有給休暇が取れない会社を訴える!労基への通報など4つの方法を解説

2019年03月15日労働問題

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 有給休暇をとらせてもらえず、状況を改善したい人

  • 労働基準監督署に連絡したが、きちんと対応してもらえなかった人

  • 有給休暇について、いまの会社が違法なのかどうか確認したい人

はじめに

労働者が好きなタイミングで休みをとることができる有給休暇は、法律で明確に定められた労働者の権利です。

「なんとなく申請しづらい空気がある……」
「有給をとったら評価を下げると言われた……」

もしあなたがこのような状況に置かれているなら、その会社は違法な行為を行っていると言えます。

この記事ではそんな人のため、有給休暇が取れない場合にどこに訴えればよいのかを解説。2019年以降の有給取得義務化にもふれていきますので、参考にしてみてください。

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1.会社の違法行為は「労基署」へ!できることと通報時の注意点



会社が労働者に対して違法なことをしている場合、まずは労働基準監督署に相談しましょう。まずは労働基準監督署ができることや、その利用方法について解説していきます。

①経営者を逮捕する場合も?労働基準監督署がしてくれること

労働基準監督署は、会社が労働者に対して違法なことをしていないかどうかを取り締まる機関で、全国に設置されています。

その労働者向けの窓口で受け付けているのは、

・相談
・通報

の2つ。

それぞれどんなことをしてもらえるのか、解説していきます。

  • 相談

    労働基準監督署や労働局に設置されている「総合労働相談コーナー」では、労働者が直面している法律違反と思われるトラブルについて、問題の内容を整理し、解決に向けたアドバイスを行ってくれます。

    その内容は、トラブルの内容がどんな法律に関係するのか、また過去に裁判でどんな判決が出ているのか……といったもの。

    また希望する場合は、都道府県労働局に依頼して、会社側にトラブルの解決を求める助言・指導や、労働局の専門家が間に立って会社側と労働者で話し合いを行うあっせんといった制度を利用できることもあります。


  • 通報

    前項の労働基準監督署の窓口から直接、会社の違法性について通報することもできます。

    労働基準監督署は警察のように捜査逮捕を行う権限を持っており、違法企業な企業を通報に基づいて取り締まってくれるのです。

    通報を受けた労働基準監督署は、通報内容の悪質性などによって、会社の訪問や立ち入り検査などを実施。その結果により、指導是正勧告といった書面での警告を行います。

    さらに改善がみられない場合などは、業務停止命令などの行政処分や経営者の送検に踏み切ります。

    大まかに、

    ・自分自身での解決を目指す場合は相談
    ・会社の違法行為を取り締まってもらいたい場合は通報

    と覚えておくとよいでしょう。

②通報前にしっかり準備!事前にチェックしたい2つのこと

通報を受けて違法な企業を取り締まることのできる労働基準監督署ですが、警察と同じく、取り締まるのは法律に明確に違反している場合のみ。個人と企業間の個別的なトラブルについては取り合ってくれません。

そのことを踏まえて、通報の際にもきちんと情報を整理しておく必要があります。

  • 証拠を準備しよう!用意しておきたい資料まとめ

    まずは重要になるのが証拠。通報先の企業が法律に違反していると証明できる証拠を、なるべく多く集めましょう。

    「有給休暇が取りたくても取れない」
    という場合に会社が違反している可能性が高いのは、労働基準法第39条のなかにある、

    使用者は、前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

    というルール。

    これに違反していることを証明するものとして、下記のような証拠を用意しておきましょう。

    証拠の種類 確認するもの
    労働条件通知書 有給休暇をもらう基準に該当しているかどうか
    給与明細書など有給休暇の日数が確認できる書類 有給休暇日数が残っているかどうかの確認
    有給休暇申請書や、会社に有給休暇を求めるメールなど 自分がいつ、どのような時期に有給休暇を会社に希望したかの確認
    会社側とのやり取り 会社がどのような理由で有給休暇の申請を拒否したのかの確認。メール・やりとりの音声など
    これまでの経緯をまとめた時系列表 どのような流れでトラブルになったかの説明

    そのほかにも、嫌がらせなどがあった場合は証拠を用意しておくとよいでしょう。


  • 通報手段は「訪問」と「メール」!それぞれのメリット・デメリットは?

