この記事は以下の人に向けて書いています。
- 家族が霊感商法に騙され、高額な商品を買ってしまっている人
- 高額な除霊グッズなどを買わされ続けているが、効果が実感できない人
- 「自分は霊感商法には絶対騙されない!」と思っている人
はじめに
「最近よくないことが続くな……」
仕事や恋愛、家庭の中で、誰しも一度は、こんな思いを抱いたことがあるのではないでしょうか。
霊感商法とは、そんな
悩みにつけこみ、相手の不安を利用して多額な商品や祈祷料などを請求する
悪徳商法です。
悩みがなときは「そんなの信じるわけがない」と思っていても、心が弱っていたときはなんでもいいから頼りたくなってしまうもの。また自分だけではなく、家族などが知らないうちにのめりこんでしまうというパターンもあります。
この記事では、そんな霊感商法やスピリチュアル商法の手口を紹介するとともに、もし知り合いや自分が騙されてしまった場合の解決方法について紹介したいと思います。
1.霊感商法にかからないために…ありがちな手口4パターン
霊感商法と一口に言っても、その手口は様々ですが、販売の形態や種類によって、大まかに下記4つのタイプにわけることができます。
①開運グッズの販売
②高額の祈祷・お祈りなど
③スピリチュアルセミナー
④悪質な占いサイト
以下それぞれについて説明していきます。
①「これを買えば幸せに……」開運グッズの販売
霊感商法のイメージといえば、「
この壺を買えば幸せになれますよ」というセリフが浮かぶ人も多いでしょう。
開運の品として、数珠や骨董品、お札、さらにアクセサリーから神棚のようなものまで、多岐に渡る商品を高額で売りつける手法です。
②「あなたの悪霊をはらいます」高額な祈祷
「あなたには悪霊がついている」などと言って、おはらいをし、その祈祷料を請求するというのもありがちなパターンです。
「定期的に来ないと不幸になる」などといって、繰り返し祈祷を受けさせます。さらに悪質なパターンになると、「汚れたお金を持っているから不幸になる」「わたしの言う通りにしていれば幸福になれる」と利用者をなかば洗脳し、財産を奪うこともあります。
③「霊」以外にも要注意……スピリチュアル系セミナー
「霊」「前世」「縁」……といったありがちな言葉だけでなく、もっとライトな言葉を使った霊感商法もあります。
「人生を豊かにするセミナー」、「風水で運気を変える」、「チャクラの流れを知って開運」など、いわゆる「スピリチュアル系」と呼ばれるものです。
参加費は1000円のものから100万円のものまで、価格もピンキリ。
もちろん、そのすべてが悪徳商法というわけではありませんが、もともと「
目には見えない力」を商品として取り扱っているだけに、見極めは難しいところです。
④占い師とのやり取りで使用料が高額に!悪質占いサイト…
動物占いからタロット占いまで、いまやネットで手軽に、なおかつ無料で診断できる占いが沢山あります。しかしこのなかにも、悪質なものが潜んでいます。
たとえば、こんなキャッチコピーを広告などで見かけたことはないでしょうか?
