この記事は以下の人に向けて書いています。
- 振り込め詐欺の手口について網羅しておきたい人
- 最新の振り込め詐欺手口を知り、用心しておきたい人
- 詐欺に備えて対処法を知っておきたい人
はじめに
「交通事故を起こしてしまったので、慰謝料を振り込んでほしい」
「還付金があるので、最寄りのATMに向かってもらえますか?」
ターゲットを言葉巧みに誘導して、指定の口座に振り込みをさせる振り込め詐欺。テレビやインターネットを通してその名は広く知られるようになりましたが、最近では手口も巧妙化。まだまだ被害を受けてしまう人たちがいるのが現状です。
そこでこの記事では、さまざまな振り込め詐欺の手口と対処法についてご紹介していきます。あなたの財産を守る手段として、役立ててみてください。
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1.振り込め詐欺の代表的&最新の種類6つ!
①オレオレ詐欺
- 概要
ターゲットの身内を装いながら電話をかけ、切羽詰まった状況を伝えてお金を振り込ませる詐欺です。警察庁が発表した「特殊詐欺の被害状況」(警察庁「特殊詐欺の被害状況」)によれば認知件数は平成29年1月~10月は6,647件、平成30年1月~10月は7492件(暫定)となっていて、特殊詐欺の過半数を占めています。
- 手口
加害者はまず、「オレだけど……」とターゲットの息子や孫になりすまして電話をし、「電話番号が変わった」「声が変わっているのは風邪を引いているから」と本当の身内だと信じ込ませます。
その後「交通事故を起こしてしまったので示談金を払わなければならない」「浮気相手を妊娠させてしまった」など、今すぐお金が必要な状況を説明して、指定の口座に振り込むように言ってきます。
また単独だけでなく、警察や弁護士、交通事故の相手になりすました人物などが登場し、より緊張感を演出するというのもよく見られるパターンのひとつ。
突然の電話で振り込みを指定するだけでなく、始めに連絡先が変わったことだけを伝え、少し日を空けてから「実はお金が必要で……」と話を切り出してくる場合もあります。
②還付金詐欺
- 概要
「還付金があるので指示通りにATMを操作してほしい」と言って、ターゲットに振り込みをさせる詐欺です。
- 手口
加害者は「社会保険事務局」「○○市源泉徴収課」と公的機関の職員を装いながら電話をし、「年金の還付がある」「保険料の一部が戻ってくる」と伝え、それを受け取るために最寄りのATMへ携帯電話を持って向かってほしいと言ってきます。
ATMの前でターゲットから電話をさせると、加害者は「では確実に受け取るために、私の言う通りにしてください」と言って電話越しにATM操作の指示を始めます。
このとき「受け取るための番号になる」と言ってターゲットの残高の数字を右から読ませたり、「左側の押したら取引番号を打ち込んでください」と言って加害者の口座番号を入力させるのが特徴。
最後まで「振込」や「口座番号」と言わないことで、ターゲットに不信感を与えないようにしながらお金を騙し取ります。
すでに別のATMには出し子と呼ばれる引き出し係が待機し、犯罪に利用した口座が凍結させられる前に振り込まれたお金を引き出すようにしているのもこの詐欺の常套手段です。
③融資保険金詐欺
- 概要
架空の融資話でターゲットに「お得だ」と思わせて申込みを促し、手数料や保証金と称してお金を振り込ませる手法です。
- 手口
加害者は「保証人不要」「無担保」などの好条件を記したり、大手金融機関に似せた名前やロゴマークを載せたはがきやメールをターゲットに送りつけます。
ターゲットから申し込みの電話がくると「信用度を確認するため」「先にある程度の保証金が必要」などと言ってお金を振り込むように要求。その後「融資ができなくなった」と一方的に告げて、振込金を持ち逃げするという流れが大半です。
この手の詐欺に対して警戒する人が増えてきたため、加害者によっては「ここまで説明させておいて、断るのはないですよ?」と脅してきたり、支払いという言葉を使わず「一定期間こちらにお金を預けてほしい」と言ってくることも。
