この記事は以下の人に向けて書いています。
- ネット通販で詐欺にあったときにとるべき行動を知りたい人
- ネット通販で取られたお金を取り戻せるか知りたい人
- 詐欺の通販サイトに提供した個人情報の悪用を防ぐ方法を知りたい人
はじめに
ネット通販は、多くの商品の中から自分に合った商品を見つけ、自宅から出ることなく購入できる便利な仕組みです。
しかし、販売員や販売会社の人物と対面せずに購入できるため、詐欺が横行しているのが現状。
もしネット通販で詐欺にあったら、どうすればよいのでしょうか?この記事では、ネット通販で詐欺にあったときにとるべき行動や、返金してもらうための手段について詳しく解説していきます。
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1.まずは銀行や警察に通報!詐欺対応3ステップ
ネット通販詐欺の多くは
「料金を支払ったのに商品が届かない」「偽物のブランド品が届く」といったパターン。
いずれにせよ、先にお金を支払っている形となるため、まずは支払を取り消す手続きが必要となります。
その手順は、下記の3ステップ。
・詐欺サイトかどうかの確認
・銀行・カード会社への連絡
・警察への被害届提出
以下、それぞれの具体的な方法について解説していきます。
①詐欺サイトかどうかの確認
まずは、その通販サイトが詐欺サイトなのかどうかを改めて確認してみましょう。
もしきちんとした通販サイトであれば、取り消し、返品が認められる可能性があるからです。
ただしその一方、最初からお金を騙し取ることが目的の詐欺サイトを利用していた場合は、返品・返金を求めてもあれこれと理由をつけて応じず、
その間に支払ったお金を口座から支払って逃げるというおそれがあります。
下記のいずれかに当てはまる場合は詐欺サイトの可能性が濃厚ですので、すぐに②以降にうつりましょう。
- 会社所在地がなかったり、実際には存在しない
- 連絡先電話番号がない、あるいはつながらない
- 利用規約に、返品・返金に関する情報が書かれていない
- 銀行振込での支払いしかできず、口座名が個人名義
- サイトに今見ているもの以外の商品が存在しない
- 他のサイトよりも価格が異常に安い
- サイト内の日本語が細かく見ると不自然
- 届いた商品が偽ブランドだった
- 消費者庁の「悪質な海外ウェブサイト一覧」に名前がある
これらに当てはまらない場合や自信がない場合は、消費生活センターの消費者ホットラインに相談をしてみてください。
消費生活センター 消費者ホットライン
電話番号:188(いやや)
受付時間や土日の連絡先などの詳細はウェブサイトを確認してください。
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②決済方法に応じて金融機関やカード会社に連絡
確認の結果、詐欺サイトの可能性が高い場合は、お金を振り込んだ口座のある金融機関やクレジットカード会社に連絡しましょう。
- 金融機関への連絡方法
ネット通販詐欺は、振り込め詐欺の一種として扱われています。そのため、まずは各金融機関の振り込め詐欺対応窓口へ連絡をしましょう。
銀行の場合は、下記サイトより窓口を探すことができます。
全国銀行協会 金融犯罪に遭った場合のご相談・連絡先
通報をもとに金融機関は口座を調査し、不正に使用された可能性があれば凍結を行います。相談の過程で警察への被害届の提出が求められることが多いため、指示に従い警察に連絡をしましょう。
不正が認められて口座が凍結されると、一定期間をおいて返金の手続きが行われます。
くわしい手続きの流れや注意点は記事の後半で解説していきますので、あわせて確認してみてください。
- カード会社への連絡方法
決済にクレジットカードを使っていた場合は、カード会社に連絡しましょう。不正な手続きがあった場合は、支払い停止の抗弁という制度を使用することで、支払いを取り消すことができる場合があります。
また詐欺通販サイトを利用した場合、入力したカード情報を抜き取られている危険もあります。
カードを停止し、状況に応じてカードの再発行などを行いましょう。
③警察への被害届の提出
各金融機関に連絡をしたあとは、警察に被害届を提出しましょう。後に返金などが行われる際、被害にあったことを証明するためにいずれにせよ必要となるためです。
被害届は、自宅近くの警察署で記入・提出を行います。まずは電話にて連絡をし、必要となるものを聞いたうえで警察署に向かいましょう。
詐欺かどうか判断できない場合には、まず
各都道府県のサイバー犯罪対策窓口に相談してもOKです。
被害届を提出する際には、大まかに以下の情報などを用意しておくイメージでいましょう。
・商品の購入画面のスクリーンショットや印刷物
・業者とのやり取りがわかるメールや振込明細書
・詐欺被害にあった日時や場所など
・詐欺に用いられた商品名や数量、金額など
・詐欺の通販サイトのURL
・振り込んだ口座名義など
情報が不足していると、被害届を受理されない可能性があるため、提出先の警察署にあらかじめ連絡し、必要な情報や証拠について確認しておくとよいです。
警察への被害届の出し方については、こちらの記事でも解説しています。
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2.お金は取り戻せる?振り込め詐欺救済法による返金までの流れ
詐欺通販サイトで相手の金融機関口座にお金を振り込んでいた場合、
振り込め詐欺救済法という制度を利用することで、お金が戻ってくる場合があります。
ここではその手続きの流れについて、より詳しくみていきましょう。
①取引停止等の措置
被害届の受理、銀行の判断、金融庁からの通達によって、
取引停止等の措置が実行されます。取引停止等の措置とは、詐欺に利用された口座を凍結することで、詐欺業者は被害金を口座から下ろせなくなります。
②債権消滅の公告
口座を使用する権利が消滅することを名義人に告知することを債権消滅の公告といいます。60日以上の期間が定められており、この間に権利行使の届出がない場合は、口座使用の権利が消滅します。