    労働基準監督署に通報する際の手段としては、面談とメールの2つがあります。

    そのメリット・デメリットはそれぞれ下記の通り。

    手段 メリット デメリット
    面談 会社の取り締まりに動いてもらうよう申請できる 開館時間が平日の8:30 ~17:15のみ
    メール 24時間連絡が可能 情報提供という形に留まる

    メールでの相談は情報提供という形にとどまるため、取り締まりに動いてもらうためには直接面談に行き、「申告書」と呼ばれる書類に記載する必要があります。

    平日日中しか受けつけを行っていないのがネックですが、証拠をきちんと用意し、通報に向かいましょう。

    また訪問の際は必ず、会社所在地を管轄する労働基準監督署に行くようにしてください。

    自宅最寄りの監督署に行った場合、相談はできても、通報自体は受け付けてもらえない場合があります。

    不安な場合は行く予定の労働基準監督署の電話窓口をこちらから探し、問題ないか事前に確認するとよいでしょう。

③通報したあとが心配……個人情報はどうなる?

通報する際、もうひとつ気になることが「職場にバレないか」という点。

法律により、こうした通報を理由に労働者の評価を下げたり、やめさせたりすることは禁じられていますが、それでも不安に感じてしまうもの。

通報時にどんな配慮があるのか、下記の通り解説します。

  • 面談

    基本的に、取り締まりを希望する「申告書」の提出には実名が必要となります。

    ただし、会社側に「名前を伝えないでほしい」と希望することも可能。労働基準監督署には、通報者の希望しない情報を守る守秘義務がありますので、たとえ会社側が希望したとしても、許可しない通報者の名前を勝手に言うことはありません。


  • メール

    送付する際に氏名と電話番号の入力が必要となりますが、これらは通報内容の詳細について電話で確認したいときにのみ使われ、会社側に伝えられることはありません。

    また通報内容そのものに関しても、

    メールの内容を会社に明かしてもよい
    メールがあったことだけ会社に明かしてよい
    メールの有無も会社に明かさないでほしい

    という3つの希望の中から選ぶことができます。

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2.労基署が動いてくれない……そんなときにできる解決方法3選



これまで労働基準監督署に通報するための方法を解説してきましたが、それでも100%指導をしてもらえるとは限りません。

この章では、そんなときの解決方法について紹介していきます。

①労働組合に相談して交渉する

まず考えられるのは、労働組合を頼る方法です。

労働組合とは、労働者側の地位を守るためのる団体で、会社に環境や待遇の改善を求める「団体交渉」や、それが得られない場合にストライキなどの行動を起こす「団体行動」を行うことができます。

まずは会社内に労働組合がないかどうかを調べ、相談をしてみましょう。

また、自社に労働組合がない中小企業の場合、外部ユニオンと呼ばれる社外の労働組合に加入し、交渉を依頼するという方法もあります。

検索すると様々な団体が出てきますので、活動内容や会費などをよく確認してから相談してみるようにしましょう。

特に会社の周辺地域や関連業種ごとに組織されている組合の場合、条件に合わない場合は加入できない場合もあります。自分にあった組合を選ぶようにしてください。

②妨害があったとして会社を訴える

有給休暇は、法律で認められた権利です。

そのため会社は原則として、有給休暇の希望を拒否することはできません。もし有給休暇の申請を拒否したり、申請がしづらくなるよう妨害行為を行った場合は法律違反

会社に罰金が科されるだけでなく、損害賠償を請求することも可能です。

たとえば進学塾の社員が有給休暇の申請を妨害され嫌がらせを受けた例では、最終的に慰謝料などの支払いが認められました。

もし訴訟を起こす場合は、弁護士まずは弁護士に相談していましょう。弁護士の探し方や訴訟の流れについては、下記の記事で解説しているので参考にしてください。




③休みの代わりにお金をもらうことは可能?

有給休暇が忙しくて取れない……という場合、休みのかわりにお金をもらうことはできないのでしょうか?

しかし、原則として有給休暇の買い取りは違法。

先にも説明したとおり、有給休暇は労働者を休息させるために定められた制度。買い取りによって本来の目的から外れることは認められないのです。

しかし一方で、例外的に有給をお金に換えるのがOKとなるケースもあります。

それは、有給休暇が消滅するタイミングでの買い取り。

そのまま放っておけば有給休暇が消えてしまうケースであれば、会社が買い取ったとしても、労働者の休みの機会を奪ったことにはなりません。そのため例外的に法律違反とはならないのです。

