この記事は以下の人に向けて書いています。
- 高額セミナーの効果が感じられないので返金してほしい人
- 業者に連絡したがまともに応じてくれないので法的な手段を取りたい人
- 訴訟を起こしたときの費用について知りたい人
はじめに
高額な費用を支払ってセミナーに参加したのに、事前に聞いていた内容とは全然違った……。
副業セミナーで言われた通りに行動したのに、まったく稼げなかった……。
このような高額の詐欺セミナーの返金は、残念ながら
難しいのが実状です。
「成果が出なかったのはあなたの努力不足」「規約に書いてあるから」などと言われ、こちらの交渉に取り合ってくれないケースも多くあります。
では泣き寝入りするしかないのか、というとそうではありません。
業者の違法性を指摘すれば、返金してもらう可能性を上げることができます。
この記事では返金に必要な準備や具体的な手続き、弁護士費用などをご紹介。訴訟費用の用意が難しいときのために有効な集団訴訟にも触れています。
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1.返金は準備が鍵!何をすればいい?何が必要?
高額料金のセミナーで返金してもらうためには、相手の手口が違法だと指摘しなければならないことがほとんどです。
次の準備を速やかにしましょう。
①手口や状況の整理
②証拠集め
それぞれ、詳しく解説していきます。
①手口や状況を整理する
まずは手口や状況の整理です。
セミナーに参加する前や参加後などに、相手業者が次のような行為をしていなかったかチェックしてみてください。
- 「必ず儲かる」と謳った広告で勧誘していなかったか
セミナー勧誘の広告に「1日10分の作業で誰でも月収500万」「勝率100%の投資方法」など効果を断定するような言い回しが入っている場合は違法の可能性があります。景品表示法で禁じられている誇大広告に該当するからです。
- 無料セミナーで情報商材の販売や入会勧誘がなかったか
料金がかからないことをアピールしてセミナーに誘う行為は、特定商取引法が定めるアポイントメントセールスに該当します。それだけでは問題ありませんが、無料と謳いつつ高額なコースの契約を迫ることは目的を隠した勧誘行為としてNGとなります。
- 脅されて契約されなかったか
直接脅して契約を迫ったり、「買ってくれないと困る」「断るなんてしないよね」など諭すように契約を促す行為は法律で禁じられています。
- 大幅な値引きはなかったか
「定価70万円のところ今なら15万円」など大幅な値引きでお得感を演出するとき、元値での販売実績がない場合は二重価格表示のルールに抵触しています。
- お金を無理やり下ろされなかったか
2016年に改定された特定商取引法が定める「金銭借入や預貯金の引出し等に関する禁止行為」により、断ったときに借金をさせたり、借金をさせるために長時間に渡って勧誘し続ける行為も違法となっています。
- 契約書がないまま契約させられなかったか
アポイントメントセールスでは、商品販売時や契約時に契約書を渡すことが義務付けられています。契約書がないのはもちろん、商品や販売価格など特定商取引法が定める項目をすべて記載していない契約書を渡すのもNGです。
なお記載しなければならない項目は次になります。
・商品(権利、役務)の種類
・販売価格(役務の対価)
・代金(対価)の支払い時期、方法
・商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
・契約の申込みの撤回(契約の解除)に関する事項(クーリング・オフができない部分的適用除外がある場合はその旨含む。)
・事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
・契約の締結を担当した者の氏名
・契約の締結の年月日
・商品名、商品の商標または製造業者名
・商品の型式
・商品の数量
・商品に隠れた瑕疵(一見しただけではわからない不具合)があった場合、販売業者の責任についての定めがあるときには、その内容
・契約の解除に関する定めがあるときには、その内容
