結婚詐欺師に慰謝料請求!必要な証拠と裁判を起こすための2ステップ

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投稿日時 2019年04月24日 14時32分
更新日時 2019年09月18日 11時45分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 結婚詐欺をした加害者に慰謝料の請求をしたい人

  • 慰謝料がどのくらいになるのか知りたい人

  • 相手が行方をくらましてしまったけどどうしても訴えたい人

はじめに

「借金を完済したら結婚できる」

…そんな言葉をささやいて恋人からお金を受け取り、そのまま行方をくらませる結婚詐欺。精神的にも大きなダメージを受けるだけでなく、被害が立証しづらい点も大きな問題となっています。

ただし結婚詐欺の場合、詐欺だと証明できない場合であっても、「婚約を破棄された」として慰謝料を請求できる可能性があります。

この記事では、結婚詐欺の加害者に慰謝料を請求するための方法や必要な証拠などについて詳しく解説していきます。

「あの被害、どうしても訴えたい」という方は、参考にしてみてください。

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1.訴えられるのは「詐欺」or「婚約破棄」の2パターン。それぞれの証明に必要な証拠は?



「慰謝料」とは、相手から受けた精神的なダメージをお金に換算したもの。

ただし、どんな場合にも慰謝料が認められるわけではありません。

・法律で定められた権利や利益を相手が侵害した(不法行為)
・相手が法律にもとづいた契約を守らなかった(債務不履行)

という場合に限り、請求することができます。

たとえば「一方的に別れを告げられて傷ついた」という理由だけで慰謝料を請求しようとしても、認められる可能性は低いと言えるでしょう。恋愛はお互いの自由な意思でするものであり、法律で縛ることはできないからです。

そのため慰謝料の支払いが認められるためには

「相手の行為によって、法律の定める自分の権利が侵害された」
「相手が法律上の契約をしたにも関わらず、義務を守らなかった」

という事実を証明できなければなりません。

結婚詐欺の場合、大まかに下記2つがこれに当てはまる可能性があります。

①「婚約破棄」
②「詐欺」

それぞれどんなものが証拠として必要となるのか、詳しく解説していきましょう。

①婚約破棄を証明するために必要なもの

恋愛と違い、結婚は法で定められた制度であるため、法律上の権利が発生します。

そのひとつが婚約。「結婚するという約束」をしていたにもかかわらず、一方的にその約束を破った場合、相手が契約を守らなかったとして、慰謝料損害賠償を請求できます。

そのためにはまず、「婚約していたという事実」を証明しなければなりません。

具体的には、以下のような証拠を集めましょう。

婚約指輪
ブライダルサロンへの登録
式場の見学・予約
家族や友人への紹介
結婚をほのめかす会話の録音データやメール

次に必要となるのは、「婚約破棄が正当なものではなかった」と証明する証拠です。

たとえば婚約破棄の理由として

・浮気をした
・大きな借金を負った
・暴力をふるってきた

といったものがあった場合、正当な理由による婚約破棄だとして、契約違反とは認められないことがあります。こうした事実がなかったことを証明する証拠も用意しておきましょう。

むしろ相手側にこうした事実があって自分から婚約破棄をした場合、「婚約破棄をさせる状況を相手が作った」として、損害賠償や慰謝料を求められる場合もあります。

②詐欺であることを証明するために必要なもの

もうひとつの条件である「詐欺であること」の証明ですが、この証明は非常に難しいものだとされています。

もっとも大きな壁となるのは「相手に最初からだます意図があった」ことの証明。

「本当に結婚しようと思っていたけど気が変わった」
「お金を要求した覚えはなく、向こうが自分の意思でくれたもの」
「将来的にきちんと返すつもりだった」

などといった言い訳を否定できる、客観的な証拠を用意しなければなりません。

これらを集めるのは困難ですが、たとえば

相手に妻子や婚約者がいたことを示すもの
結婚相談所のプロフィールで嘘をついていたことを示すもの
本人が最初からだますつもりだったとする発言やメールの文面
金銭を要求する理由(借金など)が嘘であることを示すもの

が証拠となる可能性があります。

しかし結婚詐欺においてお金の貸し借りや将来の約束は口約束でしかなく、証明しづらいこともまた事実。

その場合、集団訴訟を利用することで、詐欺の証明につながるかもしれません。同じ相手から被害を受けた人がほかにも多数いるのなら、最初から騙すつもりだったとみなせる可能性があるからです。

集団訴訟については、こちらの記事もご覧ください。

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2.あわせておさえておきたい!こんな証拠



これまで、結婚詐欺での慰謝料請求が認められるケースと、それぞれに必要な証拠について説明してきました。

この章では、両方に共通して必要な

①請求額の基準となる証拠
②相手の素性についての証拠
③相手が既婚者だった場合の証拠

の三点について紹介していきます。

①請求額の基準となる証拠

結婚詐欺における慰謝料は、数十万~数百万円程度と大幅に開きがあります。

交際していた期間や相手の収入、悪質性などが加味されるからです。

そのため、相手に請求する慰謝料や損害賠償の根拠となる証拠もあわせて用意しましょう。

金銭の貸し借りを証明する借用書
相手口座に振り込んだことがわかる預金通帳
結婚のために使ったお金のレシートや明細
精神的な苦痛を受けて治療を受けたときの診断書とレシート

