この記事は以下の人に向けて書いています。
- 遺品整理の料金相場を知りたい人
- 遺品整理は悪徳業者が多いと聞いているので、騙されないために手口を知りたい人
- 信頼できる遺品整理業者はどうやって調べたらいいのかを知りたい人
はじめに
地方を出て都会で働く人が増え、核家族化や少子高齢化も進んだ昨今。親族の突然の訃報をきっかけに、遺品整理を業者に依頼するケースが増えています。
その一歩で、「当初の予定よりも高い金額を請求された」「処分しないように頼んだ遺品まで処分された」など、トラブルに発展する事例が増加。国民生活センターが
注意を呼びかけています。
本記事では「遺品整理の相場を決める要素」「業者の選び方」「悪徳業者のよくある手口」など、悪徳業者を見分ける際の参考になる情報を紹介していきます。
人生でそう何度もあるイベントではないからこそ、無知につけこんだ悪徳業者に狙われやすい遺品整理。記事を参考に、信頼できる業者を探すようにしましょう。
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1.遺品整理の相場はどのくらい?気を付けたい3つのポイント
①相場の基準は「間取り」「量」「特殊清掃」
遺品整理には明確に定められたサービス内容がなく、業者によって対応がまちまち。しかし、そのベースとなるのは主に作業員の人件費。
つまり、
「作業に何人の作業員が必要で、どのくらい時間がかかるか?」
という点が見積もりのポイントとなってきます。
そのときに重要な基準となるのが
・部屋の間取り
・遺品の量
・特殊清掃の有無
の3点。それぞれのポイントについて説明していきましょう。
- 家(部屋)の間取り、または面積・体積
整理をする家が広いほど、整理に時間がかかるのが一般的。そのため遺品整理の料金体系として、「1LDKなら○万円〜」のように間取りに応じた目安を設けているケースが多く見られます。
業者によっては、間取りではなく面積・体積によって料金が変動する場合もあります。
- 遺品の量
もうひとつ、作業時間と大きく関係するのが遺品の量。狭い部屋でも大量に未整理の遺品がある場合は作業に時間がかかり、また処分にかかる費用も高くなります。
「間取りが狭いから安いはず」と思っていると思わぬ出費となる可能性があります。事前にある程度残すものと捨てるものを仕分けする、自分で処分できるものは処分してしまうなど、なるべく遺品の量を減らすようにするとよいでしょう。
- 特殊清掃が必要かどうか
孤立死や自死など、発見から時間が経ち、特殊清掃が必要になるケースも決して少なくありません。遺品整理とは別にオプションとして費用が必要となることがほとんどですので、もし必要となる場合はあらかじめその金額を想定しておきましょう。
②「資格」で業者の信頼性をチェック!
信頼できる業者を選ぶ際、特定の「資格」を持っているかどうかをチェックするのも大事なポイントです。業者の選定時にチェックしたい資格をご紹介します。
- 一般廃棄物収集運搬業許可
一般廃棄物収集運搬業許可は、一般家庭から出た廃棄物の収集・運搬・運搬を行う業者に必要な許可です。依頼しようとしている業者がこの許可を得ているかを必ずチェックしましょう。本来、この許可がなければ遺品整理業を行うことはできませんが、悪徳業者は許可証を所持していない場合があります。
許可を得ている業者の一覧は、各市町村区のウェブサイトから名前を確認できます。しっかりと許可を得て法を守った正しい処理方法を行なっている業者に依頼しましょう。
一般廃棄物収集運搬業許可を所持している業者と委託・提携関係にあれば遺品整理業が可能とされています。その場合は委託先業者がどこなのか、きちんと確認するようにしてください。
また、混同されやすいのが「産業廃棄物収集運搬業許可」です。こちらは事業活動に伴って生じた廃棄物(金属くずや廃油など)を処分する際に必要な許可で、一般家庭の廃棄物回収の資格とは別物です。「許可を得ている」と言い張る業者が、産業廃棄物でなく一般廃棄物の収集許可を持っているか、確認を忘れないようにしてください。
次に紹介するのは、遺品回収においては必須ではありませんが、より信頼性の高い業者を見分けるための参考になる資格です。
- 古物商許可
古物商許可は、中古品売買を行う際に必要な公的資格です。遺品整理業者の中には遺品の買い取りサービスを同時に行っている業者もありますが、その際は古物商許可を所持しているか確認しましょう。
許可を得ていないにも関わらず買取を提案する業者には注意が必要。貴金属類を勝手に安値で買い取っていく悪質業者もいるからです。
- 遺品整理士
