口です。ただし、
お金を振り込んでしまった場合の法的なアドバイスはしていませんので注意が必要です。
また、問い合わせ前には以下の情報をまとめておくようにしましょう。
・問題がおきたパソコン、スマートフォンなどの種類
・問題がおきた端末のOS(Windows 10、Androidなど)
・インストールしているセキュリティソフトの名前
・利用しているクラウドサービスの名前
・いつ、どうして、どんな問題が起きたのか
・なぜそれをウイルスや不正アクセスだと思ったのか
・他に相談をした窓口や機関
・通販110番
電話番号 |
03-5651-1122 |
受付時間 |
平日10時~12時 13時~16時
ウェブサイトからも受付可 |
日本通販協会が運営する、通信販売に関するトラブルの窓口です。インターネット通販を含む、通信販売に関するトラブルを解決することができます。商品を購入しようと考えているが、その販売者が信頼できるかどうかわからない、信用できない場所がある……というときに相談してみるとよいでしょう。
・訪問販売ホットライン
電話番号 |
0120-513-506 |
受付時間 |
午前10時〜12時
13時〜16時30分 |
日本訪問販売協会による窓口です。強引な押し売りや悪徳商法などを受けた場合はこちらで相談してみましょう。フリーダイヤルなので通話料金がかからないほか、ADR(裁判外紛争処理機構)という仕組みがあり、どうしてもトラブルが解決しない場合は、協会が企業への交渉、勧告などを行ってくれます。
2.詐欺被害だと確信したらまずここへ!対策フローチャート
「なかなか相手が商品を送ってくれない……」
「もらえるはずの配当が遅れがち……」
さまざまな状況や、相談の結果、詐欺だという疑惑が高まった場合は、なるべくすぐに行動をはじめることが大切です。
詐欺の場合、
相手と連絡がとれなくなった時点で手遅れであるケースが大半。早めに手を打てば、それだけお金が返ってくる可能性も高まります。
詐欺とわかったときのステップは下記の通りです。
①振り込み元の金融機関へ連絡
まずは、振り込み元である自分の金融機関(銀行、ゆうちょなど)に連絡をとりましょう。翌日付の振り込みになっている場合は振り込みの取り消しをすることができます。
振り込みが終わってしまった場合でも、
組戻し手続きをすることによって振り込んだお金を返してもらうことができます。この場合は
手数料と同時に
振り込んだ相手の承諾が必要になるのでハードルは上がりますが、相手がことを大きくしたくないと思っている場合など、返金される可能性は十分にありますので、試す価値はあるでしょう。
ここでお金が戻ってこなかった場合は、次のステップへ進みます。
②警察への連絡
振込の取り消しができなかった場合や、相手が組戻しに応じなかった場合などは、警察に相談し、被害届を提出しましょう。被害届を出したからといってすぐに警察が捜査をしてくれるというわけではありませんが、その後いろいろな手続をする際に物事がスムーズに進みやすくなります。
被害届は、最寄りの警察署または交番にて手続きをすることになります。
相談のときと同じく、
- 相手の企業名、住所、代表者の名前、ウェブサイトのURLなど
- お金を振り込んだ口座番号、振り込んだ金額と日時
- 相手と契約し、お金を渡すまでに至った経緯
といった情報が必要となりますが、警察署に行くときは、
これらの資料をすべて紙に印刷しておく必要があります。
- ウェブサイトの画面やパンフレット、名刺など、会社の情報が書かれたもの
- 契約書、支払い完了メール、請求書、振込の記録が載っている通帳といったお金のやり取りに関する証拠
- 契約前後の相手とのやり取りのメール、録音データなどを文字に起こしたもの
- ネットなどで他の被害者がいれば、その証言
こういった資料を
物事が起きた順に用意し、さらに事前に聞いていたことと違う部分や、相手とのやりとりで問題になった部分などを整理して、聞かれたときに説明できるようにしておきましょう。
明らかに詐欺目的であるという証拠がない場合は不受理となる場合もありますので、資料は多ければ多いほど用意しておくことが得策です。
また一度受理を断られた場合は、都道府県警の本部といったより大きい組織に再度連絡を取ることで受理してもらえる場合もあります。
被害届が受理されると、その証明である
「届出受理番号」が伝えられますので、それを控えておくようにしてください。
また受理されなかった場合でも、とりあえず次のステップに進んで大丈夫です。
