この記事は以下の人に向けて書いています。
- クレジットカード悪用の手口や対策か知りたい人
- よく使う通販サイトから「カードが使えなくなる」と言われた人
- 海外で買い物をするのが好きな人
はじめに
日本クレジット協会によれば、2018年1月~9月までのクレジットカード不正利用による被害額は
165.7億円(
参照:2018年12月28日・一般社団法人日本クレジット協会『クレジットカード不正利用被害の集計結果について』)。
一部では2017年の総被害額236.4億円と同じく
200億円を突破するという見方もされています。
依然として被害が大きいのに加えて昨今は手口も巧妙化しており、
いつどこで誰が被害にあうかもわからない状況です。
「よく使うショッピングサイトから突然カードの変更を求められた」
「SNS経由でアクセスしたウェブサイトでクレジット決済した」
そんな人は要注意。
この記事では、クレジットカード悪用の手口と被害にあったときにとるべき行動、対策をご紹介します。
1.手口の型は主に2種類!クレジットカード悪用にありがちなパターン
クレジットカードが悪用されたときによくあるのが、
カード会社から請求されるまで気がつけないというものです。
これは、ターゲットの知らないところでカードの情報を盗み取ってしまう犯人の巧妙な手口が原因。
よくある手法は以下のものです。
タイプ |
種類 |
サイバー型 |
フィッシング詐欺 |
架空のショッピングサイト |
不正アクセス |
クレジットマスター |
直接型 |
スキミング |
なりすまし |
購入時に盗む見る |
それぞれ詳しくご紹介しましょう。
①サイバー型
- フィッシング詐欺
大手金融機関やショッピングサイトを装い、「クレジットカードが使えなくなるかもしれないので情報の確認が必要」といった内容の入ったメールを不特定多数の人に配信。本物そっくりな偽サイトに誘導して、カードの情報を打ち込ませるという手口です。
従来は、日本語の使い方や表記を見て偽サイトか判断できましたが、近年ではより本物に近い偽サイトも現れています。
- 架空のショッピングサイト
架空のショッピングサイトでクレジットカード決済させ、カードの情報を盗み取る手口です。
破格の値段設定で購買意欲を煽る、商品を発送せず問い合わせも無視する、というのがよくあるパターン。
近年ではTwitterやInstagramなどのSNSのダイレクトメッセージを使い、ショップに誘導するケースもよく見られます。
- 不正アクセス
ハッカーなどが正規の通販サイトに不正アクセスし、保管されているカード情報を盗み出すケースです。
各企業やショッピングサイトでは対策を講じているものの、今だ発生しているのが実状。
2018年10月にも、不正アクセスによって約3,000件近いクレジットカードが流出した事件が発生しています。
(参照:2019年4月1日・株式会社友利『弊社が運営する「本味主義」への不正アクセスによる個人情報流出に関するお詫びとお知らせ』)
- クレジットマスター
クレジットマスターとは、大量に作成した実在しそうなカード番号を各通販サイトなどで手当たり次第に試し、本当のカード番号を突き止めるソフトウェア。一度も使っていないカードや、外部にまったく漏らしていないカードでも不正利用の対象となってしまうのが特徴です。
各銀行やショッピングサイトで対策は取ってはいますが、セキュリティが脆弱なショッピングサイトがひとつでもあると、不正利用できてしまうのがクレジットマスターのやっかいなところ。根本的な解決策がないのが現状となっています。
下記でも詳しく紹介しているので参考にしてください。
②直接型
- スキミング
スキミングは専用のスキャナー(スキマー)で瞬時にカードの磁気データを読み取り、同じカードを複製して悪用する行為のこと。
販売店の端末やATMのカード挿入口に直接仕掛けられているのがよく見られるパターンです。スキマーの小型化が進んでいて、より気づかれにくくなっています。
- なりすまし
なりすましはクレジットカードを直接受け取る手口で、オレオレ詐欺が代表的です。