また一度自社での融資を断ってから「取引のある業者を紹介する」と言って大手貸金業者に融資をしてもらうように促し、そこから融資が受けられるようになると紹介料を要求してくるという手口もあります。実際は詐欺業者は大手貸金業者に対して何もしていないため、詐欺にあたります。
④架空請求詐欺
- 概要
「このままだと訴訟される」といったはがきやメールを送って不安を煽り、電話してきたターゲットにお金を振り込ませる詐欺です。
- 手口
送りつけられるはがきやメールは、「法務省管轄支局民事訴訟管理センター」や「国民訴訟通達センター」など公的機関風の名称や、楽天やAmazonなど実在する企業に類似した名前が使われているのが特徴。
「有料サイトの登録料金が滞納していて、相手から訴訟されようとしている」「このままだと原告側の主張が受理されて、財産などが差し押さえられる」などと脅し、解決したいのなら記載した電話番号に連絡するようにと言ってきます。
そして連絡してきたターゲットに、弁護士の紹介費用や差止め料などを要求するのです。
架空請求ではほかに注文した覚えのない健康食品や生鮮食品を送りつけてお金を請求するパターンや、投資詐欺・ワンクリック詐欺など別の手口と一緒に使われるパターンもあります。
⑤騙されたふり作戦詐欺
- 概要
「騙されたふり作戦」とは、振り込め詐欺に騙されたふりをして加害者を呼び出し、待ち伏せていた警察によってその場で捕まえてもらう作戦です。
詐欺では、たとえ詐欺とは知らない受け取り役でも罪が問われます。振り込め詐欺の抑制として、警察は協力するように積極的に呼びかけています。
しかし、この作戦を逆手に取り、お金を騙し取る詐欺が発生しています。
- 手口
加害者はまず、「事故にあってしまった。同僚がお金を取りに行くから用意してほしい」とターゲットにオレオレ詐欺を仕掛けます。
次に警察官になりすました人物が連絡し、「それは詐欺なので、取りに来る犯人を逮捕するためにお金を渡してください」と言います。ターゲットに一度難を逃れた安心感を与え、受け取りにきた同僚役の加害者に疑いもなくお金を渡させるという手口です。
基本的に騙されたふり作戦は、電話だけで警察が協力を求めてくることはありません。また受け渡しには模擬紙幣を使うことになっているので、本物のお金を使うように要求してきたら注意しましょう。
⑥あなた被害にあっています詐欺
- 概要
ターゲットに「口座が不正利用されている」と電話で言い、別の口座(加害者の口座)に振り込みをさせる詐欺です。
- 手口
警察官や検察庁職員などになりすました加害者が、「あなたの口座が不正利用されている。インターネットで確認してほしい」とターゲットに言い、ウェブサイトに誘導します。
そこでターゲット自身の名前が記載されていることを確認させると、「後で返金するから、一度口座から全額抜き出して別口座へ移してください」と言い、指定口座に振り込みをさせます。
他にも「詐欺に利用された口座だとわかった。預金が騙し取られたお金かもしれない」「口座を持つ銀行員に詐欺の実行犯がいて、あなたの口座も危ない」と言ってくるパターンもあります。
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2.振り込みだけじゃない!お金を騙し取る最新手段3選
振り込め詐欺の拡大によって、近年は銀行も警戒を強めています。
しかしそれによって、振り込み以外の手段で騙し取るケースも増えています。
この章で3種類の手口をご紹介しましょう。
①現金手渡し型
受け子と呼ばれる現金の受け取り役が、
ターゲットの自宅や指定の場所まで出向き、直接お金を受け取るパターンです。
「今警察の事情聴取を受けていて身動きが取れないので、会社の同僚が代わりに自宅まで取りに行く」
「事態を早く収束させるために、指定の場所で弁護士と落ち合って現金を渡してほしい」
というように、加害者はそれらしい理由をつけて直接渡すように要求します。
②キャッシュカード手渡し型
ターゲットから直接キャッシュカードをだまし取って預金を引き出す手口です。警視庁の発表によれば、認知件数は平成28年が908件だったのに対し平成29年は3,913件と激増、被害額も3倍以上となっています。(警視庁「
平成29年の特殊詐欺認知・謙虚状況等について(確定値版)」
