内定取り消しとなる理由には何がある?5つの参考事例と対処法を解説

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投稿日時 2019年03月12日 19時29分
更新日時 2019年09月17日 17時10分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • これから就職活動を行うため、内定についてルールが気になる人

  • 内定を取り消される理由を知り、対策をしておきたい人

  • もしも内定取り消しにあった場合の対処法を知りたい人

はじめに

内定とは、企業が応募者である学生に「卒業後に雇用する」と約束する契約の一種です。

しかし一方、内定をもらったにも関わらず、後日取り消しになるケースという場合がまれに存在します。

決まっていた就職がもし突然取り消されてしまった場合、そのショックは大きなものとなります。

この記事では、内定が取り消される理由や事例について解説。自分に責任がないにも関わらず取り消しにあった場合の対処法についても紹介していきます。

安心して仕事を始めるための参考としてください。

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1.これさえしなければ安心!内定取り消しになり得る5つの事例と対処法



内定取り消しの理由でまず気を付けなければならないのは、内定者本人に責任があるケース。

苦労を味わいながらやっと手に入れた内定を、自分自身で手放してしまっては泣くに泣けません。

いずれも普通に学生生活を送っていれば問題ないものではありますが、意外なところに問題が潜んでいる場合もあります。念のためチェックしてみましょう。

①SNS投稿に不適切な内容を投稿した

TwitterやFacebook、Instagramなど今やほとんどの人が使っているとしても過言ではないSNS。

そこに社会的に問題のある内容や会社への批判をアップしたことが原因となり、内定取り消しとなるケースです。

中でも特に問題となるのは、迷惑行為への関与を投稿した場合。

未成年飲酒や飲食店などへの迷惑行為は当然として、SNS上で差別的な発言や他人への攻撃を繰り返しているような場合も、その悪質性によっては取り消しの理由になる可能性はあります。

いまや人事部による内定者のSNSチェックは多くの企業が行っていると考えたほうがよいでしょう。不用意なつぶやきをしないよう、気を付けるに越したことはありません。

特に見落としがちなのが過去の発言。自分でも忘れていた内容が問題視される場合もあります。

非公開にできるアカウントは非公開とするといった対策をしておくとより安全でしょう。もちろん前提として、犯罪行為や迷惑行為をしないという心がけが大切です。

②単位不足や退学などで大学を卒業できなかった

単位不足で留年してしまい、内定が取り消されるパターンです。

企業は学生が予定通り卒業すると見込んで内定を出していますので、卒業ができなければ当然内定は取り消しとなってしまいます。

通常、四年次であれば卒業論文などを控えるのみとなっている人が多いでしょうが、卒業単位の見落としによる留年という落とし穴もありますので、三年次の段階から念のためよくチェックをしておきましょう。

必修単位の漏れ抜けの確認はもちろんのこと、卒業単位は規定よりも多めにとっておくつもりでいたほうが安全です。

③履歴書や面接での嘘の申告をした

内定をもらうため、面接なおで自分の良い面をアピールするのは当然のこと。

しかし当然ながら、自分をよく見せるために明らかなウソをつくのはNGです。

例えば、TOEICの点数を実際より高く書くといった行為。企業によっては証明書の提出を求められる場合もあり、そこで大幅な虚偽が発覚した場合は内定取り消しの事由になりかねません。

アルバイトやサークル活動の経験など、履歴書の経歴をある程度『盛る』のが一種のテクニックとして推奨されていることもあります。しかし、証明書を発行するタイプの資格などについては、できる限り正直に書いたほうが無難でしょう。

④手続きに不備があった

内定をもらうと入社する意思を伝える「内定承諾書」や、万が一のときに備えて保証人を立てる「身元保証書」など、さまざまな書類の提出が必要になってきます。

ところがこうした書類に不備があったり提出し忘れたことで、内定が取り消されるケース可能性もあります。

相談すれば取り消しには至らないケースも多いでしょうが、それでもやはり印象はよくないもの。

やむを得ない事情がある場合は、速やかに相手の企業に連絡するようにしましょう。

⑤重篤な病気にかかり勤務できなくなってしまった

重篤な病気により業務ができなくなってしまった場合、企業は対象者の内定を取り消すことが可能です。

また内定後に交通事故で大きな怪我をしてしまい、入社時期が大幅に遅れるなどの場合も内定取り消しになる可能性があります。

病気に関しては本人の努力だけではどうにもならない場合があるため、程度によっては相談できる場合もあります。万が一病気やケガをした場合は内定企業の人事部に速やかに相談するようにしましょう。

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2.会社都合での取り消しが違法であるケースも?見極めるためのチェックポイント



これまでは、ある程度は自業自得であるケースについて紹介してきました。

しかし、こうした事例に気を付けていた場合であっても、会社都合による内定取り消しが起こる場合もあります。

その理由と内容について、詳しく見ていきましょう。

①「業績の悪化」も取り消しの理由になり得る

会社側の都合で内定を取り消せるのは「内定を出したあとに業績が悪化した」という時です。

この理由による内定取り消しが大きくクローズアップされたのは、2008年に起きた全世界規模での景気悪化……いわゆるリーマン・ショックの時。多くの企業の業績が急落し、内定後に採用を取り消すケースが相次いだのです。