③被害金分配の手続き
被害金を受け取るために必要な手続きの案内が銀行から届きます。また、預金保険機構の
振り込め詐欺救済法に基づく公告でも被害金受け取りの手続きが開始されたかどうか確認できるため、念のため時折チェックするようにしましょう。
被害金分配の手続きの期限は、公告から30日間以上に定められます。期限内に手続きできない場合は、振り込め詐欺救済法による被害金の分配を受けられないため注意が必要です。
④被害金の分配
被害金額は、詐欺に利用された口座の残高や他の被害者の被害額などで決まります。詐欺業者は、振り込みを確認後すぐに口座から下ろす場合もあるため、満額が返金される可能性は低いとされています。
なお、詐欺に利用された口座の残高が1,000円未満の場合は、振り込め詐欺救済法による返金を受けられません。
被害金の分配の手続き後、実際に分配されるまでには90日以上かかります。これは、口座の名義人の届け出受付期間が60日以上であり、被害金の支払い申請の受付期間が30日以上になっているためです。
振り込め詐欺救済法については、下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
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3.返金に利用できる他の制度!被害回復給付金支給制度や民事訴訟を検討しよう
振り込め詐欺救済法を適用できない、期限を過ぎてしまった、口座に残高がなく被害金が分配されなかったなどの場合、被害回復給付金支給制度の利用を検討しましょう。また、弁護士に相談したうえで、民事訴訟を検討することも1つの手段です。
それぞれ、具体的な方法やメリットについて詳しくみていきましょう。
①被害回復給付金支給制度とは
- 特徴
被害回復給付金支給制度は、犯罪者からはく奪した犯罪被害財産を現金化して給付金のための資金として保管し、詐欺被害を受けた人に給付する制度です。
従来は、犯罪者が犯罪によって得た犯罪被害財産をはく奪できませんでしたが、組織犯罪処罰法が改正され、平成18年12月1日からは、詐欺や出資法違反などの組織的な犯行によって得た犯罪被害財産をはく奪できるようになりました。
犯罪被害財産をはく奪して給付資金として保管された場合に、支給手続きが開始されます。
支給対象は、その事件の被害者ですが、詳細や支給手続きの開始については、官報や検察庁のホームページに通知されるため確認が必要です。
また、検察官が該当の被害者を把握している場合は、個々に通知されます。
- 手続き方法
支給手続き開始後に、申請書に必要事項を記入し、被害額を証明する資料のコピーや詐欺にあったことを証明できるメール画面などのコピー、運転免許証のコピーなどを添付して申請期間内に検察官へ提出します。
申請書は、検察庁で入手するか、法務省のホームページからダウンロードしましょう。
給付金は、申請書に記載した被害者本人の名義の預金口座に振り込まれます。
②民事訴訟
- 特徴
民事訴訟は、裁判官の判決によって紛争解決を図る手続きのことで、被害金額が140万円以下の場合は簡易裁判所で利用できます。
140万円以上の場合は、地方裁判所が取り扱います。話し合いによって解決を図ることもでき、判決書や和解調書に従って財産の差し押さえて被害金を取り戻すことも可能です。
- 手続き
裁判所に、請求の趣旨や詐欺被害を受けた事実などを記載した訴状を提出します。
法律構成をまとめる必要もあるため、漏れがないよう注意が必要です。
訴訟が受理されれば、民事裁判が始まり、和解や判決へと進みます。
③弁護士に相談する
- 特徴
弁護士は法律の専門家で、詐欺事件の解決や被害金の返還についてアドバイスを受けられます。すぐに依頼するのではなく、まずは相談しましょう。
- メリット
振り込め詐欺救済法や被害回復給付金支給制度を適用できるか、今回の場合は何から始めればいいのかなど、状況に応じた的確なアドバイスを得られます。
また、弁護士に相談したことで、民事訴訟しても勝てる見込みがない、相手の身元が不明であるため訴訟に必要な情報が不足しているなど、様々な問題が浮き彫りになる可能性があります。
民事訴訟に踏み切る場合は、弁護士に訴状作成の代行や代理人を依頼しましょう。
訴状に記載すべき項目は複雑で、裁判所が求める全ての情報を盛り込む必要があるため、素人だと書き直しになる恐れがあります。また、代理人を依頼すれば、詐欺業者と直接やり取りする手間を省けます。
- 費用
費用は弁護士によって異なります。相談は初回無料、2回目以降は1時間5,000~10,000円などが相場です。料金だけで弁護士の質はわからないため、経歴や実績なども踏まえて弁護士を選びましょう。代理人などを依頼する場合は、裁判によって返還された金額や弁護士が定める料金によって費用が決まります。
4.まとめ
- ネット通販で詐欺にあった場合は、まず警察に被害届を提出し、決済方法に応じて銀行やカード会社に連絡しましょう。口座を早期に凍結させるためにも、早めの対応が必要です。
- 振り込め詐欺救済法が適用されれば、被害金を取り戻せる可能性があります。ただし、口座残高や他の被害者の被害金額によって返金額が決まるため、満額は取り戻せないことがほとんどです。
- 被害回復給付金支給制度の適用を受けることができれば、被害金を取り戻せる可能性があります。また、民事訴訟が有効なケースもあるなど、その時々でとるべき行動が変わります。まずは弁護士にアドバイスを求めましょう。
おわりに
インターネットの普及により、ネット通販の詐欺は身近な犯罪となっています。一見、問題のないサイトでも詐欺の通販サイトの可能性もあるため、慎重に行動したいところです。
ネット通販の詐欺にあった場合は、被害届の提出や銀行、カード会社への連絡などを速やかに済ませることが大切です。必要に応じて弁護士にアドバイスを求め、問題解決に向けて速やかに行動しましょう。