この記事は以下の人に向けて書いています。
- ヤフオクやメルカリを普段から使っている人
- 実際にオークション詐欺にあい、どうすればいいのか対応が知りたい人
- 自分の周りの人がオークション詐欺被害にあっている人
はじめに
「オークションで落札したのに、発送されない」「フリマアプリで購入した商品が、届いたら別物だった」…こんな経験ありませんか?
オークションサイトやフリマアプリなどで個人間での商品のやりとりが増えるとともに、オークション詐欺が増えてきています。しかし、実際にどのようなものなのか、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、
- オークション詐欺とは何か。
- どのような言葉に気を付ければいいのか。
- 実際に詐欺に遭ったときの対処法。
という事項について解説していきます。
1.オークション詐欺とはどんなもの? 代表的な手口2つ
「オークション詐欺」とは、ウェブサイトのオークションで落札後に、落札者と出品者の間で起きる詐欺のことです。オークションだけでなく、通信販売や、メルカリなどのアプリで起きる手口も含まれています。
オークション詐欺は様々な場所で、どんな商品にでも起きる可能性がありますが、その手口は大きく分けてふたつのタイプに分かれます。
①購入した商品が発送されない
商品代金を支払った後に、商品が発送されないというパターンです。
オークションや通信販売、フリマアプリでは、最初に商品のお金を支払います。メルカリでは、購入者が商品を受け取ったことを通知してはじめて出品者に代金が渡されますが、ヤフオクはそうではありません。そのため、こうしたトラブルが起きることがあります。
出品者に状況を確認しようとしても連絡がつかないケースや「すでに発送している。配送中に紛失したのではないか」などと出品者が言い逃れをするケースもあります。
②購入した商品とは違うものが届く
「本物のブランド品だと紹介していたのに、届いたら偽物だった」など、掲載されていた情報とはまったく違う商品が届いたというパターンです。
例えば、商品説明に「○○ブランドの赤いショルダーバッグ。購入時の箱あり」と記載され、写真にもブランドのロゴがしっかりと写っているものをあなたが購入したとします。
届いた商品が購入時の箱だけだったら、あなたが提示された(した)金額で納得して手に入れた商品とは違いますよね。
このように、ウェブサイトに載せている情報とはまったく違う商品を送りつけてくる詐欺もあります。
もちろん、これらのケースは単なる出品者のミスや勘違いである場合もあります。
まずは冷静に出品者に連絡をとり、事実を確認しましょう。
2.こんな言葉があったら要注意!見分けるための6つのポイント
被害にあう前に、「この出品者・サイトはおかしい」と気がつけたら、自分で避けることができます。どのような言葉に注目して判断すればいいのでしょうか。この章では、詐欺の可能性が高い言葉をご紹介していきます。
①「正規ノベルティ商品です」
ノベルティとは、オープニングセレモニーなどの限られた場面で配布される商品のことです。そのため、市場に出回ること自体が珍しい商品ともいえます。本物が流通していることはあまりありませんので、詐欺の可能性が高いとみてよいでしょう。
特に、「ノベルティ商品なので作りが雑なこともある」「あくまでノベルティなので理解してほしい」などと記載されている場合は、より詐欺の可能性が高まりますので、購入には慎重になったほうが無難です。
②「未発売商品です」
まだ発売されていない商品の予約をとる、という名目で代金を振り込ませ、発送をしない詐欺です。
入金をしてから商品が発送されるまで時間が空くため、詐欺にあったと気が付くまで時間がかかってしまいまうのが特徴となっています
メルカリでこのような形の出品は禁止されていますが、ヤフオク!では、出品者がすでに商品代金を支払済みで、落札者が確実に商品を手に入れることができる場合に限り、出品できることになっています。
しかし、このように詐欺である可能性も否定できませんので、入札は避けたほうが無難でしょう。
③「並行輸入品なのでメーカーサポートが受けられない」
ブランド時計などの商品説明に、「海外から自分で輸入した商品のため、メーカーによるアフターフォローを受けられない」と書かれている場合、本物ではなく偽物が出品されている場合が大半です。わざとアフターフォローまで指摘しておくことで、本物らしさを演出していますが、そもそも偽物なので、アフターフォローはありません。
なかには「アフターフォローがない」という事実を書いて本物を出品している人もいますが、「並行輸入品」と書かれているときは、なるべく避けたほうがいいでしょう。