といったものが一例として挙げられます。

②相手の素性についての証拠

原則として、訴訟を起こすには相手の住所や年齢氏名が必要となります。

以下の証拠を集めるようにしてください。

運転免許証
社員証
顔写真
そのほか名前や住所がわかるもの

③相手が既婚者とわかった場合の証拠

結婚詐欺の加害者が既婚者だった場合、慰謝料請求には慎重にならなければいけません。加害者の配偶者から訴えられる可能性があるためです。

以下の証拠を揃えておきましょう。

独身と嘘をついていたことを示すもの
配偶者がいると知らなかったことを示すもの
気づいてすぐに交際を辞めたことを示すもの
今は一切性的関係を持っていないことを示すもの

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3.証拠が揃ったら民事訴訟!慰謝料を請求するための2ステップ



結婚詐欺の証拠を揃えたら、裁判(民事訴訟)を起こして相手に慰謝料を請求しましょう。

最後の章では具体的な手続きの仕方や注意点、困ったときの対処法についてご紹介します。

①警察に被害届を出す

裁判を起こす前に、警察に被害届を出して詐欺被害にあったことを知らせてください。

加害者が警察に逮捕されても慰謝料を請求することはできませんが、提出して捜査してくれるようになれば裁判を有利に進める証拠が出てくる可能性もあります。

被害届には次のような内容が必要です。

被害者の住居、職業、氏名、年齢
被害の年月日時
被害の場所
被害の模様
被害金額(品名、数量、時価、特徴、所有者)
犯人の住居、氏名又は通称、人相、着衣、特徴等
遺留品その他参考となるべき事項
参照:別記様式第6号(犯罪捜査規範第61条)

ただこれらの情報だけでは足りない場合もあるので、事前に警察に問い合わせて何が必要か確認するようにしましょう。

また下記で、被害届を受け取ってもらえない場合や対処法を詳しく説明しているのであわせて参考にしてください。


②民事訴訟を起こす

加害者を訴える場合、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所(140万円を超える事件の場合は地方裁判所)で手続きを行います。

  • 必要書類を提出

    まずは下記を裁判所に直接、あるいは郵送で提出します。

    訴状(各裁判所に備え付けてある定型用紙か、各ウェブサイトからダウンロードして記入)
    申立手数料(手数料額早見表)で確認してください)
    訴状副本
    加害者に書類を送るための切手


  • 審理日(裁判の日)までに準備

    訴状を受理した裁判所は、加害者に訴えを起こされたことを知らせるとともに、審理日(裁判の日)を指定して双方に知らせます。

    その間、加害者の言い分が記された答弁書が届くので、内容を見て別の証拠を集めたり証人を準備しておきます。


  • 裁判で言い分を述べる

    揃えた証拠を提出し、裁判で言い分を述べます。判決か和解(話し合いによる解決)によってこちらの言い分が認められれば慰謝料が加害者から支払われます。


  • ひとりで訴えることもできるけど……

    民事訴訟はひとりで訴えることはできますが、専門知識が必要になってくるためやはり弁護士に依頼したほうが無難です。手続きの手間や裁判の精神的な負担を減らせるだけでなく、加害者が弁護士を立てたときに不利な立場になることを避けられます。

③証拠がない、お金がない…「集団訴訟」で解決の可能性も?

結婚詐欺の加害者は、非常に狡猾。これまで様々な証拠を述べてきましたが、基本的にはこれらの証拠を「残さない」ように動くことがほとんどです。

恋愛関係にあるうちは相手を信頼しきっているため、証拠も何も残っていない……という場合もあるでしょう。

そんなとき、解決の一助となるかもしれない手段が集団訴訟です。

集団訴訟とは、同じ相手から被害を受けたものどうしで協力して訴訟を起こすことを言います。

もし、同じ結婚詐欺師から同様の手口でだまされた被害者があなた以外にもいた場合、「個人の問題」ではなく「最初から騙すつもりだった」とみなされる可能性は高くなるでしょう。

民事訴訟での証明だけでなく、警察に犯罪であると伝えて動いてもらうこともできるかもしれません。

また多数の被害者が集まった場合、弁護士費用を全員で分担し、ひとりあたりの負担を軽くできる可能性もあります。

個人の恋愛について全員で訴えるのは気後れする面もあるかもしれませんが、どうしても方法がないという場合の一助としてみてください。

集団訴訟については、下記記事で詳しく説明しています。


4.まとめ

  • 結婚詐欺の慰謝料請求は証拠が重要。詐欺の証明となるものをできるかぎり揃えよう。

  • 相手が既婚者の場合は訴えられないための証拠集めもする。

  • 準備ができたら弁護士に依頼して民事訴訟。相手が姿をくらましても集団訴訟の検討を。

おわりに

結婚詐欺で慰謝料を請求するときは、加害者が隠蔽しないように証拠を速やかに集めましょう。

「これも証拠になるのかな……?」と判断に迷っても揃えておき、すぐに弁護士などに相談しましょう。


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