エステ契約はクーリングオフで返金できる!4つのポイントを徹底解説

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投稿日時 2019年06月11日 17時27分
更新日時 2019年09月03日 16時00分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • エステをクーリング・オフしたいと考えている人

  • 不必要なエステを契約してしまい、困っている人

  • どのような手続きをとればいいのかわからず不安な人

はじめに

身体を細くしたり、肌をきれいにしたりするエステ。

「きれいになりたい!」と、契約したものの、後から高額な料金の支払いに後悔してしまう人もいるかもしれません。

実は、契約状況によっては、すでに施術を受けていても、クーリング・オフで契約を解除できることがあります。

そこでこの記事では、クーリング・オフのポイントを詳しく解説するとともに、それ以外の返金方法もご紹介していきます。

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1.エステを解約したい!クーリング・オフの4つのポイントを解説



エステの契約直後に契約を後悔した……という場合、すぐに行動すればクーリング・オフで契約を解除できる可能性があります。

クーリング・オフを行うときのポイントを見ていきましょう。

①どんな場合、クーリング・オフできる?

「クーリング・オフ」は、消費者側から一方的に、契約を解除できる制度です。

訪問販売などに適用されるイメージが強いですが、エステもクーリング・オフの対象になっています。

ただし、契約日を1日目として、8日以内に行う必要があり、さらに下記の条件を満たしている契約にのみ適用されるので注意してください。

契約金額 5万円を超える
(美顔器などの関連商品もふくむ
※関連商品については次の②で詳しく説明します)
契約期間
(施術を受けられる期間)
1ヶ月を超える

なお、クーリング・オフをすれば、すでに施術を受けていたとしても、全額戻ってきます。

②契約とともに購入した商品は返品できる?

エステでは、「効果を高めるため」などといって、サプリや化粧品や、美顔器などの機器を購入を勧めるケースも多くあります。

契約にあたり、購入しないと施術が受けられない(購入が必須)ような商品は「関連商品」と呼ばれ、エステの契約と一緒に、返品(クーリング・オフ)ができます。

なお、似たものとして、「推奨商品」と呼ばれるものがありますが、こちらは契約にあたり、必ずしも購入する必要がない商品のことで、返品はできません。

関連商品
サプリメントなどの健康食品
化粧品、石っけん、浴用剤
下着類
美顔器や脱毛器など

関連商品は「概要書面」という書類に書かれているので、チェックしてみてください。また、口頭で「必ず必要」などと言われた商品も関連商品として扱われることがほとんどです。

ただし、関連商品でも返品できないケースがあります。

返品が可能 ・下着や、美顔器・脱毛器など(使用済みでも可)
・使っていない、健康食品、化粧品、石けん、浴用剤
返品ができない ・消費者が自らの意思で使った化粧品やサプリメントなどの消耗品

なお、販売員が「中身のチェックを」などといって勝手に開封したものに限っては、返品が可能です。

③クーリング・オフの手続きを3つのステップで解説

それでは、実際にクーリング・オフをするときに必要な手続きをみていきましょう。

  • 書類など解約に必要なものを準備する

    ・契約書
    ・クレジットカード決済の場合、利用明細やレシート
    ・印鑑
    ・残金を振り込む銀行口座の情報


  • 電話連絡または、書面を作成

    店舗で直接、解約の手続きを取ることもできますが、忙しくていけなかったり、引き留められたりする心配があります。

    その場合、電話連絡または書面で、解約の意思を伝えましょう。

    もし電話で連絡をしても、対応に疑問があったり、きちんと解約ができているか不安になった場合は、書面で解約を伝えることをすすめます。

    書面には以下の内容を記載してください。

    ・タイトル「クーリング・オフ通知書」
    ・契約を解除する旨(理由を書く必要はありません)
    ・契約年月日
    ・契約プラン名
    ・契約金額
    ・販売会社の情報(会社名、営業所名、担当者名)
    ・返金を求める旨
    ・返金用の振込口座情報
    ・文書を出した日付
    ・自分の氏名、住所
    ・クレジットカード払いの場合はクレジットカード会社名