クレジットカード会社の人物や銀行員、警察などを装って電話をし、「カードが不正利用されているおそれがある」「今手続きをすれば被害を回避できる」などと言葉巧みに不安をあおってから自宅に訪問。ターゲットを安心させるフリをしながら騙し取ります。
- 購入時に盗む見る
販売店のスタッフがクレジットカードを悪用するために、レジでカードの番号や暗証番号の入力を盗み見る、という手口です。
海外ではスタッフが「この端末ではうまく使えないようだ」と言い、別の機械で試すフリをしてスキマーで読み取る行為もあります。
ここまで、クレジットカードを悪用するためにカードの情報を盗み取る手口をご紹介しました。
これらの手口による詐欺被害の中には、enjinにも訴訟プロジェクトとして立ち上がっているものがあります。「これって詐欺なのかな…?」と不安な人は、こちらのページで検索してみてください。
2.悪用されているかも……そう思ったときに取りたい4つの行動
クレジットカード悪用で使われがちな手口は、前章を見てきてわかるように多岐に渡ります。中には防ぐことが難しいものもあり、実態を把握しただけでは100%防げないのが現状です。
では、万が一多額の請求がきた場合はどうしたらいいのでしょうか。
この章で速やかに取るべき対応をご紹介しますので参考にしてください。
①明細をよく確認する
まずはクレジットカード会社の明細をよく確認しましょう。
身に覚えのない請求と言っても、自分で使ったことを忘れているだけだったり、家族が知らない間に使っている可能性も意外とあります。
「いつ使われているのか」「何を購入しているのか」をチェックし、その日付より前に普段と異なることがなかったか状況を整理すれば、このあと専門機関に説明するときにもスムーズになります。
②カード会社と警察に連絡
- カード会社に連絡
明らかに身に覚えがない履歴があったら、被害をこれ以上拡大させないためにもすぐにカード会社へ連絡し、利用停止を依頼してください。連絡先はカードの裏面か、公式ウェブサイトに記載されています。
- 被害届の提出
カード会社に利用をストップしてもらったら、被害にあったことを知らせる被害届を警察に提出しましょう。
ただし、被害届を提出したからといって警察が必ずしも捜査してくれるわけではありません。しかしながら、同様の被害が多発すれば動いてもらいやすく、犯人に繋がる重要な証拠を見つけてくれる可能性もあります。
下記の記事で提出方法と注意したいポイントを詳しく解説しているので、参考にしてください。
なお、受理されると「受理番号」がもらえます。この番号はクレジットカードの補償を申請する際に必要となるので、必ず保管してください。
③補償の申請
ほとんどのクレジットカードには保険があり、カード情報流出による被害も補償してくれます。
ただし大体のカード会社が利用日から60日間を申請期間としています。
請求が来てはじめて悪用されたことに気づいたとなると、場合によって期限まで数日しかないことも起こり得るので注意が必要です。
- 補償されないケースも…
期限内であっても、次のような場合だと補償適用外となる可能性があります。
・暗証番号がわかりやすいものだった(家族の生年月日や住所に似た番号など)
・カード裏面に署名をしていなかった
・家族に黙って使われた
・違法商品を購入したときにカード情報が流出した |
以上のような補償の適用範囲や適用期間は各カード会社によって異なるので、利用の際は必ず確認してください。
④ひとりでは解決できない場合の相談先
カード会社や警察への連絡がスムーズにいかないときや、自分ひとりで行動するのが不安なときは消費生活センター(188)や弁護士への相談も検討してみましょう。
専門知識を有した人たちを頼ることで、より詳しいアドバイスをもらったり対策を取れる可能性があります。
下記でスムーズに依頼するための方法をご紹介しているので、あわせて確認してください。
3.被害から守るには?今からでもしておきたい5つの対策
クレジットカード会社では補償が用意されてはいるものの、すべてのケースで救済してもらえるわけではありません。
事前に防ぐことは難しいとは言っても、被害を未然に防げる術を身につけておくに越したことはないでしょう。
この章では、クレジットカードを悪用されないための事前対策を5つご紹介します。
①購入時に注意する