④(商品説明文の最後に)「※写真の販売です」「※外箱のみの販売です」
ゲーム機の外箱だけの写真がアップされ、とても長い商品説明の中に、こっそりと「写真の販売」「外箱のみ」と書かれていることがあります。
つまり、「外箱が写った写真1枚」や「ゲーム機本体が入っていない外箱のみ」が送られてくる詐欺です。商品説明をしっかりと読み込み、少しでも怪しいと思ったら購入は控えたほうがよいでしょう。
⑤「ノークレーム・ノーキャンセル・ノーリターンでお願いします」
消費者契約法では、説明にはない傷があるなど、
商品に明らかな不備があれば、購入者は出品者に返品・返金を要求することが認められています。
例えば、フリマアプリのメルカリでは、「ノークレーム・ノーキャンセル・ノーリターン」と書くことを禁止しており、返品・返金に応じるよう定めています。
しかし、ヤフオクではもともと、出品者が「返品不可」と指定できるシステムになっていますし、「ノークレーム・ノーキャンセル・ノーリターン」と書かれていても、必ずしも詐欺というわけではありません。
念を押すように何度も書かれている、など明らかに不自然な記載であれば、避けたほうがいいでしょう。
⑥「最高落札者がキャンセルしたので、あなたと取り引きしたい」
出品者、もしくは出品者と名乗る別人があなたのメールアドレスを割り出し、指定した口座に直接お金を振り込ませて騙し取る手口です。
オークション終了後、落札できなかった商品の出品者から「最高落札者がキャンセルしたので、あなたの入札価格で直接取り引きしたい」というメールが直接送られてくることがあります。
たとえば、以前のヤフオクでは、入札者のIDがすべて表示され、誰でも見ることができました。ほとんどの人がID+@yahoo.co.jpでメールアドレスを作っていたため、入札者のリストを見れば誰でもメールを送ることができたのです。
こうした詐欺を防ぐため、2008年にシステムが変更されてIDの表示が伏字になり、この手口は激減しました。しかし、現在でもなんらかの方法でIDを取得し、メールが送られてくることがあります。
本当に落札者が繰り上げになったときは、システムから連絡があります。出品者から直接連絡がくることはないので、ひっかからないように気を付けましょう。
いかがでしたか。このように、商品説明をしっかりと読んでいくと、不自然な言葉が見つかることもあります。もし、あなたが何か不安に思ったら、取り引きをしないという判断をすることも必要でしょう。
また、
出品者の住所を確認することも予防のひとつです。
出品者が提示している住所をgoogleのストリートビューで確認すると、その住所自体が存在していない、何かの商業施設、というケースもあります。なかには、住所に番地が書かれていないことで、架空の住所だとすぐにわかることもあるでしょう。
念のため、住所の確認をしておくことで、明らかに不自然な取り引きを避けることもできます。
3.もし実際に被害にあってしまったら…対処の流れと方法
もしも、被害にあったらどうすればいいのでしょうか。順を追ってご紹介します。
①落札・購入したときのやりとりなどの証拠を集める。
まずは、相手とのやりとり画面の画像やお金を振り込んだ証拠を保管してください。ウェブサイトから削除されると確認できなくなるので、あらかじめプリントアウトしておきましょう。
②出品者に連絡を取る。
メールや電話、連絡用掲示板などで出品者と連絡をとりましょう。出品者と連絡がつけば、そのまま交渉をしていきます。
③内容証明郵便を送る。
内容証明郵便は、いつ誰が誰に、どのような文書を送ったのか公的に証明する郵便です。あなたが出品者に対して落札・購入の取消や代金の返還請求をしたという証明になります。
ヤフオクの場合、補償をうける際にも必要になりますので、内容証明郵便を出しておきましょう。
内容証明郵便を送るときは、出品者に送る1通と自分・郵便局がそれぞれ保管する2通の計3通用意する、縦書きのときは1行20文字以内で26行以内に収める、などの様々なきまりがありますが、基本的には
- タイトル
- 日付
- 出品者の氏名・住所
- 自身の氏名・住所
- 内容
- 返金先の自分の口座
の6つを記載します。
内容には、必ず「出品者が商品の発送をしていない」「出品者に発送するように伝えたが、すでに相当な期間がたった」「購入を取り消したい」「支払い済みの代金を返還してほしい」ことを記載しましょう。
さらに内容証明とは別に、相手に配達したことを証明するために、オプションサービスの「配達証明」をつけたほうがベターです。
つまり、定型切手(82円)+一般書留(430円)+配達証明(310円)+内容証明(430円、2枚目以降は260円増)=1252円(内容証明が1枚の場合)となります。
