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成年後見人はどんなことができるの?制度と利点、問題点の3つを解説

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投稿日時 2019年03月19日 10時45分
更新日時 2019年03月26日 18時48分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 成年後見制度について、内容をわかりやすく知りたい

  • 成年後見制度の申請の仕方を知りたい

  • 申請したことによってなにができるのか、メリットやデメリットも知りたい

はじめに

高齢の家族の認知や判断能力が落ちてきたことが気になっていませんか。いつ何があるかわからないとき、財産や不動産を管理するにはどんな準備をしたらいいのでしょうか。

「成年後見人」とは、このような問題を解決するためにある制度です。高齢や病気・障害により、日常生活以上の大きな決断が必要なケースや財産管理への判断能力が不十分である人のために、家族や専門家が一部の権利を持つものです。

内閣府の高齢社会白書(2017年版)では、2020年の65歳以上の認知症患者数は推計で600万人に達する見込みとなっています。

詐欺などで他人に財産をだまし取られるといった被害が後を絶たない昨今、制度の利用を検討する人も少なくありませんが、同時に気にしなければならない問題も。メリットとデメリットを知って、今の自分たちの家庭には必要なのかどうかを考えていきましょう。

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1.なんのために、どんな人が?成年後見制度の基本的な疑問5つ



成年後見人の基本的な役割は、財産や不動産の管理や生活に必要なケアサービスの契約を本人に代わって結んだりすることができるものです。

後見される本人以外へ大きな権限を委譲するものですが、どんな人が選任されるのでしょうか。

①成年後見人ができることは?

被後見人(後見される本人)の財産や不動産の管理が含まれます。生活上必要な介護施設やサービスの契約もありますが、日常の買物・介護・身の回りの世話はこれに含まれませんので、同居や身体的な面倒を見るといった義務はありません。

一方で、預貯金の管理を請け負ったりすることになるため、親族間でも資金の引き出しなどは後見人を通じることになります。

後見人となった人は少なくとも年に一度、必要に応じて家庭裁判所に被後見人の財産や生活状況について定期報告をすることがあります。これを家庭裁判所の「後見監督」と言い、後見人の不正防止の意味合いがあります。

②後見人になるのはどんな人?

後見される本人の家族のほか、法律の専門家、福祉の専門家が主な人選です。
この専門家には弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士が含まれます。

本人の家族が必ずしも最優先で後見となるわけではなく、支援すべき内容によって家庭裁判所が総合的に判断をします。

最高裁判所の統計では、後見人となる人全体のうち、親族以外が8割を占めました。内訳は司法書士が約4割、弁護士が3割、社会福祉士が2割、その他(行政書士、税理士など)となっています。全体の残り2割が親族。親族の内訳は本人の子が半数でした。

親族以外の選任が多いことについては、財産をめぐる争いを避けるためとみられていますが、専門職にも不正はあるため、一概に安全とも言い切れない状況があります。

③後見人にはどんな種類がある?

成年後見人は、大きく分けて3つの種類があります。後見される人の判断能力が欠けているほど後見人の権限が大きくなり、「後見」「保佐」「補助」の順に、最も判断能力が欠ける人に後見、判断能力が著しく欠ける人に保佐、不十分ながらも残る人に補助を付けます。それぞれの分類は以下の通りです。
後見 保佐 補助
対象者 通常の状態で判断能力が欠けている 判断能力が著しく不十分 判断能力が不十分
申立て可能な人 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など
後見人等の同意が必要な行為 ーー 借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、新築・増改築 申立ての範囲内での家庭裁判所が審判で定める特定の法律行為
取消しが可能な行為 日常生活に関する行為以外の行為 同上 同上
後見人等の代理権の範囲 財産に関する全ての法律行為 申立ての範囲内での家庭裁判所が審判で定める特定の法律行為 同左
制度を利用した場合の資格の制限 医師、税理士等の資格や会社役員、公務員等の地位失うなど。選挙権の制限はない 医師、税理士等の資格や会社役員、公務員等の地位を失うなど。 ーー
参考:内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局

④手続きに必要な書類とやり方

最寄りの家庭裁判所で「申立て」という手続きを取ります。

  • 必要な費用(いずれも収入印紙)

    申し込み手数料800円、登記手数料2600円

  • 必要な書類
    裁判所所定の申立書 
    本人の戸籍謄本
    本人の住民票または戸籍附票
    成年後見人候補者の住民票または戸籍附票
    裁判所指定の本人の診断書※鑑定料が必要になることがあります。
    本人が成年後見登記されていないことの証明
    本人の財産に関する資料

これらの書類を準備し、申し立てを行うと、裁判官の事情聞き取り、調査官の本人や後見人候補者への調査、鑑定などが入ります。審判を経て後見人が選任されます。

⑤報酬の目安

民法上の規定で、後見人(保佐、補助人など含む)には被後見人の財産の中から報酬が発生します。
これは弁護士などの専門職に依頼するときのほか、報酬の申立てがあれば親族間でも発生します。
具体的な金額は家庭裁判所が決定しますが、東京家庭裁判所の目安では、専門職に依頼した場合、

  • 通常の後見事務の報酬(基本報酬)は月額2万円
  • 管理財産額が1000万円以上5000万円以下では3万~4万円
  • 5000万円以上は5万~6万円
  • 特別困難な事情があった場合は上記の基本報酬額の50%の範囲内で相当額を付加

