この記事は以下の人に向けて書いています。
- アルバイト先でトラブルにあいアドバイスが欲しい人
- アルバイトについて誰かに話を聞いてもらいたい人
- 現在のアルバイト先の職場環境を改善したい人
はじめに
「アルバイトでのトラブルを誰かに相談したい……。でも、誰に相談すればいいの?」
そのような不安がある人のために、頼りになる相談先を一覧にしてまとめました。
合わせてよくあるトラブルや相談前に準備しておきたいものなどもご紹介していきますので、自分のケースと照らし合わせて、参考にしてみてください。
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1.アルバイト先でトラブルにあったら……ブラックバイトの相談先6選
アルバイト先で何かしらトラブルがあった場合、早めの対処が大切。
しかし、相談先と一口に言っても、下記の表にまとめたとおり、さまざまなものがあります。それぞれの機関でどんなことができるのか、詳しく解説していきましょう。
相談先 |
電話番号・受付時間 |
労働総合相談コーナー |
地域によって異なるため全国労働基準監督署の所在案内を確認 |
職場のトラブル相談ダイヤル |
電話番号:0570-07-4864
受付時間:11時~14時 |
雇用環境・均等部 |
地域によって異なるため、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の連絡先 |
労働条件相談ほっとライン |
電話番号:0120-811-610
受付時間:平日(祝日を含む) 17時~22時、土・日 9時~21時 |
法テラス・サポートダイヤル |
電話番号:0570-078374(PHS可)
IP電話からは03-6745-5600)
受付時間:平日 9時~21時、土曜日 9時~17時
(祝日・年末年始を除く) |
弁護士 |
弁護士事務所ごとに異なるため、HPを確認 |
①労働総合相談コーナー
全国の労働基準監督署・各都道府県労働局に設置されている相談窓口で、
アルバイト代の引き下げや職場でのいじめ、セクハラ・パワハラなど、労働問題全般を取り扱っています。
アドバイスだけでなく、悪質な場合は会社の指導や調査、処分を行ってくれることも。
さらに、会社側と労働者との間に専門家が入り、話し合いによる問題解決を目指す
「あっせん」という制度も利用することができます。
なにかあった際に真っ先に相談できる窓口として覚えておきましょう。
②職場のトラブル相談ダイヤル
全国社会保険労務士会連合会が運営している相談窓口で、
アルバイト向け特設サイトを設置するなど、アルバイト問題を積極的にサポートしていることが特徴です。
こちらでも総合労働相談コーナーと同様、あっせんの制度を利用することができます。
③雇用環境・均等部(室)
各都道府県の労働局に設けられている相談窓口です。受け付けている内容は、男女差別やアルバイトと正社員との待遇格差、セクハラなど広範囲。とにかくアドバイス欲しいという際に役立つでしょう。
都道府県によってはアルバイト専用の相談窓口を設置していることもあります。最寄の労働局のウェブサイトを確認してみてください。
④労働条件相談ほっとライン
ほかの窓口と比べて夜遅くまでつながるほか、土日も問い合わせ可能な点が特徴。これまで紹介してきた窓口に相談する時間がない際には、こちらを利用してみましょう。
扱っている相談は、シフト表の問題や、残業代の未払い、応募した職種と実際の仕事内容がちがうといった、
労働条件に関するトラブル全般となります。
⑤法テラス・サポートダイヤル
国が設置している法律サポート機関で、トラブルについて違法でないかどうか確認したいときや、解決のために弁護士に頼りたいときなどはこちらを頼りましょう。
アルバイト代の未払いやセクハラ・パワハラ、退職引き止めなどについて、相談内容に応じてアドバイスをくれたり、適切な関係機関を紹介してくれたりします。
⑥弁護士
「店長に殴られて怪我をしたため、治療費を払ってもらいたい」といったケースなど、相手に損害賠償を請求したい場合は、弁護士への依頼が必要となります。
事務所によって得意分野がありますので、労働関係のトラブルに詳しい弁護士をインターネットで検索する、法テラスで相談し適切な弁護士を紹介してもらう、などの方法をとるようにしてください。
