訴訟制度の意味って?法律と訴訟制度の役割を3ステップで解説

2019年03月13日詐欺・消費者被害

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 「訴訟」という方法がなんのためにあるのか知りたい人

  • 訴訟制度の成り立ちについて興味がある人

はじめに

「許せない。訴えてやる!」

ドラマなどの創作物やニュース、SNSのつぶやきなどで、誰でも一度は「訴訟」という言葉を目にしたことはあるでしょう。

訴訟とは生活上おこる様々なトラブルや犯罪について、法律に照らして正しいかどうかを判断する手続きのことをいいます。

しかし、そもそもなぜこのような制度が必要なのでしょうか? 訴訟制度はなんのために整備されたのでしょう?

この記事では、意外と知らない訴訟の意味について解説していきたいと思います。

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1.なぜ訴訟を起こす必要があるの?裁判制度のポイント4つ



訴訟では、訴えられた側と訴えた側が互いに主張を繰り返し、長い時間をかけて結論を出していきます。

どうしてこのような手続きを踏む必要があるのでしょうか? その理由について、法律の成り立ちをふくめて解説をしていきましょう。

①法律とは「国を運営するためのルール」

法律とはどんなものなのか……その考え方にはさまざまな解釈があり、国によっても異なりますが、ごくおおざっぱに言えば「国の運営ルール」と表現することができます。

日本では、このルールが何よりも優先されます。日本に住む人は、お金の有無や社会的な地位・生まれた血筋にかかわらず、誰であってもこのルールを守らなければなりません。

法律には定めているルールの内容によってさまざまなカテゴリがあり、

・国のあり方や公的機関のルールについて定めた公法
・個人や企業どうしの仕組みやルールについて定めた民事法
・さまざまな犯罪行為の種類とその刑罰について定めた刑事法
・会社が労働者を雇う際のルールや社会保障を定めた社会法

などが存在します。

そして訴訟は、様々なトラブルを法律に従ってどうやって解決するのか、自分以外の人(裁判所)に判断してもらう手続きなのです。

②「自分で解決」はNG!解決を裁判所に頼る理由

しかし、なぜこうしたトラブルを裁判所に判断してもらう必要があるのでしょう。トラブルとなった当人たちで判断し、解決してはいけないのでしょうか?

原則として、法律ではさまざまなトラブルを自分自身だけで解決する行為は禁じられています。

その理由として、たとえば以下のような例をあげてみましょう。

<例>

A君が友人のB君の家に遊びに行った際、床に落ちていた腕時計を踏んづけ、壊してしまった。それを知ったB君は激怒。大切な時計を壊されたとしてA君に100万円を賠償するよう求めた。

A君は驚いてこう反論した。

「確かにうっかり時計を壊してしまったのは悪いと思っているけど、わざとやったわけじゃない。それに、この時計の定価を調べたけど3000円くらいじゃないか。100万円も請求するなんてどう考えてもおかしいよ」

いっぽうで、B君の言い分はこうだ。

「この時計は、むかし好きだったアイドルに直接サインしてもらったものだ。そのアイドルはもう引退して、どれだけお金を払っても、二度と同じものは手に入らない。ずっと愛用してきた大切な時計なんだ。100万円でも少ないくらいだよ」

こんな場合、もし自分たちだけで解決しようとすると、どんなことが起きるでしょうか。

たとえば、A君は自分の悪友を集め、B君を腕ずくで説得しようとするかもしれません。また逆に、B君が地元の有力者であるお父さんに頼み、100万円を払わないとこの町にいられなくしてやるとA君を脅す……といった場合も考えられます。

このように、A君にもB君にも言い分がある場合、当人たちだけでの解決を認めると、腕力や権力を持っている人が最終的に自分の意見を押し通せてしまいます。

同じようなトラブルが、上下関係のある中で場合はどうなるでしょう。上司による部下へのセクハラ、サービス残業を強要する会社……立場の弱い被害者は、一方的に不利な立場に置かれてしまいます。

そんな事態を防ぎ、ルールに基づいた厳密な解決をはかるために、中立である裁判所に判断してもらう必要があるのです。

③訴訟の結果には強制力がある

もうひとつの訴訟の意義は、最終的な結果(判決)が互いに強制されるという点です。

たとえば先ほどのA君とB君が訴訟を行い、最終的な判決として「A君はB君に1万円を賠償せよ」ということが確定したとしましょう。(※判決が不服な場合、控訴や上告によって裁判のやり直しを要求することも可能ですが、今回は行わなかったと仮定します)

