ヘイトスピーチ解消法施行から3年が経ち、外国人人権法連絡会など外国人差別の問題について取り組む民間団体は、参議院の院内集会「ヘイトスピーチ解消法施行から3年 改定入管法施行後の反人種差別政策に向けて」を5月29日、参議院議員会館(千代田区)で開き、政府に「ヘイトスピーチを解消するための教育活動を実質化すること」などの5つの提言を行いました。
集会では、入管法と在日外国人の問題などに取り組む弁護士の指宿昭一さんやジャーナリストの安田浩一さんらが外国人差別の問題について語りました。
安田さんはまず、「これだけは絶対に許せない」として、川崎の19人殺傷事件についてネット上で「在日コリアンの犯行だ」といったデマが流れたことを挙げました。
また、日系ブラジル人が多く住む団地で、ゴミ捨て場を毎日掃除しているブラジル人男性の例を紹介。メディアは「自分の住んでいる地域だから」と進んで掃除している「美談」に仕立てたが、本人は「少しでも汚れているとブラジル人のせいにされるから」と話していたとしました。
ゴミ捨て場の問題については、ある埼玉県の団地で、中国人同士のけんかのシーンとゴミ捨て場の問題をつなぎ合わせて放送することで、「中国人がゴミ捨て場を汚す」と印象付けたというテレビ番組の手法を紹介し、「デマは3秒で流せるが、消すには膨大な労力が必要で、ひどい場合は一生消えない痕跡を残してしまう」と訴えました。
また、指宿弁護士は、「日本には外国人の人権を守る法律がない」と説明。中国人女性が技能実習生として来日し、研修先で強姦被害に遭ったが、ブローカーに負っていた借金が返す手段がないからと逃げられなかった事件を紹介しました。
今年4月に施行された改正入管法では、「特定技能」で外国人労働者が在留資格を得られることになりましたが、家族の帯同が認められていないことなども解説。滞在も5年間に限定されていることなどから、「(改正入管法の政策は)安価な労働力を確保したいだけで、技術移転を通じた国際貢献という建前は大嘘。5年間も家族に会えないのは、重大な人権侵害だ」と指摘しました。(
牧野 佐千子)