この記事は以下の人に向けて書いています。
- ネットショッピングで間違えて購入してしまったけれど、返品方法がわからない人
- 通信販売でトラブルがあり、返品を考えている人
- クーリング・オフをしようと思ったのに通販は受け付けられないと断られた人
はじめに
インターネットショッピングや通信販売で、欲しいと思ったものがスマートフォンのアプリなどを利用して、その場ですぐ購入できる時代になりました。
しかし、
気軽に買ったものが実は思っていたものと異なったり、間違って別の物を買ってしまったり、様々な理由から「欲しいと思ったものだけど、やっぱりキャンセルしたい」と考えたりしたことはありませんか?
エステや訪問販売などでは「クーリング・オフ」と言う制度を使って契約の解除やキャンセルをすることができます。しかし、
ネットショッピングや通販ではこの方法が使えないとされています。
それでは、一度購入した後はもう返品や返金をしてもらうことはできないのでしょうか?
勢いで購入や決済ボタンを押す前にショッピングカートの中身や金額を確認することも大事ですが、今回は
購入後のケアについて解説したいと思います。
1.通販でクーリング・オフはNG!かわりに返品する方法は?
「クーリング・オフ」制度は、訪問販売や電話勧誘で、契約や購入を消費者が
一方的に、かつ
理由なく解除できるというもの。
しかし、
実はネットショッピングや通販の場合、この方法を使って購入をキャンセルすることはできません。
クーリング・オフはもともと、立場の弱い消費者が、業者に騙されたり脅されたりするといった、やむを得ない状況で行った契約・購入を解除するためのもの。
そのため、ネットショッピングや通販のように、消費者が他人からの強制なしに、自らサイトやカタログにアクセスして商品を吟味・購入した場合は、基本的に対象外となってしまうのです。
ただし、破損や相手側業者の梱包ミスなどが発生するなど、返品が可能なこともあります。注文した商品が手元に届いたら、まず以下の点に気をつけるようにしましょう。
- 一刻も早く中身を確認する
- 納品書や梱包材は保管しておく
- 不備が見つかった商品の開封はしない(返品できなくなることがあります)
- 購入までの記録(カタログ、メールや書類など)は破棄せずにとっておく
また通信販売の場合、クーリング・オフのかわりに
返品制度をもうけている場合があり、それによっては返品が可能な場合もあります。以下くわしく説明していきましょう。
①もしかしたら返品できるかも?サイト内の「返品特約」を確認!
通販業者は、ウェブサイトやカタログ内に、
返品や交換の条件である「返品特約」を明示しておくことが法律で義務付けられています。
特にインターネットでの通販の場合、
ウェブサイト内だけでなく、商品を購入する前の確認画面にも、必ず返品条件を書く義務があります。
この記載に不備があった場合、クーリング・オフのように、
商品が到著してから8日以内(到着日を含む)であれば返品が可能になります。
まずは購入したサイト内の返品特約を探し、条件を確認してみましょう。ただし、業者や商品によって返品可能な期限は異なるので注意が必要です。特に、開封や一度でも使用したものなどは対象外となることもあるほか、
販売者側が返品特約で「返品不可」と定めていた場合は返品をすることができません。
②クーリング・オフとの違いに注意!返品の送料は購入者が負担
商品の返送は消費者側の負担となります。クーリング・オフの場合、返品費用は業者側が負担することになっていますが、これとは異なることに注意しましょう。特に家電品や家具といった大型の商品を購入した場合、返品の送料が思っていたよりも大きな負担となる場合が考えられます。
③相手業者が返品処理をしてくれなかった場合は、クレジットカード会社に連絡を!
