この記事は以下の人に向けて書いています。
- プリペイドカードを使った詐欺の手口を詳しく知りたい人
- 対処法や相談先を知って被害を未然に防げるようにしたい人
- 「自分は騙されるわけがない」と思い込んでいる人
はじめに
プリペイドカードを利用した詐欺が後を絶ちません。
警察庁の発表によれば
2017年の認知件数は2888件、被害額は15.4億円と過去最多(
参照:警察庁『特殊詐欺認知・検挙状況等(2017年・確定値)について』)。
これまでに流行した無料アプリLINEを乗っ取って友人になりすまし、カードを購入を指示する手口は下火になりましたが、いつどこで被害にあうかわからない状況が続いています。
2018年6月にはコンビニで
約1600万円分のカードを購入させられた事件も発生しました。(
参照:2018年11月・日本経済新聞『電子ギフト券、1600万円分詐取被害 佐賀』)
この記事ではプリペイドカード詐欺のよくある手口や未然に防ぐ対策、困ったときの相談先をご紹介。
自分は大丈夫という人ほど要注意です。
1.「番号を教えて」は要注意!プリペイドカード詐欺の手口の流れ
この手の詐欺で特に多いのが、
サーバー型と呼ばれるプリペイドカードを利用したケースです。
サーバー型は、手に入れたカードの番号(ID)に対して購入金額分の価値(バリュー)を記録するため、
カードがなくとも番号さえあれば誰でも簡単に支払いなどに使えます。
本来はプレゼントしたり、クレジットカードが使えない子どもに持たせるもの。しかし犯人はこの仕組みを逆手に取り、言葉巧みに番号を聞き出してお金を騙し取ろうとしてきます。
この章でありがちな手口の流れをご紹介するので、すぐに詐欺だと気づけるようにしていきましょう。
①架空請求で番号を聞き出す
架空の請求で相手を脅し、プリペイドカードの番号を聞き出す方法です。以下のような手口で行われます。
- 「未払い料金がある」など記載したハガキなどを送りつける
犯人はまず「有料コンテンツの支払いが滞納している」「規約違反の疑いがある」と言い、相手業者から訴えられようとしていると記載したハガキやメールなどを送りつけます。
このとき、ターゲットを信用させるために「法務省管轄支局民事訴訟管理センター」「日本情報管理センター」など公共機関に似せた名前や、Amazonや楽天といった既存の会社の名称を使うこともあります。
- 脅して指定の連絡先に電話や返信をさせる
ハガキやメールに「放置すると不利な状況になり、財産を差し押さえられる」という脅し文句が書かれているのも常套手段。文面の最後には、解決したいのであればすぐに指定の電話番号やメールに返信するように、と記載してターゲットを誘導します。
- 支払いの代わりにプリペイドカードを購入させる
ターゲットから連絡が来るとコンテンツの退会料金、裁判費用や示談金などと称して金額を請求。「iTunesカード50000円分を2枚」「BitCash20000円分を3枚」を購入するように指定してきます。
何枚も購入させて多額の支払いをさせることもあれば、ターゲットがすぐに購入できるようにあえて少額に設定するなど、金額にばらつきがあるのもプリペイドカード詐欺の特徴です。
- プリペイドカードの番号を聞き出す
購入の確認をしたら、「裏面に貼ってあるシールをはがし、カードの番号を教えてください」と言って聞き出します。よくある方法は電話越しに読み上げさせる、写真を撮らせてメールで送らせる、FAXをさせるなど。プリペイドカードを直接送るように指示するパターンもあります。
②SNSを乗っ取り友人になりすまして聞いてくる
LINEやTwitterなどのSNSを乗っ取り、家族や友人のフリをしてお金を騙し取ろうとする手口です。
- SNSのメッセージで予定を聞いてくる
乗っ取りに成功した犯人は、ターゲットに「今忙しいですか?」「手伝ってもらえますか?」といったメッセージを送って都合を聞き出します。
- プリペイドカードを購入させ、番号を送らせる
ターゲットが手伝えると言ってきたら、コンビニに行ってプリペイドカードの購入をしてきてほしいと要求。買わせたらカード番号を撮影した写真を送るように指示します。
「支払ったお金はすぐに返すから今買ってきてほしい」とターゲットを急かすのはよく使う手口のひとつ。
何に使うのか聞かれたときは「転売するため」と正直に打ち明け、「1万円売れたら5000円渡す」などと言う場合もあります。
③そのほかの手口
- 還付金や当選金があると誘う
税金の払いすぎた分が還付金として戻ってくる、厳正なる抽選の結果あなたに○○円配当されることが決定した、などと甘い言葉で誘うのもよく使われる手口です。お金をもらおうと連絡してきたターゲットに、一定金額以上の支払いには手数料が必要と言ってプリペイドカードの購入を指示します。
- 身内や警察になりすまして直接電話する
いわゆるオレオレ詐欺の手口を使い、指定の口座にお金を振り込ませる代わりにプリペイドカードの購入させようするのもよく見られるパターンです。
- 何店舗かにわけて入金するように指示する
プリペイドカードを使った詐欺が横行しているため、10万円以上購入しようとする人に購入理由を聞き、場合によっては警察を呼ぶコンビニも増えています。こうした対策から免れるために、複数の店舗で購入するように指示する手口も見られます。
