この記事は以下の人に向けて書いています。
- リフォーム詐欺の手口や特徴について知りたい人
- 被害にあわないための対策や対処法を把握しておきたい人
- 高齢者の家族がいて離れて暮らしている人
はじめに
リフォーム詐欺とは、住宅リフォームなどの名目で工事費を騙し取る詐欺の手口です。
ターゲットになるのは、おもに、自然災害の被害者や騙しやすい高齢者。本当に家のリフォームが必要な人が本来よりも高額な費用を請求されたり杜撰な工事をされることもあれば、実際にはリフォームの必要がない人が欠陥をでっちあげられて契約を結んでしまうこともあります。
こうしたリフォーム詐欺を防ぐことはできないのでしょうか。
この記事では、リフォーム詐欺の手口と対策、契約解除の方法について紹介します。
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1.リフォーム詐欺でよくあるワード5つから手口を解説
悪質な業者がどのような手口をとるのかを事前に知っておくことで「これは詐欺だ」と気が付き、断ることができます。
この章ではリフォーム詐欺の手口について、よく言われがちな言葉とあわせて紹介していきます。実際に勧誘を受けた際の参考としてみてください。
①「この地域一帯を無料点検しています」
ほとんどのリフォーム詐欺は、訪問販売の形式で行われます。
そのなかでもよくあるパターンが、
家の無料点検を口実とする、いわゆる点検商法と呼ばれる手口。
「無料で点検」と言われると、まるで損をしないような感じがしてしまうかもしれません。しかし、そこにつけこむのが業者側のねらいです。
点検をしたあとに実際にはない欠陥をでっちあげ「こんな欠陥があるので、修理をしましょう」と高額なリフォーム契約を迫ってくるのです。
最近では無料点検を警戒する人が増えてきたため、「3000円で一括点検できます」などと、少額の費用を提示するパターンもみられるようになりました。
そのほか、
「近くで工事するのでご挨拶に伺いました」
「市役所からの依頼で点検しています」
「水道局です。水漏れのチェックに来ました」
などと、親切で良心的なふりをしたり、行政機関の名前を出して接触してくることもあります。
基本的に、
訪問販売はすべて断るようにしておきましょう。また、
行政機関の名前を出されたとしても、まずは断り、市役所などに「こういった点検はしているのか」と問い合わせてみましょう。
②「補助金や火災保険を使ってリフォームできます」
大雪や地震、浸水などの自然災害が起きたときに、リフォーム業者が現れ「保険金で家の無料修理ができる」「安くリフォームできる」と売り込んでくることがあります。
「保険が適用されるなら……」と契約したくなるかもしれませんが、火災保険が適用されるかどうかは、保険会社の調査員による点検で判断されます。
基本的に、火災保険は災害などでの修理・修繕が対象となるため、たとえば「これを機会に浴槽を取り替えたい」などの理由での工事は対象となりません。
また、保険金は住宅の損傷具合により、どのくらいの金額が下りるかが決定されます。
保険適用外となった場合は、業者と保険適用前提で契約を結んでも、被災者が全額自費でリフォームせざるを得なくなってしまうのです。
「保険が適用されなかったから」とリフォームの契約を解除しようとしても、「簡単に解約はできない」「すでにリフォームのための資材を手配している」などと言われ、業者が解約に応じないことがほとんど。
なかには、保険金申請をサポートする補助サービス料や高額に設定した解約手数料などを目的に、さらなる契約をせまるケースも見られます。
そのため、保険金を使用して修理をしたい場合は、契約よりも前に、保険会社に申請し、いくらまで保険金が支払われるのかなどを確認しておきましょう。
その後、元からの知り合いや信頼できる業者に依頼する方がトラブルが少ないでしょう。
③「すぐに見積りを出せます」
詐欺業者はターゲットに考える余裕を与えず、すぐに契約するよう迫ろうとします。
そのため、簡単な見積りを作り、「だいたいこれぐらいの費用がかかる」と伝え、その金額で納得するよう促してくるのです。
しかし、契約しても本格的な見積書をだしてもらえないことがあります。
たとえば、「修繕費50万円」と書かれていても、一体どこの修繕なのか、何故その金額になったのか内訳がわからす、適切な金額だったのか判断ができないこともあるようです。
④「屋根瓦がずれていて、雨漏りや瓦の落下の危険があります」
これも、その場で契約を迫る言葉のひとつ。業者に「このままだと大変なことになる」と不安をあおられ、すぐに修理する必要があると言われます。