しかし、こうした理由による内定取り消しを企業が好き勝手にできるわけではありません。

②「内定取り消し」=「解雇」!行うためには条件がある

内定をもらった学生はその時点ではまだ働いていませんが、卒業後にその会社で働くことが決まっており、入社日も決められています。

つまり内定を交わした時点で、「入社日以降に雇用する」という条件付きで、学生を雇う意思を見せたとみなすことができます。

つまり、内定通知書を受け取った時点以降の取り消しは「解雇」と同じものとみなされることになります。

その場合、企業は以下のルールを守らなくてはなりません。

整理解雇のルール 補足
人員削減の必要性を満たしていること 受注減少などによる業績悪化や将来的に存続が危ぶまれるほどの経営危機に陥っているなど
解雇を回避するための努力義務を果たしていること 残業の削減や労働時間の短縮、希望退職者の募集といった努力をしているかどうか
解雇対象者の選び方が妥当であること 同じ程度の成績を残しているのに片方だけが解雇になるなど、合理的でない選び方ではないかどうか
労働者に対して十分な説明をしていること 解雇の必要性や解雇の方法・時期などについて納得のできる説明をしているかどうか

これらのルールが守られていなければ、内定取り消しは成立しません。

③補足:労働条件の変更や内定辞退の強要はどうする?

会社都合による内定取り消しでは、「整理解雇」の厳しいルールに則って行う必要があるため、重大なケースを除き、基本的には稀です。

ただ、企業によっては内定者に「辞退してほしい」と言ってくることも。

「辞退の方が取り消しよりも有利」などの理由をつけてくるかもしれませんが、メリットはありませんので同意しないようにしましょう。

一方で内定は取り消さないものの、内定後に「求人に載せる内容を間違えた」などと言って、給与を減額するなど労働条件を変更してくる企業もいます。

しかし内定に同意している場合は労働契約がすでに結ばれているため、変更を成立させるためにはお互いの合意が必要。納得ができれなければ拒否することが可能です。

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3.その内定取り消し理由はおかしい……もしものときの対処法4つ



本人都合にしろ会社都合にしろ、よほどの理由がない限り内定が取り消されることはありません。

「うちのカラーに合わない」「内定後に改めて判断した結果、能力が足りない」

そんな曖昧な理由で取り消すことはできないのです。

この章では「取り消しの理由に納得できない……」と思った場合にとれる4つの対処法をご紹介します。

①内定取り消しの具体的な理由について文書回答を求める

内定取り消しを知らされたときに、もし取り消される理由が思い当たらないときは、まずは企業先に具体的な理由を確認してみてください。

内定後の取り消しの場合は、企業側には取り消し理由の説明をする義務があります。

その際、口頭で聞くのではなく形に残る文書で回答を求めるようにしましょう。

②大学に内定取り消しを受けたことを伝える

次に所属する大学に内定取り消しを受けたことを伝えます。

大学はこうしたケースに直面した経験があるはずなので、適切なアドバイスをしてくれるはずです。

学校によっては内定を取り消した企業に直接交渉したり、企業名を厚生労働省に報告してくれる場合もあるでしょう。

③会社と交渉を行う

会社から内定取り消しの詳しい理由が届き、

「本人都合と言われたが納得できない」
「会社都合の理由が常識的に見ておかしい」

という場合は、法的な手段も視野に入れ、会社と交渉をしましょう。

会社に要求できるのは、内定を認めさせることだけではありません。以下のようなことも要求することが可能です。

法的手段  
地位確認の請求 内定を取り消された会社に入るために、従業員としての地位の確定を求める手段です。
賃金仮払いの請求 入社を求める裁判では、職に就いていないため裁判期間中の生活費確保が難しくなります。そのための生活費を求める手段です。
損害賠償請求 内定を取り消した会社への就労を諦めるかわりに、損害賠償金や慰謝料を求める手段です。

こうした交渉および訴訟を行う場合は、法律の専門家である弁護士に依頼したほうが無難です。

相手とのやりとりなどの証拠を集め、相談してみましょう。

  • 複数の被害者がいる場合は集団訴訟も

    ある程度規模の大きい会社だと、内定が取り消された人が複数いる可能性があります。

    その場合は、同じ被害を受けた人たちと一緒に訴訟する集団訴訟を選択肢に入れてみましょう。

4.まとめ

  • 内定取り消しには本人都合と会社都合の2パターンがある。

  • どちらも明確な理由があってはじめて成立するが、なかには会社側の勝手な理由で実行される場合も。

  • 納得できなかったら、すぐに会社に交渉したり大学に相談しよう。

おわりに

就職は将来を左右する大きな問題です。

自分がうかつなことをしないことは当然ですが、それでも明らかに納得のいかない理由での取り消しがあった場合は声をあげることも検討してみましょう。

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