また、実際に相談・訴訟を起こす際には費用がかかることにも注意が必要です。
特に相談者が未成年の場合は、両親(法定代理人)でなければ依頼ができませんので、まずは両親と相談するところからはじめましょう。
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2.こんな場合は相談!アルバイトでよくある違法ケース5選
前の章では、さまざまな窓口を紹介してきました。
しかし「こんなことで相談してもいいのかな?」と不安な人もいるかもしれません。本来は違法であるにも関わらず、職場が強要しているケースもあります。
そこでこの章では、アルバイトでありがちな5つのトラブルについて、法律上はどんな扱いになるのか紹介していきます。
①バイトを辞めさせてもらえない
辞めたくても、「次の人が見つかるまで」と言われて辞めさせてもらえない……。
よくありがちなパターンですが、会社がそんなことを要求できる
法的な根拠はありません。
法律上、あなたが「辞めたい」と職場に伝えた場合、その2週間後には会社を辞めてよいことになっています。会社にそれを引き止める権利はありません。
例外ケースとして
「1年間の雇用契約とする」など、特定の期間を定めて雇用契約を結んでいる場合があります。
その際はやむを得ない事情(病気や親の介護など)がない限り、一方的にやめることは契約違反となります。しかし、リゾートバイトなどの短期アルバイトでない限り、こうした契約を結ぶことは少ないでしょう。
また仮にそうした契約を結んでいた場合でも、2年目以降は自由に退職することができます。
そのため、「後任が見つからない限り辞めさせない」などと言われている場合、その職場は
法律に違反している可能性が高いと言えるのです。
②怪我をしたけれど、保険を使ってもらえない
仕事中の事故で起きたケガの治療費は、
労災保険という制度を使って、会社側が負担しなければならないきまりとなっています。
もしあなたがアルバイト中に厨房でやけどをして病院での治療が必要になったにもかかわらず、
会社がその費用を負担しない場合も違法となります。
「アルバイトだから治療費は出ないよ」と言われても、それを信じてはいけません。
③商品の買取を強要される
売れ残った商品を、アルバイトに自腹で購入するよう強制する……。
このようないわゆる
「自爆営業」も
違法となる可能性が高い行為。たとえ会社側がノルマや目標を事前に設定していたとしても、その未達成を理由にして、アルバイトに商品をむりやり購入させることはできません。
もしあなたがこうした自爆営業を強要された場合、
商品代金を返してもらえる可能性があります。
④希望に沿わないシフトにされる
休みを希望していた日に、出勤するように言われるケースです。
本来、アルバイトに対して職場側がシフトを無理強いすることはできません。
「入れないなら他の人を探して」と言うのも違法である可能性が高いでしょう。
自分の希望をまったく無視したシフトが組まれた場合や、突然の休日出勤を言い渡された場合は変えてもらうよう要求してください。
ただし、
すでに決まったシフトが不満だからと、何も言わずに無断欠勤するのはNG。きちんと「希望したシフトではないこと」「出勤できないこと」を事前に伝えておくことが大切です。
口頭だけではなく、メールなど形に残るような方法で伝えておくとよいでしょう。
⑤掃除などの準備時間に賃金を払ってもらえない
着替えや開店前の掃除など、
準備時間の賃金が支払われないのも違法となります。
特に問題となりがちなのは
塾講師。授業時間分の時給しか支払わず、授業の準備やテストの採点といった時間を無給とされることが多いですが、これは
違法です。
そのほか、
・ミーティング
・朝礼
・研修
などの時間も、
会社は本来ならば賃金を支払う義務があります。もらえなかったぶんの時給は、
未払い賃金として請求できる可能性があります。
そのほか、職場での
パワハラ・セクハラ行為といった問題も、当然
違法。精神的や肉体的に深い傷を負った場合、弁護士を通じて治療費や慰謝料を請求することができます。
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3.相談する際の2ステップ!必要な準備とその後の流れ
これまで紹介してきた違法なケースについてアドバイスや処分を求める場合、事前に証拠や状況を整理しておくとよいでしょう。
