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残業代の平均は?業種別ランキングTOP15&未払い残業代の請求法

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投稿日時 2018年10月16日 19時04分
更新日時 2018年10月16日 19時04分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 自分の業界がどの程度残業代をもらっているのか気になる人

  • 残業をしているはずなのに、残業代が明らかに少ないと感じている人

  • 残業代を請求するためにはどうすればよいのか知りたい人

はじめに

払われているようで、意外と払われていない残業代。もしかすると、「毎日サービス残業で苦しい!」という人もいるかもしれません。

実際のところ、世間一般の残業代の平均額はどのくらいになるのでしょうか?

この記事では政府の統計などをもとに、業種別の残業代の平均額や、サービス残業の多さなどについてランキング形式で紹介します。

あなたがいまもらっている残業代と比べて多いのか少ないのか、チェックしてみてください。


1.いちばん残業代の多い職種は?統計から見る業種別ランキング



では、実際にどの業種がどのくらい残業代をもらっているのか、厚生労働省の統計をもとに、ランキングを見ていきましょう。

  業種 残業代
1 電気・ガス 53,361円
2 運輸業、郵便業 47,170円
3 製造業 37,471円
4 情報通信業 33,111円
5 学術研究等 27,441円
6 金融業、保険業 25,995円
7 建設業 25,652円
8 不動産・物品賃貸業 24,204円
9 その他のサービス業 23,938円
10 鉱業、採石業等 23,606円
11 飲食サービス業等 22,761円
12 医療福祉 19,467円
13 卸売業、小売業 18,933円
14 生活関連サービス等 15,980円
15 複合サービス事業 13,357円
16 教育、学習支援業 8,027円
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査 平成29年分結果確報

一位は電気やガスと言ったインフラ業界。それに続き、運送業や製造業が高い金額となっています。

一方で、教育事業や、飲食店や卸・小売業、医療福祉業といった業界の残業代は低くなっています。

しかし世間一般に、これらの業種のなかには、残業が比較的多いというイメージで知られる業界も少なくありません。このギャップはどこからくるのでしょうか?

次の章で、その理由と実態について、より詳しく紐解いていきましょう。


2.働いても残業代ゼロ…「サービス残業」の実態とその理由



残業が多い業界なのに、なぜか残業代の平均は少ない……
そのからくりには、「サービス残業」いわゆる残業代の未払いが大きく関わっています。

第一生命経済研究所が2018年2月に発表した「働き方改革下のサービス残業時間」というレポートで、各業種のサービス残業時間が試算されています。

こちらをもとに、残業代が多い業種について、ランキング形式でまとめてみました。

①サービス残業トップは?業種別・サービス残業時間TOP15

  業種 サービス残業時間(概算値)
1 教育、学習支援業 370時間/年
2 宿泊・飲食サービス業 330時間/年
3 金融業、保険業 225時間/年
4 生活関連サービス業 220時間/年
5 卸売、小売業 203時間/年
6 複合サービス事業 190時間/年
7 医療、福祉業 155時間/年
8 情報通信業 153時間/年
9 運輸業、郵便業 150時間/年
10 学術研究 143時間/年
11 製造業 110時間/年
12 建設業 107時間/年
13 電気・ガス・熱供給・水道業 106時間/年
14 不動産・物品賃貸業 93時間/年
15 その他のサービス産業 162時間/年
出典:第一生命経済研究所「働き方改革下のサービス残業時間」

残業代平均では最下位だった「教育、学習支援業」を筆頭に、飲食業や生活関連サービス業など、残業代が少ない業界の多くが上位にランクインしていることがわかります。

ではなぜ、こうした業界はサービス残業が多くなりがちなのでしょうか?

②なぜサービス残業が増える?その理由

  • 公立教師は残業代がほとんど出ないから

    教育関連業の残業代を大きく引き下げているのが、「公立の義務教育学校等の教員の給与等に関する特別措置法(給特法)」と呼ばれる法律です。

    これは、「公立の学校に勤める教員には、残業代の代わりに、基本給の4%にあたる「教職調整額」と呼ばれる手当を適用するとしたもの。
    逆にいえば、公立の学校に勤める教師は、どれだけ残業をしても基本給の4%しか残業代をもらえないと法律で定められているのです。

    学校教員は、部活動や保護者への対応、また生徒指導などの仕事をこなすため、定時どおりに仕事が終わる事はまずありません。

    結果として、残業時間は長いのに残業代は極端に少ないという、矛盾した状況が生まれてしまうのです。

  • 裁量労働制となる職種だから

    裁量労働制と言うのは、専門的な業務の性質から、仕事の出勤時間や、仕事のやり方を労働者の好きにしてよいという雇用の制度のことです。主にデザイナーやコピーライター、IT関係のシステム設計など、専門性の高い仕事によく適用されます。

    具体的には、「出勤や退勤の時間にかかわらず、一日8時間働いたとみなす」という形。仕事さえできれば早く帰ってもOKであるいっぽうで、どれだけ残業しても残業したとはみなされません。そのため人によっては、給料と残業代のバランスが見合わないという結果になってしまいがちです。