- 実店舗の場合
実店舗でクレジットカードを使う場合、支払いが終わるまでカードから目を離さないようにしてください。
暗証番号を入力するとき、周りから見えるような状態であれば手で覆い隠すのも忘れずにしましょう。悪質な店舗だと、番号がわかるように防犯カメラの角度を変えているケースもあります。
またクレジットカードの番号はカードがある時点で事足りているため、「手続きに必要なのでカードの番号を転記させてほしい」など言ってくる場合はきっぱり断るようにしてください。
- ショッピングサイトの場合
できるかぎり大手ショッピングサイトを利用するようにしましょう。その際もメールなどのURLからではなく、Googleなどの検索エンジンを使い、正規のルートでアクセスすると安全度が高まります。
ただ、大手だから安心という心理を逆手に取ってお金を騙し取るケースもあります。
下記ではAmazonと楽天で実際にあった事例をもとに、手口を見破る方法や対策法をご紹介しているので参考にしてください。
もし大手ではなく、初めてアクセスしたショッピングサイトや個人経営の店舗で買い物をするときは、次のことに注意するといいでしょう。
特商法に基づく表記はきちんとされているか
消費者が安全に買い物するために、販売業者は特定商取引法という法律を守らなければいけません。その決まりごととして必要なのが、「特商法に基づく表記」のページを設置です。
もしこのページがない場合や記載されている情報が架空の場合はNGなので、利用は避けたほうがいいでしょう。 |
SSLが利用されているか
SSL(Secure Sockets Layer)は入力した情報を暗号化してデータの送受信をする仕組みです。導入するためにはサイトの運営者が厳しく審査されるため、SSLがあるサイトは信頼度が高いと判断できます。URL欄の左端に鍵マークが入っているのが目印なので、購入前にチェックしてみてください。 |
下記でも怪しいショッピングサイトの見分け方を紹介しています。
②暗証番号を絶対に教えない
クレジットカードの番号というのは第三者には知り得ない情報とされています。
親しい友人はもちろん、家族であっても教えることは本来はNG。
思わぬ形で被害にあい、補償もされないという状況を避けるために注意しましょう。
③カードの裏面に署名する
クレジットカードの裏面には必ず署名(サイン)を入れましょう。
補償を受けられるようにするだけでなく、カードを直接入手した第三者が実店舗などで使用するのをある程度抑制できます。
④日頃から明細を確認しておく
クレジットカードの悪用ではよくお金になりやすい高額商品が購入されますが、最近では少額決済で気づかれないようにする事例もあります。
月1回まとめて来る明細では見落とす可能性も高いので、普段から利用履歴を確認する癖をつけるのも大切です。
クレジットカードによっては、利用するとその都度登録したメールアドレスに知らせてくれるサービスもあるので活用してみましょう。
⑤不正利用や訴訟の情報を集めておく
ショッピングサイトの不正アクセスによって情報が流出し、クレジットカードが悪用される事例が発生したという場合などはネットニュースの話題になることがあります。普段から利用するサイトに関わるニュースは意識しておくといいでしょう。
また被害を受けた人たちが集まり、集団訴訟を起こすようなケースもあります。
集団訴訟プラットフォームenjinでは、こちらのページですでに立ち上がっているプロジェクトを確認でき、さらに公式Twitterで情報発信も行っているので、よければ活用してみてください。
4.まとめ
- クレジットカード悪用の手口はサイバー型と直接型の2種類。
- 見たこともない請求が来たら明細を確認する。不正利用と断定できたらカード会社と警察に連絡しよう。
- クレジットカードを悪用されないために買い物するときなどで注意する。
おわりに
クレジットカードは普段から使っている分、被害に対する意識が薄れがちです。
「ちょっと怪しいな…」と少しでも不安になったら、すぐに明細を確認したりカード会社に確認を取るようにしてください。
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