- プリペイドカードに直接入金させる
犯人が事前に入手したプリペイドカードに直接お金を入れさせる方法です。コンビニに設置してあるマルチメディア端末で入金用のレシートを発行させ、支払いをするように指示します。
2.事前対策が鍵!プリペイドカード詐欺を見抜く4つのポイント
プリペイドカードを使った詐欺では、手に入れた番号や入金させたカードを買取業者に売却するのがほとんど。
一度お金をだまし取られてしまうと取り戻すことが難しいため、プリペイドカードの購入を頼まれたら詐欺と疑うのが大切です。
しかしそれでも巧みな言葉使いで不安にさせてくるのが犯人の厄介なところ……
この章では、騙されないための4つの対策方法をご紹介します。
①指定の電話番号やメールアドレスに連絡しない
訴訟や財産の差し押さえなどの言葉を使い、「早く解決したい」と思わせるのが犯人の目的です。一度連絡をしてしまうと相手に騙されやすい人と認識され、さらにお金を要求されることもあります。
そもそも訴えの通知(訴状)は、裁判所からの
「特別送達」と記載した封書を郵便局の配達員が手渡しするのが原則。ハガキやメールなどで連絡が来た場合は詐欺の可能性が高いため、
絶対に指定の電話番号などには連絡しないようにしましょう。
②不自然な日本語を使ってきたら相手にしない
SNSを使ったプリペイドカード詐欺によくあるのが、相手が
間違った日本語の使い方をしているというもの。
突然命令口調になったり、質問に対して答えないなど会話が噛み合っていないときは詐欺と疑ってください。
③どんな相手でも支払いを急かされたら詐欺を疑う
ターゲットが冷静になって誰かに相談することのないように、犯人は
時間がないことを伝えて焦らせようとしてきます。
「2日以内に連絡しないと裁判が始まる」「今すぐコンビニに行ってほしい」など、こちらの都合に関係なく指示してきた場合は詐欺の可能性が大。
落ち着いて周りの人に相談することが大切です。
④本物なのか確認する
相手が身内や弁護士、警察などを名乗りながら購入を指示してきた場合は、必ず本物か確認するようにしましょう。以下に調べ方をまとめたので参考にしてください。
身内の場合 |
・ペットの名前や家族の思い出など、プライベートな質問をする
・前に本人から聞いた電話番号にかける(※SNSで購入を要求された場合は、メールなど別の手段を使う) |
弁護士の場合 |
・日本弁護士連合会のウェブサイトで検索をする |
警察の場合 |
・警察署に連絡する
電話番号はこちら |
知らない業者や公共機関に似た名前の場合 |
・ウェブサイトを検索する
・電話番号案内(104)に電話する |
3.どうしても不安なときは……ひとりで悩まずすぐ相談!
プリペイドカードを使った詐欺は、次々と新たな手口が生まれています。対処法を身につけていても、被害にあう可能性をゼロにはできません。
判断に迷ったら、
ひとりで解決しようとせず専門機関を頼りましょう。
この章では困ったときの相談先と、万が一被害にあったときはどうしたらいいのかご紹介します。
①困ったときの相談先
- 消費者ホットライン
消費生活に関わるさまざまなトラブルの相談にのってくれる窓口です。専門の知識を持つ相談員が適切なアドバイスをしてくれるほか、ケースによって事業者との交渉のあっせんや弁護士などへの案内もしてくれます。
※つながらないときは国民生活センターの平日バックアップ相談にかけてみてください。
電話番号 |
03-3446-1623 |
受付時間 |
平日10時~12時、13時~16時 |
- 警察相談専用電話
身の回りの困ったことを気軽に相談できるように設けられた警察の窓口です。詐欺かどうかわからないのでいきなり通報はちょっと……という場合は利用してみましょう。
電話番号 |
#9110 |
受付時間 |
平日8時30分~17時15分 |
- 金融サービス利用者相談室
金融庁が設置している窓口です。相談員が話を整理した上で、適切な専門機関などを紹介してくれます。
電話番号 |
0570-016811 |
受付時間 |
平日10時~17時 |
②もし被害にあったら
速やかに
プリペイドカードの発行元に連絡して事情を説明してください。
その後警察に
被害届を提出し、消費者ホットラインなどに相談するようにしましょう。
ただ、もし弁護士への依頼が必要になったときは、被害額より費用のほうが上回る可能性があるので十分に検討する必要があります。
4.まとめ
- 購入したプリペイドカードの番号はお金と一緒。犯人の言葉を鵜呑みにせず、安易に教えないようにしよう。
- 一度だまし取られたお金は取り戻すのが難しいので、被害にあわないように本人確認などを必ずすること。
- 不安なときは迷わず消費者ホットラインや警察相談専用電話へ。
おわりに
プリペイドカードを利用した詐欺は被害の回復が難しい犯罪。
しかしこれまでの手口と組み合わせたものが多く、冷静になれば未然に防げる可能性が高まります。
電話やメール、SNSでカードの購入を突然頼まれたときは、第三者に相談する癖を身につけておきましょう。