この記事は以下の人に向けて書いています。
- 派遣切りにあったが「これって違法じゃないの?」と思っている人
- 今は働いているが、派遣切りにあったらどうしよう……という日々の不安がある人
- 派遣切りにあったので、今後の対策を考えたい人
はじめに
「派遣切り2018年問題」をご存知でしょうか? 2015年の法改正に基づき、企業は3年間雇用した派遣社員を有期雇用から無期雇用に転換しなければいけない「無期転換ルール」が適用されることになりました。
これにより2018年に最初の転換期が訪れることになりましたが、安定的な無期雇用への切り替えではなく、人件費を削減する目的で、企業が3年の期日で雇用を打ち切る
派遣切りが横行している問題視されています。
もしも違法な派遣切りにあったらどのように対処すればいいでしょうか。この記事でその方法を解説していきます。
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1.あなたの派遣切りは違法?チェックすべき2つのポイント
派遣社員に対して行われる「派遣切り」がすべて違法とは限りません。法律に基づいて、派遣契約を終了させようとするケースもあります。
しかし、次に挙げる2つのいずれかに該当する場合は、違法な派遣切りの可能性があります。
①契約期間が終了していない
派遣先で勤務する契約期間が満了していないにもかかわらず、突然契約を終了することを「派遣切り」といい、違法である可能性があります。
②派遣切りに正当な理由がない
雇用形態に関係なく、会社は労働者を合理的な理由なく解雇することはできません。
実は、冒頭で述べた「派遣切り2018年問題」がこれに関係しています。
2015年に労働派遣法が改正され、3年以上同じ会社、部署で働くことができなくなりました。その後も働き続けたい場合は、派遣先に正社員として無期雇用に転換してもらわなければなりません。
有期雇用の労働者を保護するために改正されたもので、一見すると労働者にとって有利な法律のように見えます。しかし、派遣社員が無期雇用なることで、
人件費を抑えたい会社側にとっては今まで以上にコストがかかるため、
無期転換される前に契約を終了する事案が相次いでいるのです。
この雇い止めの理由が「無期転換ルール回避のため」と判断されれば正当な理由がない「違法な派遣切り」の可能性があります。
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2.違法な派遣切りにあったときに行いたい3つの行動
①派遣会社に何をしてもらえる?
もしも派遣切りの違法性が高い場合は、派遣会社に相談し、現在の雇用の継続ができないかどうか交渉してもらいましょう。
交渉の結果、やむを得ず契約を終了する場合は、他の派遣先を紹介してもらいましょう。
②交渉する際にやるべきこと
交渉する際に、なぜ自分は派遣切りになったのか明確な理由を確認することです。
その理由が「正当な理由」と判断できないものであれば、会社に納得のいく説明を求めることができます。正当な理由にあたるかどうかわからない場合は、労働問題に詳しい弁護士や、労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。
③書類を準備する
派遣会社との交渉の段階で、今後の相談に必要な書類を入手しておきましょう。
- 派遣会社から発行する、派遣契約上の条件などを提示する「就業条件明示書」
- 契約終了を伝える通知書など
④公的機関に相談する
派遣会社との交渉で、自身の要求が上手く通らなかった場合は、労働問題を扱う公的機関で相談してみましょう。
- 労働基準監督署
賃金の未払いや不当解雇など、労働基準法に違反するおそれのある会社に是正指導を行います。派遣先ではなく、派遣会社のある労働基準監督署が管轄になりますので、注意しましょう。相談は電話または窓口で受け付けています。
- 都道府県労働局雇用均等室
各都道府県に設置されており、、労働問題に関する相談に対応しているほか、必要に応じて行政指導や紛争の解決を援助を行う機関です。電話または手紙(連絡先を明記のこと)などで相談後、会社と労働者の双方から話を聞き、紛争の解決を目指します。
連絡先:こちらを参照ください
受付時間:月~金 8時30分~17時15分
- ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークは派遣切りされた後の失業保険などの相談に対応しています。新しい仕事を探すときにも利用できるので、窓口へ直接相談に行くと良いでしょう。
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3.訴訟を起こす場合の手続きと流れ
①弁護士の探し方や相談時の注意
弁護士を探すときは、
労働問題に詳しい弁護士を探すことです。依頼する前に弁護士事務所のウェブサイトを確認して、労働問題に特化した弁護士が在籍しているかどうかを確認しましょう。弁護士が決まったら、本格的な依頼をする前にまずは相談をはじめます。
弁護士に相談できる時間は限られているので、わからないことや相談したいことをノートにまとめておくことも大切です。派遣契約書や派遣先の就業規則など、会社との交渉で有利となるような資料があれば忘れずに持参しましょう。
弁護士費用について
法律事務所によって異なりますが、弁護士に依頼するとき、費用は主に
「相談料」「着手金」「実費」「成功報酬金」の4つで構成されています。
相談料は、初回無料または30分5000円で受け付けているところが多いようです。着手金は弁護士が紛争解決のために着手するにあたって発生する費用で、相場は10万~15万円程度。完全成功報酬制で着手金が発生しない事務所もあります。
また、収入印紙や交通費などの実費も支払います。成功報酬金は20万~50万円程度と言われていますが経済的利益(弁護士に依頼したことで発生した経済的な価値)によって大きく差が開くので、詳しくは依頼する弁護士にお問い合わせください。
②弁護士に依頼したあとの流れ
弁護士に依頼した後は、まずは派遣会社と交渉してもらいます。
弁護士は、依頼者から相談を受けた内容をもとに会社と電話または書面で交渉を進めるので、依頼者は会社側と顔を合わせる必要はありません。この時点で解決できれば、次のステップは省略されます。
交渉が不成立になった場合は、
労働審判を行います。労働審判は、裁判所で依頼者、弁護士、会社側、裁判官の話し合いによる解決を目指す方法で、労働審判の申立てから2~3ヶ月くらいで判決が出ます。
労働審判でも納得のいく解決ができなければ、
民事訴訟で争います。訴えるための書類(訴状)を裁判所に提出してから判決が出るまで1~2年程度、それより上の裁判まで争う場合は、判決までさらにかかることもあります。
なお、経済的な理由により弁護士への依頼が難しいときは法テラスの利用を検討してみましょう。詳しくはこちらの記事も参照ください。
③被害者が多い場合は集団訴訟も検討しよう
派遣切りされたのがあなた一人だけではなく、複数の派遣社員が同時期に派遣切りにあったときは、
集団訴訟を検討してみることをおすすめします。
集団訴訟なら、訴訟費用をほかの派遣社員と折半できるだけでなく、派遣切りされたという証拠が増えるので、一人で会社を訴えるよりも有利になる可能性があります。
何よりも、会社に対して訴えを起こしているのが自分一人ではないということは非常に心強くなるものです。会社で働き続けたい仲間同士で、「雇用の継続」という共通の目標を達成するために行動するので、ほかの派遣社員と結束力も強まります。
4.まとめ
- 契約期間満了前の派遣切りは違法性がある可能性が高い
- 会社と交渉する前にできる限りの行動をする
- 労働問題を解決するために公的機関や弁護士も活用する
おわりに
派遣社員や契約社員など、有期雇用で働く人にとって突然の契約終了は命取りと言っても過言ではなく、できることなら次の仕事を紹介してもらうか、同じ会社で長く働き続けることが理想ではないでしょうか。
契約社員については、有期雇用の雇い止めに関するトラブル防止策を厚生労働省が提示していますが、派遣労働者については今後の対応が待たれます。
派遣先からの違法な派遣切りにあったときは、まずは公的機関や弁護士に相談し、解決の糸口を見つけましょう。