「刑事告訴」の方法って?告訴状を受理してもらうためのポイント3つ

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投稿日時 2019年04月25日 18時40分
更新日時 2019年04月25日 18時40分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 犯罪被害にあった人

  • 加害者を法的に罰してほしい人

  • 刑事告訴の方法や意味を知りたい人

はじめに

警察に捜査してもらいたい……。

そう思ったときに利用する方法が「刑事告訴」です。

しかし、いったいどのような効果があるのか、どのように行うのか知らない人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、刑事告訴を行う意味ややり方、告訴を認めてもらう可能性を上げる方法などについて紹介していきます。

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1.刑事告訴をしたいときは?その方法と効果のポイント4つ



①刑事告訴は加害者への捜査・罰則を求めるときに行う

刑事告訴は被害者自身が警察に「告訴状」という書類を提出し、捜査を依頼する方法です。

刑事告訴とよく混同されがちなものとして、「告発」「被害届」などがありますが、それぞれまったくちがうもの。以下、それぞれの特徴をまとめました。

種類 犯人への処罰要求の有無 行う人
刑事告訴(告訴) 処罰を求める 主に被害者が行う。特に、親告罪の場合は告訴する必要がある
告発 処罰を求める 被害者以外の第三者が行う
被害届 被害申告に留まる 主に被害者が行う

警察が告訴状を受理すると必ず捜査を行うため、加害者に法的な罰則をつけてほしいときに刑事告訴を行います。

ただし、刑事告訴を行い加害者が逮捕されたとしても、損害賠償金を支払ってもらえるわけではありません。

たとえば、騙し取られたお金を返してほしいときは、自分で加害者と交渉する、民事訴訟を起こすなど、自ら行動を起こす必要があります。

  • 嘘の内容は虚偽告訴罪に問われることも

    刑事告訴は確実に警察が動いてくれる方法ですが、その利点を悪用する人もいます。

    たとえば、痴漢冤罪がその典型。嫌いな相手への嫌がらせや示談金目的で犯罪をでっちあげるようなケースです。

    2008年に大阪で起きた痴漢冤罪事件 では、男子学生が交際相手の女性と共謀して痴漢をでっちあげました。

    示談金を目的に犯行が行われましたが、女性が自首したため、虚偽告訴と判明。痴漢冤罪を仕組んだ男子学生は懲役5年6ヶ月、女性は懲役3年執行猶予5年の判決が確定しています。

②告訴状作成には詳細情報が必要

警察に提出する告訴状には、事件の概要や加害者情報など、さまざまな情報を記載する必要があります。

・作成年月日
・提出先(署長名)
・告訴人(自分)の住所、氏名、連絡先
・被告訴人の住所、氏名等(不明の場合、加害者を特定しやすい情報をできるだけ書く)
・告訴の趣旨(何罪に当たるのか、など)
・告訴事実(犯行日時、状況、場所などの概要)
・告訴に至る経緯(どういった経緯でトラブルが起き、結果としてどのような不利益を被ったのか)
・証拠(保有している証拠について記載)
・添付資料(証拠資料などについての記載。たとえば診断書や写真など)

基本的に、警察は確実に相手が特定できている、もしくは捜査をすれば有罪にできると判断できる情報がある告訴状を重視するため、こういった詳細情報がないとなかなか受理してくれません。

③管轄の警察署に告訴状を提出する

告訴状を作成したら、管轄の警察署へ告訴状を提出しましょう。

管轄とはその地域を担当している警察署のことで、告訴状を受理した警察署が捜査を担当します。

基本的には、以下の3カ所のいずれかを管轄する警察署に告訴状を提出しましょう。

・実際の被害現場
・被害者の居住地
・加害者の居住地

管轄ではない警察署では事件を捜査しづらいため、告訴状を受理してもらえません。必ず、管轄の警察署に告訴状を提出してください。

④告訴状が受理されると捜査が開始される

告訴状が受理されると、捜査が開始されます。

捜査開始後の流れとしては、加害者を特定し取り調べ・逮捕、起訴・不起訴を決定する……というもの。

このとき注意が必要なのは、すぐに捜査が開始されるわけではないということです。

「全然警察が動いてくれない!」と思うかもしれませんが、警察は多くの事件を抱えているため、告訴状を受理してすぐに動くわけではありません。

ただし、告訴状を受理すれば捜査義務と捜査結果(起訴・不起訴)を告訴人(被害者)に伝える義務が発生するので、確実に捜査は行われます。警察からの連絡を待ちましょう。


2.なんで受理してもらえないの?受理の可能性を上げる方法は?



本来、警察には告訴状を受理する義務がある(犯罪捜査規範63条)のですが、告訴状を受理すると捜査して起訴・不起訴を確定し、告訴人(被害者)に結果を伝える義務が発生するため、様々な理由を付けて受理しないことがあります。

そうしたときに考えられる不受理理由やその解決方法を見ていきましょう。

①なぜ受理されないの?