・そのほか特約があるときには、その内容
(引用元:特定商取引法ガイド「(電話勧誘販売」)
- キャンセル料が高すぎないか
消費者契約法では、契約キャンセルの料金が高すぎる場合は無効になるとしています。
例えばホテルで、1か月前のキャンセル料金が宿泊代金の80%としていた場合は抵触します。1か月の間に別の宿泊客が予約する可能性があり、キャンセルしたことによる損害の影響が少ないと見なされるからです。
ただし相手によっては「このセミナーはいろんな準備が必要だ。キャンセルしたときの損害が大きい」などと主張して返金に応じてくれないケースもあります。また途中解約の場合は、それまで参加した分は返せないと主張されることがほとんどです。
具体的にいくらだと高いから返金してもらえる、という明確なルールはないので、あくまで状況をより明確にするために整理するものとしておいてください。
②証拠を揃える
状況の整理をしたら、それぞれの情報を証明する証拠を集めましょう。
業者とのメール |
業者との会話を録音したもの |
パンフレット |
契約書 |
広告や利用規約のスクリーンショット |
支払いや金融機関で借りてきたことが証明できるもの |
もちろん、これ以外にもセミナーに関わるものがあったらできるかぎり揃えてください。
2.すぐ行動が返金率を上げる!有効となりうる4つの手続き
セミナーの返金手続きは、
すぐに行動することが重要です。
悪質な業者だと証拠を消してしまったり姿をくらますこともあります。さらに
高額なセミナーへの勧誘をしてくるケースもなくはありません。
この章では、比較的返金に有効となりうる4つの方法をご紹介します。
①クーリング・オフをする
セミナーに勧誘するアポイントメントセールスは
クーリング・オフを適用できます。そのため
8日以内であれば契約の解除や返品が可能です。
次の内容を記載した通知書を作成し、相手業者に送ってクーリング・オフの旨を伝えましょう。
・契約解除通知書(タイトル)
・契約解除の旨
・契約年月日
・商品名
・金額
・返金期限
・差出人の住所・氏名
・受取人の住所・氏名 |
送る際は業者が届いていないと言い訳できないように、「送り主」「届け先」「送った日付」などが公的に証明される
内容証明を使ってください。
もしクレジットカードで申込金や購入代金を払っている場合には、
支払い金額の請求を防ぐためにカード事業者にも送りましょう。
クーリング・オフの詳しい書き方や手続きの流れは、以下でも紹介しています。
②消費者契約法に基づく取消権を使う
クーリング・オフの期間が過ぎてしまっていたら
消費者契約法に基づく取消権の利用を検討しましょう。
取消権とは、一度成立した契約を消費者側から取り消せる権利です。セミナーの勧誘時に違法行為がある場合に適用されます。
具体的には以下のとおりです。
- 断定的判断の提供
不確かな要素に対して断定することをさします。
(例)「必ず年500万は稼げる」「これからレートは必ず上がる」と言っている
- 不実の告知
消費者に対して事実と違う説明をすることです。
(例)「簡単なアンケートに答えるだけ」と言いながら実際は複雑なものばかり
- 不利益事項の不告知
消費者に対してリスクをわざと説明しないことを言います。
(例)元本割れする可能性があるのに「絶対儲かる」しか言わない
- 二重価格表示に抵触
販売実績がない価格を定価と称し、そこに割引価格を並べて表示している場合です。
(例)「元値50万円 割引価格15万円」
- 誇大広告
消費者の判断を狂わせるような大げさな表現が該当します。
(例)「誰でも」「必ず」「絶対に」という言葉が使われている
ただこれらは専門的な知識が必要なため、一度国民生活センターなどの機関に相談するのが無難です。
なお取消権は違法と
気づいてから1年以内、契約してから5年以内と期間が決められています。
③振り込め詐欺救済法を利用する
業者の悪質な手口で振り込まされてしまったときに使える制度です。
オレオレ詐欺や還付金詐欺などの救済措置として設けられているものですが、支払い方法が振込であれば契約金や購入代金も対象となります。