③振り込み先の金融機関へ連絡
振り込んだ相手の口座がある金融機関へ連絡をします。
銀行であれば、
全国銀行協会のウェブサイトに詐欺被害者用の窓口が載っていますので、こちらから探すと便利でしょう。
窓口に電話したら、受けた被害の状況や振り込んだ日時、そして警察に被害届が受理されている場合はそのことを相手に伝えます。
通報を受けた金融機関は、その口座が違法なことに使われていないかどうかを調査。怪しいと判断した場合は警察への届け出と口座の凍結を行い、その後は口座に残っている金額を被害者に分配してくれます。
実際に返金が始まるまでには数ヶ月のタイムラグがありますが、申請を受け付ける段階になると個別に連絡があり、また
預金保険機構にも通知が記載されますので、随時チェックするとよいでしょう。
ただし、お金は申請した被害者全員で分配する形となりますので、相手がすでにお金を大量に引き出していた場合などは全額戻ってこない場合もあります。
口座の凍結が難しい場合や、戻ってくる金額が少ないという場合は次のステップに進みます。
④弁護士に相談
警察に被害届が受理されず、相手の口座から資金を取り戻すのも難しい……そんな場合は、民事事件として解決をはかっていくしかありません。
資料をそろえて、身近な弁護士に相談してみましょう。費用面が心配な場合は
法テラスを利用することで無料相談を受けることができます(収入・資産が一定以下の人のみ)。
また警察に被害届が受理されなかった人は、ここで再度相談してみましょう。弁護士のアドバイスによって資料を整理したり、警察署に弁護士と同席してもらったりすることによって、被害届が受理されるケースもあります。
ただ、実際に訴訟を起こす際にネックになるのは高額の弁護士費用。場合によっては被害額よりも高いお金を支払うことにもなりかねません。
そんなとき、なるべく費用をかけずに訴訟をする方法については下記でも紹介しています。興味のある人はこちらも読んでみてください。
3.被害者を狙う罠……『返金詐欺』に注意!
これまで詐欺にあったときの相談窓口と対処法を紹介してきましたが、最後にひとつ大きな注意があります。詐欺の被害にあった人を狙い、さらにお金を騙し取ろうとしてくる
『返金詐欺』です。
そのおおまかな手口は
①返金業者を装うパターン、②公的機関を装って連絡してくるパターンのふたつ。以下、詳しく説明していきます。
①返金業者を装うパターン
「あなたのお金を取り戻します」
「詐欺の被害をご相談ください」
……そんな言葉が乗っているウェブサイトを見たことはありませんか?
一見、ちゃんとした探偵事務所やNPOを名乗っていますが、これらのウェブサイトの大半は、お金を取り戻してほしい人を狙った悪質業者です。
「あなたのお金を取り戻せる」として契約させておいて実際にはなにもしないばかりか、契約をやめようとすると高額の解約料を請求してくる場合もあります。
こうした事務所の中には、探偵事務所の資格や行政書士の資格を宣伝するものもありますが、これらの資格を持っていても、詐欺の相手に損害賠償の請求をすることは認められていません。
損害賠償の請求ができるのは弁護士だけです。
無料相談や24時間での相談受付、相談事例の数などにつられがちですが、まずは公共機関、および弁護士事務所に相談するようにしましょう。
②公的機関を装って連絡してくるパターン
公的機関や弁護士事務所を名乗り、お金をだまし取ってくるパターンで、はがきや訪問、電話などのさまざまな手段で連絡をとってきます。内容もさまざまで、①のパターンと同じく
「お金が取り戻せます」と言ってくることもあれば、
「あなたが訴えられている。このままでは裁判になり損害賠償をしなければならなくなる」と脅して連絡させ、お金をだまし取ることもあります。
実在する機関を名乗るため、うっかり信用してしまったり、プレッシャーを感じて言いなりになってしまいがちですが、
こうした通知を公的機関がすることはまずありません。
はがきに記載された番号や、電話で伝えられた番号ではなく、必ず公式ウェブサイトから番号を調べ、連絡をするようにしましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
この記事では、詐欺かもしれないと思ったときの相談窓口や、詐欺だとわかったときの対処方法について紹介してきました。
少しでも返金の可能性を上げるためには迅速な行動が重要です。
まずは相談からはじめてみましょう。