となっています。

これは被後見人が死亡するまで毎月発生する支払いとなります。
親族間では申立てにより減額することも可能です。

  • 補助もある

    自治体によっては、生活保護受給者やそれに相当する資産状況の人などに対して、報酬の助成を行っているところもありますので、市役所などで問い合わせてみましょう。なお、適用される条件は自治体ごとに異なります。


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2.成年後見人をつけて安心…家族を守れるメリット3選



高齢化社会に伴い、成年後見制度の利用は増加傾向で、最高裁判所の発表によれば2018年末時点での成年後見の利用者は約21万8000人となっています。

①公的機関が選任することで、一定の信頼がある

家族であれ専門家であれ、後見人の選任には家庭裁判所を通す必要があります。 資産管理を任せることになるので、公的機関が一定の条件を元に選んだ人物であることは、ひとまず安心材料になります。

民間に任せて、見知らぬ企業の担当者などが数年ごとに交代する、といった不安定な人選になることはなく、報酬にも規定があるため、個人や企業の裁量で、不透明かつ法外な手数料などを求められることはありません。

②詐欺や不当な契約から家族を守る

高齢者を狙う詐欺では、高額の商品を売りつけたり、不利益なサービスの契約を結ばせたり、金銭をだまし取ったりする悪徳商法の手口が後を絶ちません。

高齢者の認知判断能力が低下していることに付け込み、脅しや脅迫、口車によって判断をより難しくさせようとする詐欺グループは数多く存在します。

後見人がいれば、日常生活の範囲の買物を超えた高額の資金が必要になったり、クレジットカードや投資の運用が発生したりした場合、被後見人が自由に資産を動かすことができないので、こうした被害を防ぐことができます。

下記の記事も参照してみて下さい。

③身寄りがない人でも利用できる

なんらかの事情があり、身寄りがない人や家族を頼ることができない人でも、専門家に後見についてもらうほか、市町村長が申立てをすることも可能です。

「将来ひとりで暮らしたときにどうすればいいのか……」と考えている人は、自治体などで相談をしてみましょう。



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3.制度利用前に考えよう!成年後見人で生じるデメリット5選



一方、後見人を付けたことで生じるトラブルもあり、「制度は知っているが、利用に踏み切れない」という声も上がっています。

便利なはずの公的制度ですが、どのような問題があるのでしょうか。

①報酬を支払いきれない

前の章で説明した通り、後見人には報酬の支払いが発生することがあります。
被後見人の財産がどのくらいかにもよりますが、常に一定の支出が発生するのは経済的に厳しいケースも少なくありません。

さらに、支払いは被後見人が死亡するまで続くことになり、途中で放棄することができません。このため、経済的負担を考慮して後見人をつけないという選択をする人もいます。

②家族の財産の管理ができなくなってしまう

後見人が親族ではなく専門家になった場合、財産の管理を他人にゆだねることになります。

そうなれば、家族として知っておきたい財産の情報についても、いちいち他人を通じて知ることになり、管理の自由度が低くなるほか、貯金の引き出しなども制限されてしまいます。

③財産の横領などの不正の心配がある

残念ながら、他人の財産の管理を任されるということで、横領などの不正が発生することがあります。

これを防ぐために後見監督制度があるのですが、身内であるか、外部の専門職であるかにかかわらず、万が一のことがあると注意しておく必要があります。

④選定までに時間がかかる

申立て手続きが複雑で必要書類が多く、すぐには選任されません。

おおむね1~2ヶ月またはそれ以上かかる場合があるため、急ぎで解決したい財産上または健康上の問題があるときなどは、対応が難しくなります。

家族の健康状態や時間に余裕があるときに検討・申立てをするようにしましょう。

⑤途中の解任が難しい

余程の事情がない限り、一度選任された後見人を途中で辞めさせることができません
横領などの明らかな不法行為や、後見人自身が高齢や認知症となってしまった場合などがなければ、基本的には1人の後見人が、被後見人の死亡時まで担当することになります。

専門家ではなく家族が選任された場合、「仕事でもないのにこんなに大変なんて」となる場合があります。何年も続く場合もありますから、事前の説明ややるべき内容をよく確認し、心構えをしておく必要があるでしょう。

【補足】今後は変化があるかも?

一方で最高裁判所は今後、制度の見直しも検討しています。

専門職の選任による不正が相次いだことを受け、2019年3月には日弁連など関連団体と協議をし、「後見人は親族が望ましい」「途中交代にも対応していく」との考えを示しているといい、制度の改定が期待されます。

4.まとめ

  • 後見人は、家族以外に弁護士などの専門家が選任されることもあります。

  • 公的機関の選任、詐欺からの保護には一定の効果があります。

  • 財産の管理が難しい、横領などの危険はあるので利用は一考が必要です。

おわりに

高齢化社会に伴い、高齢者を保護する制度が一層整備されてきました。

必要に迫られて成年後見制度を利用することを検討している人も少なくないかもしれませんが、自分の家族にとってメリットだらけとは限りません。

制度の利用を検討している段階で、高齢者本人にも認知や意思疎通がまだある状態であれば、家族で資産の管理方法を変える、名義を移すなどの手段も考えられます。

各家庭でどのような方法を取るのが高齢者本人はもちろん、家族全員のためになるのか、よく考えて話し合ってみましょう。
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