きちんとした通販会社の場合、クレジットカードで支払った場合でも返品後にサイト側が返金処理をしてくれます。しかし、最初から詐欺目的の会社である場合などは、返品しても返金処理を行わないケースがあるかもしれません。
そんな場合は、なるべく早めに信販会社(クレジットカード事業者)に連絡をし、支払いを止める手続きを取りましょう。
クレジットカード取引には
「抗弁権」といって、販売業者側に不備があった場合、消費者が支払いを拒否することができるという制度があり、
- 虚偽の商品説明などに不当な表示がある
- 返品についての特約がない
- 商品の破損
といった場合に適用ができます。
上記のような悪質な会社の場合、購入が解除された場合でも、販売業者と信販会社の間での支払いは解除されていないことがほとんどです。支払い停止の手続きを取り、請求が来ないようにしておくようにしましょう。
手続きのくわしい記入方法ついては、
日本クレジットカード協会のウェブサイトで紹介されています。相談専用の電話窓口もありますので、まずはこちらに抗弁の申請ができるかどうかなどの相談をしてみるとより確実です。
■消費者相談専用電話
番号 |
03-5645-3361 |
受付時間 |
午前10時~午後12時
午後1時~5時
※土日祝・年末年始を除く |
ただし、
一括払いか通常の分割払いで4万円、リボルビング払いで3万8000円を下回る商品については、抗弁権を使うことができません。価格が低いものには適用されないので注意しましょう。
2.返品できるかどうか困ったら……相談窓口5選
「通販で買ったものは返品できるの?」
「返品について手続きを相談したい」
「相手側業者とトラブルになってしまったら?」……。
実際にネットショッピングや通販を利用していると、返品を考える際にこんな悩みに遭遇することも少なくありません。
そんな時に相談したい窓口を、以下のよおち紹介していきます。
いずれの場合も、
手元に残る購入記録や販売業者の約款、経緯を簡単にまとめたものなど、相談に必要な資料を手元に揃えておけばスムーズに進みます。
全国829か所の消費生活相談窓口を紹介してくれるサービスです。
電話番号は188「いやや!」と覚えましょう。市外局番は必要ありません。また、無料通話サービスではないので注意しましょう。
番号 |
188 |
受付時間 |
各地の消費相談窓口によって異なる |
<利用方法>
「188」にかけると、アナウンスの後に相談者の郵便番号7桁をプッシュ入力します。電話をかける前にあらかじめ調べておきましょう。郵便番号がわからない場合は、アナウンスに従って地域や市町村名を選択して下さい。
入力した地域情報を元に身近な市町村の消費生活相談窓口に電話がつながり、専門家がアドバイスを提供してくれます(ここから料金が発生します)。
受付時間や曜日は、電話が繋がる先である各市町村の消費相談窓口によって異なります。また、年末年始以外の土日祝の午前10時〜午後4時は、相談窓口として下記の国民生活センターに繋がります。
平日に消費者ホットライン「188」が繋がらない場合に、ここ国民生活センターの平日バックアップ相談の電話番号がアナウンスされます。
電話番号 |
03-3446-1623 |
受付時間 |
午前10時〜午後12時
午後1時〜4時
(土日祝・年末年始を除く) |
※番号を確認の上、かけ間違いに注意しましょう
また、
来所による相談窓口はありませんので注意して下さい。
国民生活センターのサイト内では、各都道府県の消費生活センターを探せるようになっています。
ここから自分の住んでる地域に近い窓口を探してもいいでしょう。
通信販売の業界を代表する公益法人「通販協会」が運営する相談窓口で、消費生活アドバイザーの有資格者が相談にのってくれます。
電話番号 |
03-5651-1122 |
受付時間 |
午前10時〜午後12時
午後1時〜4時
(土日祝・年末年始を除く) |
※番号を確認の上、かけ間違いに注意しましょう
また、サイト内には問い合わせフォームもあります。回答は電話のみ。メールや文書はありません。また、海外在住者からの相談は受け付けていないので注意が必要です。