  • 郵送する

    郵送の方法にも、注意が必要です。

    ポストに入れて送っただけでは、「届いていない」「内容に不備がある」などと言われ、トラブルになりかねません。

    そうしたトラブルを回避するために、書面を郵送する場合は「内容証明郵便」を利用しましょう。

    「内容証明郵便」とは、日本郵便がいつ、誰が、誰に、どのような内容の郵便を送ったのか証明してくれる郵便方法です。

    ただし、法的効力はないので、内容証明郵便を送っても、相手側業者が、内容に従わなければならないということではありません。

    内容郵便証明を送る際は、郵便窓口に次の4つを提出してください。

    ・内容文書(受取人へ送付するもの)
    ・内容文書のコピー2通(差出人と郵便局が各1通ずつ保存するため)
    ・差出人と受取人の住所と氏名を記載した封筒
    ・内容証明の加算料金をふくむ郵便料金

    また、内容証明郵便には、文書の字数や行数の制限があるので、注意が必要です。

    縦書きの場合 ・1行20字以内、1枚26行以内
    横書きの場合 ・1行20字以内、1枚26行以内
    ・1字13字以内、1枚40行以内
    ・1行26字以内、1枚20行以内
    出典:日本郵便『内容証明 ご利用の条件等』

    もし、郵便窓口に行くことが難しい場合、「電子内容証明」を利用してみてください。インターネット上で24時間出すことができます。


    内容証明郵便については、下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。


  • クレジットカード会社へ連絡

    クーリング・オフを行ったときは、念のため、利用したクレジットカード会社へ連絡を入れましょう。

    業者に連絡し、クーリング・オフを無事に終えたとしても、クレジットカード会社とのローン契約が解除されていない可能性があります。

    また、相手側業者がクーリング・オフを拒否している場合は、代金の支払いを停止させる「支払停止の抗弁」を行ってください。

    「支払停止の抗弁」とは、購入したサービスや商品に欠陥があったり、クーリング・オフを拒否された際に、代金の支払いを止めてもらう方法です。

    下記の条件を満たしていれば、制度を利用できます。

    支払い期間 2ヶ月以上
    分割回数 3回以上
    金額 4万円以上

    なお、クレジット・カード業界の団体「日本クレジット協会」では、支払停止などの抗弁に関する手続きや書面の内容などを紹介しているので、チェックしてみてください。


2.クーリング・オフ以外の返金方法はある?ポイント3つ



クーリング・オフ以外の返金方法としては、以下の3つが考えられます。

①中途解約
②消費者契約法による取消
③民事訴訟

それぞれ、見ていきましょう。

①8日を過ぎたら「中途解約」

クーリング・オフができる8日を過ぎても、「中途解約」という返金手段があります。

かんたんに言えば、違約金を支払う代わりに、契約を解約する方法です。

  • 中途解約の条件

    中途解約は、すでに施術を受けていても利用できます。

    ただし、どんな契約も中途解約できるわけではありません。下記の条件を満たす必要があります。

    契約期間 1ヶ月を超える
    契約金額 5万円以内
    解除のタイミング エステの契約期間内

    なお、契約期間が明確にされておらず、「年間パスポート」などという名目のコースだった場合は、その期間(この場合、契約から1年)が契約期間となります。


  • 中途解約の違約金の計算方法

    先ほどお伝えした通り、中途解約を利用するときは「違約金」を支払う必要があります。

    「違約金」の額は、施術前か、後かで計算方法が変わってくるので注意が必要です。

    施術前
    違約金の上限は、一律2万円
    総額で支払った額から、この違約金を差し引いた額が返金される。
    施術後(一回以上施術を受けた後)
    下記、①+②の合計が違約金の上限。
    ①すでにサービスを受けた分の費用
    ②2万円または、契約残金の10%のいずれか低い金

    例えば、総額20万円、合計20回の施術が受けられるコースで、5回の施術を受けた後に解約する場合(なお、代金は分割2回で支払い済み)は、以下のように計算します。

    ①の計算方法
    ・1回あたりの施術料金を求める 20万円÷20回=1万円
    ・1回あたり1万円の施術を5回受けているので、1万円×5回=5万円
    ②の計算方法(契約残金10%の計算方法)
    ・1回あたりの施術料金は1万円。5回の施術を受けているので、契約残金は20万円ー5万円=15万円
    ・15万円の10%は、1万5000円。
    2万円より、1万5000円の方が低いため、1万5000円が②の金額
    ①+②(違約金)
    5万円+1万5000円=6万5000円