屋根の上は個人での確認が難しく、業者に「修繕が必要」と言われれば、信じ込んでしまいがちです。しかし、実際には欠陥をでっちあげられていることがほとんど。
突然、業者が現れ「屋根瓦が」と言われたら、おおむね詐欺だと思っていいでしょう。
また、契約時に業者が見積書を渡さないこともあり、被害者が言われるがまま契約書にサインをしたら、後日高額な見積りが届いてしまったケースも見られます。
⑤「修理中に、ほかのところの不備が見つかりました」
最初に指摘してきた場所だけではなく、「ほかの場所にも被害が広がっていた」「ほかの場所も修理する必要がある」などといわれ、次から次に修理のための契約を結ばされることがあります。
これは
次々商法とも呼ばれ、騙しやすいターゲットに複数の契約を結ばせる手口です。
たとえば、
・床下を確認したらシロアリの被害がひどい
・よくみたら、水漏れが起きていて木が腐っている
・浴室付近がカビている。風呂釜ごと取り換えたほうがいい
・壁紙が古くなっているので取り換えたほうがいい
というような流れで次々と新たな契約を結ばされます。
同じ業者が行うこともありますが、騙しやすいターゲットは詐欺業者の間でリストを共有されていることもあるため、
別の業者からリフォームとはまったく別の詐欺話(投資や通信教育、在宅ワークなど)を持ち掛けられることもあります。
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2.リフォーム詐欺の被害を防ぐには?対策と相談先
先ほどは注意するべき言葉をご紹介しました。そのほか、気を付けたほうがいいポイントはどういったものでしょうか。
この章では、リフォーム詐欺の被害にあわないための対策と、いざというときの相談先についてご紹介します。
①まずはすべての勧誘を拒否!その後詐欺業者かどうか確認
訪問販売への対策で一番簡単かつ効果的なのは、
ドアを開けず、話を聞かないことです。
詐欺業者は非常に口がうまく、ターゲットをその気にさせる術に長けているため、警戒していてもついつい契約させられてしまいます。また、長時間の勧誘に根負けして契約してしまったり、業者の勢いに押されてよくわからないまま契約してしまったりすることもあるようです。
見ず知らずの業者が訪ねてきたら、そもそも話を聞かないことが大切です。
断るフレーズとしては、
・修繕は知り合いの業者に頼むことにしています。
・訪問販売はすべて断っています。
・営業ですか?営業なら必要ないです
などがあります。
基本的に、訪問販売はすべて拒否した方が安全です。気になるようでしたら、いったん断り、訪問販売してきた業者をあとから調べた方がいいでしょう。
- 業者名を調べる
「あのとき訪ねてきた業者は詐欺だったのか?」と気になったら、リフォーム瑕疵保険制度の登録業者か調べてみるという方法があります。
リフォーム瑕疵保険制度とは、リフォームに何か不備があった場合、業者に保険金が支払われ、それを使って補修工事をしてもらうことができる保険のことです。国土交通大臣の指定を受けた住宅専門の保険会社5社が提供しています。
この保険に登録している業者であれば、リフォームに欠陥があったとしても保険を適用し、修理をしてもらうことが可能なので、いざというときに安心です。
登録業者は、一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会の登録リフォーム事業者検索システムで確認できます。
②いざというときの相談先
リフォームに関する業者とのトラブルや詐欺の心配がある場合は、以下の2つの相談窓口に連絡してみましょう。
- 住まいるダイヤル
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」では、リフォームの不備や業者とのトラブルなど、住宅に関する問題全般を扱っています。
また、リフォームの見積もりが適正かどうかも無料で相談を受け付けているので、業者から見積もりを受け取ったら、相談してみましょう。
電話番号 |
0570-016-100
PHSや一部のIP電話からは
03-3556-5147 |
受付時間 |
平日10時~17時 |
- 消費者ホットラインに相談する
契約前後に「これは詐欺ではないか」と不安に思い、誰かに相談したい場合は、消費者ホットラインに連絡してみましょう。
消費者ホットラインは消費者の生活に関わる問題全般を扱っている相談窓口です。相談内容に応じて適切なアドバイスをしてくれるだけでなく、場合によってはトラブルに応じた関係機関の紹介もしてくれます。
