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就活セクハラに遭わないために。 キャリアコンサルタント 上田晶美さんに聞く

投稿日時 2019年05月13日 10時31分
更新日時 2019年05月13日 10時31分
就職活動中の女子学生がOB訪問などで知り合った男性社員から受ける「就活セクハラ」。「この会社に就職したい」「拒否すると就職に影響があるのでは」という学生の思いや弱い立場につけこんで行われる卑劣な行為です。OB訪問の後に自宅やホテルに誘われて性的被害に遭う、泊まり込みのインターンシップの際に飲酒を強要されて体を触られるなど、様々な事例があります。

就活セクハラの被害を防ぐための防止策などについて、これまで学生たちの就職個人相談や大学でのセミナーを行ってきたキャリアコンサルタントの上田晶美さんにお聞きしました。(取材 / 構成牧野 佐千子



就活セクハラにはどのようなケースがありますか?

事件化したものでは、昨年2月、大手ゼネコンの社員が就活中の女子学生を自宅マンションに連れ込んでわいせつ行為をしたとして警視庁に逮捕された事件がありました。3月には、大手商社の社員が女子学生に酒を飲ませて暴行したとして懲戒解雇、のち逮捕されています。

就活セクハラがここ数年特に増えているのはなぜでしょう?

ひとつはスマートフォンの「OB訪問アプリ」の登場です。手軽に訪問先を探せるようになり、相手も本当にその会社の社員なのかわからない。私もダウンロードしてみたのですが、いろんなひとが会社名や経歴など書き込んでいて、何が本当なのか、見極めるのがとても難しいと思います。

(アプリの画面を見て)出会い系アプリと変わらないですね。

でしょ。出会い系のような感覚で利用している大人も混ざっていて、大手企業の名前を出されたりすると学生は信じてしまうんですよ。「就活公式2019」というSNSのアカウントの情報を「なくてはならない情報」として信じていたりね。なんの公式よ?って思うけど。

「人事公認」とか「株式会社〇〇公式」とか書かれていると、チェックしておかなきゃと思う学生は多そうです。

そんなの勝手に作れちゃうから、安易に信じないでと言いたい。アプリの機能で「企業公認」というマークがついたりするけど、それもどこまで保証されているか考えないと。「自分は人事権限がある」とか、「断ると同じ大学のほかの学生にも迷惑がかかる」とか、いろいろ言ってきても、すぐに信じてはいけません。

そもそも学生がOB訪問をしなくてはと思ってしまうのはなぜでしょう。必ずしなくてはいけないものではないですが…。

OB訪問は時代とともに形を変えてきました。過去には就活の第1ステップのような位置づけの時代もありました。1984年、私が会社員2年目だったころ、その会社のリクルーターとして活動しました。人事から「この学生に連絡を取って、近くの喫茶店で仕事の話をしてほしい」と。面談内容と評価を報告書として喫茶店の領収書と一緒に人事に提出していました。実際にそれを経て入社してきた後輩も多かった。

その後、OB訪問が就職協定解禁前の「青田買い」だった時代もあります。説明会を公然とは開けない時期に学生とコンタクトを取って、優秀な学生を早めに面接ルートに乗せるという役割です。2005年の個人情報保護法をきっかけに、大学側が卒業生の名簿を公開できなくなったため、OB訪問はぐんと減っていきました。いまはインターンシップがそれに代わるものとなっていますね。

就活セクハラに遭わないための対策はありますか?

女子学生は、その会社内での働き方や待遇などリアルな側面を聞きたいのなら、女性の若手社員を訪問するのが良いですよ。でも現状では、会社内で活躍している女性たちは数が少ないうえに、仕事や育児でとても忙しい。なかなか学生と会うために時間を割けないのは事実ですね。

女子学生が男性社員に話を聞きに行く場合、まず、アプリに頼らずに大学のサークルのつながりなど信頼できる人づてに会うということ。そして、昼間の時間帯に、カフェなど、人目の多いところで会うこと。お酒が出る場所や、個室のあるお店などは避けたほうが良いです。

会う時間や場所などは、相手に合わせなくてはと思ってしまいますが、被害に遭わない最低限のことはできる範囲で気を付けておきたいですね。

企業側の社員教育も必要ですね。社内のセクハラはもちろんいけませんが、就活生も同じ。そのうえでもし被害に遭ってしまったら、「あなたにも落ち度があった」と責められる場合もあるので、身近な信頼できる人に話してくださいね。

就活生が、安心してやりたいことを実現できる場所を探せる環境になるように、大人も一緒に考えていかなくてはいけませんね。


ありがとうございました。

ハナマルキャリア総合研究所 代表 上田晶美さん
1994年より日本初のキャリアコンサルタントとして活動
2011年より財団法人 女性労働協会理事
2012年より、株式会社ハナマルキャリア総合研究所 代表取締役


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