主なパターンとしては、警察官に装った加害者がターゲットに「口座が振り込め詐欺に使われている。このままだと口座が凍結されるが、キャッシュカードを新しくすれば解決する」と電話をしてから自宅に訪問。カードを受け取るときに、手続きのために必要と言って暗証番号を聞いてくるというものです。
あるいは「クレジットカードの不正利用があった。銀行職員を向かわせるので、キャッシュカードを渡してほしい」と話し、職員になりすました加害者が家まで来る場合もあります。
③電子マネー番号通知型
「有料コンテンツの未納料金がある」「規約違反をしている」などの架空請求によく見られるタイプで、
支払い方法としてAmazonや楽天で使える電子マネーカードを指定するパターンです。加害者はコンビニや書店などでターゲットに購入させ、カードを使うために必要な番号を聞いてきます。
ほとんどのカードの設定金額が上限5万円と決められているため1件あたりの被害額は少ないとされていますが、
中には数日間に渡ってコンビニに行くように指示され、770万円分のカードを購入させられたケースもあるので警戒が必要です。
他にもLINEなどSNSのアカウントを乗っ取り、周りの人に「電子マネーカードを買いに行けないから、代わりに買って番号を教えてほしい」と連絡するパターンもあります。
3.詐欺にあわない方法は?あらかじめやっておきたい行動
①家族の間で合言葉を決めておく
家族などになりすました加害者かどうか見破れるように、家族の間で合言葉を決めるようにしましょう。
・結婚記念日
・家族旅行で行った場所
・ペットの名前
このように家族では覚えやすく加害者には推測されにくいもの聞いて、答えられなかったら詐欺の可能性があります。
ただ加害者が矢継ぎ早に話してくると、質問をするタイミングが掴みづらいかもしれません。そのときは自然に聞けるような質問にするのも有効です。
例をあげると、
「明日ではダメですか?」と聞いたら「質問に答える前に名前を言う」というルールです。こうした合言葉を決めておくことで、怪しい電話相手から「今日中に振り込んでください」と言われた際などに自然な流れで質問することができます。
②電話を留守電設定、もしくは登録済みの番号のみ通話設定にする
振り込め詐欺の多くは電話が使われます。
固定電話や携帯電話は留守番電話に設定し、見知らぬ番号や伝言が入っていないときは折り返さないように徹底しましょう。
登録済みの電話番号のみを受け付ける設定にするのも手です。
③警察から連絡が来たら、まずは家族に連絡する決まりを作る
警察からの連絡の場合「もしかしたら本当かも…」と思いがちですが、それこそ犯人の思うツボです。
どんな場合でも、
警察と名乗る人物から連絡が来たら、一度家族に連絡する、何を指示されても家族と連絡がつくまでは何もしないなどの決まりを作りましょう。
「息子さんが何かしらの事件に巻き込まれて、携帯番号も使えなくなっている」などと言われるかもしれませんが、必ず元々の番号に連絡するよう徹底してください。
また
警察相談専用電話「#9110」に連絡するのもひとつの方法です。犯罪に至っていないような困りごとなどを聞いてくれる窓口なので、「本物の警察かどうか確かめたい」という気が引ける相談にも乗ってくれます。
④ATMの振込限度額を下げておく
詐欺に使われた口座は金融機関で凍結できますが、振り込め詐欺では振り込まれたお金がすぐに引き出されているのがほとんどです。
そのため一度でも振り込んでしまうと、全額を取り戻すのが難しいのが実状。
被害を最小限に食い止めるために、
ATMの振込限度額はあらかじめ下げておきましょう。
引き下げは各金融機関の窓口やインターネットで手続きができます。本人確認書類や口座の届け印など、申請の際に必要なものを確認しておくとスムーズです。
4.まとめ
- 振り込め詐欺は、ターゲットを動揺させてお金を騙し取ろうとする手口が大半。
- 口座に振り込ませず、直接取りに行くなどさまざまな受け取り方がある。
- 被害に遭わないように、日頃から家族とコミュニケーションを取って対策をしておこう。
おわりに
振り込め詐欺は対策してもまた新しい手口が使われ、いたちごっこになっているのが現状です。
ですが最終的には、何らかの形でお金を騙し取ろうとするもの。
多額のお金が関わったり見知らぬ人からのお金の話はひとりで判断せず、常に誰かに相談する意識を持ちましょう。