    つまり、返金される金額は、

    20万円(支払い総額)ー6万5000円(違約金)=13万5000円

    となります。

②消費者契約法による契約取り消し

長時間の強引な勧誘により、本当は契約したくなかったのに契約してしまった……。

そのようなケースでは、そもそも違約金を支払わずに解約できる可能性があります。

「消費者契約法」には、業者側に違法行為があれば、消費者は一方的に契約を解除できる権利「取消権」があります。

次に当てはまる行為などがあった場合、取消権は適用されます。契約に際し、下記の行為があった場合は取消権に基づいた解約をすすめます。

不実告知 事実と異なることを告げること。
断定的判断の提供 予測がつかない不確実なことを「確実になる」などということ。
不利益事実の不告知 消費者にとって不利益になることをわざと告げないこと
退去妨害 消費者が帰りたいと言ったのに、無理に留まらせること

③最終手段は弁護士による交渉や民事訴訟

クーリング・オフ中途解約、消費者契約法による取消権を利用しても、業者が返金をしてくれない場合は、弁護士に依頼し、業者と交渉をしてもらいましょう。

消費者トラブルに強い弁護士が交渉すれば、スムーズに返金に応じてくれる可能性が高まります。

もしも、弁護士による交渉にも応じてくれない場合は、民事訴訟を起こして返金請求を行うしかありません。

ただし、民事訴訟を起こすときは、交渉を依頼したときよりも弁護士費用が嵩むので、自身の被害額を加味して、訴訟を起こすかどうか決定してください。


3.困ったときに相談したい窓口4つ



「まずは何をすればいいのかわからない」
「エステ業者に返金をお願いしてるけど、対応してくれない」

そうした事情で誰かに相談したり、アドバイスをもらいたかったりする場合、専門の相談機関に連絡してみましょう。

主な相談窓口4つをご紹介します。

①消費者ホットライン「188」

消費者ホットライン「188」は、専門の相談員が消費生活に関するトラブルに対して、アドバイスを行っている相談窓口です。

自治体が運営する消費生活センターや国民生活センターが運営しています。

まずは何をすればいいのかわからない…といったケースでは、最初に連絡してみてください。

電話番号 188(全国共通)
時間 センターによって異なる。
料金 無料

AEAエステティック消費者相談センター

エステティックの健全な発展を目指し、設立された業界団体「日本エステティック業協会(AEA)」のエステに関する相談窓口です。

エステティックの契約やサービスに関わるトラブルに対し、アドバイスをしてくれます。

電話番号 03-5212-8805
時間 月・水・金12時30分~17時
(祝日、夏季・年末年始は休み)
料金 無料

AJESTHEサポートセンター

「一般社団法人日本エステティック協会」に登録しているサロンで何かしらトラブルが起きた場合に相談できる窓口です。

協会に登録しているサロンは、協会のウェブサイトで確認できるので、トラブル先のサロンが登録されていないかチェックしてみてください。

電話番号 03-3234-8498
時間 平日9時~17時
(祝祭日および年末年始はのぞく)
料金 無料

法テラス

クーリング・オフや中途解約を申し立てても、悪質な業者の場合、取り合ってくれない場合があります。

法的な相談をしたい場合は、「法テラス」(日本司法支援センター)に相談してみましょう。

法テラス・サポートダイヤルでは、問い合わせ内容に応じて、適切な法制度や相談機関・団体を紹介してくれます。

電話番号 0570-078374
時間 平日9時~21時、土曜日9時~17時

また、「法テラス」では、「収入などが一定以下」などの条件を満たしている人に対して弁護士・司法書士への法律相談を援助する制度弁護士費用を立て替えてくれる制度があるので、経済面で不安がある人は、検討してみてください。

そのほか、費用が心配で行動が起こせない人は「集団訴訟」もおすすめです。

集団訴訟とは、同じ加害者から同様の被害を受けた被害者同志で協力して訴訟を起こす方法で、弁護士費用を参加者全員で分けて支払うため、通常の個人訴訟よりも費用が少なく済む場合があります。

弁護団や被害者の会など、すでに自身の被害のあった業者に対する集団訴訟が立ち上がっている場合もあるので、まずはインターネットで検索してみましょう。

そのほか、集団訴訟プラットホームenjinに、被害を報告してみてください。あなたの声が弁護士に届けば、回復する手段が見つかります。


4.まとめ

  • 施術を受けていても8日以内なら、クーリング・オフが可能

  • 契約と一緒に購入した製品は返金できるものとできないものがある

  • 8日以降でも、中途解約などで契約を解除し、返金を求めることが可能

おわりに

高い料金を支払い、長い期間通うことも多いエステ。

もし通うことが難しくなった場合はクーリング・オフや中途解約を検討することも手段の一つです。

「もうお金を支払ってしまった」「すでにサービスを受けている」とあきらめずに、専門の相談窓口などに相談してみましょう。

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