このケースに該当するのは、主に下記の2つです。

・有給休暇の期限(取れるようになった日から2年間)が切れる直前
・退職予定の労働者が、辞めるまでに有給休暇を消化しきれない場合

ただし、これらはあくまで例外として認められるだけであり、会社に買い取る義務はありません。

就業規則や労使協定であらかじめ決められていない場合、会社側に一方的に買い取りを強制することはできませんので注意してください。

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3.おさらいしておこう!有給休暇の仕組みとルール



最後に、有給休暇についてのルールをあらためて確認してみましょう。特に2019年4月以降は法律が変わり、従業員に有給をとらせることが会社の義務となりました。

その点についても、くわしく解説していきます。

①有給休暇の基本ルール:勤務半年後から10日

以下の2つの条件を満たしている労働者は、有給休暇をもらうことができます。

・半年以上勤務している
・出勤日の8割以上勤務している

有給休暇がもらえるタイミングと日数は、下記の表にまとめたとおりです。

継続勤務年数 付与日数
0.5 10
1.5 11
2.5 12
3.5 14
4.5 16
5.5 18
6.5以上 20
※正社員の場合

なお、有給休暇はもらった日から2年で期限が切れてしまうため、注意してください。

たとえば2019年1月1日に付与された有給休暇は、2020年12月31日以降は使うことができなくなります。

なお、パートやアルバイトの場合は、有給休暇のルールが変わってきます。詳しくは下記の記事を参考にしてください。




②有給休暇が断られる時もある?妨害とならない例外ケース

先ほどお伝えした通り、有給休暇の取得は労働者の権利と決められており、どんな理由で休むのであれ、会社は拒否できません。

旅行や友達との遊び、ショッピングなど、どんな理由であってもとることができます。

ただし、唯一の例外ケースも。それが「時季変更権」と呼ばれるものです。

これは会社が労働者に有給をとる時期を変更できるよう労働者にお願いできる権利のことで、その日に有給休暇を取ると会社の経営がストップしてしまうような緊急事態に限り認められています。

・10人しかいない工場で、納期直前の日に全員が有給休暇を申請した
・個人経営のレストランで、大量の予約が続く時期にシェフ全員が有給休暇を申請した

このように、会社がどれだけ頑張って調整しても「いま休まれると会社の経営が困難になる」と客観的にわかる事情がある場合、時季変更権を使って、有給休暇をずらすよう労働者に求めることができるとされています。

ただしその場合であっても、会社は時季変更権を使う前に、かわりの人員の確保やスケジュールの調整など、最大限の努力をしなければなりません。

たとえば、「慢性的な人手不足だから、解消するまで待ってほしい」といった理由で有給休暇をずらすのはNGである可能性が高いでしょう。従業員が自由に休めないほど人手不足が続いているような状態は、会社側が調整の努力をしているとは言えないからです。

このような理由で有給休暇の申請を拒否される場合、違法である可能性が高いと言えます。

③2019年4月から有給取得が義務に!なにが変わる?

いままで、有給休暇は労働者が希望した場合にとれるものであり、仮に労働者が休みを希望しない場合であっても、会社側に責任はありませんでした。

しかし、2019年4月1日以降、そのルールが変わります。

法律が改正され、労働者に一定期間の有給休暇をとらせることが会社の義務となるのです。

その具体的なステップは、

10日以上の有給休暇を与えられた労働者に対し、
・会社は労働者と話し合ったうえで有給休暇をとるタイミングを指定し、
・有給休暇を与えてから1年以内に、必ず5日以上の有給休暇をとらせる

というもの。

ただし、労働者が自主的に有給休暇をとっている場合、会社はその残りの日数について指定すればよいとされています。

たとえば、ある労働者が年2日、自分で有給休暇を申請した場合は、会社が時期を指定するのは残り3日ぶんのみでOK。

また労働者がすでに自分で5日間の有給休暇をすでに申請している場合、会社は有給休暇を指定する必要はありません。

これらの義務に違反した会社には、30万円以下の罰金が科されることになります。


4.まとめ

  • 労働基準監督署には、相談と通報ができる。通報すると、会社への立ち入り調査が行われ、改善指導が行われる。

  • 会社の改善を求める方法として、労働基準監督署への通報以外にも、①労働組合に加入し団体交渉を行う②民事訴訟を起こす③例外的に有給休暇を買い取ってもらう などの方法がある

  • 有給休暇は、半年&出勤日の8割以上勤務していればもらうことができる。2019年4月に改正労働基準法が改正され、年5日の有給休暇取得が義務化される。

おわりに

有給休暇の取得は労働者の権利。本来、会社は拒否できません。

また、2019年4月の法改正により、有給休暇の取得は義務化されるため、少なくとも1日も取れない……といった事態はなくなるものと思われます。

もしも取得を拒否されたら、労働基準監督署への通報や労働組合での団体交渉、訴訟の提起などの交渉を起こしましょう。


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