しかし、場合によっては、内容証明の料金の方が商品代よりも高いこともあるでしょう。そのときは、③をせずに④に飛んでもいいかもしれません。
④運営に連絡する。
出品者と連絡がつかなかったり、うまく交渉が進まなかったりした場合は、オークションやフリマアプリなどを運営している会社に連絡しましょう。
メルカリでは、受取評価をせずに、出品者にメッセージを送り続けていれば、事務局に連絡したあとにキャンセル・返金の対応をしてもらいやすくなります。
またヤフオクでは、「未着・未入金トラブルお見舞い制度」という制度があります。出品者から商品が届かなかったり、落札者が代金を払わなかったりした場合、お見舞いとしてTポイントを付与するというものです。
一方でこの制度を使うためには、警察署に被害届けを出す、内容証明郵便で商品の送付を督促する、といった様々なきまりがあり、多少ハードルがあります。
⑤各公的機関に相談する。
相手と連絡がつかなかったり、運営とのやりとりもうまくいかなった場合は、公的機関に相談しましょう。
- 詐欺事件として、警察に被害届を出す。
ヤフオクでは、システムを使わずにメールなどでやりとりして直接取引をすると補償の対象にはなりませんが、警察には詐欺として被害届を出すことができます。
警察署に行く前に、あらかじめ電話で必要なものを聞いておくとスムーズです。「あれがないから受理できない」といったトラブルを避けることができます。
また、2008年に施行された「振り込め詐欺救済法」により、被害額の全部または一部の支払いを受けられる可能性があるので、警察だけでなく、出品者の振込先がある金融機関にも相談してみてください。
- 弁護士に相談する。
商品は届いていても、「説明にはないキズがある」「商品が動かない」などのトラブルがあったときは、弁護士に相談をしましょう。
- 消費者センターに相談する。
出品者が一般人ではなく事業者であれば、消費生活センターでも相談できます。
⑥組み戻し手続きをする。
組み戻し手続きとは、出品者の口座に預金残高があり、その口座の金融機関が出品者に連絡して振り込み中止の了承をもらえれば、振り込みをキャンセルできるというものです。
流れとしては、
- あなたが振込依頼をしたA銀行に組み戻しの手続きの依頼をする。
- A銀行が振込先のB銀行に組み戻し依頼をする。
- B銀行が振込先(出品者)に組み戻しの了解を得る。
- 組み戻し手続きが行われ、あなたの銀行口座にお金が戻る。
となります。
組み戻しを行う場合、金融機関によって異なりますが、800円~1,000円ほどの組み戻し手数料がかかります。
出品者が了承しない、残高がない、銀行の規定で手続きができないということもありますが、組み戻される可能性が少しでもあれば、手続きをとってみましょう。
⑦少額訴訟を起こす。
小額訴訟とは、60万円以下の支払いを求める場合に使うことができる、弁護士不要で1回の審理で終わる簡易訴訟のことです。
この制度は、即時解決を目指すため、証拠書類や証人は、その場で調べることができるものに限られています。
ただし、出品者の住所を管轄する簡易裁判所に訴える必要があり、さらに訴訟の当日に出席する必要があるなどの様々なハードルもあります。
費用は、5,000円から10,000円かかりますので、購入商品の値段とのかね合いを考える必要はあります。
いかがでしたか。オークション詐欺の被害にあったときは、このような流れで、出品者にアプローチしていきましょう。
また、同じ詐欺の被害者と連絡をとってもいいでしょう。
何人もの被害者が集まって情報を共有することで、出品者が詐欺の常習犯だと立証しやすくなります。
オークション詐欺は被害者が日本全国に散らばっているため、連携した動きは取りづらい部分もありますが、ウェブサイトで連絡を取り合い、情報を共有することは可能です。
4.まとめ
- オークション詐欺は、オークションサイトやフリマアプリを利用して落札・購入した商品について、出品者と落札者・購入者の間で起きるトラブルのこと。
- 詐欺の大きな2つの手口として、①商品が発送されない②違う商品が届くというものある。
- 「正規ノベルティ商品」「ノークレーム・ノーキャンセル・ノーリターン」など、不自然な言葉があったら取り引きをしないことが重要。
- 被害にあったら証拠を保管し、運営会社や警察に対応をお願いする。場合によっては組み戻し手続きや少額訴訟など、自分でできることを行う。
おわりに
オークション詐欺の手口と対処方法についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
詐欺は年々巧妙な手口になっていくため、いつも気を付けておくことが重要です。もしも、被害にあってしまっても、あきらめずに対応していきましょう。