    ただし、

    ・みなし労働時間が1日8時間以上だった場合
    ・深夜時間帯(22時~5時)に働いた場合
    ・休日出勤した場合

    といったときには、裁量労働制であっても残業代を請求することができます。

  • 管理職だから

    労働基準法という法律では、「管理監督者」と定められている人には、残業代を払わなくてもよいとされています。このことを理由に、一定の役職以上の人は残業をカットされることがあります。飲食チェーン店の店長や、エリアマネージャーなどが長時間残業の割に給与が低いのは、これが原因かもしれません。

    しかし、この「管理監督者」とは、法律上「経営者とほぼ同等の立場にある人」とされ、企業経営に関われるレベルの立場でなくてはなりません。同様に、ほかの労働者と比べて賃金面でも優遇をされている必要があります。

    そのため、たとえば

    ・「部下に残業を命じる権限がない」「アルバイトなどの採用権限がない」
    ・早退や遅刻をした場合に減給などの制裁がある
    ・時間当たりの賃金が一般社員を下回る(役職手当が不十分)

    といった、管理職としての権限がない「名ばかり管理職」の場合は、残業代を請求できるケースがあります。


3.未払い残業代をもらおう!請求するための手順と方法



では、実際に残業代を請求するためには、どんな手順があるのでしょうか?
具体的に解説をしていきます。

①証拠を集める

残業代請求において最も必要かつ有力なものが「証拠」。自分が何時間働いて、何時間分の残業代を払ってもらえばよいのか。正確な数字が分からなければ、残業代の請求は難しくなってしまいます。

では一体どのようなものを「証拠」とすればよいのでしょうか?

  • タイムカード
  • 業務メールアカウントの送受信履歴
  • 帰宅時のタクシー領収書
  • 日記や業務日報(始業・終業時刻を記載したもの)
  • パソコン画面のスクリーンショットやスマホで撮影したもの
  • パソコンのログイン履歴
  • ビルの退館記録

これらの資料は、残業をした「証拠」として提示する事が可能です。

日記など、一見公的なものに思えないかもしれませんが、万一タイムカードの勤務時間の記録が会社側に処分された場合でも提示できる資料になりますので、とっておくようにしてください。

次に必要なのは、残業時間中の仕事内容を証明するものです。

  • 残業を許可する社内文書など
  • 残業に関する指示のメモ
  • 上司や取引先などと行ったメールの履歴
  • 日誌・日報など

これらは残業時間中の業務を証明するものとして、価値が高いとされています。
逆に私的なメールの送信履歴やメモの内容が不正確なものは、証拠として認められにくく、信頼性にかけるとされます。

残業を証明する証拠がなくても請求は不可能ではありませんが、認められる金額が少なくなるといった弊害が起きやすくなります。自分の手で記録を残しておく、ということが重要と言えるでしょう。

②残業代を請求する

証拠をそろえ、いざ会社側に請求をするとなれば、実際にどうすれば良いのでしょうか?
実際に未払い残業代を請求する方法は一つではありません。それぞれの支払い請求方法について、詳しく解説していきましょう。

  • 会社に請求

    会社側に請求をする場合は、メールや書面での未払い残業代の支払い請求や、社長や上司を交えて話し合いをする事で、残業代の支払い請求をする事が可能です。

    このメリットとしては、会社側が法を遵守するという意識を持っている場合、訴訟ではなく、会社と労働者側が話し合って解決出来る点にあります。

    しかし、中には会社側が対応してくれない、反応してくれないという場合ももちろんあります。その場合は、法的なアクションを起こしていくしかありません。

    また、在職中の場合はこうした交渉が会社との対立を招きますので、まずは相談ベースで話をするか、退職を視野に入れてから請求に動いたほうがよいかもしれません。

  • 労働審判

    もし、交渉や請求でうまくいかなかった場合は、「労働審判」という手段をとることができます。

    こちらは、労働問題を解決する為に用意された手続きで、一般的な訴訟よりも早期の解決が見込めるのが利点となります。


    流れとしては、まず集めた証拠を元に今までの労働条件やその問題点を具体的にまとめ、労働審判申立書というものを作成して、裁判所に提出します。その後、裁判所を交えて最大で三回の話し合い(審理)が行われ、うまく双方が納得すれば調停となります。

    労働審判は個人でもできますが、法律的な問題点を細かく指摘する必要があるため、専門家である弁護士に依頼したほうが確実でしょう。

  • 労働訴訟

    労働審判でもお互いに納得できない場合は、訴訟で争うことになります。
    労働審判は話し合いは三回と定められていましたが、訴訟は無制限です。どうしても結果が出るまで長期間かかってしまうため注意が必要です。


4.まとめ

  • 残業代が多い業種は「電気・ガス」「運輸業、郵便業」「製造業」など。激務のイメージがあるサービス業や飲食業などは残業代が少ない

  • このギャップの原因は「サービス残業」。教育業や飲食業はサービス残業が多い傾向にある。

  • 一般的に残業代が出ないとされる裁量労働制や管理職であっても、場合によっては残業代請求は可能。

おわりに

いかがでしたか?

あなたの残業代は平均より多かったでしょうか。それとも少なかったでしょうか。サービス残業はれっきとした違法行為。あなたが納得できるだけの残業代がもらえていないのなら、声をあげることも考えてみてください。


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