また、契約後に業者とトラブルになったら、業者と消費者の間に専門家が入り、話し合いによる解決を促すあっせんという制度を利用することができます。
あっせんを行ったことで、業者がリフォーム契約を解除し、返金に応じてくれたケースも多くあります。困ったときは相談しましょう。
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3.もしも契約してしまったら?契約解除の方法3つ
もし、リフォーム契約をした後に詐欺だと気が付いた場合はどうすればよいのでしょうか。
一般的な手段として、
①クーリング・オフ
②消費者契約法による契約解除
③債務不履行解除
の3つがあります。それぞれ手順を解説していきましょう。
①真っ先に「クーリング・オフ」を行う
クーリング・オフは理由のあるなしに関係なく、一定の期間内であれば、自由に契約を解除できるというものです。
リフォームの場合、
契約から8日以内ならクーリング・オフをすることができます。
クーリング・オフを行うときは、業者に「クーリング・オフで契約を解除する」という意思を通知する必要があります。
この通知には、郵便局で送ることができる
配達証明つきの内容証明郵便を利用しましょう。
内容証明郵便は、どのような内容の手紙をいつ誰に送ったのかを日本郵便が証明してくれる郵便です。配達証明はオプションサービスで、いつ手紙を届けたのか証明してもらうことができます。
この2つを組み合わせて、クーリング・オフの通知を送りましょう。
「そんな手紙は届いていないから、クーリング・オフは認められない!」という業者側の言い逃れを防ぐことができます。
また、契約したお金をクレジットカードで支払っていた場合、念のためカード会社にも「クーリング・オフを行い契約を解除した」という通知を送っておきましょう。
業者側がカード会社に契約解除を通知しなかった場合、カード会社からの請求が続くことがあるからです。
クーリング・オフのやり方や内容証明の書き方については、以下の記事で解説しているので、参考にしてください。
②クーリング・オフ期間を過ぎても使える「消費者契約法による契約解除」
クーリング・オフ期間を過ぎてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
実は、契約から8日以上経っていたとしても、
消費者契約法による契約解除という方法をとることができます。
これは、契約時に業者が以下のような違反行為を行っていたときに、契約を解除できるというものです。
・消費者に不利益な事実を説明しなかった(不利益事実の不告知)
・嘘の内容を伝えた(不実告知)
・確実ではないことを確実であると伝えた(断定的判断の提供)
・消費者に「帰ってほしい」と言われたが帰らずに強引に契約した(不退去) |
消費者が
違反に気づいてから1年以内&契約から5年以内であれば、契約を取り消すことができます。
このときも、内容証明+配達証明で契約解除を伝えましょう。
ただし、業者側が契約解除を認めなかった場合、消費者側が業者側の違法行為を立証しなくてはなりません。そのため、契約書類などの関係資料はすべて保管しておきましょう。
③契約した内容を履行してもらえなかったら契約を解除できる
民法では、
「債務不履行解除」という規定があり、契約時に取り決められた行動(債務)を業者がしなかった場合、契約を解除できることになっています。
たとえば、トイレを1月31日までに修理するという契約だったのに、期日までに修理されなければ、契約を守られなかった(債務不履行)ことになるため、これを解除することが可能です。
こちらも、内容証明+配達証明で解除の意思を通知します。
ただし、②消費者契約法による契約解除と、③債務不履行解除は、それぞれ弁護士に相談し、対応を依頼したりアドバイスを受けた方がいいでしょう。
住宅関係や消費者契約に詳しい弁護士に相談してみてください。
4.まとめ
- 突然の訪問・連絡をしてきたリフォーム業者は詐欺の可能性が高い。「無料点検」という言葉には特に注意しよう。
- 業者は様々な方法で契約させようとしてくるため、そもそも会話をしないことが詐欺を防ぐ一番の方法。本当にリフォームをしたいときは、いったん断った後でリフォーム瑕疵保険制度の登録業者か確認してみるとよい。
- もしも契約を結んでしまった場合、①クーリング・オフ②消費者契約法による契約解除③債務不履行解除といった手段で、契約を解除できる可能性がある
おわりに
リフォーム詐欺は人の弱った心につけこみ、不安をあおってお金を騙し取る悪質な犯罪です。
詐欺の手口やポイントを把握し、常に自衛を行いましょう。