管轄の警察署に告訴状を提出しても、受理してもらえないことがあります。

不受理の理由としては、以下のような状況が考えられるので、確認してみましょう。

・加害者の情報が少ないため、犯人特定が難しい
・告訴状の内容から、えん罪の可能性が考えられる
・告訴状の内容だけでは警察が扱う刑事事件と判断できない

告訴状の情報が足りない場合は、もっと細かく記載すれば受理してもらえる可能性がありますが、一人では解決できない理由であるケースも考えられます。

その場合は弁護士に依頼してみましょう。

②確実に受理してほしいときは弁護士に依頼

弁護士は受理してもらいやすい告訴状の書き方を知っているため、弁護士に告訴状の文章を作成してもらうと受理してもらえる可能性が高まります。

また告訴状を作成してもらうだけでなく、警察署へ告訴状を提出するときに同行してもらい、弁護士から法的な問題点を説明してもらえることも。

個人で告訴するより、スムーズに受理してもらえる可能性があります。

また、インターネットを使った犯罪の場合、被害者個人で犯人を特定することは難しいのですが、弁護士には「弁護士会照会」という手段を使い、加害者の特定に動くことができます。

加害者を特定できれば告訴状を受理してもらいやすくなるはずです。

③不受理が納得できないときは苦情申出

どうしても受理してもらえない場合は、専門の部署に苦情を申し立てることができます。

苦情先は監察官か公安委員会の2つです。

監察官 各都道府県の警察本部にある監察官室へ連絡。
告訴状を提出したい都道府県の警察本部HPを確認。
公安委員会 連絡先一覧はこちら

苦情を伝えるときは、告訴状の受付をした警察官の名前も一緒に伝えましょう。

告訴状を受理してもらえなかったときに、「あなたの名前と所属を教えてください」と直接尋ねるか、警察手帳を見せてもらい、個人識別番号を確認することで、警察官個人を特定できます。

何もやましいことがなければ、素直に教えてくれるはずです。

また、名前を聞けば、「もしかしたら苦情を言われるのかも……」と警察官が察し、告訴状を受理してくれるケースもあるかもしれません。

④補足:刑事告訴まではしなくても…はNG?刑事告訴のメリット

「被害届を出せば十分では……?」と思う人もいるかもしれませんが、刑事告訴は加害者側との交渉でも使うことができます。

たとえば、返金を求めて加害者と交渉するとき、「交渉に応じてくれなければ、刑事告訴するしかない」などといって刑事告訴をしないことを条件に支払いを求める(和解する)ことも可能です。

また刑事告訴をしておけば、民事訴訟を起こして損害賠償請求を行うときに、「警察でも捜査が行われ、不法行為があったと判断されている」と主張することもできます。

このように、刑事告訴は加害者に罰則をつけることを求めるだけでなく、返金・損害賠償を求めるときにも役立つ方法なのです。

犯罪被害にあったら考慮するべき行動のひとつに入れておきましょう。


3.被害者仲間で一致団結!集団で告訴するメリットQ&A



①なぜ集団化するの?

先ほどもお伝えした通り、警察はえん罪の可能性があるものや情報が少ない告訴状は受理したがりません。

受理してもらうためには、確実に加害者が犯行を行った証拠が必要なのですが、自分ひとりだけではその証拠を用意できないケースもあるでしょう。

しかし、同じ加害者から同様の被害を受けた被害者仲間が、確実な証拠を持っているかもしれません。

そのようなときに協力して告訴状を作成すれば、警察にも動いてもらいやすいはずです。

また、少額の詐欺事件の場合、「少ない金額だし、刑事告訴まではしなくてもいいのでは?」と警察官に思われる可能性があります。

たとえ1件1件の金額が少なくても、被害者がたくさんいれば総金額は跳ね上がり、さらに加害者の犯行の常習性を示すことも可能です。

このように、情報・証拠が乏しかったり、一見すると軽度な被害に見えるケースで集団化すると、告訴状を受理してもらいやすくなります。

また、告訴状の作成を弁護士に依頼した場合、発生する弁護士費用は被害者仲間で分割される形になるはずです。

通常よりも費用を抑えることができるでしょう。

②どういった被害だと集団化した方がいいの?

先ほどお伝えした通り、「詐欺事件」は特に集団化したほうがよい案件です。

詐欺の場合、「相手が故意に詐欺を行った」ことを立証しなくてはなりません。故意を立証できなければ、個人間のトラブル(民事事件)として判断され、警察が動く刑事事件ではないと判断されてしまいます。

こうした「故意」の立証では、複数の被害者が協力し、常習的に詐欺を行っていたことを示す方法が有用なのです。


4.まとめ

  • 刑事告訴は、被害者自身が警察に「告訴状」を提出し、犯罪被害の報告とともに捜査を依頼する方法。警察は告訴状を受理すると、捜査し、結果を被害者に伝える義務が発生する。

  • 告訴状を受理してもらえないときは、弁護士に作成を依頼したり、監察官や公安委員会に苦情申立を行う。

  • 加害者を特定する情報が乏しかったり犯罪を立証する証拠がなかった場合は、被害者仲間を集めて集団で告訴するとよい。

おわりに

刑事告訴は警察に捜査を依頼する方法です。

弁護士に依頼したり、被害者仲間と協力したりして、告訴状を提出・受理してもらいましょう。


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