「訴えたい!」と思ったら…整理すべき3つのこと&弁護士の依頼方法2

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投稿日時 2019年05月10日 18時13分
更新日時 2019年09月18日 16時05分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 相手を訴えたいときには何から始めればいいのか知りたい人

  • 訴えるときの具体的な費用について知りたい人

  • 訴えるのが難しいときの解決策があれば教えてほしい人

はじめに

詐欺、悪質商法、パワハラ、離婚、交通事故……。

日々の生活の中で発生するさまざまなトラブル。

もし相手を「訴えたい!」と思ったとき、どんなものや手順が必要になるのでしょうか。

そこでこの記事では、相手を訴える前に整理しておきたい事や、実際に相手を訴えるときに必要な準備・費用など、様々な項目について解説していきます。

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どんな被害がありましたか?

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1.「相手を訴えたい…!」そう思ったらまず考えるべきこと3つ



相手を訴える…といったとき、多くの場合は相手から受けた被害をお金に換算して請求する「損害賠償請求」を行っていく形となります。

そのためにまず重要となってくるのが、事実関係の整理。

①どんな被害を受けたのか?
②誰から被害を受けたのか?
③相手にどんなことを要求したいのか?

という3つのポイントから、どのように物事を整理すべきか解説していきましょう。


①どんな被害を受けたのか?

まずは、受けた被害の内容について整理しましょう。

詐欺、悪質商法、騒音問題、離婚、サービス残業…。

トラブルや受けた被害にはそれこそ無数に種類がありますが、相手を「訴える」場合に主に重要となるのは、以下の2つの損害を受けたかどうかです。
  • 財産への損害
  • 精神的な損害


たとえば、物を壊されたり、貸したお金を返してもらえなかったケースや、残業代が支払われなかったケース、事故で怪我をしたケースなどの物質的・金銭的な被害は、財産の損害にあたります。

一方で、パワハラ・セクハラ、名誉毀損などによって受けた苦痛は、精神的な損害とみなされます。よく慰謝料と呼ばれるのは、この精神的な損害を金額に換算したものです。

そのほか例外として、離婚した場合の養育費財産分与なども相手に請求することができます。

<被害の一例まとめ>


被害の種類
詐欺・悪質商法 ・投資信託で預けていたお金を突然持ち逃げされてしまった
・購入した商品が、事前に聞いていたものとまったく違っていた
・出会い系のサクラにだまされ、お金を大量に使ってしまった
労働問題 ・職場で暴言を吐かれたり、暴力を受けたりした
・上司から性的な関係を求められ、断ったら評価が下がった
・長時間残業をしているにも関わらず、残業代が支払われなかった
ショッピングにまつわるトラブル ・注文した商品に不良があったが、問い合わせても返事がない
・ネットショップからブランド品によく似た偽物が届き、返金を求めたが対処してくれない
医療ミス ・歯の治療を依頼したが、悪化した
・美容整形で後遺症が出た
離婚 相手の不倫が原因で離婚となり、精神的な苦痛を受けた
交通事故 事故により怪我をしてしまい、治療費が必要になった
名誉毀損 ネットに書き込まれた誹謗中傷により、仕事などに影響が出た

もちろん、これらはほんの一部にすぎません。

いずれにしても、相手に請求する金額などは、事実に基づいて判断されます。

そのためまずは、「いつ」「どこで」「誰に」「何を」「なぜ」「どのように」被害を受けたのかを、きちんと整理しておくようにしましょう。


②誰を訴えるのか?

事実の整理の中で特に重要なのが、被害を受けた「相手」です。

たとえば労働問題などの場合、訴える相手は会社となります。離婚や交通事故などの場合も、多くは相手の素性がわかっているため問題はないでしょう。

しかし、詐欺などの場合は相手の素性がわかるかどうかが問題となります。特に重要なのが相手の住所。裁判が起きたことを相手に知らせる住所が不明である場合、原則として訴訟をすることができません。

近年のSNSなどを通じた詐欺では、相手の住所が不明であることがほとんど。そんな場合はまず、相手の素性を突き止めることが必要となってきます。

③訴訟以外に解決できる方法はないか?

訴訟を起こすことは相手に賠償させる方法として有効ですが、費用や手間、時間がかかります。

あくまで最終手段と考え、ほかの方法で解決できないか、もう一度考えてみましょう。

相手を訴える以外にも、たとえば下記の公的機関を利用し、訴訟以外の方法で解決を目指すのもひとつの方法です。

  • 国民生活センターADR(裁判外紛争解決手続)

    消費生活で起きた消費者と事業者の紛争に対し、専門知識を持つ人物で構成された国民生活センター紛争委員会が間に入って対応をしてくれます。


    電話番号 03-5475-1979
    受付時間 平日10時~12時 13時~16時


  • 紛争調整委員会

    労働問題に強い機関です。パワハラやセクハラをしてきた上司や同僚の間に労働問題の専門家が入り、トラブル解決を目指します。

    利用するときは、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)最寄りの総合労働相談コーナーに申請してください。


2.やっぱり弁護士が無難?必要な情報と費用



相手を訴える場合、当然ながら被害を立証するために、法律に関する専門知識が必要になります。

そのため、まずは専門知識を持っている弁護士に依頼するのがベター

この章では弁護士にお願いするメリットや依頼するときに必要な情報、費用を解説します。

①弁護士に依頼するメリット

  • 裁判で不利になりにくい

    弁護士であれば法的根拠に基づき、きちんと主張をしてくれます。また相手の主張が妥当なのか、どのように対処するのが一番効率がいいか速やかに判断できるのも強みです。


  • 手間が省ける

    訴訟では訴状をはじめとする書類や、相手の行為と被害を結びつける証拠などが必要。依頼をすれば自分で作成したり揃える手間を省くことできます。相手との交渉にかかる時間や心理的な負担を減らせるのもメリットです。