遺品整理士は、一般社団法人遺品整理士認定協会による認定資格です。廃棄物処理や遺品の取り扱いについての講習を受けていることを示します。遺品整理業者に必須の資格ではないものの、プロフェッショナルとしての信頼性は担保されるでしょう。
遺品整理士認定協会では、優良企業一覧として登録企業をリストアップしています。業者選びの参考にしてもよいかもしれません。
③トラブルを防ぐ業者選びと依頼のコツ
以下、実際に業者を探して依頼するまでの、おすすめのフローと気をつけるポイントを整理します。
- 自治体に問い合わせる
インターネットで遺品整理業者を探すと、多くの業者が見つかります。その中から前項で述べたような点を1つ1つチェックしていくのはかなり大変。
信頼できる遺品回収業者を効率よく選定するために、自治体のサイトやごみ収集の担当部署に問い合わせることをおすすめします。一般廃棄物収集運搬業許可は自治体による認可のため、自治体が認可業者を紹介してくれる場合が多いからです。
- 遺品整理のゴールを決めておく
また、依頼する前に「どこまで業者に依頼するか」という部分を明確にしておきましょう。
部屋の整理だけでいいのか、不用品の廃棄を依頼するのか、それとも完全な原状回復を含めた清掃まで必要なのか……。業者に依頼する内容=ゴールをあらかじめ定めておくことで、予期しない追加料金が必要となるといったトラブルを避けることができます。
また、処分してもらう遺品と処分しない遺品をあらかじめ明確にしておくことも、特に見積もりの比較の際に大切となります。
- 必ず訪問見積もりをしてもらう
これまで伝えてきた通り、明確な料金の目安は部屋の広さ・遺品の量・必要となる作業に応じて大きく変わります。できれば業者に現地に来てもらったうえで見積もりをお願いしたほうが安心です。
下見をせず、電話だけで済まそうとする業者には要注意。作業の段階になってあれこれと必要な作業を上乗せし、追加料金を請求してくる可能性があるからです。
ただし、見積の際には出張料や見積料が必要となることがあります。業者を呼ぶ前に、見積にあたって料金が発生するかどうか、あらかじめ確認するのを忘れないようにしてください。
- 見積内容を細かく確認する
「どの作業にどのくらいの費用がかかるのか」「当日の作業によっては追加料金がかかるのか」「キャンセル料は発生するのか」など、見積の段階で作業内容とその費用について具体的に打ち合わせをしておきましょう。見積内容に「○○一式」のような曖昧な記述があった場合は、その具体的な作業内容を確認しておくことも必要です。
特に、あとあとトラブルになりやすいのがキャンセル料。発生のタイミングや金額について、事前に確認しておきましょう。
- 「便利屋」への依頼は危険!
「便利屋」を称する業者に遺品整理を依頼するのは、無許可で遺品整理事業を行なっている可能性があります。
気づかぬうちに遺品が不法投棄されていた…というおそれもありますので、必ず一般廃棄物収集運搬業許可を得ているかどうかのチェックを忘れないようにしてください。特に異常に価格が安い場合は要注意です。
2.増えつつある遺品整理のトラブル…よくある悪徳業者の手口4選
冒頭でも説明したとおり、増えつつある遺品整理のトラブル。
では具体的にどんな被害があるのでしょうか?
国民生活センターが2018年7月に発表した資料をもとに、代表的な4つの手口を紹介していきます。
①契約しておきながら作業をしない
見積の時点で「いま決めたら安くする」「早く決めたらその分早く作業開始できる」といった文言で急がせ、その場で契約させておきながら、作業が始まらないケース。
作業日程についてその場では明言しない業者には要注意です。
②高額なキャンセル料を請求された
契約時にキャンセル料についての説明がなく、もっと安い業者が見つかったなどの理由からいざキャンセルしようとしたら高額な請求をされた、というケース。
見積の段階でキャンセル料の発生時期と金額を確認しましょう。
③当日作業時に予定外の請求をされた
当日になって見積になかった作業や料金が発生し、最終的な請求額が膨らんでしまうケース。
電話だけでなく現地下見を依頼することと、見積もりの作業内容を逐一確認しておくことが必要です。
④処分しないはずの家財を処分された
業者の不手際により、処分しないようにと分けて置いていた遺品や遺族の所持品などまで持ち出されてしまうケース。
取っておく遺品や自身の大事なものは、メモを貼ったり、ほかの部屋に移動させたりして、明確に分類しておきましょう。
3.もし騙されてしまったら?相談先と対処法の2つを紹介
もしこうした悪質業者のトラブルに巻き込まれた場合、どうすればよいのでしょうか?
