欠陥住宅が発覚してしまったら?再施工の注意とトラブルの相談先4つ

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投稿日時 2019年05月13日 18時26分
更新日時 2019年05月13日 18時26分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • マイホームを建てたが欠陥住宅で、どこに相談すればいいか探している人

  • 欠陥住宅を建てた業者との問題解決手段を探している人

  • 欠陥住宅の金銭的な被害を回復したい人

はじめに

住宅は人の手で作られるため、業者の技術や性質によっては、欠陥住宅が建てられてしまいます。

欠陥住宅や施工不良と言えば、テレビのコーナーで発覚した「レオパレス」問題が話題です。遮音や延焼を防ぐことを目的とした界壁が設置されていないなど、建築上の重大な欠陥が見つかったことで批判が集まりました。

このような欠陥住宅を建てられた場合は、業者に再施工を依頼しましょう。今回は、欠陥住宅を建てられたときの対処法と、業者とトラブルになったときの相談先をご紹介します。

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1.欠陥が発覚したら?まず押さえたい作業2つ



施工直後に壁紙や床板の破損や汚れがある、歩くとギシギシ音がする、雨漏りがするなどの欠陥が見つかった場合は、①まず証拠を集め、②そのうえで第三者に調査を依頼することを考えましょう。

①写真や証拠を集める時のポイントはこの6つ

第三者に相談するにしても、まずは写真や証拠などを集める必要があります。欠陥の種類に応じて、次のような証拠を集めましょう。

  • 床板や壁紙の汚れ

    床板や壁紙の汚れなどは、問題がある箇所の写真を撮りましょう。全体像(部屋のどの部分かわかるもの)、汚れ部分のアップ(実際の汚れ方がわかるもの)があると確実です。


  • 外壁のひび割れ

    外壁にひびが入っている場合も、家全体のどの部分かわかる全体像と、問題の部分がわかるようなアップの写真を用意しましょう。
    素材や模様によっては遠目でひびのように見えることもありますので、両方の写真があるといいでしょう。


  • 雨漏り

    天井や壁から水がポタポタと落ちたり、しみ出したり、漏れたりしてきている様子を動画で撮影するとわかりやすくなります。
    降雨量にもよりますが、「どの程度の雨でどのくらい漏れるのか」があるとより詳しくなるでしょう。雨漏りがした日の降り方は記録しておくと参考になります。天候によるものはその現象が起きたときがチャンス。慌てて掃除をする前に、まず「このくらいの被害が出ている」という記録を撮ってしまうといいでしょう。


  • 床のきしみ

    音がしている様子は、動画で記録を取った方がいいでしょう。

    録音だけでは、どのような動作をしたときに音が出るのかがわかりません。動画であれば、例えば「この部分で足を踏みしめたときにここでギシギシと音がする」など、具体的な状況を記録できます。


  • 家の傾き

    ボールや筒などを置いて、転がっていく様子を録画しましょう。また、水平かどうかを測定する水平器(水準器)を使うことでも、部屋の傾きをチェックすることが可能です。ホームセンターや通販で1000円程度で購入できます。


  • 振動に弱い、揺れる

    水を入れたコップやペットボトルを床に置き、水面の揺れを確かめてみましょう。振動計も市販されていますので、気になる人はこちらを試してもいいでしょう。

    こちらは幹線道路や線路など周辺の環境が影響している可能性もあります。近所で新たな工事現場ができていたりすると、これまでにはなかった揺れが発生しているかもしれません。

②建築士に調査を依頼する

写真や証拠を集めても、本当に欠陥かどうかは素人には判断できません。これらを持って建築士に相談してみましょう。施工した業者の建築士では客観的な判断が難しい場合があるので、第三者の建築士に相談するといいでしょう。

仮に施工業者と裁判になった際にも第三者の専門家による証拠集めが必要になるため、相談の段階で別の建築士とのコネクションを作っておくという考え方もあります。

建築士は、 日本建築家協会のウェブサイト からアクセスできる日本全国の各支部のウェブサイトで探せます。また、支部によっては、予約制の無料相談が可能です。施工不良に関することを相談し、必要に応じて現場を調査してもらいましょう。

調査は有料となっているので、見積もりは必ず取ることが大切です。見積もりを取ることで、調査後に多額の追加費用を請求されるリスクを減らせます。


2.再施工にあたって気を付けたい2つの注意点



欠陥が発覚した場合、すぐに施工業者へ連絡を取るのではなく、施工前の見積書や契約書にも目を通しましょう。

また、第三者の業者に作業を依頼することになった場合、詐欺にも注意が必要です。こちらの章で説明していきます。

①契約や見積書を確認しよう

まずは、契約や見積書を確認しましょう。施主の要求通りに仕上がっているかどうかのほか、瑕疵(かし)担保責任の期間と適用範囲も確認しましょう。

  • 瑕疵担保責任とは

    新築住宅の基本構造部分は、施工業者に完成の引渡しから10年間の修理保証が義務付けられています。この基本構造部分には、基礎土台、柱や梁、床、屋根など雨水の防水部分が含まれ、修補請求、賠償請求などができます。修補ができない場合は、売買契約は解除となります。

②リフォーム詐欺にも気を付けて!