その場合、A君はB君に1万円を払う義務が発生することになります。これを履行義務と呼びます。

もしこの判決を無視して支払いを行わなかった場合、B君は裁判所に依頼してA君の財産を強制的に没収し、支払いをさせることができます。

また逆に、B君は確定した1万円以上をA君に請求することはできません。

これは犯罪を行った場合も同様。訴訟により刑罰が確定した場合、ただちにそれが執行されることになります。

個人どうしのやり取りと違い、確定した訴訟の結果は国によって実行されるのです。

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2.『占い』が起源?日本の訴訟制度の歴史となりたち



これまで、訴訟の役割や意味について解説してきました。

しかし当然、はじめからこのような仕組みがあったわけではありません。様々な歴史を経て、日本の訴訟制度はいまのような形になったのです。

その歴史について、この章では解説していきましょう。

①原始~古代初期:神判の時代

原始時代から古代初期にかけて、ものごとが正しいかどうかを判断する基準は占いでした。

そのうちのひとつが、日本書紀や古事記などに書かれている「盟神探湯(くがたち)」と呼ばれる方法。

これはなんらかの疑いを持たれた人が、「自分は神に誓って無実である」と宣言したあとで熱湯の中に手を入れ、やけどをするかどうかで真実かどうかを判断するという方法です。

これらは「神に判断をゆだねる」という意味で神判神明裁判とも呼ばれ、以降も室町時代や江戸時代で似たようなことを行った例が残っています。

とはいえ、お分かりの通り、この方法は公平・公正なものではありません。熱湯に手を入れれば当然やけどをしますので、裁判を命じられれば一方的に有罪となってしまいます。

結局のところ、こうした制度は、権力者が神の名を借りて都合の悪い人間を排除するためのものだった……と言い換えられるかもしれません。

②古代~近世:法律の誕生と普及

占いがすべてを決定していた日本に、「法律」というルールが現れたのは飛鳥時代のことでした。その中でも、訴訟に関するルールを本格的に定めたのが大宝律令と呼ばれる法律です。

中国の法律(律令)を参考に作られたこの法律は、

・刑法である
・民法などにあたる

の2つからなり、刑部省という機関が担当。国司郡司と呼ばれる役人が、刑罰などを判断していたとされています。

こうして生まれた法律と訴訟制度は、近代にいたるまで様々に形を変えて続いていきます。

鎌倉時代には「問注所」と呼ばれる訴訟を扱う機関が生まれ、戦国時代には各国の大名が「公事」と呼ばれる訴訟を行いました。

また江戸時代には、奉行所と呼ばれる役所が、お金の貸し借りなどを含めたさまざまなトラブルの解決を担っていたとされています。

ただ、こうした訴訟制度はすべての人が平等に利用できるものではありませんでした。権力者を除き、一般人はあくまで「訴訟のチャンスを恵んでもらっている」という立場。どんな人でも利用できるというものではなかったのです。

またその内容も全国で一定ではなく、藩主などの地方を収める権力者によって、さまざまに異なる法律が存在していました。

③近代:全国共通の法律が生まれる

「日本」という国の全体に共通の法律が制定されたのは、明治時代からです。

明治時代になると、日本は海外の経済に追いつくため、全国でルールを統一する近代的な制度を整えようとしました。

その結果生まれたのが、ドイツ帝国を参考にした大日本帝国憲法や、犯罪を裁く刑法、個人どうしのやりとりや家族制度について定めた民法などといった法律の数々。加えて民事訴訟法という法律により、一般人どうしの訴訟がルールとして認められる形になりました。

ただし、さまざまな違いもあります。

たとえば男女の権利について、当時の法律は不平等な内容を定めており、それによって訴訟で女性が一方的に不利な立場に立たされることもありました。

一例を挙げると、夫が妻の財産を管理するとした民法801条や、妻の不倫現場を目撃し、妻と不倫相手を殺した場合は罪に問われない……とする刑法311条などがあります。

いずれも、夫のみに一方的に権利が認めるというもの。当時の法律では、女性には法的なことをする力がないとされていたのです。こうした法制度に反発が起こり、女性の権利を求める女性解放運動に繋がっていきます。

また、法制度の整備とともに「弁護士」という職が生まれたのもこの時代でした。

④現代:現在の法制度が誕生

太平洋戦争の終結後、日本を占領していたアメリカの要求により制定されたのが、現在も続いている日本国憲法です。それに伴い、旧来の法制度も大きく更新されました。

先ほど紹介した、男性のみに権利を認めるような法律も見直されて、改正されたのです。

しかし、時代とともに新たな議論は続いています。

たとえな、LGBTをはじめとするジェンダー・マイノリティの人々に、現行の結婚制度は対応すべきなのか……ということは世界中で議論が進められています。社会の変化に従って、法制度や訴訟の仕組みはこれからも変わっていくのです。


3.まとめ

  • 国のルールに従ってトラブルを解決するのが訴訟制度。中立である裁判所に判断を任せることによって、誰かが一方的に自分の意思を押し通すことを防ごうとする意図がある。

  • いまの形の訴訟制度が整ったのは太平洋戦争の後。ただし今の法律もまた、社会の状況によって常に変わっていく。

おわりに

いつの世の中であっても、争いごとやトラブルは起きるもの。そんなとき、ルールに基づいて客観的なジャッジをしてもらえるのが訴訟制度。

どうしても決着のつかないトラブルにあったら、利用してみてください。

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