今年4月に、とある中小企業メーカーの営業職として働き始めた新卒つゆき君(仮名)。
会社で残業代が出ないことを疑問に感じ、労基署に通報に行く経緯を、詳細に個人のブログで紹介して話題になっています。
「営業手当が出るから残業代が出ないなんておかしい」、「1時間残業したはずなのに、残業代が30分だけになっている」ー。彼が問題と感じている“被害”は、会社という組織で働く会社員であれば、疑問に思ったとしても「小さなこと」として多くの人が見過ごしてしまっているもの。
「自分の行動で職場の環境が、社会が少しでもよくなると信じて」行動する彼について、あなたはどう感じますか? ご本人に話を伺ってきました。(取材 / 文・牧野 佐千子)
ー会社ではどのようなことを?今現在、残業はどのくらいやっているのですか?
メーカーの営業職で、今年4月に入社しました。入社した日に、先輩に「忙しいときは月に60時間残業していたし、営業手当がでたら残業代がでなくなる」という話を聞いて、その夜は「自分の人生終わった」くらいに思いました。今は3か月の「試用期間」中なので、営業手当がついておらず、残業はしていません。
ー3か月後に営業手当が出たら、残業が始まるということ?
まだ入って一か月くらいなので、正直なところチームの動きやこれからどのような残業をすることになるのかわかりません。でも、就業規則をよく読んでみると、営業手当が残業何時間か書いていなかったので、これでは何時間残業してもこの手当てに含まれてしまうなと、疑問に思いました。
しかも、会社の労務担当の人に、「入社3か月後は、タイムカードの退勤は切らなくていいからね」と言われたんですよ。ほかの人のタイムカードを見てみても、みなさん退勤を切っていない。なんでみんな抗議しないのかなと。
(参照:
enjinコラム「みなし残業とは?メリット・デメリットと違法かどうかの判断基準3つ」)
ーそこで労基署に通報してみたわけですね。
はい。でもまずは、僕が被害をまだ受けていない状態なので、未払いが発生してから来てと言われました。身の回りの人に被害が出ているのに。でもタイムカードを打刻しないのはアウト、とのことでした。
(詳しい経緯はこちら→
ブログ「入社1週目で労基に通報してから2回目の通報に行ってきた」)
ー実際の被害が出ないと動けないというのは、警察もそういう時がありますね。被害が出てからでは遅いのに。
それである日、1時間残業をすることになったのですが、給料明細ではその分が0.5時間になっていたのです。これは決定的な証拠だ!と思って、PCのログイン履歴や明細などの証拠を持って労基署に行きました。そこで、
1、名前を出して申し立てを行う。これによって一週間以内に会社に立ち入り調査が出来る
2、匿名で情報提供という形に収める。しかし、監督署任せになるので、いつ調査があるのか、調査の結果どうなったのかが分からない
の2通りの手段があると教えてもらいました。
ーこれからどうするのですか?
名前を出して申し立てをすることにします。労基署が具体的に動いて、みんなが働きやすい環境になればと思うので。でも、まだ試用期間中なので、名前を出して申し立てて、本採用してもらえなかったらどうしようという不安があります。今の会社では、できるだけ長く働いていたいという気持ちはあるので。
いずれにしても、おかしいものはおかしい、と声を上げていくことは大事だと思うので、引き続き取り組んでいきたいと思います。
ー3か月後にどうなっているか、またお話を聞かせてください。
(続編につづく…)
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