  • 相手にプレッシャーをかけられる

    弁護士を立てて訴える姿勢を見せることで、相手が支払い・返金に応じるケースもあります。

②揃えておきたい情報の種類と注意点

弁護士への依頼にはさまざまなメリットがありますが、こちらで何もしなくていいわけではありません。下記の情報を揃えたり整理をしておきましょう。

  • 揃えておきたい情報

    情報の種類 補足
    相手の名前 法人の場合は代表者名が必要
    外国人は通名と実名が必要
    相手の所在地 法人の場合は登記簿に記載されている住所
    ※登録住所と住んでいるところが異なる場合は登録住所
    個人の場合は住民票登録住所
    ※登録住所と住んでいるところが異なる場合は居所
    相手が実在していることがわかる書類 登記簿謄本、附票付きの戸籍謄本、住民票、外国人登録証など


  • 整理しておきたい情報

    情報の種類 補足
    発生日時 西暦表記が望ましい。詳細が不明なら大体の日時でもOK。
    経緯 「誰と誰が」「どこで」「どのような方法で」「どのようなやり取りをしたのか」主観を交えず客観的な文章で整理しておく。特に金額や量などの数字は具体的に記載する。
    証拠 メールや録音データ、契約書や受け取った書類など。上述の経緯に沿って揃えるのが望ましい。例えば「被害によって治療を受け、○○円かかった」としたら、病院の領収書を証拠として用意する。

③弁護士にかかる費用

最後に弁護士にかかる費用の相場をご紹介します。

  • 相談料…1時間1万円程度

    トラブルの内容を法律的な観点から解説、アドバイスしてもらうときにかかる料金です。


  • 着手金…10万円以上

    弁護士に依頼する際に発生する前払いの費用です。依頼内容や請求金額によって変動します。


  • 報酬金…20~100万円程度

    トラブルが解決したときに支払う費用で、相手が支払った金額の○%という形で発生。割合が金額によって変わることもあるので、20~100万円と大きな幅があります。


  • 実費

    裁判所までの交通費や書類の郵送代など、解決のために行った手続きなどで発生した費用です。


  • 日当…1日10万円程度

    弁護士が事務所から離れている時間に対して発生する費用です。主に弁護士が裁判所に行くときなどに発生し、「1日分」「半日分」といった形で計算されます。


  • 事前に確認しよう

    弁護士によっては、初回相談料が無料だったり実費や日当が着手金にあらかじめ含まれている場合もあります。どのような料金形態なのか、追加料金は発生するのかなど事前によく聞くようにしてください。

    下記では、トラブル別に詳しく相場を紹介しています。


3.訴えることが難しい……そんなときは集団訴訟を



もし相手の素性がわからない場合、残念ながら裁判を起こすこと自体が難しいのが実状です。

しかし同じ相手から同じ被害を受けた人と一緒に訴訟を起こす集団訴訟を使えば、相手を訴えられる可能性があります。

弁護士費用の用意が難しい人でも、この方法であれば金銭的な負担を減らせることも。

以下に集団訴訟のメリットやデメリットをご紹介します。

①集団訴訟のメリット

  • 個々の負担を減らせる

    個人で弁護士を雇って訴訟を起こした場合、トラブルの内容にもよりますが最低でも20万円以上かかります。被害金額によっては赤字になる可能性もゼロではありません。

    集団訴訟の場合、この費用を全員でまかなうことで個人の負担を減らすことが可能。場合によっては無料で参加できるケースもあります。


  • 証拠を共有できる

    集団訴訟では、別の被害者が提出した証拠を、ほかの被害者全員に共通するものとできる場合があります。

    相手の素性がわからない場合であっても、他の人と一緒に証拠をそろえることで、被害を取り戻せる可能性があります。


  • 相手に大きなプレッシャーをかけられる

    被害者が多く集まると世間からの反響が大きくなったり、メディアに取り上げられることもあります。個人で詐欺を働いている人や企業にとっては、特に大きなプレッシャーを与えられるでしょう。

②デメリットはあるの?

仲間を集めて裁判を起こす集団訴訟には、さまざまなメリットがあります。

しかし多くの被害者が集まれば、それだけ証拠の信憑性の確認や被害者同士の意見調整をする時間が必要。通常の裁判が数ヶ月~1年で終わるのに対し、3~5年以上と長引きやすいのがデメリットです。

また長引くことで意見の食い違いがおきたり、訴訟の継続に前向きになれない人が現れ、さらに時間を要する可能性もあります。


これらのメリット・デメリットを踏まえたうえで、集団訴訟を検討してみてください。


4.まとめ

  • 相手を訴えるときは被害の種類や相手の素性などを整理しておこう。

  • 訴訟は弁護士に依頼するのがベター。料金形態や追加料金など事前に確認を。

  • 相手の住所がわからない、お金がない。そんなときは集団訴訟で仲間を集めてみよう。

おわりに


「訴えたい!」と思っても、実際に行動に移すには準備が必要です。
まずはいったん冷静になり、「どんな被害を受けたのか」「訴えることでどうしたいのか」を整理してみてください。

この記事が、あなたが受けた被害を取り戻すきっかけとなれば幸いです。


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