もし、欠陥部分の調査や再施工を第三者の業者に依頼する場合は、リフォーム詐欺に注意しましょう。

修繕するふりをして実際には修繕せずに高額な料金を請求したり、直す必要がないところを勝手に施工して料金を請求したり、問題ない部分を壊して修繕を発注させようとしたりする手口があります。

また、見積もりを出すスピードをアピールする業者にも注意しましょう。修繕箇所ごとに見積もりを出さずにまとめた金額である場合は、適切な金額かどうかが判断できないケースがあります。それぞれ個別の箇所について必要な費用を算出してもらうようにした方が安全です。

リフォーム詐欺業者の手口や対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。



3.どうしても解決しない!そんなとき頼れる相談先4つ



業者に再施工を依頼しても十分な対応をしてもらえなかった場合は、専門機関や窓口に相談しましょう。相談先の名称と概要を以下にまとめました。

名称 概要
①都道府県の不動産・住宅専門相談窓口や機関 各自治体が設置している窓口や機関です。不動産や住宅に関するトラブルを相談でき、必要に応じて専門家を紹介してもらえます。
②国民生活センター(ADR) 業者とのトラブルなど生活に関わる様々なことを相談できます。和解の仲介や仲裁を行う機関です。
③弁護士 法律の専門家です。訴訟を検討している場合に法的な内容を相談できます。
④住宅紛争処理機関(日弁連) 弁護士と建築士に不動産や住宅に関するトラブルを相談できます。

それぞれの機関や窓口の特徴や相談できる内容、連絡先などを詳しくみていきましょう。

①都道府県 不動産・住宅専門相談窓口や機関

各都道府県には、不動産や住宅を専門に扱う相談窓口や機関が設置されています。それぞれ設置場所が異なるので、自治体の総合窓口に相談先を尋ねましょう。また、自治体のウェブサイトにも相談先が記載されています。

ウェブサイトから探す場合は、「住宅」や「不動産」、「住まい」などの項目を選び、住宅の建設や瑕疵に関するページにアクセスしてみましょう。

相談先は、不動産や住宅の中でもトラブル内容で分かれているため注意が必要です。また、一般的に受付時間は10:00~16:00時程度までのことが多く、基本的に月曜~土曜日が相談可能日となっています。

仮に再施工を断られた場合でも、行政機関に相談することで業者に対する指導が行われ、再施工が可能になるケースがありますので、まずは相談をしてみるのがいいでしょう。

②国民生活センター(ADR)

国民生活センターのADR(裁判外紛争解決手続)は、担当者が業者との間に入って仲介や仲裁を行う手続きです。担当者は各分野の専門家であり、国の権限をもって仲介や仲裁を行うため、解決に繋がりやすくなっています。通常、複数回の話し合いによる和解を目指します。

ADRは消費生活センターなどへの相談後に行われることが一般的ですが、最初からADRの利用を求めることも可能です。

問い合わせ先は、「独立行政法人国民生活センター紛争解決委員会事務局」です。

電話番号:03-5475-1979
受付時間:平日10時~12時、13時~16時
休業日:土日祝、年末年始

③弁護士に相談する

修繕をめぐりトラブルになってしまったり、法的な解決策を模索した場合は弁護士に相談しましょう。 日本弁護士連合会(日弁連)のウェブサイト から探すのが便利です。

弁護士に相談したからと言って必ずしも訴訟という手段を取る必要はなく、話し合いで解決できる場合もあります。

相談には契約書や見積もり、欠陥住宅や施工不良の証拠などを準備してください。また、相談だけでも費用がかかことがあるので注意しましょう。

④日弁連が主催する住宅専門の紛争処理機関

日本弁護士連合会が設置している住宅紛争処理機関検討委員会は、消費者が安心して住宅の購入やリフォームなどができるように、弁護士と建築士がトラブル解決に向けてサポートする機関です。住宅の専門家である建築士にも同時に相談できることで、より現実的かつ具体的な対処法を知ることができます。

連絡先は都道府県によって異なるため、 住宅紛争審査会(指定住宅紛争処理機関)一覧 から、各都道府県の弁護士会に相談してみてください。


4.まとめ

  • 欠陥住宅が発覚したら、写真や証拠を集めて相談する準備を整えましょう。

  • 契約書を確認して、瑕疵担保責任の期間や範囲を確認しましょう。

  • 国民生活センターADRや日弁連が主催する住宅専門の紛争処理機関に相談することで、解決に向けて具体的なサポートを受けられます。

おわりに

せっかくのマイホーム。欠陥は生活の安全にも関わりますので、大きな問題です。

行政機関や弁護士などの専門家に相談し、安全で快適な生活を取り戻せるようにしましょう。


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