犯罪被害の未然の防止や相談のための電話番号は「#9110」です。この番号は緊急の事件や事故に対応するものではありません。
相談の場合はいきなり110番通報はしないようにしましょう。
電話番号 |
#9110 |
受付時間 |
平日:午前8時30分~午後5時15分
(※地域により異なる)
土日祝・夜間:当直または音声案内に繋がる場合があります。 |
専門の相談員による助言や、他の関係機関への紹介などもしてくれます。このほか、各都道府県警察署の窓口でも相談が可能です。
このほか、詐欺サイトの疑いがある場合は下記へ相談することも考慮しましょう。
ただし、
身体や生命に関わる緊急かつ重大なトラブルになってしまった場合は、早急に110番通報し、判断を仰ぐ方が賢明です。
⑤弁護士への相談
自分ひとりで返品手続きをしようとしても、トラブルにならないよう正式に法的効力を持つやり方を調べるのは大変なもの。そんな時は、
法律の専門家である弁護士に相談するのもひとつの手です。
各都道府県の弁護士会から最寄りの相談窓口を探すことができます。
しかし、実際に弁護士へ相談し、手続きの代行などを依頼する場合は費用が発生します。
もし購入した商品が低額であれば、弁護士への相談費用の方が高くついてしまう可能性があることも考慮しましょう。各地の法律相談センターなら、30分ごとの料金を明示してある場所もあります(約5000円前後)。
経済的な理由で相談が難しい人向けには
「法テラス」があり、ここでは無料相談や費用立替えにも応じてくれます。
また、同様の被害にあった人と手を組み、一緒に集団訴訟をするという手段もあります。人数が集まれば費用の負担が軽くて済む、より多くの証拠を集めることも可能です。
3.うっかり購入してしまわないために…購入前のチェックリスト
ここまで、ネットショッピングや通販の返品について見てきました。
では今後購入する際、消費者は信頼できる販売業者やネットショッピングサイトをどうやって見極めればいいのでしょうか?
一般的に詐欺とみられる販売業者やサイトには、以下のような特徴があるとされています。すぐに決済にいく前に、
購入する商品以外のページもひととおり目を通してトラブルを防ぎましょう。
<こんな特徴があったら要注意!>
- 支払い方法、返品や交換の諸注意、送料、おおよその到着時期の目安についての説明がない。
(返品特約に基づく表記の有無は特に注意しましょう。返品の可否を問わず表示の義務があります)
- 支払い先の口座名義がサイト名ではなく個人口座であったり、振込しか受け付けていない
- 連絡先の住所や電話番号、メールアドレス等がない、会社概要そのものがない
- 住所が実在しない、連絡先が携帯番号のみ、アドレスがフリーメール
- サイトの日本語が不自然
- 生産地などを偽ったり、誇大広告をしていたりする
- ショップレビューがあまりにも荒れているか、高評価しかない
- 価格が異様に安い、在庫が多すぎる
また、通販協会(JADMA)のマークがついたサイトは、一定の信頼基準をパスしている認証になるので、参考にしてもいいでしょう。
4.まとめ
<クーリング・オフができない通販! ここに気をつけて>
- 販売業者は信用できる? 返品特約は? 購入前は最後まで確認を忘れずに!
- 商品の到着後はすぐに不備がないかをチェック、何かあれば早めの行動を
- 通販で返品できるか迷ったら、専門家や公的機関に相談してトラブル回避を!
おわりに
以上のように、ネットショッピングや通販は必ずしも返品ができるわけではなく、販売業者と契約を解除しても、消費者の自己負担で返送をしなければなりません。
これを回避するためには、購入前に販売業者側やサイト、返品特約に不備がないかを隅々までチェックすることが大切です。
特にネットショッピングでは、欲しいものをやっと見つけた時など、焦って一刻も早く購入ボタンを押してしまいたくなるもの。そこでひと呼吸置き、「もしかして?」と思ってみることがトラブルを未然に防ぐ一歩になります。
またこれまで述べてきたように、通販以外ではクーリング・オフ制度を利用し、契約解除や返品をすることが可能です。ただし、確実な解除には期限が決められていたり、所定の手続きを踏む必要があります。詳しくは下記のリンクも参照してみて下さいね。