「
登録無料で有名人気占い師に運勢を占ってもらえます!」
しかしこうしたサイトの多くは、会員登録は無料でも、占い師との連絡に課金が必要になるという仕組み。さらに中にはメールのやりとりを引きのばしてお金を使わせる「サクラ」を使ったものもあり、気付くと100万円近くそのサイトに支払っていた…という事例もあるようです。
2.「これって詐欺?」と思ったら!霊感商法を見極める3つのポイント
日常生活に潜み、不安や悩みに漬け込む霊感商法。しかし、
おみくじや手相占いでお金をとることが特に不自然ではないように、こうした事業が悪質かどうかの線引きを見極めるのは難しいもの。
そこでこの章では、悪質な霊感商法にありがちな手口について紹介をしていきます。
①悩みや不幸につけこんで近づいてくる
「仕事がうまくいかない」
「子供が引きこもって部屋から出てこない」
「病気が発覚した」
そんな、自分ではどうにもできない悩みに、霊感商法はつけ込んできます。
あなたの悩みを解決しますというような甘い言葉、普段ならば胡散臭いと判断できる事も、精神的に負担を感じているときには冷静な判断ができなくなるものです。
悩んでいるときに過度に近寄ってこようとする人や業者には注意しましょう。
②不安を煽ったあとに、希望をチラつかせてくる
悩みを打ち明けた時、
「このままではもっと悪い状態になりますよ」、「家族に不幸が訪れますよ」というように、相談者の不安を煽ってくる場合は警戒しましょう。
こうして相手の心をどん底に落とした後、
「でも、この開運商品があれば…」「このおはらいを受ければ…」「このセミナーを受ければ」と、希望を持たせることをささやいてくるのが、霊感商法の典型的な手口です。
③高額な商品を売りつけてくる
1000~2000円で帰る神社のお守りとは違い、霊感商法では数十万~数百万の商品を購入するよう勧めてくることが多いです。
不安を煽られた方は、藁にもすがる思いで商品を買ってしまうのです。
もしかしたら、
「高額であるからこそ効力がある」というような、潜在的な思い込みもあるかもしれません。
3.詐欺に気づいたら…とるべき対策3選
霊媒師も占い師も、なるための明確な資格や試験が存在しません。効果があるのかないのか証明することも難しく、また被害を受けた本人が効果を信じ込んでいるケースもあります。
それゆえに、霊感商法とは「騙された」ということを立証しにくいケースではあります。
しかし、過去の事例では、「先祖が祟っている」「水子の供養をしてやる」など言って祈祷料として200万円を何度も請求した霊媒師に、不法行為として損害賠償を請求できた事例もあります。
(参考:国民生活センター「
易断に鑑定料または祈とう料の支払いを求める行為が、不法行為と認められた事例」)
「詐欺かな」と少しでも感じたらすぐに対応を取りましょう。
①クーリング・オフ制度を使う
もし、キャッチセールスや電話勧誘などを受けて商品を購入した場合、一定期間であれば返金のできる、
クーリング・オフ制度が使えます。
ただし、口コミなどで自分から赴いて購入した場合には適用されないこともあるので注意しましょう。
くわしくは、下記の記事を参考にしてみてください。
②消費者ホットライン「188」に連絡する
消費者ホットラインとは、国が日本全国からでおきる消費者トラブルに対応するために設置した電話相談窓口で、局番なしの「188」に電話をすることで、最寄りの相談窓口に連絡をつないでくれます。
国民生活センターや消費生活センターは、こうした消費者と悪質業者の間のトラブルについてアドバイスをしてくれるだけではなく、消費者のかわりに相手と交渉をしてくれたりもしてくれます。
詳しいサポート内容については下記の記事で説明していますので、参考にしてください。
③訴訟して損害賠償を請求する
章の冒頭で挙げた事例では、下記のような判断が裁判所から下りました。
「相手方の窮迫、困惑等に乗じ、ことさらにその不安、恐怖心をあおったり、自分に特別な能力があるように装い、その旨信じさせるなどの不相当な方法で行われ、その結果、相手方の正常な判断が妨げられた状態で、過大な金員が支払われたような場合には、社会的に相当な範囲を逸脱した違法な行為として、不法行為が成立するとした」
(参考:国民生活センター「
易断に鑑定料または祈とう料の支払いを求める行為が、不法行為と認められた事例」)
脅しや不安を煽って、高額な代金を請求することは、違法であると認められ、損害賠償を請求できる可能性があります。
身近の弁護士などに相談してみてもよいでしょう。
4.まとめ
- 霊感商法の手口には、①開運グッズの販売 ②高額の祈祷・お祈りなど ③スピリチュアルセミナー ④悪質な占いサイトの4つがある
- 不幸に乗じて近づいてくる業者や、最初に不幸を煽ってから希望をちらつかせてくる業者、高額なものを購入させようとしてくる業者には要注意
- もし被害を受けてしまったら、クーリング・オフや消費者ホットライン(188)の利用の検討を。
おわりに
いかがでしたか?
人の弱った心につけこむ霊感商法。
「わたしはこんなものには絶対だまされない!」と思っていても、どうにもできないほどつらいことがあった場合は、うっかり信じてしまいがちです。
そんなとき、この記事の存在があなたのお役にたてば幸いです。
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