以下、手続きの流れです。
- 金融機関に申請
相手口座を管轄する金融機関に「詐欺の疑いがあるので凍結してほしい」と連絡します。
申請先は銀行の場合は全国銀行協会のウェブサイトにある詐欺被害者専用のホットライン、そのほかの金融機関は各ウェブサイトの相談窓口です。
- 警察に行く
最寄りの警察署に被害届の提出。
- 金融機関が口座に対して手続き
申請をすると金融機関が相手口座を審査し、凍結などの手続きを行います。その際相手口座に預金があればお金を取り戻すことができます。
ただ、必ずしも全額戻ってこなかったり時間がかかることなどのデメリットもあるので留意が必要です。下記で詳しく紹介しているので、あわせてチェックしてください。
また被害届を提出するときに気をつけたいポイントは、下記で紹介しています。
④国民生活センターに連絡
各地方公共団体が設ける窓口です。事業者との契約をはじめ、生活の中で起きるトラブルに対して専門の相談員がサポートしてくれます。
※つながらない場合は「平日バックアップ相談」を利用してみてください。
電話番号 |
03-3446-1623 |
受付時間 |
平日10~12時 13~16時 |
3.訴訟は最終手段?弁護士依頼のときに注意したいポイント
高額セミナーの返金には、さまざまな手段が用意されています。
しかしいずれの方法をとっても全額返金に結びつきにくいのが現状。特に詐欺の疑いがある業者だと、交渉は難航しがちです。
そんなときは
弁護士に相談をするのもひとつの手。この章では
弁護士費用や
依頼の際に注意したいポイントをご紹介します。
①弁護士に相談
- 弁護士費用の相場
一般的に弁護士に相談した場合の費用は次のとおりです。
相談料 |
1時間1万円程度 |
着手金 |
10万円程度 |
報酬金 |
返金された金額の10~20%程度 |
こちらはもちろんあくまで参考程度にしか過ぎません。
弁護士によっては相談料があらかじめ着手金の中に含まれていたり、着手金を無料としている代わりに報酬金の割合を高くしている人もいます。
- まずは交渉してもらう
弁護士に相談する場合、まずは業者との交渉を依頼しましょう。弁護士が話に加わることで業者がプレッシャーを感じ、すんなり応じてくれることもあります。
それでも話が進まないのであれば、提訴して損害賠償請求をすることも視野に。
ただ民事訴訟の場合となれば、弁護士をさらに拘束することになるので費用もかさんでいきます。場合によっては返金額を上回る可能性もあるので、弁護士と相談しながら慎重に判断することが大切です。
- 詐欺の二次被害に気をつける
弁護士を探す場合は、弁護士を装って詐欺を働く業者に注意してください。
日弁連のウェブサイトでは、本物の弁護士かすぐに確認できます。また検索で出てきた住所と、その弁護士の所属事務所の住所が一致するかも確かめると一層安心です。
②集団訴訟を起こす
「業者との交渉がうまくいかない、でも弁護士費用も用意できない」
そんなときは
集団訴訟を検討してみてください。
これは、同じ業者から類似の手口でお金を支払ってしまった人たちと一緒に返金を要求する方法です。弁護士費用を仲間で分けて支払うことで、負担を軽くできる場合があります。
下記も合わせて参考にしてください。
またセミナーの業者が悪質な場合だと、より多くの人からお金を騙し取るために定期的にセミナーを開催している可能性もあります。
すでに、集団訴訟プラットフォームenjinにプロジェクトが立ち上がっている可能性もあるので、enjinのTwitterをフォローしたり
プロジェクト一覧からチェックしてみてください。
4.まとめ
- 高額セミナーの返金ではまず手口や状況の整理、証拠集めをすることが重要
- 8日以内ならクーリング・オフ、それより経ってしまったら各専門機関に連絡を。
- 訴訟はあくまで最終手段。費用面で悩んでいたら集団訴訟も視野に入れてみよう。
おわりに
セミナーを開催する業者の中には、こちらの返金交渉に対して強気に出てくるケースも少なくありません。
しかしそこでヒートアップしてしまっては、交渉は難しくなるばかりです。冷静な対応を心がけていきましょう。