その際の対処法を解説していきます。
①国民生活センターに相談する
もしも悪徳業者に騙されてしまったり、業者とのトラブルに遭遇したりした場合は、
国民生活センターおよび最寄りの消費者センターに相談しましょう。
国民生活センターが設置している総合相談窓口
「消費者ホットライン」は、局番なしの「188」をコールすると最寄りの消費者センターへの電話をつないでくれるサービスです。土日祝日でも国民生活センターの専門窓口が対応してくれます。消費者トラブルの際は、ぜひ利用しましょう。
- 消費者ホットライン
電話番号 |
188 または03-3446-1623 |
受付時間 |
平日:10時〜12時、13時〜16時
土日祝日:10時〜16時 |
国民生活センターについて、詳しくはこちらをご覧ください。
②契約を「なかったこと」に!クーリング・オフのやり方は?
遺品整理は、
事業所ではなく消費者の自宅で契約を交わすケースが多いため、訪問販売および訪問購入(いわゆる「押し売り」・「押し買い」)にあたる場合があります。
訪問販売・訪問購入にまつわる強引な勧誘や曖昧な契約によるトラブルが後を絶ちません。そのため、これらは
特定商取引法によって厳しく規制されています。
遺品整理サービスでも、「見積を取るつもりで自宅に業者を読んだら、その場で契約を勧められた」という場合などは、訪問購入における
不招請勧誘(飛び込み勧誘)の禁止に該当し、事業者が法的に罰せられる可能性があります。
訪問販売・訪問購入では、消費者に
クーリング・オフの権利が認められています。また、これらを行う事業者も、契約書類にクーリング・オフの対象であることを明記する決まりになっています。
クーリング・オフは、
契約を交わした日から8日以内(契約当日を1日目と数える)に、事業者に通知することで成立します。申し込んだ証拠を残すため、通知は電話や口頭ではなく
書面で用意し、内容証明郵便で送付しましょう(8日目の消印有効)。
クーリング・オフの詳しいやり方は以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
【番外編】もしも同じ業者に騙された人が他にもいたら?
これまでに紹介した料金トラブルのほか、保管するはずの遺品や元々の家財、または壁や床などの損壊や盗難といった被害がほかの被害者からも寄せられている業者に対しては、
集団訴訟を検討するのも一つの手段です。
集団訴訟では、複数の被害者が団結して訴訟を起こせるため、通常よりも費用を抑えられます。
検討される際は、被害者集団と弁護士をつなぐ集団訴訟プラットフォーム「
enjin」の利用がおすすめです。
訴訟に際しては、被害を受けた証拠として、
見積書・請求書・部屋の写真などを保管しておきましょう。
4.まとめ
- 遺品整理の料金相場を左右するのは、「家(部屋)の間取り、または面積・体積」「遺品の多さ」「特殊清掃が必要かどうか」の3つ。業者を探すときは、一般廃棄物収集運搬業許可を持つ業者に依頼すること。まずは自治体に問い合わせ、遺品整理のゴールを決め、複数の業者から見積を取り、見積内容を細かく確認しよう
- 悪徳業者にありがちな手口は、「契約を急かす」「高額なキャンセル料を要求する」「作業当日になって見積になかった請求を増やす」「処分しない予定の荷物も処分してしまう」。依頼する作業範囲をしっかり決めたうえで、見積を詳細に確認することで防げる
- それでもトラブルが起こってしまったら、国民生活センター(消費者ホットライン)に相談しよう。クーリング・オフも可能。同じ業者の被害者が多ければ集団訴訟も視野に入れよう
おわりに
遺品整理に追われるタイミングは予測できないことも多く、訃報の悲しみから覚めないままに慌てて業者に依頼することになりがちです。そんな遺族につけ込む悪質業者に騙され、余計な悲しみを背負わないためにも、毅然とした対応が望まれます。もしもの際には本記事を参考に、落ち着いて対処しましょう。