特に
会社を通報したい、または
未払い賃金や損害賠償などを請求したいといった場合には、会社の違法性を証明する証拠が必要不可欠。
この章では、相談に必要となる準備や相談までの流れについて紹介していきます。
①ケースに応じて集めよう!証拠となるもの一覧
まずは、自分が受けた被害に応じた証拠を集めましょう。
どんな場合であっても重要となるのは、
職場の上司・先輩からどんなことを言われたか
ということを証明する資料です。
「辞めたい(出れない)ならほかの人紹介して」、「バイトに労災は出ないよ」「準備期間はお金払わないから」「売上達成のためにみんな協力してね」……。
そんなやりとりを録音するなり、LINEやTwitterのメッセージを保存するなりして、何を言われたのかを記録として残しましょう。
また録音を証拠として扱う場合は、
相手が誰なのか、本当に自分に向けていったものなのか、いつ言ったものなのか、といった情報もあわせて重要となってきます。
特定の発言だけを録音するだけではなく、
勤務中は常に録音しておくなど、なるべく多くの情報を記録しておくようにしてください。
そのほかに証拠となる資料には下記のようなものがあります。
・働く際に職場と交わした契約書
・給与明細書やタイムカードの記録
・パワハラ・セクハラがわかる音声や写真
・買わされた商品のレシート
・病院の診断書や領収書
日記帳やTwitterのつぶやきなども証拠となる可能性がありますので、とにかく関係しそうな記録はすべて証拠として集めておくのがオススメです。
そのほか
トラブルの内容や時系列、自分が会社に対してどうしたいのかといった内容を事前にまとめておくと、相談の際に説明がしやすくなります。
②ケース別!相談後の流れ
こうした証拠を集めて相談したあとの流れは、相談した窓口や、あなたの目的によって異なってきます。それぞれ解説していきましょう。
- 通報した場合
労働基準監督署や労働局に職場を通報した場合、悪質だとわかれば会社への調査・指導が行われます。
通報した人の名前や個人情報が明かされることはありませんので、職場にばれるか不安な人も安心してください。
- 「あっせん」を利用した場合
会社との相談を仲介してもらう「あっせん」制度の利用が認められた場合は、お互いの都合のよい日時を決めて、話し合いを行う形になります。
会社の代表者と自分は別々の部屋に入り、仲介機関を通して話をする形となります。バイト先の代表者と直接顔を合わせることはありませんので、安心してください。
ただし、あっせんの利用には審査があり、申請すれば100%利用できるわけではありませんので注意してください。また会社側が呼び出しに応じない場合も、話し合いは中止となります。
- 弁護士に相談した場合
弁護士に依頼した場合、まずは弁護士を通じて会社と交渉が行われ、うまくいかなければ「労働審判」と呼ばれる話し合い制度や、「訴訟」を行う形となります。
ただし、これらの手続きを行うには、弁護士費用が必要となります。
その相場の目安は、事前相談が5000円/30分、依頼時に前払いで必要となる着手金が10~20万円と高額。
そのため、長期間にわたってアルバイト代を支払ってもらえていない、長時間労働が原因で怪我をした、というように、会社にある程度まとまったお金を請求できる場合でない限り、利用は難しいのが現状です。
そんなとき、集団訴訟という方法が役に立つかもしれません。
これは同じ相手から被害を受けた人どうしで協力して訴訟を起こすというもの。被害者全員で費用を分担し、ひとりあたりの負担を下げられる可能性があるのです。
高額な弁護士費用を支払う余力がなくても、みんなで協力すれば声を挙げられるかもしれません。
4.まとめ
- アルバイトに関係することで何かトラブルがあったら、専門の相談窓口を利用する
- 退職させてもらえない、商品の買い取りを強要される、など、様々なトラブルを相談することができる。何か困ったら、すぐに相談すること
- 相談する前に、あらかじめ労働条件通知書や給与明細書などを準備しておくとスムーズに話が進む。悪質なケースで慰謝料を請求したい場合、労働審判や訴訟などを行っていく
おわりに
アルバイトやパートも、きちんとした労働者です。決して使い捨てにしたり、いい加減な扱いをしていいわけではありません。
もしあなたが職場でひどい扱いを受けたときは、勇気を出して相談してみてください。